投稿元:
レビューを見る
【ネタバレあり】
コチラは夭折した作家「伊藤計劃」の最新作となるはずが未完の遺作となってしまった作品。
遺された序章を友人でもあった同世代の作家「円城 塔」が書き継いで完成させたモノです。
ガッツリ系SFが読みたい、と思って読み始めたのですが、中々どうして3週間近くかかってしまいました。
というのも作品の舞台と設定がパラレルワールド、それもシャーロックホ-ムズが活躍した時代、主人公は若き日のDrワトソン、相棒はフライデー、場所は大英帝国やアフガニスタン、ロシア、世界の列強と肩を並べようと富国強兵に邁進する日本、南北戦争が終わったばかりの米国と世界中を股にかける!?
で、それぞれの時間と場所でエピソードが進行する。とてもじゃないが日本史と世界史の知識を総動員してもWikiペディアのお世話にならないと読み進められないという代物。
「地獄の黙示録」や最近のシャーロックホ-ムズ、インディ・ジョーンズのシーンを思い出させるようなハリウッド映画にでもしたら良さそうなアクションも満載。
しかもテーマの一部では「生とは?」、「死とは?」、「意識とは?」、「言葉とは?」といった途轍もなく哲学的なコトを考えさせられる。
イヤ、ホントにツボにはまった方にだけオススメします。
ボクは嵌まりました。
投稿元:
レビューを見る
面白かった!が、理解できない部分もたくさんありました。
円城さんの文章難しい……。前2作に比べ、一番読むのに時間がかかりました。いやいやその説明1行でよくない!?一言でよくない!?っていうのがたくさん……。たぶんわたしの理解力が足りないせいですが。
ハーモニーに続いて読みましたが、虐殺器官、ハーモニー、本作の順で読めて良かったです。
ハーモニーでは人々の調和を保つため人の意識(脳内会議による選択)を手放した結果、器のみが生き続けることを人類は選択しました。それに対して屍者の帝国では、死んだ後の身体(魂のなくなった器)を巡り、魂とは何かをワトソンが探して行く姿が描かれています。映画と原作ではこの魂の捉え方に違いを出していたところが、とても印象的でした。
原作では、「魂=言葉」であり、人の意識は菌株による決定で、結局自分の意志や意識は何をもってして選択されているのかという結論は曖昧であったと思います。映画ではそこのところをワトソンとフライデーの関係性に重きを置き、魂を意志と捉え、フライデーの中に魂を見出すことに必死になります。特に機械人形という設定のアダリーはもっと感覚的に魂を求め、感じようとしていたように思いました。
また、3作品すべて読んでみて、エンタテイメントとして面白いだけでなく、戦争という現象を引き起こす人間の本質に迫るテーマや世界観設計は、どこかこの世界の地続きのように感じます。
あとがきにもありましたが、今の世界を、そしてこれからの世界を伊藤計劃さんの目を通してみたらどのように見えるのか、どのような物語になるのか、もっともっと見てみたかったです。
投稿元:
レビューを見る
20回くらい「全然わからない、作者においてかれてる」って思ったのに、それでも面白いってどういうことなんだろ。
投稿元:
レビューを見る
伊藤計劃氏、オリジナル作品三作目として執筆された今作。プロローグのみ同氏が、第一部以降は円城塔氏が担当されたと云います。私は円城氏の作品を読んだことがないためどんな文章を書くのか存じませんが、外見上は円城塔氏ではあったかも知れないが、執筆中は伊藤計劃氏の魂が記されたパンチカードがinstallされていたとしか思えない出来である。名作、傑作としか言い様がない作品だ!!
