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洋書の起業家自伝でここまでドロドロの艱難辛苦を描いたものは初めて読んだし、著者も他にはそうあるまいと自負するレベルでアントレプレナーの苦難のストーリーが赤裸々に綴られている。
環境、文化、技術的違いがあれども、シリコンバレーで起きていることとは言え仕事に情熱を注ぐものならば激しく共感せざるを得ないエピソード満載である。
物事は大抵、順調であることのほうが稀であり、常にピンチや戦時の対応を求められる方が多い。それが新しいビジネスであれば尚更だ。
数々のHARD THINGS=困難に対峙した時に、どう行動すれば良いか、どう判断すれば良いか、そういったことへのヒントが豊富に散りばめられた至宝の一冊。
◼︎読書メモ
・プロジェクト全体が遅れる原因は必ず一人のにんげんに帰着する。ボトルネックは一箇所ということ。
・正しい製品を見極めるのはイノベーターの仕事であり、顧客のすることではない。顧客がわかるのは、自分が現行製品の経験に基づいてほしいと思っている機能だけだ。イノベーターは顧客の言っていることを無視しなければならないことも多い。
・我々が今やっていないことは何か?を常に問う事。そこにこそ本来集中すべき事があるばあいがある。
・CEOは確率を考えてはいけない、答えがあると信じなきゃいけない。可能性がどれだけ低くてもする仕事は変わらない。
・ポジティブなフィードバック方法、サンドイッチ方式などはすぐに部下に見抜かれてしまう。
・人、製品、利益、を大切にする。この順番で。
・採用にはとんでもなく力を入れ、統計的に分析するのにもかかわらず、教育の価値をいとも簡単に見過ごしてしまう。
・採用者に対して、最初の1ヶ月に何をしますかと聞いて勉強と答える人間には要注意だ。CEOが無理だというくらい新規案件を持ってくる人間をさがそう。
・経験を積むほど、人の問題が見えてしまう。長所より短所のなさを重視してしまうがそれは間違いだ。長所が一部分でも世界レベルのじんぶつを探すべきだ。
・MicrosoftやIntelのようなテクノロジー企業でも罵倒語が飛び交っている。
・階層的組織においては有能な人間は次第に昇進していくが、やがて能力の及ばない地位に達する。職域に追いつかない上司を見て、しかも複数いる中で最も低い人間を見てなぜあいつが?という不満がで始める。これがピーターの法則であり、これは不可避である。
・時として会社にはあまりにも貢献が巨大でなにをしても許容せざるを得ないような社員が存在することがある。周りへの悪影響をCEO自らがやらねばならない。デニスロッドマンはめったにいないのだ。
・全ての組織デザインは悪い。あらゆる組織デザインは会社のある部分のコミュニケーションを改善する
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ベンチャーの社長達が、非常に共感したといったコメントを書いていたので読んで見たが、
残念ながら、この本に書かれているような壮絶な経験をしてきておらず、まだまだ自分が甘い、ということだけがわかった。
冒頭に著者の経験の全体像が示され、
中盤以降は、ここのシチュエーションにおける、
対応のポイントが具体的に記載されている。
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シリコンバレーのベンチャーキャピタリストが書いた、CEOやマネージャー、部長職がどう困難に立ち向かうべきか、その参考になる一冊です。
著者のベン・ホロウィッツは現在はベンチャーキャピタリストですが、以前は上場会社のCEOとして厳しい環境の中でビジネスの舵を握った、事業側も経験している方。
ベン・ホロウィッツに降りかかったタイトルにある「HARD THINGS(困難)」がこの1冊にてんこ盛りに収録されいて、そのときどう立ち向かったが書かれています。
表紙にあるコピー「答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」とありますが、この本には答えはないです、基本的に。
しかし、先人がどう立ち向かったかを知ることでとても参考になり、自分の頭で考えて行動するきっかけになると考えています。
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ハイテク業界での有名ベンチャ投資ファンドのアンドリーセン・ホロウィッツの共同創業者のベン・ホロウィッツが自身の企業経験とそこから得たCEOとしての教訓を惜しげもなく披露したもの。
前半は、著者がラウドクラウド社を創業し、ITバブルなどの中で、そこからハードウェア部分を売ってソフトウェア事業だけを切り出したオプスウェア社を成長させた後に1600億円でHPに売却するまでの8年間のストーリー。後半は、著者のその経験に基づくCEO論が綴られる。そして、最後は自身の投資家としての現状で締めるという構成。
最初の起業ストーリーも、マーク・アンドリーセンなどIT界の著名人も多数登場して面白いのだが、白眉は著者のCEO論だろう。「人生は苦闘だ」- カール・マルクスの言葉を引き、「苦闘とは、そもそもなぜ会社を始めたのだろうと思うこと」という文から始まる18個の「苦闘」が並ぶ文に想いが込められており、迫力がある。苦闘は不幸で孤独で無慈悲だと書いた後、それがゆえに「苦闘は、偉大さが生まれる場所である」と諭す。
