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やっぱり愛とか恋とか幸せとかってなると冷めちゃうなぁ。好きなキャラクターが次々いなくなってしまった。2008/6/10
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最後の最後まで、完璧。
トルストイの中でもっとも感銘を受けた作品となった。
こんな作品に出会える事が、あと何回あるだろう?
そう思って寂しくなるほど。
でもエピローグは読む必要がないと思う。
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終わり方はよかったけど、エピローグを読むのに手間取った。この部分がトルストイの言いたいところなのだろうが、難しかった。
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作者は作品の中で、歴史を動かすのはナポレオンやアレクサンドルといった1人の英雄や君主ではなく、民族の総意であるとしつこいまでに繰り返しています。またそれは偶然の産物ではなく1人1人の行動や時間の流れに作用されて必然的に起こったものであるとも。当時のロシアの歴史を作ったのは、皇帝から一市民まで、老人から赤ん坊にいたるまでのロシア民族全てであり、それを伝えるためにこそこの壮大な物語が存在するのです。
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ナポレオンの大軍は、ロシアの大地を潰走してゆく。全編を通してトルストイは、歴史を作るものは一人の英雄ではなく、幾百万の民衆の生活に他ならないという歴史観を明らかにしてゆく。
今回初めて最初から最後まで通読してみて感じたのは、トルストイの作品は本当に難しいということだ。
特に本作は登場人物も多く、それぞれの人物の相関関係を覚えるだけでも大変だったが、彼らが織りなす人間模様や、トルストイの圧倒的な構成力、文章力に舌を巻かざるを得なかった。
紛れもなく、本作は「世界最高峰の文学」という名を冠するに等しい作品であると思う。
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第4編は主にトルストイの思想が吐露されている件である。歴史をつくるのはひとりの英雄ではなく、幾百万の民衆の生活に他ならないという歴史観を顕わにしてゆく。
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長い、とにかく長い。
別に登場人物のかけあいや心理描写は長くてくどくて結構なのですが
エピローグの二部の所が死ぬほど長く感じました。っていうかくどい・・・
回りくどい説明口調で更に読みにくい。トルストイ自身の考えを述べているのでしょうけど、殆ど頭に入りませんでした。
要約すると10ページくらいでまとまるのでは?
読後感がそこで全てそぎ落とされた感じです・・・ちょっと切ない。
それでもこの作品はすごかった。最初から最後も良い意味でも悪い意味でも。
今は同じ作者のアンナカレーニナを読んでいますが、そっちの方が断然読みやすいです。私自身が歴史にあまり興味が無いというのもありますが・・・
こんなに登場人物が多い小説もそうそうないと思います。とにかく名前と関係を覚えるのに苦労しました。
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ロシア帝国の華やかな社交界における様々な人間模様、人間関係、ひとりひとりの感情の微細な変化をこと細かく描かれているトルストイのその文才には感嘆した。
なによりも、国家とはまさしく幻想の共同体にすぎないことを思い知らされた。一個体としての人間の集合体で支えられている組織は、時としては皇帝の一声でダイアモンドよりも強固になることもあれば、逆に泡のように脆くなることさえある。国家は結局は人間によって支えられている。
個人的にはアンドレイ・ボルコンスキイの心情の変化は興味深かった。
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幸福というものは、幸福それ自体の中に。自然な人間的欲求を満足させることの中にあるのだ。そして全ての不幸は、不足ではなく過剰から生じるのだ、、、
