紙の本
こんな風になれたら
2020/01/20 23:17
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投稿者:里 - この投稿者のレビュー一覧を見る
表紙の"深川澪通り木戸番小屋"というサブタイトルを見ただけで拡がってゆく安心感。驚きや衝撃とは無縁の慎ましい、穏やかな江戸に引き込まれる。どんな風に歳を重ねてゆけばお捨ての様になれるのか…北原さんの残された江戸庶民の一コマ一コマを味わい尽くしたい。
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お捨にも笑兵衛にももう会えない。北原さんの独特の決めの一文で、わかったようなわからないような、人物の心のヒダに分け入る体験もできないとは、残念としか言いようがない。木戸番小屋シリーズ、暖かく読んだ。あとは縁側日記シリーズの文庫化を待つのみ。
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あの児玉清が「・・・読み終えたあとのあの爽やかな心地よさといったら、・・・何と表現したらいいのか・・・。恰も香しき母のにおいに満ち溢れた布団の中にもぐりこんだときのような幸福感とでもいうのか・・・」と絶賛した「深川澪通り木戸番小屋」シリーズの第5作。
舞台となっている、将軍のお膝元の江戸は独り者の多い単身者の町であり、単身者世帯の急増している現代とも、シンクロしているといえようか。
しかし、決定的に違うのは人々の交流があり、人情に溢れた、誰にとっても住みよい街であったようだ。
笑兵衛とお捨の夫婦がいるこの街に、住んでみたいと思わない読者はいないのでは。
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ご近所が世話を焼く世界。
ついこの間までは、この本にあるようなことが身近にあった気がします。
いつのまにか遠い世界になってしまったなあ。
こんな木戸番夫婦のいる長屋に住んでみたいものです。
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木戸番小屋に棲む笑兵衛とお捨の夫婦が、下町の人々の苦悩や愚痴の話を聞いてやる。
剣術が、、、秀でた技術が、、、夫婦にあるのでなく、ふんわりと悩みのある人を包み込む優しさを醸し出す小説。
8話からなるが、どれも、人の悩みに、そっと後押しの手を差し伸べるだけなんだけど、、、いい。
慶次郎縁側日記も好きであったが、2013年に作者永眠で、もう、この続きが読めないのかと思うと、残念である。
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深川澪通り木戸番小屋シリーズ5作目。
北原亞以子鉄板の本シリーズ、本作も市井人情モノの王道路線を突っ走ります。
自分の力では処しようのない、憂き世の中のしがらみにまとわりつかれた各篇の主人公たちが、笑兵衛・お捨夫婦のさりげない暖かさで癒される、その姿を読んで自分の心まで癒されていく。
主人公たちの悩みの種が抜本的に解決するケースは少ない。それでも、木戸番小屋で、雑談をして、お茶を呑み、時には羊羹やご飯までご馳走になる。それだけのことで、明日もう1日頑張ってみよかと少し心が軽くなる主人公たち。その姿を読んで自分の心も洗われていることに気づく。
良質な小説ながら、テラいはないから読んで安心。あと1冊でこのシリーズも終わるのが残念でならないです。
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シリーズ5作目。
心がささくれ立ってしまった人々に添えられるお捨さんのふっくらとした温かい手。
ころころと笑うお捨さんと一緒にお饅頭を食べれば、辛いと思っていた人生もそう悪くないなと思えてくる。
私もお捨さんに会いに木戸番小屋に行きたいな。