善人前提説は無改善志向
2004/05/15 14:54
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投稿者:13オミ - この投稿者のレビュー一覧を見る
愛しているからお気に入りだから許しちゃうよって感じの登場人物相関が連綿と続く。どこかで止めないのかょと思うが突っ走るねえ。キャラクターにけじめがないので魅力がないように思った。
警察は官僚制度の最も発達した組織である。その組織はペーパーテストの点数で全てを決める。しかし犯人逮捕という戦闘の現場では、テストがなく現場リーダーというポストが上司から任命される。当然、その現場リーダーというポストは官僚制度に組み込まれたポストではなく、上司が任意で作ったものだ。現場の意志は現場レベルでは上司の一存で反映されるが、官僚制度というもっと上層部の中では意味をもたない。そういうことに腹を立て硬直した官僚制に挑もうとすると、官僚のトップに立たなければならない。本気で改革しようと思えば警察庁の事務次官レベルになるしかない。その典型が「踊る大走査線」の室井捜査官だろう。また、官僚のポストを目指す人が全てそうした気持ちでいるとは限らない。単に尊敬を得たり特権を得たりするために上を目指す人もいるだろう。で、この小説はそうした官僚制の後者目的がいかに多いかを訴えている。それは、今事件の原因だから。
では、なぜ尊敬や特権ばかりを目的とする人間が官僚制のトップに立つのか? それは日本だからだ。もともと官僚制のような一元的管理だけでは統制することができない。テスト一本で人の能力実態を掴むことは難しい。アメリカはそこに話し合いや投票といった俗人制度を合わせて優秀な人間をポストにつかせた。しかし、日本はそうした公の場に入る前に裏工作をする。その裏工作とは賄賂や脅しではなく許しだ。能力に関係なく自分のお気に入りを贔屓するという価値観。結果ではなく、どれだけ伴に一生懸命汗水たらして頑張ったかという経過や関係を重視する。
極言すれば、アメリカ人は、周囲はみな敵であり居心地が悪いことを前提として考える。しかし、日本人は、周囲はみな仲間であり居心地が良いことを前提として考える。アメリカは悪人説で日本は善人説なのである。よって、アメリカでは悪から善にもっていこうという人が多く排出される。一方、善を前提とした日本は改善などという考えは生まれない。現行の保守をもともと許すのだから、身内での尊敬や特権ばかりを追うのは当然であろう。本書はキャラクターや行動にそれをよく現わしている。官僚の腐敗臭が強いのは、日本人のモノの捕らえ方に起因するのだ。
主人公の村上緑子は、さんざ裏切られても相手を許してしまう。圧巻なのは、犯罪者と敵対すべき警察官の緑子が職務意識を捨て去ってしまう点と犯人があろうことか…(この点々は読んでからのお楽しみです)。ここまで許しを徹底させたところに柴田氏の問いかけがあると思うのはうがちすぎだろうか?
