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前半2/3ほどはエンターテイメント小説かと思っていたが、後半からはなぜゾンビになるか、ならない奴がいるかについてが書かれる。題名にある「コンテクスト」の意味が徐々にわかってくる。
コンテクスト=文脈、空気、流れ。群衆の一部に組み込まれる事の楽さ。正解はなんなのか、周りの人はどのような考えなのかをひどく気にする。思考の画一化。思考しないことへの警鐘。
また、登場人物の多くは作家・作家志望であり、小説は過去の文脈に沿うものばかりで、革新的なことはもう出す手がないようだという。
ゾンビが迫り来る姿は、内田百間の件を思い起こさせた。
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哲学的ゾンビを本当にゾンビ化してみました、みたいな本。主人公格か複数いるため、読みやすい(おそらく書きやすい?)が、臨場感がなく、わたしの好みではないです。内容に則って、あえて他の人のレビューは読まないで書いてみました
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羽田さん悩みながらこの本書いたのかな。
新しいものを生み出すこと、人と違うということを恐れてはいけない。
ゾンビになる方が楽で、でもそんな生き方が幸せなのか問いかけられてる。
私もゾンビ化している面あるから自分に喝をいれねば。
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「コンテクスト・オブ・ザ・デッド」
あなた、まだ、自分が生きていると思っているんですか?
路線バスZ、始まりましたね。キャラは相変わらず立ってましたが、声も相変わらず聞き取りずらかったですが、頑張っておられました。番組レギュラー開始に合わせたような成功者Kの発売、さすがです。そんな羽田圭介によるゾンビ柄小説です。
ゾンビと言えばパニック。xxxオブ・ザ・デッドに連なるタイトルに加え、青白い顔色にがっつりしたクマのある女子高生?の表紙、おまけに血をイメージしたかのようなレッドとなると余計そうかなと。でも、違いました。先入観は怖いですね。
ゾンビは急に発生し、ふらふら歩き噛み付こうとする。意思はない模様。噛まれたらゾンビになる等ここら辺は、ゾンビ映画の通り。でも、パニック度はそこまで高くない。中盤以降から人間対ゾンビの戦いが高まりますが、それまでは「ああ。最近ゾンビいますよね」程度に落ち着いてます。噛み付こうとするけどふらふらしてるから避けれるなら大して気にしない人々、なんでや?となる設定です。なので、パニック系を期待して読むと萎える可能性があります。
また、どんなにゾンビが出ようとも、物語の中心は、物書きのあれこれなので、パニック度は更に薄まってる印象です。
編集者の須賀が、作家Kに心の中で言い放つ「あんた、まだ生きているつもりなのか?」は、随分売れてないのに自分の立ち位置を理解できず、まだ文壇の世界で生きている(しかも受賞当時を忘れられず)と思っていることへの痛烈な皮肉は、強烈です。この須賀、作家Kを始め、久しぶりに小説を発表した美人作家の桃咲カヲル、家族で北へ逃げる小説家志望の南雲晶と物書きが登場人物に多く、各々の視点から文壇が語られます。なので、ゾンビ小説よりは、文学チック。
面白いのは、過去の文豪がゾンビとして復活することやワナビーゾンビという物書きだったひとが噛まれてないのにゾンビになるという設定。ゾンビに噛まれてしまった女子高生の希は、何故か噛めばゾンビを治せる、ただ確実性はなく失敗したらゾンビは爆死というのも普通のゾンビ設定ではないですよね。ここらへんが羽田圭介のオリジナリティなのでしょうか。ゾンビによって復活するKや最後は、受賞書評で締める辺りもパニック系ではない形で書きたかったのが伝わりました。ただ、ボリュームは400Pと若干間延び感があり、もう少しコンパクトにした方がテンポも出て良かったのではと感じました。
という訳でパニックを期待したら肩透かしくらう可能性大と思います。だから、この世界で生き残れるのは誰なのか!とかの紹介はやめたほうが良い気がしますw。あくまで中身は、物書きの世界に対するあれこれ(皮肉もあり)ですから。
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ゾンビ小説x文芸・時流評論、といったところか。
ゾンビものが特に好きなわけでも詳しいわけでもないのだが、新聞書評で興味を引かれた。
突然、街に理由もわからずゾンビが出現する。なぜ現れるのか、どう対処すればよいのか、不条理世界が展開する中、文学界に身を置く人々を中心にした群像劇。
時におかしく、時にぞわりと、エンタメ要素も含みながら時勢を斬る鋭さもある。
パニック小説でもありディストピアものとしても読める。
コンテクストとは文脈のことである。
ゾンビものというのは、ある種、お約束のパターンがある。青白い顔をしてゆっくりと歩く。ゾンビに噛まれたらやはりゾンビになる。人としての感情は持たない。人間はただの餌になり、生のままむさぼり喰われる。時には走るゾンビが現れたり、動物のゾンビが現れたり、バリエーションもある。
そんなゾンビだが、主体性をもって行動しているというよりも、同じパターンにはまり込んで、「何者かに操られ」ているようにも見える。
だが、それはゾンビだけのことなのか? ブンガクだって、誰も彼も今までに誰かが書いてきたものに多少手を加え、あたかも新しいものを作り出していると思い込んでいるだけなのではないか? 作家然とした顔をしていても、実はもう「終わって」いる作家が多いのではないか?
