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mp3は規格化競争で負け、市場から消える運命だった。
それを救ったのが、ギークの存在。
開発者、ギーク、巨大企業
群像劇としてとてもスリリングだった。
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めちゃくちゃにCDを買い漁っていた僕としては、圧縮音楽なんぼのもんじゃい!と思っていましたし、今も思っている節はありますが、世界規模で見れば、配信や海賊版の音楽の需要がCDなんかよりずっとずっと多いのでしょう。
CDケースで棺桶を作って、お坊さんに怒られたい願望がある僕は、配信音楽を蹴飛ばしてCDを買い続けたいと思います。棺桶作れるくらいCD買います。
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<目次>
イントロダクション
第1章 mp3が殺される 第2章 CD工場に就職する
第3章 ヒットを量産する 第4章 mp3を世に出す
第5章 海賊に出会う 第6章 ヒット曲で海賊を蹴散らす 第7章 海賊に惚れこまれる
第8章 「シーン」に入る 第9章 法廷でmp3と戦う 第10章 市場を制する 第11章 音楽を盗む
第12章 海賊を追う 第13章 ビットトレント登場
第14章 リークを競い合う 第15章 ビジネスモデルを転換する 第16章 ハリポタを敵に回す
第17章 「シーン」に別れを告げる 第18章 金脈を掘り当てる 第19章 海賊は正義か
第20章 法廷で裁かれる エピローグ
<内容>
音楽がmp3とネットによってどんどん浸食され、現在のようなネット配信(それも1曲ごと)の売り上げとなり、ライブが主流になる(アメリカも日本も変わらないらしい)、その流れを追いかけたノンフィクション。前半はmp3の技術を作ったドイツの技術者がなかなか日の目を見ない話。途中からそのmp3の技術を利用して、音楽のリリース時期より早くその楽曲をネット配信することに惟日をかける世界の若者たち(その中には、ユニバーサルのCD工場からCDを盗み出す話も)の話。最後は彼らは「海賊」として捕まるが、法律的にうまく裁けず(犯人たちも賢くて)、犯罪にはならず、その間にCDセールスが激減して、商売にならなくなる。なかなかエキサイトな展開だった。
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同じような世代を生きてきたけど、その裏側にはこんな世界があったのね。こういう人らがいたおかげでCD突っ込めばタイトルから何から何まですぐ表示されるようになったし、さらにその世界が過ぎ去って行こうとしてる、それでもまだ巨大資本に首根っこを抑えられている。
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タイトルからして、ビジネス書かなと思ったけど中身は実録ITポリティカルサスペンスでした。
前半のmo3開発秘話の当たりや、モリスが上り詰めていく様は非常にスリリングで、当時を知るだけにおもしろかった。
学生の時、研究室のネットを使って、鯖たてて、串通して、交換レート決めて、w@rezサイトで交換してたなあーと感慨深く思い、ああいったことの裏にはグローバーのような連中が跋扈してた訳ね。bit trentつかってmp3とかダウンロードしまくってたから、シーンのファイルとか持ってたかもね。怪しいサイトいっぱいあったもんな、確かに。
ストリーミングのために必死で研究した技術が、CDを「音」と「円盤」を分けてしまうということな活用されてしまったことは、開発者からすると慚愧な絶えないかもしれないけど、仕方ない。
ノーベルのダイナマイトと同じ、必然だったと思います。誰かがやってた。
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mp3の開発者、音楽業界の大立者、CD工場から発売前の音楽を盗んでリークするグループ。三者は互いに出会うことなく、しかし音楽がタダになる、時代の流れを生み出した。
破壊的イノベーション、といえば勇ましいが、その景色を全部俯瞰できていた人はどこにもいない。なのに、破壊は起きた。
とても興味深い産業ドラマ。
群像劇として映画になったら、きっとおもしろいだろう。ミュージシャンは本人が出て欲しい。
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フィクションを超えたノンフィクション
文系の私は絶対読めないと思ったけどガンガン読めた。話がとっても面白いから。音楽業界で何かしら動きがあるごとにこれを思い出すだろうな。
