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わあーこれもすごおくおもしろかった! 高野さんの本にハズレなしなの?
ジャングルのなかをゲリラ軍に率いられて何カ月と歩いて(!)いって密入国、って。想像も及ばないほどたいへんなことで、生死にかかわるくらいのすごいことなんだろうけど、なんというか高野さんの文章にはそういうおおげさなあおりみたいなものがなくて、むしろ淡々としているようでユーモアがあって。
ゲリラ軍や現地の人々ひとりひとりも味があって楽しくて、高野さんとのやりとりもおもしろくて、みんな好きになってしまうような。
とにかく、けっこう厚い本なんだけどなんだか読み終わるのがもったいなくて、まだまだ読みたい、いつまでも読んでいたいと思った。
わたしは少しずつ読んでいったのだけれど、一気読みしたらもっとサスペンスフルに楽しめたのかもしれないなーとちょっと思う。
あと、わたしはいまひとつ「幻の西南シルクロード」っていう意味がよくわかっていないかも。なにはともあれ、すごい冒険だ!っていうことはわかったけど(笑)。
よくわからないけど、高野さんの好奇心のためというかそれだけ(?じゃないかもしれないけど)のために、たくさんの人が危険をともにするっていうのもすごいなあというか、ちょっと不思議な気もしたり。
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世にも稀なるビルマ三部作の一作。探検や冒険の枕詞と言えば岩と雪、人跡未踏に、地理的空白等だが、自称辺境作家には似合わない。辺境は中央から離れているだけで、そこにはちゃんと人が居る。語学の天才高野氏の話は出会いがなければ始まらない。タモリの四カ国麻雀の様な抱腹絶倒の国境越えを幕開けに、ゲリラに守られ、奇想天外なビルマ横断の旅が始まる。『アヘン王国潜入記』同様、物語世界の中に取り込まれてしまい、いつまでも旅が続いてほしくなる。ジャンルは異なるが恒川光太郎『風の古道』を思い出す。その心は戻りたくない!偏愛的傑作。
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最近しばらく高野秀行さんの本を読み続けてきたので、ここらで一つまとめた感想を。
高野秀行さんの本を手に取ったきっかけはミャンマー旅行を計画していたからである。もともと【ミャンマーの柳生一族】や【アヘン王国潜入記】の評判は聞いていたものの、なかなかきっかけがなく、このタイミングでようやく読む事が出来た。しかし、読み始めるとこれが抱腹絶倒、読む勢いが止まらず、結局、高野氏の経歴を追うように、一週間で5冊も読んでしまった。
私が読んだのは、順番に【ミャンマーの柳生一族】【アヘン王国潜入記】【幻獣ムベンベを追え】【西南シルクロードは密林に消える】【巨流アマゾンを遡れ】の5冊。それぞれに違った面白さがあるが、特に【アヘン王国潜入記】と【西南シルクロードは密林に消える】は高野氏を代表する2冊と言え、ミャンマー旅行を計画する如何に関わらず、一読の価値がある(私が楽しみにしていたミャンマー旅行は紆余曲折の末、頓挫し、大変な精神的ダメージを負ったが、高野氏の本に出会ったおかげで若干救われた気がする)。
私自身、学生時代にバックパッカーをしていたので、いわゆる「旅行記」の類は何冊か読んでいるが、その当時は主に沢木耕太郎の【深夜特急】に大きく傾倒していた(一時期は素樹文生の【上海の西、デリーの東】やJ・クラカワーの【イントゥ・ザ・ワイルド】に浮気したが)。これらの旅行記に共通する大きなテーマは他文化の中でいかに自分を発見するか、という「人生論」であった。当時、10代後半〜20代前半であり、人生とは何かという大テーマに向かって悶々とした日々を送っていた自分にとっては深く共鳴する内容であった。
それに対し高野氏の書く旅行記(冒険記)は、文化・民族的側面に重きを置いている。処女作である【幻獣ムベンベを追え】には20代特有の悶々とした人生論が時より顔を出すが、それも全体としては一部分に過ぎず、あとはひたすら現地の人々との交流や民俗習慣などを描いている。代表作となる【アヘン王国潜入記】や【西南シルクロードは密林に消える】では、その文化人類学的な語り口は一層洗練されている。潜入・取材方法は相変わらず破天荒ではあるが、日本人にはほとんど知られていないミャンマーの秘境について、その歴史・民族・文化を徹底的に調べ上げ旅をする。その膨大な知識に裏付けされた旅行記は読者を唸らせ、また秘境へと想いを誘う(実際にはそれらの地域に行く事はイコール密入国なので、一般人には難しいが)。
高野氏の旅行記を読んでいて、ふと、その昔、佐久間象山が言ったとされる言葉を思い出した。
「人は10代で自分のことを考え、20代で家族のことを考える。30代で生まれた地域のことを考え、40代で国のことを考える。そして50代で世界のことを考える。」
これはそっくりそのまま私たちに当てはまらないとは思うが、それでも10代〜20代前半でのバックパッカー旅行で人生を考え(当然、結論なんてものは出ないのだが、今はこの過程が有意義だったと思っている)、20代後半のいまは若干家族や身の回りへと視野が広がり、これからは一層、外へ外へと視点が広がっていくだろう。高野氏自身はこ���プロセスを一つも二つも超えてしまった感があるが、それでもこれらの旅行記からはマスメディアに乗らない「生の声」として、今や海外に行く事すらなかなか難しい私に世界を知るきっかけを与えてくれる。そして、「世界を知る」ということはまた「相対的に自分を知る」ということでもある。