さらには、それは文学界だけのことなのか? ある程度、専門性を追求すると、それはその分野内のお決まりを追っているだけで、決まった枠組みの中で右往左往しているだけなのではないか。真の創造性はそこにあるのか?
すなわち、多くの人が、「文脈」に乗って時代を漂っているだけなのではないか、ならばそれはゾンビとどれほど違うのか、というのが本作のキモである。
鋭さはあるが俗物性もある、著者を思わせるKという作家。古典を読み込み、納得のいく作品のみを書こうとしている寡作の桃咲カヲル。片田舎で作家を夢見る南雲晶。セクハラで女性編集者に嫌われる往年の大作家。作家たちの機嫌を取りつつ、自分のしていることに疑問を抱く若い編集者。著者も含め、実在の人物のカリカチュアライズは笑わせつつも相当のブラックさだ。
こうした人々に加え、金科玉条のごとく「区民の皆様のため」と奉仕を強いられる区役所職員、特殊能力を秘めた女子高生、深夜ラジオのカリスマ・パーソナリティもストーリーに絡む。
文脈にしたがうということは、空気を読むことにもつながる。お約束から外れたものを排除する先には、あるいはファシズムが控えているかもしれない。
危機的状況の中で、草食動物が群れるように、人々は「同じ」であろうとするのだが、それは果たして最善の道なのか。
著者を一番反映していると思われる「K」は、自身の名前から取っているのだろうが、どこか、カフカが使った「K」も思い出させる。
不条理に見えて、実は現実からそう遠くない世界がここでは描かれているのかもしれない。
ただ、全体としてのまとまりは非常によいとは思えなかった。群像劇だが、もう少し登場人物を絞ってもよかったようにも思う。料理としての味わいがアンバラン���とまではいかないが、よくこなれている部分と生煮えの部分が混在しているような印象だ。ただ意外に「生煮え」の部分にこそ、この著者の着眼点の鋭さが潜んでいるようにも思われ、何となく意識に「引っかかり」続ける著者のような気がする。
この著者の作品はまた読むことがあるかもしれない。
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文脈のゾンビ。
ゾンビとはなんだろう。言葉とはなんだろう。物語とは何だろう。どんどんわからなくなっていく。
たぶん、私は、この世界にそこまで愛がなかったのだろうなぁと思う。
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ゾンビの物語であると同時に文芸界の物語でもある。
ウォーキングデッド大好きで見ているのですが、昔からあるゾンビもののお約束、面白かったです。
でも、この世界はなんだかちょっとのんびりしていて、あぁ確かに日本だとこんな感じになるのかも…と思いました。
ものすごく恐ろしいことだとは思うけれど、まあ動き遅いし…と傍観する人々。
なんとなく他人事な感じ。などなど。
噛まれてもすぐには発症しない人。
ゾンビにならなかった人。
ゾンビになってしまったけれど、人間に戻った人。
あなたは、生きているのか?と問われている感じがした。
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いい。
読書ってホント楽しいって再認識させてくれる。
「あたしの想像力たるや!」
と良い気持にさせてくれる濃い筆致・・・ゾンビ映画を観た事がないのにさ。
そして同時に、
自分を省みたり、
世の中を憂いたり、
「羽田くん、超イラついてんの?」
「後で怒られちゃうんじゃないの?」
「んもう、やっぱり面白い。」
などと、ストーリー以外にも思考がぐるぐると忙しい。
楽しい読書だったなー。
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同時期に芥川賞を受賞した本職芸人又吉クンよりやたらとテレビに出まくり最近はバス旅のレギュラーにもなってしまった本職小説家羽田圭介、奴はいったいどこに行こうとしているのか?と思ってたらちゃんと本も書いていた。
で本作、目立ちがり屋らしいド派手な装丁でモデルにアイドルまで起用して気合と勢いは十二分にも伝わってくる反面内容はセオリー通りのお約束はキチッと守ったゾンビ小説でその辺りには彼のマジメな一面も見え隠れする。
でもやっぱり長過ぎる、狙いも言いたいこともわかるのだがそれを伝えるのにこの長さは必要か?
