紙の本
静かな生活
2001/03/01 20:19
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投稿者:55555 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「静かな生活」の名前どうり波瀾に富んでいるが底調に流れているのは「静かさ」である。伊丹十三監督によって映画化もされている。長男のイーヨーと女子大生の妹のコミカルな会話が面白い。
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一番最初に読んだ大江健三郎もので、今でも一番好き。静謐な中に主人公の全身全霊をかけた祈りが全編通して流れていて、静かに胸を打たれる。ところどころのグロテスクさ…内臓の裏皮をひっかかれる感じが、またどきっとさせられる。
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伊丹十三監督が映画化したこともあって読んだ本です。知的障害者であるイーヨーと妹のまあちゃんの日々を綴っています。独特の散文が、なれるまで読みずらかったのを覚えています。しかし、だからといって、稚拙であるとかそういう印象を持つことはありません。こういうのもあるんだ、と感じる種類の独特さでした。イーヨーは大江健三郎さんの息子、大江光さんをモデルにしているようです。
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この作品を読むたびに、光さんを中心にして、皆が結束して生活していることに嫉妬を覚える。親が自分以外の子供を特別扱いすることに、多分私は僻んで遠巻きに眺めるだけだろうから。
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私小説に近い作風の小説。イーヨー、マーちゃん、オーちゃんの3兄弟が遭遇するちょっとした事件や、心的風景がテーマとなった6つの短編から構成される連作です。
読後、知的障害を持つイーヨーの一貫した純粋さ、明るさに救われた気持ちになります。
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ここ数年前から、大江さんの作品をコンスタントに少しずつ、味わいながら、読み進めていこう、と暗に決めている。これは伊丹十三の映画のほうは見たけれど、原作としては読んでいなかったので。面白かったなぁ、ほんとに、この人の作品は、読んでいて、楽しい。(12/1/4)
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フィクションだって分かっているのに、どうしても、この本は大江健三郎じゃなくて大江健三郎の娘さんが書いているんだという意識で読んでしまった。最後まで。
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昔に読んだが、断念した本。温かな気持ちになれる本だとAmazonでの評価にあったので再読した。ページを捲る手がもどかしくなるほど面白いわけではない。
この小説の本質ではないと思うが、イーヨーの毒のない発言に癒される。
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「マアちゃん」主語だとやっぱり地の文が地味でモデストになってしまって私としては物足りない。『燃え上がる緑の木』も同じなのだけど。伊丹十三の映画も見たけれど、大江健三郎の作品を読んでいると伊丹十三は相当な切れ者のように想像させられていたのに、何か物足りない。あとがきみたいなので伊丹十三も喋り言葉で参加しているけれど、そこでもなんだかパンチが足りなかった。
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最初の方の印象は以下。
自分が自分に苛立っていることについて、原因を他人に帰すのはあまりよろしくないと思っていた。K=書き手が、Kに対するいらだちを娘に語らせるというやり口が何となくいやらしく思われたのだと思う。あるいは、危機を間接的に語らせたり、危機についての述懐すら奥さんや友人やらに語らせたり。他方では、自分を娘の側や息子の側にも投影してみたり。
当初は、このような間接的な自分語りとベタに受け取って、嫌がっていた。しかし、自分の苛立ちを他人の苛立ちへと付け替えることはそんなに悪いことだろうか? 他の人にもそれを許し、自分にも許していった方がはるかに良いのではなかろうか、などと思うようになった。
僕が大江を好んで読んでいるのは、成されるべき理想のようなものに目を向けつつも、それに至らぬ自分を、開き直るわけでもなく率直に(素直には書かないのだが)認めているというところにあるのだと思う。その届かないものと自分との距離への態度をアイロニーと呼ぶのだろうか。
しかしあとがきにあるようにこれは全部語りの仕掛けであって、その点でいうともうレビューに収まらないほどに巧みで、「静かな生活」という題、この小説自体、「家族としての日記」といったあたりの絡み合いや現実との交錯など見事としかいいようがないものだった。
このレビュー
http://d.hatena.ne.jp/ima-inat/20101229/1293620239
「なんでもない人」なのだ
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読むのにとても時間がかかった。べつに言葉や内容が特別難しいというわけではないが、唐突に話が始まるような瞬間が何度もあって、語り手に追いつくのがワンテンポ遅れるような感覚になることが多かったから。
それでも、それが嫌ではなくて、奇妙なテンポに振り回されるのがむしろ楽しかった。
そして何より、この物語に登場する3兄弟イーヨー・マーちゃん・オーちゃんが魅力的で、心地よかった。
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冷静と情熱のあいだRosso に登場した作品なので気になって読んでみた。初めて読む文体で、少々読みにくい。イーヨーの冗談はほっとする。
イーヨーの妹マーちゃんの献身ぶりを読みながら、小学生の時、同級生である障害者の弟君が、全校集会で、障害者の姉についての作文を読み上げたときの何とも形容が難しい、けど、凛々しい表情を思い出した。
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オーケンの入門にとても適したソフトさを感じる。
内容は長男の光さんを題材にした必勝のフォーマット(?)、私小説的小説で自分の好みだがソフトなあまりハッとする箇所が少なかった様に感じた。
総じて楽しく読めたので、大衆にも適した素敵な作品。
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静かな生活といふ表題作
以前ツイッターで、気分が滅入った時には短篇「静かな生活」を読むと恢復するといふ趣旨のツイートを見かけ、表題作だけは三度目くらゐの再読になるが読んでみて、本当にその通りだと思った。
今回映画で感動したのをきっかけに初めて通して読んだが、表題作は連作中で群を抜いておもしろいと思ふ。アクション的な描き方と伏線のために。むしろ「この惑星の棄て子」と「案内人」はキリスト教色が鼻につく感じ(前者は情景描写も長いと思った)。「自動人形の悪夢」と「小説の悲しみ」はイーヨーに対する思ひを吐露してゐるが、表題作に比べて幾分あっさりしてゐる。「家としての日記」は表題作同様にストーリーが中心で、締めくくりにふさはしい。
さて私は全体的にはどちらかと言ふと伊丹十三の映画の方が好きといふ気持がある。しかし小説としては表題作が好きだ(映画のその部分は単純すぎると思ふ)。解説は伊丹十三で、この映画をつくるきっかけなどが書いてあり、ネズミトリ機などのエピソードはいいが、文学のテーマを語るくだりは的外れなやうな、おせっかいのやうな気がする。