自身の経験だが、あるとき日本の中小企業の創業社長にもインタビューをすることがあった。その社長は、比較的大きな企業に所属している自分たちに対して、「悪いこと言わないから起業なんかしない方がいいぞ」と言った。そして豪快快活で比較的心も太そうなその社長は、「何もかもなくすかもしれないという恐怖で眠れないなんてことはなかっただろ」と言った。起業するということは、ある意味でそういうことなんだと思う。そのときから起業家に対してさらに敬意の念を抱くことになったことをこの本を読みながら思い出した。
起業にしても多くの人の目に入るのは、成功して残った事例だけだが、その他にうまくいかなかったがゆえに目にも入っていない多くの挑戦がある。そして挑戦のさなかにいるときには、自分がどちらの側にいるのか、わからない長いときを過ごすのだろう。
CEOの心得として著者は、解雇や降格の心得、人・製品・利益の順に大切にするという物事の守るべき優先順位、社員教育の重要性、社内政治や野心の制御、肩書きや昇進、コミュニケーションの重要性、スケーリングの準備、CEOの責任と評価、売却の判断、などたくさんの実際的で示唆に富む言葉が並ぶ。そういった中で第一に感じたことは、不確実な世界の中で大切なことは結局は誠実さであるのではということだ。ドラッカーが、マネージャーに求める資質として「真摯さ(Integrity)」を求めたが、そのことにまさに呼応していると言えるのではないかと。
原題は”HARD THINGS ABOUT HARD THINGS”。困難についての困難。よいCEOになるには、CEOになるしかないと言うけれども、この本はCEOでなくとも勉強になるところあると思うよ。苦闘する人におすすめ。
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ベンチャーのCEOを経験した著者が、様々な困難を経験した実体験をもとに書いた教訓本。解雇や資金調達などCEO視点の話も多かったが、リーダーシップ論やコミュニケーションなど一般でも為になる話も盛り込まれており面白かった。偉大なCEOは一言で言うと総じて逃げ出さなかったというのがそのものなんだと思った。考えられないプレッシャーと戦いながらよい時も苦難も両方に対応できる人は希少な存在。ベンチャーを立ち上げる気はないが面白かった。
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シリコンバレーのVCstであるベン・ホロウィッツによる自伝的経営本。CEOが取るべき行動や選択の際のノウハウが列挙されているが、その内容は実に生々しく、相当エグい。何しろ筆者が最も伝えたいメッセージは、「私はこの言葉こそ起業家にとって、最も役立つ教えだと思う。苦闘を愛せ。今、私は日々起業家と接しているが、一番伝えたいのはこの教えだ。」である。序文を寄せた小澤さんが「読みながら何度も吐き気と悪寒を感じた」と告白しているが、経験者であればそうなるだろう。この本で取り上げられている課題は資金であれ人事であれ、最終的には「人間」に依存する問題だからだ(個人的には銀行員時代を思い出す)。蛇足ながら、この本が人間(CEO)にフォーカスしたものだとすると、「トライブ」は組織にフォーカスしたものであり、両方読むことをお勧めします。
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短期間でシリコンバレーを代表するベンチャー・キャピタルの地位を確立したAndreessen Horowitz http://a16z.com/ の共同創業者であり、ネットスケープ社以来アンドリーセンの盟友であるベン・ホロウィッツ氏の、スタートアップ企業を度重なる危機を乗り越えてEXITさせた半生記と「戦時(=会社の存亡に関わる危機が差し迫った状態)のCEO」としての教訓を述べたもの。
この手の(スタートアップ企業の)戦時を語った生々しい経営書としては、氏が述べている様に 『インテル戦略転換』 http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%AB%E6%88%A6%E7%95%A5%E8%BB%A2%E6%8F%9B-%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%83%BBS-%E3%82%B0%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%96/dp/4883043339 位しか中々類書が無く(大企業のターン・アラウンドでは⇒『巨象も踊る』http://www.amazon.co.jp/%E5%B7%A8%E8%B1%A1%E3%82%82%E8%B8%8A%E3%82%8B-%E3%83%AB%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%BBV%E3%83%BB%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%BC/dp/4532310237/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1430643359&sr=1-1&keywords=%E3%82%AC%E3%83%BC%E3%82%B9%E3%83%8A%E3%83%BC )、貴重であり非常に参考になる。翻訳も読み易い。
尚、氏の祖父母は、アメリカ共産党の正規党員であり、本書の最終ページで以下の様に述べている。
「私のマルクス主義的生い立ちが最も資本主義的な仕事のために役立った。私の祖父の墓石には、「人生は苦闘だ」というマルクスの言葉が引用してある。私はこの言葉こそ起業家にとって、最も役立つ教えだと思う。苦闘を愛せ。今、私は日々起業家と接しているが、一番伝えたいのはこの教えだ。」
