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猫を飼っている人には堪らないと思う。
堪らない、喜びと痛み。
胸の中にいつも居る。いつまでも居る。
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そうですね、猫を愛するというか、犬でもことりでも同じことです。命の終わりはかならずやってきます。悲しみは忘れることができないし、わすれてはいけない。
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悲しい過去を抱えた再婚同士の未知男と彩乃は、出会ってすぐに結婚を決め渡米。子どもを持たない代わりに猫を育てようと話し合い“マキシモ”と名づけた雄猫との新しい生活が始まった。
タイトルは何かの比喩かなと思ったら、そのまんまであった。マキシモを慈しみ育てることで夫婦の絆を深めていく二人。すべてがマキシモ中心の生活で、そのエピソードひとつひとつとってみれば実に他愛もないのだが、猫好きにしたら身もだえして頷きたくなるような、日々の記録だ。
これはこれで完結した素敵な世界だとは思う。しかし作者の個人的思いが強くストレートに出過ぎていて、ちょっと鼻白んでしまった部分もある。
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男と女、そして一匹の猫の、悲しくも心温まるお話しです。
お見合いをして、互いに一目惚れ、心惹かれあい、すぐに結婚した二人。どちらにも離婚歴があり、とくに夫の方は、孤児として育った、不幸な生立ちをもつ日系アメリカ人です。いまは弁護士として、それなりに豊かな暮らしをしていますが、胸の中には誰にも埋められない空洞があります。また、妻は事情があって、子供を産むことができません。これまで生きてきて、けっして無傷ではいられなかった二人でした。
新婚早々アメリカで暮らし始めた二人は、猫を飼い始めます。ペットショップで手に入れたのではなく、捨て猫を保護する施設から貰い受けてきた仔猫でした。運よく新しい飼い主が決まった猫は良いですが、そうでない猫は、一定期間保護された後処分されてしまいます。物語の中では、常に男女の考え方の違い、アメリカ人と日本人の考え方の違いが対比されます。互いに愛し合い、支えあいながら生きる二人にとって、猫は掛け替えのない存在でした。けれど、二人は言葉にはしないまでも、仔猫を飼い始めた当初から、いつかこの愛しい存在と別れなければならない日が必ずやって来ることを、常に心のどこかで意識していました。このあたりのことは、ペットを飼ったことのある人には、よ~く理解できることだと思います。
これは単なるペットロスのお話ではありません。幸せは分かちあえばさらに大きなものになりますが、悲しみはそうではありません。悲しみは分かちあい、理解しあえるものではないのです。それは、それぞれが抱え込み、背負わなければならない個人の問題だからです。愛とは何か?結婚とは何か?理解とは?ペットと暮らすとはどういうことか?ということを、深~く考えさせられる一冊でした。
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アメリカで暮らそうとする主人公の彩乃と未知男。子どもが生めないので代わりに動物を飼おうという。愛護施設での運命的な出会い、そして家族「3人」での生活。性格も育ちも異なる二人の人間に「猫」が与える影響は。
これまでの小手鞠作品の切ない破局・離別ストーリーの流れを汲みつつ、人間から「猫」に主体にして組み立てられた二人の夫婦生活は、とても羨ましく書かれている。
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号泣しました。読まなければよかった。
喪失がどんな感情をもたらすのか。想像すらしたくなかった。
どんなに愛し合っていても悲しみは共有できない。1人で抱えていくしかない、ということ。
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この作家の表現はいつも関心させられる。表現力が豊さすぎる。
結婚と猫。猫の一生が家庭での幸福につながっている、単純
なストーリーなのに。 小手鞠に脱帽である。
《本文より》
心地よく私の体に染み通ってくるような、関西の言葉を話す人だった。
未知男は泣いていた。その泣き声が山を越え海を越え、大陸を越えて、わたしの耳まで響いてきた。
その瞬間、猫の魂が体から抜けて、どこかに飛んでいくのがわかった。
それは、助走なしでダイニングテーブルの上に跳ね上がっていた、若か りし頃の跳躍を思わせる軽やかな旅立ちだった。
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小手鞠るいさんの
恋愛小説を読むのは3回目ですが
私はどれもかなり好きです。
こんな愛の形もいいな、
こんな夫婦になりたいな、
って思えました。
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若夫婦が猫を飼い、とても幸せに暮らしていたが‥?
愛あふれる切ない物語。
彩乃と未知男は見合いで出会って一目惚れ。
すぐに結婚して北米にわたります。
どちらもバツイチで、抱えているものもありました。
理想的な相手と、きれいな田舎町で暮らすことに。
まるで少女の夢見た物語のように、甘く可愛らしい展開。
保護施設で見つけた長毛のうつくしい雄猫マキシモ。
猫のことで毎日笑い、夢中になり、猫を中心にすっぽりと愛に包まれた暮らしが積み重なってゆきます。
そして16年。
猫の病気を見守る日々から、喪失へ。
これまでの幸福が暗転したかのように、苦しむことになります。
愛猫との暮らしぶりと、その後の嘆きがあまりにリアル。
設定は私小説というわけではないのでしょうが。
猫を見送った辛さを、こういう形で描かずには、乗り越えられなかったのかも。
夫婦でも悲しみ方にも違いがあり、慰め合おうにも当初は互いの顔を見ても悲しみが増すばかり。
やがて、二人の胸の中に同じ形をした空洞があると思うに至ります。
やっと少しずつ、気持ちの整理がつきかけたところまで描かれています。
まったく身動きの取れないようだったのが、いつしかさらさらと変化していく兆し。
そのことを救いに。
経験があるので、気持ちはわかりすぎるほどでした。
でもね‥出会えた喜びは、別れの辛さよりもきっと強いと思うんですよ。
悲しみは完全に消えることはないけれど、苦しみはだんだん薄れていってくれます。
そして、愛と幸せな思い出は、いつまでも続きます。
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なんとなく表紙が気になって手にしてみる。
買い猫が死んじゃうお話なのね・・・と思いつつ、いったん手放すも、猫好きの本読み友達の顔が浮かんで、たまにはこういうのも読んでみますか、と購入w
猫のかたちの幸せは、猫のかたちの空洞に・・・。
愛し合っている二人は、喜びは何倍にもできるけど、喪失は半減させることができない。
それぞれが猫のかたちの空洞をかかえ、それはそれぞれの方法で埋めていくしかないらしい。
でも、その猫のかたちの空洞の中に猫はいる。
埋めるのでなく、お互いがそれぞれの猫のかたちを、悲しいものとしてでなく、愛おしむことができるようになったとき、また三人で一緒に暮らせるようになる・・・きっと。
そんな日が早く来るといいねと、そっと願いたくなる物語。
未知男みたいなダンナさん、なんて理想的な!と思いながら読んでいたんだけど、あまりに猫を愛しすぎてて、ラストでは、やっぱこの人の妻はムリだな、と思うw
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結婚した2人が猫を家族に迎え、猫を「愛し合う」話。
猫を通じて2人の愛が感じられ、素敵なお話だった。
マキシモは幸せな生涯を送った気がする。
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泣けて仕方がない...猫と暮らしている(あるいは過去暮らしていた)読者はみんな同じはず。
作中の猫の仕草や夫婦の会話など共感しきり。猫が来てから我が家の中心は間違いなく猫。子供のような存在。猫を置いて旅行に出かけるシーンの心理的な描写などとてもリアルで、実体験に基づいているんだろうな。
その日を想像するだけで胸が締め付けられるけど、精一杯可愛がってのびのびと過ごしてもらいたいと思った。