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mp3の誕生とそれが音楽業界へいかなる影響(音楽をタダにした)を及ぼしたかが語られる一冊。
本書は主にmp3の開発者、最高の音楽エグゼクティブ、田舎の最強違法アップローダーの3人を主人公に物語のようにいかにして音楽が無料への道を進んでいったのかが語られます。
著者の5年もの調査執筆期間は本書を中身ある面白く飽きさせないものになっており、ノンフィクションということさえ忘れさせてくれます。
CDで音楽を聴いたことのない世代(そんな世代がいるのか私は未だに疑問ですが)でも楽しく読めると思います。
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実に面白かった。90年代半ばから現在に至るまでの音楽業界を俯瞰する視点に、他に類を見ない圧倒的な説得力がある。ここまで徹底した取材ができるものかと驚くと同時に、さぞ語らせるのに苦労したであろう相手についても、ネガティブなことも含めて遠慮せずに書いていることに唸ってしまう。
最初の章はmp3が世に出る前の裏話で、技術的なことはちっともわからないシロートにはちょっとつらい。次の章では田舎のCD工場に勤める若者、その次は大手レコード会社の幹部が登場する。この三つの話がかわりばんこに語られていくのだが、途中まではなかなか全体像が見えなくて、読み進めるのに苦労した。よくわからない用語がしばしば出てくるし。
しかし、半ば過ぎたあたりからどんどん引き込まれていって、音楽のデータ配信や海賊版摘発に話が及ぶあたりからは、夢中で読みふけってしまった。三つの話は最後まで交わらないのだが、それが複雑に絡まり合って、現下の状況を作り出してきたのだということがじわじわと腑に落ちてきた。
なんといっても一番すごいのは、海賊版mp3の大半がきわめて少数の組織されたグループから発信されていたことを突き止めたことだ。これには著者自身驚いたらしい。ウェブの広大で曖昧な拡がりのあちこちから、アナーキーにアップされたものだと思っていたのに。さらにその元となる新曲CDのほとんどは、ある個人が供給源だったというのだ。一介の労働者である彼は、既にその行為によって有罪とされ、服役した後出所しているのだが、そんなこと誰も知らなかったのだ。
「著作権保護」というと、クリエイティブな活動を萎ませないために必要なことだという文脈で語られることが多いが、ことはそう単純な話ではないというのもよくわかった。著作権を保護するには海賊行為の摘発が不可欠だ。そこで業界と権力が結びつく。たくさんの予算をつぎ込んで、海賊行為を摘発することが、結果としては業界のごく少数の誰かさんの利得を守り、その懐に巨額の金を流れ込ませることになっている。「摘発」と言っても、たいていは見せしめ的に、軽い気持ちで曲をダウンロードしたユーザーが厳しく罰せられ、大元まで及ぶことはまれ。及んだとしても、そういう人たちは「有能な」弁護士の力で刑に服すことを免れている…。わりきれない話だ。
金目当てで海賊行為に関わる人はもちろん多い。しかし、権力にクソ食らえと言いたいがために、あるいは、みずからの力量を誇示するために、無報酬どころか身銭を切ってまで、危険は承知でせっせと海賊行為にいそしむ人たちがいる。これをどうとらえたらいいのか、考え込んでしまう。
著者は、10万曲を超えるmp3ファイルをハードドライブにため込んでいたが、「クラウドコンピューティングの出現で意味がなくなった」と、配信サービスに会員登録し、ファイルを捨てたそうだ。データの入ったハードドライブが処理業者のくぎ打ち器で壊され、ゴミの山に捨てられる場面が最後に書かれている。感傷的になってしまうが、しかたのないことだ、という気持ちなのだろう。そういう流れってもう止まらないものなのだろうか。���自身は、昨今の音楽状況にはとんと疎いのだけど、ここにも非常に大きな変化の波が来ているのだということをひしひしと感じた。
・CDの流出元になる若者の人生が活写されていて、心に残る。傑出したノンフィクションだが、こういう所は小説を読むような面白さもある。
・テクノロジー関連の記述内容はよくわからなかったが、技術者というものについては考えさせられる。mp3の開発者は、海賊行為を憎み、自分は必ずCDを買っていたそうだ。でもねえ、その技術があったからこそ海賊版が流布したわけで…。そういう技術はいずれ誰かが開発しただろうとは思うが。
・海賊版は年代的に(性質上も?)ラップと密接に関わっている。発祥の地米国のラップは実に反社会的なものなのだとあらためて認識した。日本のラップシーンについてはほとんど知らないけど、かなり違いがあるのでは?