投稿元:
レビューを見る
子どもの頃、私にとって「一番恐ろしいもの」は暗闇やお化けだった。
思春期を迎えた頃には、「結局は人間が一番怖い」と考えていた。
そして今、私が一番恐れているものは、「死」だ。
こうして書き、語り、考えるということができなくなること。
こうして死について考えている“私”さえなくなってしまうこと。
私にはそれが何よりも恐ろしい。
だから、よく「どうすれば死なずにいられるのだろう」と考える。
結局、「死とは?」「私(魂)とは?」そこに行きつかずにはいられない。
たとえば、未来に人体の全てが明らかになって、全てが機会、あるいは今の私が持つ、たとえば脳が、全く同じ形・構造・神経回路のものと入れ替わったとして。
その時、私は今の私と同じなのだろうか。
その時、“私”はいるのだろうか。
多分、この作品は、それに“ノー”と答えている。
舞台は、19世紀末。
フランケンシュタインをきっかけに生み出された“屍者”が全欧に普及し、戦場のみならず日常生活においても利用されるようになった世界。
彼らは人の姿を持ち、生命反応もあるけれど、生者とは決定的に異なる存在だ。
意思はなく、魂も持たない。
それもそのはず、彼らは死体の脳に電極を刺し、ネクロウェアをインストールしただけの、動く死体にすぎないのだから。
当然、屍者は生前の彼らとは全く別物のはずだ。
ヴィクターの手記によって魂をインストールされたと思しきフライデーもまた、エピローグの独白を見るに、以前の彼とは違うようだった。
だとすれば、永遠になくならない魂など、やはり存在しないのではないか。
ザ・ワンが復活させた花嫁も、やはり彼の"the one"ではないのではないか。
ワトソンは、二度と元のワトソンには戻れないのではないか。
答えを求めて本を開いたわけではないけれど、結局、疑問は深まるばかりで、何一つ分からないままだった。
きっと、一生死ぬということを理解できる日は来ないのだろう。
確かに、私はどうあっても死を経験することはできないのだから。
だとすれば、私はむしろ、いずれ辿り着くその日まで、ワトソンやバーナビー、バトラー達を先達に、選択の余地なき自由を、それでも選択していくしかないのかもしれない。
正直、そう書いておきながら、その意味が私にはまだきちんと分からないのだけれど。
投稿元:
レビューを見る
やっぱり円城塔の文章って全然頭に入ってこないんだよなぁ…まぁ私の脳みそのレベルの問題なんだとは思うんだけど。劇場版とは設定が異なる部分がそこかしこにあったから楽しめたけど、映像のクオリティがものすごい高かったから私は映画派。(大里化学でのバーナビー山澤戦ほんっと興奮したぁ…)
とは言っても他人の、しかも亡くなった人の作品を引き継ぐなんてどんだけ覚悟いるもんなんだろうか。完成させてくれたことに感謝、世に出してくれたことに平伏、天国の作者に合掌、って感じですかね!
投稿元:
レビューを見る
映画化の影響で読み始めたのだけれど、読み終わるまでに結構かかった。もともと読むのは早く無いしたくさん読む方でも無いですが、それにしても初めて聞く単語や設定が多く、特に後半、それらを飲み込むのに時間を要しました。
ただ全体としては感情をほとんど持ち込まなない淡々とした文章や(その中で感情を感じる文章には惹き込まれました)、練られた内容、用意された答え、クライマックスの疾走感と楽しんで読むことが出来たと思います。おもしろかった。
投稿元:
レビューを見る
読むのに三ヶ月ほどかかってしまい、結果的に2016年最初の読了本になった。それほど私にとっては難解な内容だった。
円城さんの作品にはじめて接したのは短編の「Four Seasons 3.25」だったが、そのときも読み切るのにたいそう時間がかかり「この人の文章は難しいな」と感じていた。こうして改めて正面からとり組むと、もう全然進めない。映画を観ていなかったら、話の流れをつかむことさえままならなかったかもしれない。あと、歴史上の人物がたくさん出てきたらしいのだが、あまり世界史が得意でない私にはほとんどわからず、自分の浅薄な知識を再認識させられた。
テーマは死者と生者の間によこたわる魂と言葉の意味、というように感じたが、自信がない。物語は、なにかひとつの答えや主張を示すのではなく、さまざまなことがらが疑問のまま収束しており、これはこれで納得できた。あとは、あとがきがとても冷静なのにどこか感傷的で、私の心の琴線に触れた。
投稿元:
レビューを見る
期待もこめての星4です。
ちょっと文章がわかりづらいところが多々あるんですよね。こちらの読解力が低いということではなく、書き手側の問題であるとは思うのですけども。勢力関係も混沌としているし、もうすこしシンプルにすべきだったと思います。
でも話の流れはとても良い!最後は胸が詰まりました。細やかな部分はわかりづらくて理解出来ていないと思うのにこうなるのですから、もっと洗練された文体になればさらに感動出来ると思います…!!