RIKOシリーズは3部作完結だが、どれにも警察の腐敗臭が存在する。もし、出来るなら許しと対極にある悪人前提説でも警察を描いてほしい。対比できて面白いと思うのだが。
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柴田よしきが送るRIKOシリーズ第一弾。
話はかなり過激だけれど、引き込まれる何かがある。
中身はびっちりと詰まってますが、先の展開が気になりすぎて、難なく読み進めることが出来ました。
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Rikoシリーズ第1作。刑事物はちょっぴり苦手です。(捜査の段階で頭がごちゃごちゃになるので…)
でも、この本はスムーズに進みました。女性としてはちょっと「ヴっ」って感じのところもありますが…。
主人公のRIKOがとてもカッコいい・・・。
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柴田作品、初挑戦。新しいタイプのヒロイン。かっこいい〜〜。ノンキャリだけど出世コースにのり、上司と不倫して左遷されたり、バイセクだったり。文章がスピーディーでいてすごく上手いと思う。manaの好きな作家がまたまた1人増えた。よく男社会だからこそ強さの鎧を身につけて生きていくヒロインはいるけれど、緑子(りこ)のようなタイプの方が私は好きだ。だって女は女なんだから。
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RIKOシリーズ第1作。好みが分かれる作品ですが、今までにいなかった強烈なキャラクターであることは確か。
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平成七年横溝正史賞受賞作。これが作者のデビュー作ということになるのだけれど、もうベテランの書き手、と言う印象を感じた。主人公は新宿署の村上緑子警部補。もとは警視庁にいたらしいがある事件のせいで転任させられる。が、今回の事件で合同捜査を行わなければならなくなり…と、事件も人間関係も絡まったまま話が進んでゆく展開も見事だし、なにしろキャラクターのが魅力的なのだもの。(やっぱりキャラ立ちしなくっちゃね…ぶつぶつ)後書きというか選考委員の話にあった「ポルノ風味」なんて気にならないし。外国の推理物には結構ある展開だと思うし(アンネ・ホルトだったかな?レズビアンの刑事が出てくるのは)
シリーズものだとのこと。続編探しに行こう。(2002.9.16)
で、現在文庫化されているものはGETしましたとも!…あとは「聖なる黒夜」の文庫化を待つばかりです。
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男性優位主義の色濃く残る巨大な警察組織。その中で、女であることを主張し放埓に生きる女性刑事・村上緑子。彼女のチームは新宿のビデオ店から一本の裏ビデオを押収した。そこに映されていたのは残虐な輪姦シーン。それも、男が男の肉体をむさぼり、犯す。やがて、殺されていくビデオの被害者たち。緑子は事件を追い、戦いつづける、たった一つの真実、女の永遠を求めて―。性愛小説や恋愛小説としても絶賛を浴びた衝撃の新警察小説。
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シリーズ第一弾。緑子の強さや弱さや厭らしさ、ずるさ、そんなものが溢れている。麻生さんと練ちゃんが出てこなくて寂しかった。緑子と彼女が、二人で子供を育てる未来も見てみたかった。
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分類が難しい小説。
推理小説ととるか性愛小説ととるか、はたまた恋愛小説なのか・・。
とりあえずミステリ好きとしては中盤以降で犯人が特定されてしまった事が悲しい。
でもとりあえず続きは気になるお話です。
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3/12 デビュー作らしい。文体、展開ともに若い感じですがなるほど納得な部分も。この人は「ジェンダー」というものを深く考えているのだろうなあ、と思った。
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第15回横溝正史賞受賞作。
新宿で押収された一本の裏ビデオ。中身はなんと、男が男に輪姦されているというものだった。同意の上の撮影ではなく、事件の匂いを感じた女性刑事・村上緑子(むらかみりこ)たちは、チームを組んで調査を始める。その中には高須義久警部補や、安藤明彦警部の姿もあった。緑子は彼らと忘れえない出来事があった。
事件の真相解明だけでなく、緑子の恋愛が大部分を占める。男性だけでなく、女性もOKになった緑子の性的奔放さ・・・・・・共感はできないけれど、人物像は結構しっかり見えたなと。
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RIKOシリーズ第1弾。
今までの女性刑事像を見事に覆された感じ。ちょっと奔放すぎる緑子に対しては、多少疑問を感じる部分もあったが、おもしろかった。
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昔に読み、懐かしく読み返してみました。
緑子の強さに憧れちゃいます。そして性というものについて考えらせられました。
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活字に弱い私が、漫画のようにすらすらと読んでしまいました。すごく読みやすく、面白かったです。女性警官が主人公で事件物だったので、推理小説だと思っていたのですが、終わってみると少し違うような気がします。犯人は誰か?とゆう疑問はもとより、とにかく主人公含め周囲の人間関係・人間模様が非常に興味深く、どんどん読みがすすみます。女性側の感情の描写が多いので、女性が読んで面白い本だと思いました。
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RIKOというキャラがいまいち好きになれない・・・男なんかに負けないと言い、男をバカにしているものの、結局は男に勝てない。女の弱さまるだし。
ミステリとしてもたいして驚きもない。
ただ、ラストまで読むとちょっとだけRIKOが好きになってきたりして(;^ω^A