・ITオンチを自認する高野秀行さんが、本書の感想として「音楽がタダだなんて知らなかった。そこに一番驚いた」と書いていて、そうだよねえと笑ってしまった。そういう人間にもこの本は面白い。
・データとして「持つ」ことも今や古臭いことのようだが、それよりもっと手前で、データではなく、愛着ある「もの」として所有したいという気持ちって旧世代とともに消えていくものなのだろうか。私は「本」というのは結構長く残っていくんじゃないかと思っているけれど、音楽はどうなんだろう。うーん、わからない。
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mp3という技術とそれを無料でシェアする海賊盤サービスが音楽産業を破壊する経緯を個人のストーリーに光を当てて語った本。mp3の技術者、音楽ビジネスで働く人、音楽を盗む人、シェアする人それぞれの話が並行して進み、中盤からそのドラマが交錯する辺からかなり惹き込まれました。
未だにCDを買い続け自分でも作る人間としてはなかなか受け入れ難い内容ではあるけど、本自体はドラマティックで面白かったので映画になってほしいところ。
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CDからmp3へ、とか、アルバムからライブへ、とか音楽業界のビジネスモデルは縄文時代から弥生時代へ、ぐらいに変化した、と聞いていますが、音楽の縄文と弥生の間の革命の物語。革命と言っても勇ましいものはなくてぐちゃぐちゃしてて当事者としても何が何だか解らぬうちに進行していく、今と地続きの10年ぐらい前の出来事を著者は丹念に取材しています。テクノロジーサイドからブランデンブルグという歴史の表舞台には出て来ない天才、コンテンツサイドからトレンドを更新し続けた音楽産業の大立者のモリス、そして本人の自覚無しに音楽の状況を変えた海賊としての一市民のグローバー、という3人の交わらないけど結果的に絡み合ってしまう人生を丁寧に拾っています。そう、歴史になる前の今だからこそのドキュメンタリーでした。この本の中ではスティーブ・ジョブズもちょっとしか出て来ない脇役。デジタル革命って数知れぬ無名の人々が意識せずに実現してしまう英雄無き革命なのかも、と思いました。
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夢中になって読んでしまった。
本当に映画のようなノンフィクション。
mp3の誕生からそれがどのように拡大していったのか、既存のCDというパッケージの商売をしていた業界がどのように変わっていったのかをこんなにもドラマチックに描けるのは本当にすごいと思った。
企業と海賊達が繰り広げていた争いのピークの時期2000年から2006年くらいの時期は音楽が死ぬほど好きな自分の中でも一番いろんな音楽を聴いていた時期だと思う。
たしかにその時期はP2Pやトレント、CCCDなど色々なものがあったなと思い出す。
インターネットの力が既得権益を崩壊させた大きな出来事であり多くのユーザーが望んでいた形に色々な出来事が複雑に絡みながらも実を結んでいったことに資本主義の真理のようなものを感じる。
またこの本がひとつの企業を主人公にしているわけではなく、しかも関わった人間が身分も分野もまったく関係ない人達であり、そんな人達がある時期に攻防を重ねまたそれぞれの道を歩んでいくことが本当に映画のようだと感じた。
アランエリスが著者に送った最期のメール「あれはボクの人生の一時期のことで、楽しんだけれどもう過去のことだ」の言葉が本当にカッコイイ。
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大企業フィリップスの政治力の前に標準化に敗れ、mp3をWebに無料で公開した、失意のドイツ人技術者(特許は取得していたので、その後はライセンスで巨万の富を築く)
アメリカの片田舎のCD工場よりCDを盗み出し、全世界に拡散さることになった黒人労働者(実刑判決を受ける)