人生論を大きく語る旅行記にあまり関心がなくなったということは、それなりに名残惜しさも感じるが、新たなステージに立つ自分に向けて、もう少し高野氏の声に耳を傾けて行こうと思う。
追記)高野氏と知り合いという、ジャーナリストの方に話を聞いたところ、高野氏自身は「廃人のような生活を送っていた」とのことだった。あれだけエネルギーを使う旅をしているのだから、しょうがないとは言え…うーむ。
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あとがきを含めて非常に内容の濃い作品です。著者の行動力、運の良さ+悪さに驚くばかりです。
以前、村上春樹さんの『遠い太鼓』を読んだが、本書はタイプの異なる旅行記だと感じた。前者を静の旅行記とするなら、後者は動の旅行記となるだろうか。もちろん、『遠い太鼓』の方でもこちらがハラハラするような体験が書かれていて大変におもしろいのだが、村上さんが行ったところがヨーロッパで、高野さんが行ったところがアジアということもあるだろう、本書のほうが文字通り泥臭さ感が出てて(僕の個人的な好みですね)、加えてどんでん返しが多かったので、こちらも負けず劣らずすばらしかった。ヨーロッパは綺麗なイメージがあるし、確か村上さんは街は歩いたけど、ジャングルには行ってない。しかし、高野さんはジャングルを歩いてるし、ゾウにも乗ってるのだ。また比較して大変恐縮なのだが、村上さんが奥さんと行動を共にされてるのに対して、高野さんはゲリラ兵から護衛されて中国の成都からインドのカルカッタまではるばる行くのだ。大所帯だから、目には見えないけど迫力を感じた。その護衛兵の数がだんだん増えていって、「なんかRPGのパーティーみたいだな」と思ってしまったが残念ながら魔法使いは出てこない。
本書の優れた点として、人物描写がしっかりしてることが挙げられる。芸能人の誰某に似てるとかも書いてあるので、全く会ったことがないんだけど、ゲリラ兵のキャラがとてもわかりやすい。あとは、歴史的背景を説明してくれている点も良かった。なぜゲリラ兵が独立を目指そうとしてるか。他にも色々あるけど、僕が興味すら持ってなかった事柄に関して丁寧な説明が施されてるので、これは単なるおもしろおかしな旅行記じゃないよと言いたい。本文にもあるが、著者はある場所でアヘンをつくってたらしいwwwそのことに関しては『アヘン王国潜入記』に書いてあるらしいので、絶対読みます。ほんと高野さんハチャメチャすぎる。これを読めば、あなたも高野秀行にゾッコンLOVE1000%だ!
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中国の四川省、成都を出発し、ビルマ北部のジャングルを抜け、インド・カルカッタを目指す、古代の通商ルートとされた西南シルクロードの旅行記。
「アヘン王国潜入記」と同じく、色眼鏡一切なしの、冷静で客観的な観察力が見事。
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良くやるよなーと思いつつ、自分では絶対に体験出来ないししたくもない事が味わえるので、つい読んでしまう。
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正直なところ、本書に触れるまでミャンマーの反政府運動についてはアウンサンスーチーさんしか知らなかった。カチン人、ナガ人その民俗、彼らのゲリラ活動について興味深く読み、ノンフィクションとして十分に知的好奇心も満たしてくれた。本書の魅力はそれに留まらず、『とんでもないことになった……』という文頭の期待を裏切らない冒険記。もう、ハチャメチャと言ってよい冒険を楽しむことも出来る。カメラが入れないってことを抜きにしてもNHKやBBCのドキュメンタリーでは味わえない魅力に溢れている。
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高野さんが少数民族ゲリラと一緒に旅する1冊。
本当はもうちょっと楽なはずだったのに、トラブルに巻き込まれて
どんどん酷い目に…
とにかく読み応えがあり面白い。
普段ニュースで「少数民族ゲリラ」という言葉はよく聞くが、
実際のところは良く分かっていなかった。
本書を読むとどういう人たちなのかとてもよく分かる。
特にラストの辺りまで読むと、少数民族ゲリラが
戦い続ける理由も良く分かり、やるせない気持ちになる。
あとがきでもどんでん返しがあり、油断できない。
私は仕事がつらかった時にこれを読んで
「ミャンマーでヒルに襲われるよりまし」と思って乗り切った。
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砂漠のシルクロードは有名だが、中国からビルマ経由でインドに向かう密林の「西南シルクロード」といわれるルートがあって、これを著者は突破する旅をする。ロードといっても密林地帯なので道はない。人と物の交流がある抽象的なロードだ。 紛争地帯であるので正規のビザはおりないために、ゲリラたちに助けられて著者は旅を進める。ビルマ・インド・中国に翻弄される少数民族の悲哀がよく分かる。そして普通の人間の生活を生活を共にしてユーモラスに描写している。ただ素朴なだけではなく変化球な人物が出てくる。厚めな本。
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辺境作家高野氏渾身の冒険譚。民族間のややこしい事情や鬱蒼としたジャングルの行軍から、マヌケな話までノンフィクションに詰め込めるのは流石だ!