小説の文脈もバス旅の経路もコンパクトさは結構大事だぞ
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図書館で借りた本。
ゾンビの話。と知らずに借りてしまって、ゾンビ苦手なので苦労しました。登場人物が多く、場面も多く変わるので、ついていくのに苦労し、大変読み終わるのに時間がかかりました。結局、ちゃんと理解しないまま、読了。苦手ジャンルには手を出してはいけないということがよくわかりました。
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とーっても面白かったです。
でも、他の方のレビューをみたら(やっぱりみてしまった)必ずしも評価は高くなかったのでびっくりしました。
ゾンビ退治のエンタメ小説ではないためか、描写が怖くなくて、それがまたよかったです。スプラッター映画とか超苦手なので。。表紙はコワすぎですけどね。
ソンビが登場する奇想天外なオープニングなのに、いつもどおり著者の主題がストレートに伝わり、流石だと思いました。
空気を読めない人が批判される世間の風潮や、内輪にしか通じないコミュニケーションで盛り上がる様を明確に批判し、自分で考えることを放棄し人の意見に堂々と乗っかることの危うさを生きる屍(しかばね)=ゾンビとして表現する皮肉な面白さは格別です。
私自身ハッとすることが多くありました。
一番に頭をよぎったのが昨今の北朝鮮問題。ミサイル発射かも、核かも、などの情報があるのに、周りの空気を読み、思考を停止し、普通に日常を送り続ける・・・これってコワイなと。
でも、自分で考え(パニックを引き起こすような)声を上げるのは空気が読めない人のすることですから、誰もしないという・・・
不安なのに、解決のための思考を停止させ、他人に委ねるのって思っている以上にまずいことだという気がしてきました。
思考の多様性が確保されないと種の存続の危険に繋がるという、その警笛を鳴らした挑発的な作品だと思います。
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「何故にゾンビ??」と思いながら読み始めて、途中「からなるほどなぁ」と。映画でよくあるドタバタじゃなかった。読み終わった今、すごく考えてる。自分の事を。わたし、そっち側だわ…
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中盤くらいまではとても楽しめた。もしかしたら伊藤計劃の「屍者の帝国」っていうのはこういう物語だったんじゃないのか?とまで思ったが、終盤にいくにつれて一般論が文学論に収束していく様が読んでいてつらかった。また、付和雷同、画一的、既視感、の範囲が広がりすぎて、そこかしこで、それを言ったら生きている人間は全員がゾンビにならなきゃダメでしょ、ゾンビにならなかった人はその範疇にいないの?という素朴な疑問が解消できなかった。
ただ、内容自体はとても面白く、エンタメ的なストーリー運びにも引き込まれた。他の作品も読んでみたくなった。
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【概略】
変質暴動者=ゾンビが出現する世界の中、日本国内でゾンビの増加、人間への影響が増す中、編集者・デビュー10年目の売れない作家、寡作の美人作家、小説家志望の若者、福祉事務所につとめるケースワーカー、ゾンビに噛まれた女子高生、それぞれがそれぞれの立ち位置で、それぞれの文脈を背負い、ゾンビから逃げ、時に立ち向かい、時に共存する。どのようにしてゾンビが生まれ爆増したのか?この世の食物連鎖の頂点は取って代わるのか、はたまた・・・。芥川賞受賞作家によるゾンビ世界を下敷きにした日本文化の風刺作。
