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投稿者:みやび - この投稿者のレビュー一覧を見る
伊藤くんという一見魅力的な人物が複数の女の視点で描かれています。
醜く肥大したエゴを、ことさら醜く描いた作品。とあるイベントで登壇された柚木さんに興味を持って読んでみたが、最初に読んだのがこれというのは失敗したなあ。この人の作品はもう読まないかと思うくらい、気持ち悪い作品でした。
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最初は面白くなくて。
Cくらいからなんとなく乗ってきて。
最後にはくたびれました。
なーんかこう、この世の価値観の
すべてが否定されて。
誠実さも 清廉さも 努力も
成功も 仕事も 友情も 愛すらも
まさに木っ端微塵。
にっちもさっちも行けなくなる感じ。
八方塞がりで救いがないよなあ。
クズケンにだけは共感できたけど
あとはみんな どこか狂ってる。
自分を守ることは大切だけど
結局それって みんながみんな
伊藤と同じでしょうが。
モラトリアムここに極まれり。
これが現実だなんて微塵も思えなかった。
これはこれで やはり虚構。
1つだけ得たことは
何かを目指して
手に入れたくて働くことよりも
目の前にあることに
無心で取っ組み合うことのほうが
得られるものが多いのかな。
成果を求めて 評価されたくて
そのために生きることからは
成果も評価も生まれなくて
ただ無心に生き 暮らし
肉屋のコロッケを美味しいと思えて
熱々のを頬張りながら飲むビールを
極上の幸せだと感じながら
黙々と日々の生業に打ち込むことが
その人のかたちを
一生かけて作り上げるのかもしれないね。
そう思ってみると 自分もまだまだ。
もっと小さなことに
心動かせる人になれるといいな。
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伊藤くんと取り巻く女の子たちの話かと思ってたら違った。どっちかっていうと、伊藤くんを踏み台に笑、自身を見つめなおし前を向いて歩き出す女の子の話だった。伊藤くんはキーパーソンなのかな。たま脇役の時もあった気がする。決していい男ではないのだけど。
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脚本家を目指すフリーター・伊藤くんをめぐる5人の女性を描いた連作短編集。
伊藤くんに恋した女性の物語かと思えば、意外とそうでもなかった。伊藤くんはモテる男なのかと思えば、バカにされていたりもする。あぁ、なるほど。伊藤くんを描く物語ではなく、5人の女性の自立の物語だったのか。
でも、それだけでは終わらない。伊藤くんに振り回されてる女性に振り回されてる男性も描かれていてなかなか面白い。特に最後の「伊藤くんE」は恋愛ではなく、自分を見つめること、他人の評価を期待することについてかなり深い問いかけをしている。こういうところが柚木さんのうまいところ。
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顔はよくてお金持ちのおぼっちゃまだが、自意識過剰で幼稚なダメ男、伊藤誠二郎。彼に振り回されるA~Eの5人の女性の屈辱と成長を描いた連作短編集です。伊藤くんのキャラクターにリアリティを感じられるかどうかがこの作品を受け入れられるか否かの分水嶺になると思います。自分は楽しめましたが、一回り上の世代ぐらいからだとちょっと難しいかもしれません。
A~DとEでは物語のトーンが変わります。女性の屈辱を面白おかしく描いたA~Dも良かったですが、個人的にはホラーテイストなEがより面白かったです。特にラストの伊藤くんの独白は胸にすとんと落ちるところがありました。ちょっとナイーブな若い人たちの気持ちをうまく代弁していると思います。
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いやー、めちゃくちゃ面白かった!