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高野さんのビルマものはハズレがない。この作品も面白かった。面白かったでは不謹慎かな。一歩間違えば生きて帰れない状態での旅で、改めて、日本に住んでる事のありがたさや、つまらなさを感じながら楽しみました。
本作でも人物描写、評価が本当に面白く、高野さんの適度に力の抜けた描写がなんとも言えず良かった。
あとがきの後日談も凄いが、その後もこの地域は、今現在もロヒンギャ族の問題等もあり、かなり混沌として危険度も増しているようだが、高野さんのライフワークとして、また潜入してもらいビルマの今を伝えた作品を読んで見たい。
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途中から読み手も筆者も「シルクロードのこと」というより旅の目的を見失いかけて、でもまぁ必死なんだから仕方ないか。
だからこそエピローグの締め方は良かったと思える。
ビルマとか、少数民族とか、もう正直全く知識がないから、
筆者が事件(というか、文化の違いによる予想外の展開)に巻き込まれながら必死にゴールを目指す中で、飽きずに楽しく最後まで読めて良かった。
読みながら調べたこと
・纏足
・ビルマの場所(しかもかなり終盤に把握)
・アジノモト
・ナガ、ナガランド、ナガミーズ
・ゲリラ
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私は他人に比べて好奇心旺盛なほうである。野次馬根性もかなりある。
それでも、この作者高野秀行には到底敵わないな、と思う。
思い立ったら即行動。
後先考えずに飛行機に飛び乗る。
さすが早稲田の探検部などに入るような人間は只者ではない。
その辺境作家、高野秀行のシルクロード旅行記。
シルクロードといっても一般的なシルクロードではない。
中国四川省の成都を出発し、ビルマ北部を通り、最後にはインドに着くシルクロードである。
そのルートを制覇したものがこれまでに誰もいないことを知り、高野は挑戦しようと、親友のカメラマン森清と旅に出る。
正規の外交ルートではないため、熱帯雨林の困難な道のりを幾多の軍事兵士や住民などのサポートを受けながら、旅は続く。
半ば、というよりも現実的には違法行為の旅である。
その旅のさなかで出会う様々なアクシデント。
これがまた、凄まじく面白い。
幾多の冒険と困難の数々。
汗まみれ、泥まみれになり、体力の限りを尽くしながらの道のり。
ゲリラ部隊同士の確執、離れ離れになっていた親子の再会など、サスペンス、スペクタクル感満載での作品になっている。
高野秀行の旅行記は本当に面白い。
「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、誰も書かない本を書く」というモットーどおりの出来栄えで、ハナマルを上げたいぐらいの面白い本だ。
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祝「謎の独立国家ソマリランド」講談社ノンフィクション賞受賞!
長年の高野ファンとして、これは本当に嬉しい。まだ持ってなかった本を買うことで、ささやかながらお祝いの気持ちを表すことにした。これは単行本を友人にあげちゃったので、そのうち買おうと思っていた一冊。
あらためて、本当に面白いなあと思う。なんでこれがほとんど評判にならなかったのか不思議だ。基本的に「ソマリランド」と同じ、よくわからないものを自分の目で確かめたいという、そのごく個人的な思いから高野さんの旅は始まる。実際の旅は、まあとんでもない事の連続で、反政府ゲリラやら、ゲリラよりおそろしい警察やら軍やら入り乱れ、雨のジャングルを徒歩で行くという凄まじいことになる。(このときのヒルの襲来がすごーくコワイ)
極めつけは、奇跡的に刑務所行きを免れたインド不法入国のくだり。高野さんはいまだにインドに入国できないが、身ぐるみはがされた最初のインド体験といい、カルカッタは因縁の地だよね。
ビルマからインドへとあっけなく国境を越えながら、その文化的な違いの大きさを高野さんは肌で実感している。今回そこがとても印象に残った。
どなたかが「謎の独立国家~」を評して、「特に高い志もなく」と批判的に書かれていたが、いやまさにそここそが高野ノンフィクションの真髄だろう。人を啓蒙しようとか、ましてや名声やカネを手にしようとか、そういう動機では全くなく、ただただ自分の好奇心、タンケン心に導かれてどこまでも行くところが高野さんの最大の魅力なんだから。ジャーナリズム臭のないその持ち味をこそ、多くのファンは愛しているのだと思う。どんなシビアな場面でも、高野さんは常に等身大の人間だ。その絶妙なバランス感覚が、この本や「謎の独立国家~」でも遺憾なく発揮されている。
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現代の探検は政治も絡む。しかし、久々に愉快な冒険譚に出会った。綿密に計画された探検冒険もよいけど、こういう「エイヤッ」度が高いのも、痛快なもの。無論、無事に帰還したから痛快ですむのですが。