紙の本
一番恨んでいるはずの人間の消息を追っていないなんて間が抜けている。
2015/09/26 12:17
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投稿者:Ai - この投稿者のレビュー一覧を見る
自分と同じような人間の心は分かっても、普通の人間の考えることは分からない主人公だったのか。存在すら忘れているってそれが一番の罪な気がする。
これだけやり手で賢かったらありえないよな気もするけど。
こういった感じの人は現代ではではもう出てきようががない人の話だなぁと、昔は似たような人は実際にもいたのかもなぁ。
それぞれの人の好き嫌いは別にして大作だ。
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十一億円の裏金を強奪した男たちのその後を描いたサスペンス。周到な計画を立て、疑われることも織り込み済みの主人公は実に冷静なのですが。それでも次々現れる恐喝者や仲間の裏切りに脅かされ、果たして無事に大金を手に入れ時効を迎えることができるのか、とどきどきさせられました。
一番の問題が共犯者との繋がりを見抜かれないこと、なんだけど。三章「血の弔旗」で登場するあの物証が。まさかそこでそんなもの出てきますか!?
当然裏金とはいえ犯罪は犯罪。だけどなんだか主人公を応援したくなってしまうのが不思議でした。大金を手にした認識がありながらあれだけ堅実な生活を送れるってのも見事だなあ。
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昭和66年に裏金11億円を仲間とともに強奪するところから始まるピカレスクハードボイルド.はじめに犯罪があって犯人がだんだん心理的に追い詰められるところは「刑事コロンボ」に少し似ている.昭和の世相を表すためと思われるが主人公は政治や音楽には「全く興味がな」く「文化的なことと縁のない」人間であるにもかかわらずその時の流行歌や政治ニュースがやたら出てくる.また偶然に出会うのが多すぎる.お話だから仕方がないけど.
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表紙が犬の絵だけれど,どうして犬を殺す必要があったのか,それがわからない.こういうダークヒーロー的な人は動物に優しいのでは?この点からも根津には魅力が無かった.
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まさに昭和を駆け抜ける犯罪小説です。
倒叙物ながら、先が読めず、ストーリー展開にハラハラします。
何度も何度も危ない橋を渡りながら、なんとか乗り越えていきますが、やはり最後は・・・。
結末はなんともやるせない感じです。
犯罪を犯したのだから当然なのですが、読了後の寂寥感が何とも言えません。
厚い本ですが、一気に読めました。
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本屋に平積みされた文庫本を見て食指が動き、図書館で借りる。
「図書館で借りる」習慣が根付いてだいぶ経つが、久々に「作家は買われてなんぼなんだよな、、なんかすみません」という気になったのは、登場人物に作家がいるせいか。
戦後歌謡曲をバックにしたノワール。
ただし、随所に挟まれる歌謡曲はこちら(私は昭和50年代生まれ)に殆ど縁のないものなので、時代に思いを馳せることができず少し残念。
雰囲気としては東野圭吾の白夜行に近くもあるが、白夜行ほど「時代の趨勢が真の主人公」という感じはない。
あくまで、主人公は根津謙治であり、年を追うごとに本人も自覚する通り、悪漢だった若かりし頃のギラギラ感が抜けていくもののあはれに胸が打たれる。
昔だったら、読後に思い出すこともない本だったかもしれないが、おっさんになった今となっては、きっと先々どこかで思い出すんだろうなと、苦い傷をつけられた感もある。
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厚みのある本だが、福田和子事件を連想させ、最後までハラハラしながら読めました。犯罪だけにではなく、登場人物の生き方、考え方にまで焦点を当てていて、久々の名作だったと思います。最後まで残った人の考えは、人それぞれという事だと思いますが、根津兼一が主人公なので、自分は根津に肩入れしてしまう。