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山崎豊子版『戦争と平和』の帯タイトルに惹かれて購入。執筆の途中で逝去された為、一部完結のみしか読むことが出来ないのがとても残念。『約束の海~その後』に収録されているプロジェクト編集を読み進めると、膨大な資料と取材に基づいて執筆されていた山崎豊子さんの作家魂が伺える。まさに人生をかけた作家さん。
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山崎豊子の遺作。海上自衛隊の主人公が、漁船との衝突事故から国防とは、自衛隊の存在意義とはを考え苦悩する。第2部も読みたかっただけに残念でならない
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自衛隊、潜水艦、そして国防と戦争。自分が普段全く意識せず、知ることもない世界に、引き込まれるように読み進めていった。
膨大な資料、取材、そこにきちんと小説としてのストーリーが重なって、本当に偉大な作家だったんだと改めて思う。
第二部、第三部と、ぜひ読んでみたかった。
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常に戦っているが、何も起こさないことを常とされる。
戦争、自衛、矛盾とも思える枠の中でどう考えればいいのか。
(以下抜粋)
○非常事態が起きた場合は、呼び出されることがある。
そのため休みの日でも、連絡が取れ、
二時間以内に艦に帰ることのできる範囲内での行動が、
暗黙のうちに義務付けられていた。(P.95)
○小説として花が咲くまでには、ここから実際の原稿執筆に合わせて、
更に数回の取材が行われ、言葉一つ描写一つをより磨き上げ、
少なくとも三回以上は書き直していくのが常であった。(P.402)
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20170430
未完の作ということもあり、読後はあまりスッキリとはしない。父子の会話にて、1人生きて帰ることに対する父の贖罪の思いに戦争の怖ろしさを感じた。
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自衛隊の潜水艦と民間の船が衝突し、多数の死者が出た事故をきっかけに、自衛隊の在り方を問う話。山崎豊子ならではの世界。
残念なのは、三部構成の予定だったそうだが、残り二部は未刊のまま、山崎氏が亡くなられたこと。
編集チームの補足により、氏がいかに丁寧に取材をされ、一連の小説を書くのに膨大な時間をかけられていたことがわかり、改めて、これまでの数々の作品の重みを感じるとともに、読み直してみたくなった。
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いつになっても色あせない、本物のプロ山崎豊子さんの遺作。あとがきまで読んで本当に感動。
プロであるのはもちろん、本当に好きだからこそ物書きができることの喜びを感じる。
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初めて山崎豊子の未完の遺作を読んで、一冊も読んでいなかったことを本当に後悔。
なだしお衝突事件を軸に、現代の防衛を担う自衛隊、多くを語らぬ帝国海軍士官の父、民間人と自衛隊との温度差や相互理解の不足を描いた作品。
ご存知の通り、未完であるが、充分に未完部分を補ってくれる、著者の構想シナリオがあり、読者が展開やラストを描かせてくれる。
著名な作家というのは、読者のために、様々なストーリー展開を構想するのだと、思ったのは、本当に発見であった。
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なだしお事件の描写は、「沈まぬ太陽」の日航機事件に比べるとそれほど鋭くはない。今後の戦時のエピソードがクライマックスになっていくと期待される中での絶筆。期待される内容を読めないのは残念だが、この年齢でもこれだけの構想を練り、取材し、書き始めた作者の意思と情熱に脱帽。絶筆の作品に、今後の展開の可能性を示すスタッフの記録が記載されるというのも、この作者の作品ならではかも。
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読む本がなくなったので、旅先のコンビニで購入。未完とは知らなかった。自衛隊の存在意義に、真っ正面から取り組んだ作品だけに、先が気になる。著者が、どう捉え、どう物語を語りたかったのだろう。
このモデルとなった「捕虜第一号」についても、読んでみたいと思った。
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さすがの読み応え。第一部のみまでしか読めないことが残念でならないが、構想段階ではあるものの、その後を公開いただいたことに感謝です。いろいろ考えさせられますね。
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海上自衛隊の潜水艦が釣り船と衝突して多数の犠牲者が出た事件を題材とした、山崎豊子の遺作。
未完ですが、その後の構成案をまとめたものなどもあり、最終作を読了の満足感は味わえました。
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最初は面白かったが、事故が起きてからの展開がいまいち迫力に欠けた。しかし最後に気づいたけど未完の物語だった。おそらくこの一部はまだ前置きのような段階だったのだろう。最後まで読めなかったのは残念。
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山崎豊子氏の最後の作品。三部作だが一部執筆後2013年に著者は亡くなり遺作となった。海上自衛隊の潜水艦くにしおが民間船と衝突事故を起こす。乗組員であった花巻朔太郎が直面する試練、そしてかつて海軍で真珠湾攻撃に参加し日本人捕虜第一号となった父親との物語…。モデルとなった1988年のなだしお事件は小学校6年の夏休み、館山の臨海学校の際に生々しくニュースを見た記憶。東京湾フェリーにその直後に乗ったのだったか…?山崎氏の描く自衛隊と戦争、最後まで読みたかった。
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山崎豊子未完の遺作。
自衛隊の潜水艦くにしおと一般の漁船の衝突事故を中心に、関係者一人一人の思惑や自衛隊に対する世間の風当たりの強さが多角的に描かれていて面白かった。特に審判では漁船の船長に批判的な見方をするサキや、自衛隊に一太刀浴びせようとする田坂弁護士や、堂々と弁明する筧艦長に不信感を持つ頼子や、自信や自主性がなく弁護士をチラチラ見る安藤船長や、いろんな意見や思いがあることが描かれていた。
実直な主人公花巻朔太郎とフルーティストの小沢頼子との恋が淡く進んでいくのもすてきだった。頼子の行動力はすごい。儚げに見えるのに傍聴に行ったり、朔太郎に真実を確かめる電話をかけたり、コンサート後に呼び出したり、芯が強くてギャップがあってよき。
本当は真珠湾攻撃での捕虜第一号だった、花巻朔太郎の父花巻和成が抱えている心の闇、戦争の闇と自衛隊がメインテーマだったようだけれど、その序章の第一部で終わってしまったというのは残念。ただ自衛隊が違憲だとか、戦前回帰だとか、何も知らないで印象論で自衛隊や防衛大を煙たがりがちだけど、実際自衛隊が今日も日本を守っているとか、自衛隊についてもっと理解した上でないと自衛隊の是非を論ずることはできないと思った。