最初は、ダメ恋愛っぷりが自分と重なりすぎてつらくて笑、読み進めるうちに登場人物によって自分の汚いところを指摘されていく感覚。きつくて途中で何度か本を閉じて休憩した笑。でもすごく、目が覚めたような気持ち。
伊藤は完全に最低なんだけれど、被害者とも呼べる女性たちもみんなそれぞれに最低。でもそこが人間臭くて、あぁこういう感情ってあるよな、認めたくないけど、とおもった。なんでもいいから女性たちには幸せになってほしい。
最終章だけ、伊藤と恋愛(のようなもの)をしていないから毛色が違うように感じた。土俵に立とうとしない伊藤は、それだけで抜群に人を傷つけることができる。無責任なことが、人にきちんと向き合わないことがいちばん人を傷つけるし、最低。その点で伊藤は確かに最強だ。
とりあえず、伊藤を可能な限り全角度から見ることができたのでもう一度読み返そうとおもう。きっと二回目は感じることが違うだろうから楽しみ。
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2017.01.05読了。
伊藤くんという28歳のシナリオライター志望のフリーターと、伊藤くんを取り巻く五人の女性の物語。
A〜Dの女性たちには、それぞれの中の黒い部分を必死に隠す姿が、自分と重なった。
なんだかんだで好かれてるように見えた伊藤くんが、最後は周りにスポイルされすぎた伊藤くんの成れの果てが惨めで、でも人が生きるってそう諦めたらおしまいなんだな、と。
何にもしないで上から目線、なんてやめて、藻搔いて、恥かいて、自分の欲しいものを手に入れていこう。
伊藤くん
知美 デパート販売員
柊子 塾受付
聡子 ケーキ屋
実希 大学院
理桜 シナリオライター
クズケン
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出会わなければ良かったのに、ホントに。
http://feelingbooks.blog56.fc2.com/blog-entry-1111.html
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2017/1/14
伊藤くんと関わる5人の女の子達。
本当に伊藤くんがクズ過ぎて呆れたけど、女の子もクズな子が何人かいた。
自分に自信が無いのかな、自分を大切にしてないのかな、だから友達に、伊藤くんに卑屈な態度を示すのかな。伊藤くんも女の子達も根本は同じなのかな、とかあれこれ考えてしまうお話だった。
楽しくて先を読むのが待ち遠しかった。
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何人かの女の子の目線を通しての伊藤くん(伊藤くんに対する何人かの女の子)のなかに、あ これあの時のわたしやん…みたいなの ちょっとある。
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作家を目指しながら、バイトをしている30歳目前のイケメン伊藤くんを、その周りの5人の女性の目線から描いた物語。
ほんとうに嫌というか共感できない人間が沢山出てくる、、、 が、 自分の嫌な部分を見つめなおさせられるというか。 自分には何かあるんじゃないか、誰かが自分を見つけてくれるんじゃないか、そんな期待が確かに僕の胸にもある。 浮気もするし、女の子振り回してるから伊藤くんに共感できるかなとか思ったら大間違い。 伊藤くんはもっと高いところのクズだった。クズケンいいやつ。
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最初は、恋愛でダメな伊藤くんに振り回される女の子たちの話なのかと思っていたけど、驚くほどに彼女たちの生き方に重なる部分があって、自分のことを言われてるような気さえしました。時々、グサッと刺さる言葉もあって読むのを止めることもありました。
現状に悩む私には…本当に辛い台詞とかもありました。でも、逆に助けられた言葉もあって、そして不思議と読み終わったときにはスッキリしてました。
また、少し頑張ってから読んだら、違って彼女たちを見ることができる気がしてます。
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とにかく痛い伊藤くんに読者として呆れつつ、それでも気になるのは自分にもそんなところがあるからだと思う。痛いのは伊藤くんであり、伊藤くん的な自分であり。登場人物の女の子達も、どこか自分に当てはめられるところもあったりしてドキドキと先が気になって仕方なかった。
みんなと痛々しいところ、人のこと言えなくてドキッとする。共感できちゃうから身に覚えがあるからこそ面白かったんだなーと思います。
口ばっかりでやった気にならずに動くこと。そよ風のように全てを受け入れる女の子にはなりたくないこと。今一度、自分と向き合って立ち返るときなのでした。
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寝る前に少しだけ読み始めてやめるつもりで読んだら、止まらず夜中2時までかけて読了。伊藤くんが嫌な感じが読み進めるほど強くなり、最後のモンスター化はもはやホラー。でも、伊藤くんも、関わる女性も、こういう人いるよなぁと思わせる描写はさすが。女性達が少しだけ前に進めているので、伊藤くんの存在意義は少しはあるのかも。若かりし自分を思い出して色々とチクチクした。クズケンと実希はくっつかなかったのが残念。クズケンは片想いしていた実希から処女をもらって欲しいなんてメールあって凄く舞い上がってたんだろうな、と思うとなんだか切ない。。
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差し出すことを恐れずに生きたい
クズケンがこの、話の救いだなぁ
りおさんの、自分を無にして誰かをサポートするには嫉妬心が強すぎる、ってちょっと刺さってしまった。
伊藤くんは本当にクズでダメな男だけど、誰からも傷つけられず生きる、っていうのも1つの生き方だとは思う。
けど、周りからクズだとか、友だちいないと思われながら傷つかずに生きるのもなかなか精神力あるなぁ。
ナイルパーチの女子会も、この本も友だちいない人ばかりでてきたけど、みんな相手のこと考えるの面倒くさいっていうよりも、傷つきたくないから何もできないし、相手との距離感を間違えるんだなぁ