世間の非難を浴びるラップを売り込みCD業界を牛耳ることになる強欲エグゼクティブ(年収1400万ユーロ!)。
彼らの個々の欲望が、インターネットの発展と結びついて、結果的に音楽産業自体を破壊してしまった物語。
ダウンロードを繰り返し、自分のHDDの中にmp3アーカイブを作った人たちも、CDというもの”物”自体が無くなれば、そんな行為も廃れる。物があってのコレクション。ストリーミングとクラウドの時代には過去の話となりつつある。
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「お試し版」であらすじを読んだだけで興奮を覚えていたが、本編は想像していた以上のとんでもないドキュメンタリーだった。
90〜2000年代に激変した音楽コンテンツの環境や音楽ビジネスのことは、一消費者としてしか知らなかった。この本では、その裏側で繰り広げられていた壮大なストーリーが、フォーマットを開発した技術者たち、音楽産業界のエグゼクティブ、窃盗犯グループという、三者の立場で生々しく綴られている。登場人物と注釈が多過ぎるのは読むのにちょっと苦労するが、単なる事実の列挙ではなく(それでも、膨大な資料や証言で綿密に裏付けされた記録なのだが)、登場人物たちそれぞれの心情も織り交ぜられ、多面的に展開する。
しかし、読み進めていくうちに、段々と心苦しくなってしまった。その理由は、音楽を簡単に盗めてしまうという事実を、自分事としてリアルタイムで体験したからに他ならない。LimeWireやNapstar、MP3プレーヤー、iTunes Store、Spotifyといった、本書に登場する数々のアイテムの、登場から隆盛、そして消滅やさらなる発展という音楽環境の激変の中に、自分も進んで巻き込まれていた。「音楽をタダにした」人間の中に、しっかり自分も取り込まれてしまっていた。
その後、結局は良心の呵責から、盗んだ曲と同じ曲をiTunes StoreやAmazon MP3でダウンロード購入し、徐々に置き換えていくことになった。興味本位でダウンロードしてみただけで、一度も再生しなかった曲も多かった。どうしてもその音楽を聴きたい飢餓感ではなく、単に、いつでもアクセスできる安心感が欲しいだけだった。
ハードディスクを占めるスペースも肥大化する中で、何度かのクラッシュを経験したにも関わらず、バックアップも諦めてしまった。その一因は、永遠に増え続けるかに思えたライブラリーのデータも、自分の音楽的興味、好みのアーティスト、そして自分自身と、すべてが高齢化するに従って、変化が乏しくなってしまったことにも関係していたように思う。
結局は、自分の音楽の聴き方も、SpotifyやGoogle Play、Apple Musicのようなストリーミングやサブスクリプション式に移行しつつある。コンテンツの置き場とアクセス権、フォーマットをぐるぐる巡るジレンマを、人生で最も貴重なリソースであるはずの時間と引き替えに過ごしてきたのかと思うと、半ば暗澹たる気持ちにもなるのだった。
著者と同様に、いずれ自分だけのライブラリーとしてのメディアは、処分することになる予感はずっとしてきた。読み終わった後にも、物語が終わった爽快感・安堵感のようなものが全くないのは、この本で語られていたことが、今も、自分ごととして続いているからだろう。
あまりにもドラマティックな群像劇から、やはり映画化も決定済みとのこと。音楽に金を出して買う習慣が無い世代には、このストーリーは一体どのように受け取られるのだろう?
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画期的な音声圧縮技術MP3が世界水準になっていく前半はベータvsVHS戦争のような様相でさながらプロジェクトX。
後半はMP3とインターネットブロードバンド改革の流れでファイルシェアが進み、新譜を盗みいち早く「無料で」オンラインシェアする海賊リーク集団と大手レーベルの攻防が描かれる。
著作権侵害による業界の衰退と「音楽」の形を変えてしまった功罪が本当に面白かった。