2019年11月20日 読了
【書評】※若干のネタバレ含む
自分は、無類のゾンビ好きである(但し、ウォーキングデッドを除く)。そういったこともあり、本屋さんでぶらついていてタイトルに目がいってしまい、ジャケ買いならぬタイトル買いしてしまった本作。羽田圭介さんの作品を読むのは、実は本作品がはじめて。
無類のゾンビ好き、であるからして、「ゾンビとはすべからく〇〇である」「最近のゾンビは、〇〇だ」などいった文脈は、わかる部類に入る。しかもタイトルが「コンテクスト・『オブ・ザ・デッド』」というタイトル・・・ゾンビが登場する。読みながら脳内では、勝手にゾンビに関するストーリー・フローチャートが構築されて、それに沿って文章を進めていったんだよね。それが第一部。
ところが実際に、南雲晶という登場人物が、元AV女優に向けて「今、自分が見ているモノから判断をする(=過去の文脈に頼らない)」といったセリフを自身に投げかけたり、女子高生高崎希という登場人物が同級生が企画しているデモに加わらない決断をするあたりから「うん?おかしいぞ?普通のゾンビものとは違うぞ?」という違和感が。そりゃそうなのだけどね、ただのゾンビものを書くこと自体、羽田圭介さんじゃないだろうからね。
第二部の中盤あたりからやっと「『コンテクスト』・オブ・ザ・デッド」の意味が色濃く出てくる。自分自身もそうだけど、最近はストーリーを自身のコンテンツにくっつける意識が本当に流行していて・・・自分自身も、その意見に大いに賛成で、なんとかしてストーリーを作ろうと思案している。このストーリーはコンテクスト(文脈)と読み替えることも可能なのだよね。「いかに内輪ウケを増やすか?」という斜に構えた書き方にもできる。このコンテクスト=文脈に、この作品は違った角度で切り込んでいるのだよね。その下敷きとして文脈が積み上がっている「ゾンビ」というコンテンツを利用したというね。ゾンビって、どんな他ホラーキャラも肩を並べることができないぐらい多種多様な分派がされていて、綿々と、脈々と(まさしく「脈」!)、過去から現在まで「ゾンビとは?」という川ができてるからね。
そこに、おそらくは羽田圭介さんご自身が色々と抱えているであろう出版業界・文壇・・・いわゆる物書き界隈の沢山の文脈、そして、日本人の文脈への依存・・・そもそもハイコンテクストである日本語という言語の特質・・・そういったものが加味されて、この作品に昇華されたのだろうねぇ。
「ストーリー(文脈と読み替えても��い、ここでは)」を重視してきた自分にとっては、少しショックだったし、基本に立ち返らなくては・・・と、身につまされた思い、あったね、正直(笑)もう少し正確に自分の感情を描写するなら、クリエイターの部分として身につまされ、そしてプロモーターの部分としては相反する感覚だった。
ただこの作品、これこそが「ゾンビ」という文脈を下敷きにしているから読者の反応は大きく分かれるだろうなぁと思った。純粋に「おぉ、羽田圭介がゾンビものを書いたか!」なんて感じで「ゾンビ物語」を楽しみたい・・・という文脈を期待した読者にとってはマイナスな展開だろうなぁ。逆に言語や文化の違いを楽しめるような読者からすると、「おぉ、そうきたか」というニヤリとした感覚、湧き上がると思う。読み手を選ぶ作品だよね。自分は両方とも楽しめる立場だったからよかったよ。
最後に本作品で文脈に苦しむクリエイターの箇所、それを全て「トーストマスターズクラブのコンテストスピーチ」と置き換えて読むと、とても興味深い印象になったよ。傾向と対策の向こう側に・・・どうやっていけるか?そんなことを考えるキッカケになったよ。