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ナターシャとアンドレイ公爵がどうなるのかと思って、公爵の死で悲しいまま終わると見せて最後にピエールとの結婚が待っていたなんて。ナターシャは恋多き女性であったということなのでしょうか。
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「これはトルストイの壮大な実験だ。 」
ナポレオン軍がモスクワから西を目指して敗走して行く中、戦時を生き抜いた本編の登場人物たちの新たな生活が始まった。ある者はこの世を去り、またある者は伴侶を得て…。
トルストイ先生が精魂込めて書き上げた大作もいよいよクライマックスーと読み始めたものの、ロシアの対ナポレオン戦記に乗せて描かれる、物語の中心人物と思っていた人々の人生がこの最終巻に来て何やら一気に早送りされたように感じられたのはなぜだろう。
思えば同じトルストイの「復活」「アンナ・カレーニナ」はもっとどっぷりと人が描かれていたように思う。「戦争と平和」の人物たちに同じようなドラマを期待して読んでいくとこの長さにしては物足りなさを感じるのだ。
しかし、エピローグで滔々と語られるトルストイの歴史観と格闘し、この大作の訳者の解説まで読み終えて、それこそがトルストイの試みだったのではないかと思う。即ち歴史とは一人の英雄など特定の人間によって作られるものではない。表には出て来ずともそこに無数の人々の存在がありそれらの人々の意志がなんらかに作用して動いていくはずだと。
一兵卒から皇帝まで総勢559人もの人間を描き分けることによって、トルストイはここに自身の考える歴史というものを実証して見せたのではないか。
そう考えると、自分がドラマを期待して読んだナターシャやアンドレイ、ピエール、そしてニコライ、彼らとてそうした一時代の歴史の中で作用しあるいは作用された無数の人々の一人に過ぎない。物語の主役などではないのだ。
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幸福な読書だったなぁ、と思う。
3巻から作者トルストイの「語り」が多くなり、うーん?と思う部分もしばしばあり、もっと正直に言えば辟易する部分もなきにしもあらずだった。しかし、それでも、私はもうこの物語を読み終えてしまった。
『戦争と平和』というタイトルの通り、トルストイが描きたかったのは、おそらく「人間の意思」だったのではないかと思う(個人としても、「われわれ」としても)。しかし、この最終巻である4巻を読んで特に感じたのは、トルストイは人間の「仕組み」や「歴史」を描くよりも断然、人間の「魂」を、感情と性格を描く方がまばゆいばかりの光を放つということだ。
彼の人間を描く筆、それもたくさんの、実にさまざまな人間を描き分け、しかもその一人一人を生き生きと立ち上げ思考し活動する筆は、本当に圧巻というほかない。
そして「人間の魂」という点でもう一つ思ったのは、トルストイにとって結婚とは、そして家庭の幸福とは、相当に大きなテーマだったのだな、ということだ。
アンナ・カレーニナの有名な冒頭(「幸せな家族はどれもみな同じようにみえるが、不幸な家族にはそれぞれの不幸の形がある」 望月哲男・訳)からして、彼がいかにこの問題にずっと取り組み続け、また生涯においてこれに悩み続けたかがうかがわれる。
彼はその晩年、妻との不和に苦しみ、そして家出をする。そして、世界的に名を知られる文豪であり、「あと100年生きてください」と言われるような作家であったにも関わらず、家出の末に寒村の小駅で死去する。
これは馬鹿げたことだけれど、もし、私がトルストイと友人だったとしたら、私は彼に、あなたは素晴らしい、あなたは素晴らしいものを書く、けれど、あなたは考えすぎだ、と言うかもしれない。
本当に馬鹿げた、滑稽な話だけれど。……
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ナポレオンのロシア遠征、モスクワの破棄、ボロジノ会戦など歴史の出来事が分かりやすく書かれてる。しかし、それよりも当時のロシアの文化、生活が興味深い。個人的に血のかよった文化、生活はあまり想像ができなかったけど(寒いからという偏見、馴染みがないというのもあるかな)、豊かで人間味あふれる登場人物からガラッと当時のロシアのイメージが変わりました
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長かった…。全登場人物が収まるところに収まった、という感じ。
