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謎解きに徹する静かな臨床探偵のあるかないかみたいな影の薄さがいい。
ところで、こちらは2014年の「ミステリーズ!」新人賞受賞作品が含まれている短編集なのですが、某「このミス」受賞作とトリックがまるかぶりなのはどうしたことでしょう。
同じ作者が名前を変えたのかと、思わず調べてしまいましたが経歴等から別の方のようで、どちらもドラマ化されたり、ベストセラーになったりの話題作なのに、だれも言及しないのはもしかしてふれてはいけないタブーなのか、それともこの程度の丸かぶりはOKよ!なのか、どなたかこっそり教えてください。
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医療ミステリの短編集。
臨床探偵・西丸が担当医が気づかなかった病気を明らかにしていく。医学の知識がそれほどなくても大丈夫だった。診断学とはまさにミステリ。
ベストは「消えた脳病変」。
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“臨床探偵”西丸豊の連作短編。様々な事象から病名を推理するというミステリで、天久鷹央シリーズと似た印象を受けるが、こちらの方がずっと硬派。医師の方は、自分の持つ知識と経験を頼りに、場合によっては短時間で診断をくだしているのだと理解しているが、それを医師側目線で垣間見た気分になった。続編があればまた読みたい。
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SL 2022.1.25-2022.1.26
臨床医師 西丸を探偵役にした連作ミステリ。
サッと読めて面白かったけど、登場人物の描き方がアッサリし過ぎてイメージが掴みにくいのが残念だった。
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★「私は探偵などではありませんよ」(中略)「ただの医者です」p.87
・医療が題材であることに意味がある感じです。最低限の医療知識は与えられていのでそれを前提に謎を解くパズル系ミステリというとこでしょうか。中にはもともと多少の医学知識を持ってないと正解にたどり着けないのもあると思いますがまあ、瑕疵にはなってないレベルでしょう。原因(病名)がわからなくてもそのポイントがどこにあるかは気づけるはず(なかなか難しいけど)。
・ストーリーはほとんどなく、謎(の症状)が提示された後医師が単独であるいは複数でそれを解こうとするが完全ではなく最後に名探偵役が、登場人物の言葉を借りれば「推理」ではなく「診断」する。
・海堂尊さんのようにキャラが立ちまぐってラノベっぽくなってるものとはまた異なります。あっちは単純に楽しめ、こちらは水平思考的で、解けたときのカタルシスがあります。
・このお話はぼくの好みに合っていました。まったく知らない著者でしたが思わぬ拾い物という感じです。
・貧血で倒れた元看護師の伊原津尚也には自己瀉血を常習していた過去があったのでその再発を疑った旧知の医師江田薫は・・・。自己瀉血なんて初めて知りました。真相のアレも初めて知りました。
・どつかれて倒れた少年は直近の記憶を失っており事件の証言をした二人のうちの一人はレビー小体型認知症であり強力な幻視を見ていたかもしれなかったが・・・。これは謎はすぐ解けました。
・脳で症状の悪化(昏睡)と病変の消滅が同時に起こった原因は? しかも二つの事象には関連があった。なるほど~のオチでした。薄々疑問に感じていた部分もあったのに発想がある種の境界線を越えられなかった。
・呼吸困難の男性患者だが検査での異常はまったく見つからず原因が不明。男性はもともと事故で四肢麻痺になっておりそれとの因果関係も不明。
・双極性障害があり胃がんの末期でもある妻の響子を殺そうとする夫の達也と殺されようとする妻。これはいわば倒叙型ですね。夫婦の絆を前に西丸は・・・
■簡単なメモ■
【一行目】「これを見て。ここまで治療を続けてきたけれど、あなたの検査結果は改善していない」
【医学部の試験】六十点が合格ラインとされているらしい。
【石橋鶴子/いしばし・つるこ】外来看護師長。病院の権力者で海千山千。
【伊原津尚也/いばらづ・なおや】貧血患者。なにか隠しているようだ。元看護師。
【宇津美清泰/うつみ・きよやす】患者。主訴は呼吸困難。かつての事故で四肢麻痺で動けなくなっている。
【エコノミークラス症候群】正式名称「肺血栓塞栓症」。同じ姿勢を強いられることが続いたりするとなったりする。
【江田薫/えだ・かおる】救急科の女性医師。
【大熊輝義/おおくま・てるよし】研修医。
【オンディーヌの呪い】水の精霊。夫に、眠ったら息が止まってしまう呪いをかけた。転じて「中枢性肺胞低換気症候群」の異名となる。
【カプセル内視鏡】高価な検査。なかなか許可が降りないようだ。
【変わる】西丸《確かに人間、そう簡単に変われはしません。ですが、その可��性ぐらいは信じてもいいのではないでしょうか。》p.42
【響子】死のうとしている女。達也の妻。ヒマがあったら折り紙で鶴を折っている。胃がんの末期であり双極性障害も患っている。
【ケタミン】麻酔薬。双極性障害の治療に効果的とされているがまだ認可は降りていない。獣医の世界では日常的に使われている。
【佐渡隆/さど・たかし】救急科の男性医師。三十代後半。議論や検証好きでお節介だが人望はある。
【榊/さかき】脳外科医。大学で五年次の脳外科臨床講義をしている初老の講師。ファッションが妙にちぐはぐな
【自己瀉血者】注射器を使い自分で血を抜く人。気持ちよかったり仮病として行うらしい。
【消去法】西丸《臨床診断を行う時、私たちは消去法で疾患を断定することはできません。なぜなら我々の持っている医学知識は完全ではないからです。全ての条件が判っている前提でなければ、消去法は有効ではない。》p.175
【達也】妻の響子を殺そうとしている男。獣医のようだ。
【辻村勇人/つじむら・ゆうと】医学部の学生(三矢洋子が学生の頃同期だったようだ)。成績優秀。
【二階堂茂/にかいどう・しげる】医学部の学生(三矢洋子が学生の頃同期だったようだ)。サッカー部。
【西丸豊/にしまる・ゆたか】男性医師。四十歳前後。専門は診断学。外見は平凡だが「臨床探偵」の異名を持つ診断の天才。柳都医科大学病院に籍を置くようになって十五年。根拠なく他者の話を否定したりはしない。
【ハカン】医学生(三矢洋子が学生の頃同期だったようだ)。トルコからの留学生。
【土師公平/はじ・こうへい】救急医。
【広尾/ひろお】四十代なかばのベテラン救急医。
【普久原/ふくはら】呼吸器内科医。禿頭で四十代なかば。
【三矢洋子/みつや・ようこ】救命センターに欠かせない戦力。西丸豊とは大学で同期か一年ほど後輩だったようだ。
【柳都医科大学病院/りゅうといかだいがくびょういん】舞台となる病院。
【レビー小体型認知症】かなりくっきり見える幻視がある。和田なんかはほとんど知らなかったようで医師だってなんでも知ってるわけやないんやなあと思いました。ぼくらでも多少の知識はあるのに。
【和田雄一/わだ・ゆういち】救急医65。