それから、日本での話はやはり上手いですね。そこでの戦闘シーンは臨場感がありものすごく楽しめました。のめり込んでしまいました(笑)
「屍者の帝国」。ワトソンとフライデーが、まるで、亡くなってしまった伊藤計劃を蘇らせた円城塔、その2人を示しているかのようで、感慨深いですね。円城塔さん、これからも読んでいきたい方です。
投稿元:
レビューを見る
夭逝した人気作家の未完の書を引き継いで完成させる。これはキツい仕事だろうなー。
しかし、この作品はそんな物語関係なしに面白い!
構築された世界の突拍子のなさと変なリアリティ。何より、このオールスターキャスト!彼らがさも必然的に動きだす!
投稿元:
レビューを見る
小説だからあたりまえに「うそ」なんだけど、それでも虚実綯交ぜと言いたくなるような見事、豪華な登場人物たちに終始胸が踊りっぱなしでした。
だってワトソンくんが主人公で、ドミトリーとかアリョーシャが出てきてリットン調査団に榎本武揚だよ!!!
内容的には貴志祐介の「天使の囀り」とかそれこそ伊藤計劃の「虐殺器官」的な感じ。こういうのめっちゃ好みなんだよなー。
投稿元:
レビューを見る
映画が意味不明だったので、虐殺器官、ハーモニーに続いて屍者の帝国を読んでみました。
そして、読んだ結果は意味不明のまま。
日本過ぎてアメリカに入ったころからページ読み飛ばしてたよ。
つーわけでよくわからんまま終わってしまったが、まぁいっか。
あまりにも意味不明だから解説サイト読んでもよくわからんのだ。
と、昨晩読み終わってわけんかんねぇよ、で終わりになったのだが、一夜寝たら違うことに考えが至った。
この本は円城から亡くなった伊藤へ向けた本だったのではないかと。
魂とは言葉である。そして、最後に屍者だったフライデーがなんらかの原因によって魂を得ている。
フライデーがやっていたのは大量の情報を詰め込み、大量の記録をつけていたこと。つまり、言葉である。
大量の言葉を使うことでフライデーは魂を得た。
このことから、亡くなった伊藤は本という言葉を残した。言葉が詰まった本にこそ伊藤の魂が宿っている。
そのことを円城は伊藤に対する餞けにしたのではないか。
そう、ふと思った。内容は半分わけんからんけど、永遠に残る言葉によって伊藤の魂の不変性を書き上げたのではないか。
そんなことを考えると、最後にフライデーが魂を得た理由が腑に落ちたのだ。
投稿元:
レビューを見る
2016年1月24日読了。
素晴らしい。描写も設定もストーリーも。ラストシーンの力には血が逆流するかと思った。
投稿元:
レビューを見る
雰囲気小説。確かに映像化すれば、独特の雰囲気のあるアクションあり、ミステリ要素ありの、なかなか興味深い作品になりそうだが、小説で読むと何が言いたいのかよくわからんまま終わった、という感じ。
私には合わず、読見終わるまでかなり時間がかかってしまった。ザ・ワンがぺらぺらよくしゃべるのがちょっと興ざめ。
投稿元:
レビューを見る
映画を先に観てたが、全く別の物語。
プロローグから円城塔が描いたこの物語は、冒険譚としての活力は抜群。ただ謎が入り組んでいて、間を開けると中身がうまく繋がらない。
何回か読み直さないとダメなんだろうな。