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(2017/3/6読了)
久しぶりの森見作品で、私の考える森見ワールドを期待してたので、正直がっかりした。
描きたいことはわかるつもりだけど、読書中の楽しみも、読後の達成感もない。それでも星を2つにしたのは、絡み合う内容でありながら、読みやすかったから。
これで森見作品はもういいかな。。。
(内容)
『夜は短し歩けよ乙女』『有頂天家族』『きつねのはなし』代表作すべてのエッセンスを昇華させた、森見ワールド最新作!旅先で出会う謎の連作絵画「夜行」。この十年、僕らは誰ひとり彼女を忘れられなかった。
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ある画家の二つの銅板画シリーズをキーとした光と闇のパラレルワールドを描いたお話。人は何かによって全く違う世界へ誘われる不気味さ。ホラー要素もあり楽しめた。光あるラストなんで読後感はいい。
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10年前の火祭りの日にいなくなった仲間。
それからの10年、それぞれの人生に起こった不思議な出来事とそれぞれが出会う「夜行」という連作絵画…あぁ、もうこの設定だけでもどきどきわくわくしちゃうじゃないか。
あの日、誰に何が起こったのか。多分、ここに書かれてはいないけど、それぞれにとって別の10年が流れているのだろう。それぞれの世界でそれぞれの不在と再会。
何がどうなっているのか、何もわからないまま終わる、この感じ。好きだ。
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僕らは誰も彼女のことを忘れられなかった。
私たち六人は、京都で学生時代を過ごした仲間だった。
十年前、鞍馬の火祭りを訪れた私たちの前から、長谷川さんは突然姿を消した。
十年ぶりに鞍馬に集まったのは、おそらく皆、もう一度彼女に会いたかったからだ。
夜が更けるなか、それぞれが旅先で出会った不思議な体験を語り出す。
私たちは全員、岸田道生という画家が描いた「夜行」という絵と出会っていた。
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面白かった。
「夜行」と「曙光」小さな額縁を通して
互いの世界は隠れ、また焦がれ合い
永遠に交わることのない2つの世界の切なさと
不思議な体験談があとを引く
最高の本でした。
最後の一文は鳥肌がたちました…
ふと風の強い夜や、暖かい春の風が吹く夜、
雨の降る夜、星のある夜、月の明るい夜
に夜の闇にふっと消えたくなる気持ちは
分からなくもないなぁと思う。
まさに「世界はつねに夜なのよ」
そして「一度きりの朝」
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それぞれの夜は読み終えた後、誰がどうなったのかモヤモヤする感じでしたが、第一夜の尾道だけは少し生々しい怖さを感じました。
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『世界はつねに夜なのよ』と、囁く彼女は誰なのか。モリミーの描く夜は、妖しく幻想的。現実と別世界の境界が曖昧で、ぽっかりと暗い穴に吸い込まれる危うさに満ちていて、胸がざわつく。大人になってからの夜の怖さはニュースなどで見る生きている人間からもたらされる怖さだけど、久しぶりに子供の頃に感じた、夜が持つ得体の知れない怖さを味わいました。赤い浴衣の女の子も怖かったけど、今度の冬は赤いコートの女の子に反応してしまいそう。食わず嫌いで長年積んでいた『きつねのはなし』も読みたくなったし、『太陽の塔』も再読したくなった。
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読んでいて、子供の時に感じていた不安が傍に帰ってきたような気がした。大切な人に気が付いたら永遠に会えなくなってしまっているのではないか、という根拠のないものだったけど、それが夜なのだと思う。
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森見登美彦氏の最高傑作といえば、「有頂天家族」シリーズだと私は思っているが、この「夜行」はまたそれとは趣をまったく異にする、氏の新境地とも呼べるもう一方の最高傑作なのではないだろうか。
世界を支配する夜と、一度だけの朝。
そしてそれとは表裏逆の、もう一つの世界。
作中を貫徹するムードは一級のホラー小説のようだ。
まだ言葉や具現化した思考で自分の感覚を正確に表現できない幼い頃に、誰もが感じたであろう得も言われぬ形のない不安や漠然とした底知れぬ恐怖のようなものを、非常に上手く物語として昇華し、文章に落とし込んでいる。
自分はなぜ生きているのか? この後どこに行くのか? そもそも今見ている、聞いている、感じているこの世界って?
京都の鞍馬を起点に、国内の各地を舞台としてストーリーは紡がれていくわけだが、それらの場所の選定や夜行列車というギミックが醸し出す旅情感もまた実に巧み。
実際に自分も列車に乗って闇の世界を旅し、岸田道生の銅版画をこの目で見ているような気になる。
一般的なミステリーやエンターテインメントのように、スッキリ物事が分かりやすく解決して幕を閉じるような類の作品ではないが、読後に残る不条理具合もちょうどいい塩梅というか。
私事だが、毎年10月22日には時代祭ではなく鞍馬の火祭りに行っていたクチなので、そこからまずは嬉しかったし。
もちろん、プロットや着想の巧さだけでなく、それを適切な形できちんと小説化する著者のリズム感の良さという凄みも、改めて感じた。
ただ一点、これは校正時の見逃しだろうが、プロローグ部分で本来なら「津軽」と表記すべき箇所を「青森」としているところがあるのが気になってしまった。
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森見登美彦による、ホラー連作。
期待したタイプの作品ではない上に、好みでもないが、それにしては楽しく読めた。
不安や焦燥を煽る大人向けの性質をもった、水っ気のない恐さがいい。表現する文章や言葉遣いは難しくなく平坦で、恐怖心を更に煽る効果と読みやすさを与える。そのバランス感が冴えているという印象。
あとは、情景描写もよかった。地方都市の情景を、誇張せず、かといって謙虚でもなくストレートに綴っている。味わいがあるし、そこに行きたくなる。
10年目集大成と銘打たれているが、確かに「面白い話」を思い付いただけでは、こういう作品は書けない。
3+
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長年京都を舞台に作品をつくってきた森見氏の日本全土を贅沢に使った最新作。
とても練り込まれていて素晴らしい出来。集大成といって恥はない。
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ホラー?ファンタジー?ミステリー?
続きが気になってやめどころが難しい。
秋の夜長にお薦め。
ミステリーを期待して読むと、
結末は賛否が別れそう。
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森見登美彦の作品は「四畳半~」や「夜は短し~」などのイメージだったので、この本の雰囲気が新鮮だった。最後まで読んでもすべてに明確な説明があるわけではなく、不気味さが残った。ただ読書ならではの不思議な想像の世界を味わえて読後感はよかった。
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森見さんの書く物語の主人公はある一人の相手をひたすら想い続けていることが多い。大学の後輩、元彼女、歯医者のお姉さんなどなど。その流れで「夜行」を読むと、主人公は画家、そして相手は妻(?)になる。「夜は短し」「有頂天家族」「太陽の塔」のように恋する本人が自らの行動や思考を表面上は面白おかしく語っていた物語も、他者の視点から打ち直せばこの「夜行」のように切なく不気味な物語になってしまうのだろうか。まあ、言い換えれば「夜行」も画家視点から打ち直せばめちゃくちゃ面白おかしい物語になってるのかもしれない。どちらに転んでも変わらないのはある特定のひとりを想い求め続けているところなので、私は森見さんのどの作品を読んでも泣きそうになってしまうのです。
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初・森見登美彦。
彼女はまだ、夜の中にいる。果たして本当に夜の中にいたのは・・・?
とても不思議な雰囲気の作品だと思った。一回読んで、「ん?」となって、もう一回読みたくなる。