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組織論、評価方法、採用基準だけでなく、より具体的な問題発生時の対処法が示されている。経営のマニュアルと言える。
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経営者からみた、困難の辞典。
ビジネス書はだいたい、理想論ばかりが並ぶ。
本書は一線をかくす。
具体的すぎて、頭ん中がぐるぐるする。
私は平社員のガキンチョ。
経営者の苦悩の種類を知る、という意味で
すごく有意義。
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昔懐かしいネットスケープナビゲーター開発者が書いた本。経営術だが、正直で実践的な内容をblogに書いていたのを本にしたようだ。
彼は今成功しているファンドマネージャーとして認識されているが、たとえ、現在が成功した経営者であっても、その過程は平坦ではなく、絶望し、破滅の一歩縁まで足をかけている状態を経験しているようだ。
筆者はその時の心情を赤裸々に書くと同時に、極めて実践的なアドバイスを限界を示しつつ読者に提示する。
私にとっては、これまでやってきた仲間である親友を切る、袂を分かつ、そのやり方が大いに参考になった。
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2015年56冊目。
「吐き気と悪寒。本書を読みながら、何度も何度も感じた症状である。」
と日本語版序文にあるように、著者のベンチャー経営における壮絶な苦難の数々が生々しく綴られている。
中盤からは、その経験を踏まえての具体的なアドバイス(人を解雇する方法、肩書きや昇進の与え方、会社を売却するか否かの判断など)が記される。
現実的でとてもシビアな話が多く、組織のトップが直面し続ける苦難を覚悟させられる1冊だった。
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ネットスケープを経て、グーグルやアマゾンに先駆けてクラウドビジネスを立ち上げ、艱難辛苦を乗り越え見事にEXITして投資家になった著者が、前半ではその艱難辛苦を克明に描き、後半ではそこから導かれたCEOの教訓を説く。通常の成功譚や指南書では得られないリアルなCEOの越えるべき厳しい壁を具体的に提示されているのがとても良かった。
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ベンホロウィッツが自伝的にこれまでの経営の中でぶつかった困難をものすごく具体的に語る。
経営指南書、経営学の本はあれど、このように具体的に書かれた本は他にあるのだろうな。経営者、独立したい方はとても勉強になるし、困った時に度々見返すのではないかと思う。僕は独立したいとか思わないが、それでも経営側の気持ちが分かる、ためになる本だった。とはえいベンチャーのマネージャークラスでも、人材採用やマネジメントの話が書かれているので、具体的にためになる話は結構多い。
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本書は、ハードで読み応えがある経営書です。
前半では著者がCEO(最高経営責任者)時代に経験した様々な困難、危機的状況が具体的に語られ、後半では著者の経験から培われた困難に対する対処法が記載されています。
著者は、CEOとして、日々進歩するIT業界で世界初のブラウザの販売や、Googleなどに先駆けてクラウドサービスを手がけました。
現在は、会社を売却し投資家として活動しています。
CEOによる一般的な経営書は「私は経営者として、いかに成功したか」という、シンデレラ・ストーリーが語られることが多いですが、本書では通常の経営書では語られることがない下記のような最悪の状況・困難(ハード・シングス)がリアルに語られます。
・会社が軌道に乗った直後にバブルが破裂し、顧客が次々と倒産。資金があと3ヶ月で底を尽きることが判明する。
・IPO(新規上場)で資金を得ようとするが、投資家への発表時に妻が病気で倒れる。
・株価の急落と上場廃止の危機。
・全売上の9割を依存している相手から、突如契約解除を通告される。
・3度にわたる社員の解雇。
・信頼していた会計事務所に買収交渉の土壇場で裏切られる。
著者は最終的に困難を切り抜け続けて、1700億円超で会社を売却するという大成功を収めています。
本書では、CEOとしてのあり方、会社の売却の仕方、企業文化の育て方、幹部の解雇の仕方、教育制度の作成の仕方、フィードバックの行い方など、CEOとして最悪の状況・困難で培われた実践的なノウハウ・アドバイスが満載です。
著者の様々な困難から培われた教訓は、CEOでなくとも学ぶことは多いです。
わたしたちも、働く上で悩みやトラブルはありますが、この著者ほどの最悪の状況に追い込まれることはないと考えると、自分の悩みは小さいものだと気が楽になります。
困難に立ち向かう勇気が得られ、耐え抜く心が鍛えられる一冊です。
著者はCEOとして自身の人生を、哲学者カール・マルクスの言葉を引用して表しています。
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人生は苦闘だ。
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ネットスケープの創業に始まり、ラウドクラウド、オプスウェアとCEOを勤めた著者の自伝的な経営指南書。特に困難な状況( ITバブル崩壊、顧客企業の多くが倒産、資金ショート寸前、最大顧客からの契約解除などなど)をどう切り抜けてきたかを自身の経験を題材に展開。具体的で読んでて実感がわく。