個人的には主人公たちよりナポレオンの記述部分が
面白かったです。
最後はエピローグという名前の論文。しっかり読めてないので
またじっくり読みたいです。しかし、こういう本を現代の作家が
出したらクレームの嵐だろうなーと想像しました。小説の最後数十ページが論文ですから。
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最終巻第四巻は戦争の記述が多い。
後半1/4は物語を終結させトルストイが論じる戦争、歴史、民俗、人間と神のあり方などで締められる。
※以下登場人物の生死などネタバレしておりますのでご了承ください。※
【ベズウーホフ伯爵家】
❖ピエール(ピョートル・キリーロヴィチ・ベズウーホフ伯爵):
三巻ラストでモスクワでの破壊工作とナポレオン暗殺計画を疑われてフランス軍捕虜に。
過酷な捕虜生活。他の捕囚者との交流と身近な死。
捕虜体験はピエールをどう変えたのか。
解放されたピエールは、アンドレイ公爵の妹マリヤと、ナターシャ・ロストワと再会する。
改めてナターシャへの愛の喜びに浸るピエール。
そして新たな生活へ。
❖エレン
三巻で「ここまでやればむしろ天晴れ」な不道徳行為を示したので、このあとどうなるのかかえって楽しみだったんだが、あっさりと…。
私も児童文学で読んだり映画で観たりはしているから彼女がどうなるかは知っていたけれど、こんなにあっけなかったっけ。
【ボルコンスキィ公爵家】
❖アンドレイ・ニコラーエヴィチ・ボルコンスキィ公爵:
三巻で瀕死の重傷を負ったアンドレイは、妹マリヤとかつての婚約者ナターシャの看病の下にあった。
アンドレイはまだ生きていたが、世界はアンドレイがすでに死んだかのように進む。そしてアンドレイ本人も自分自身をすでに死んだもの認識している。
そして訪れるその時。
ピエールとアンドレイはトルストイの分身らしい。
アンドレイに対しては、冷たさを示す一方、純粋な愛や瀕死の床で辿りついた境地、神や自分が関わった人への感謝、しかしそれでも消えないすべてに対しての冷淡さ…の描写が実に美しい。
全くの余談ですが、「こち亀」の中川はアンドレイ公爵がお気に入りらしい(笑)
❖マリヤ・ニコラーエヴナ・ボルコンスカヤ:
父の死後、公爵家として片付ける問題をこなしていくマリヤ。
今までは横暴な父、神経質な兄、兄の子の養育、そして自身が不美人のため、内面も環境も控えめな女でいたマリヤだが、案外女主としての才覚を持っている様子。
モスクワからフランス軍は撤退したが、ロシア人たちによる混乱と略奪が起きていたが、公爵家の財産と屋敷は多少の破壊は受けたがそれなりの財産は残っていた。
破産したニコライと再会、結婚。
それまで周りに振り回され一歩引いていた彼女だけど安定した家庭で自分の存在を築いているようで安心した。
❖ニコーレンカ(ニコライ・アンドレーヴィチ・ボルコンスキイ…のはず)
アンドレイ公爵と、亡き妻リーザの遺児。将来のボルコンスキイ公爵ですね。
養育権者のマリヤ結婚後はニコライと彼らの子供たちと同居。
父親似た性質と外見に、記憶にない父がピエールやナターシャ、マリヤとの交流を夢想する。
ピエールの事は尊敬し、ニコライに対しては敬愛するが軽蔑も交る。
ニコライもこの義理の甥は苦手としている。
世代が変わってもアン��レイタイプとニコライタイプは相性が合わないのね。(^。^;)
「戦争と平和」の登場人物たちの最終場面は、ニコーレンカの「亡き父がぼくを誇りに思うようになろう」という決意で終わる。あとはトルストイの論文。
【ロストフ伯爵家】
❖ニコライ・イリーイチ・ロストフ伯爵:
最初はフランス兵により、撤退後はロシア人により蹂躙されたモスクワで、ロストフ伯爵家は破産する。
ボルコンスキイ公爵令嬢マリヤと結婚したニコライは、領土を見直し家を建て直す。
本人は軍人になりたがっていたけれど、着実な田舎領主で良き家庭人でいることがニコライの本分か。
ちょいと甘いお坊ちゃん的な本質は抜けないが、妻マリヤが良い風に補ってくれていて、ニコライもそれに応えようとしている。
マリヤは地味だけど「一緒にいるといい人になりたいと思わせる女性」なんだろうね。
❖ナターシャ・ロストワ(ナターリア・イリイニーシナ・ロストワ公爵令嬢):
マリヤとともにアンドレイ公爵を看取る。
アンドレイは自分自身を完全に死者として扱っている。そんな人間と共にいるのはどんな心情か。
再会したピエールと愛し合い彼の妻となり新たな人生へ進む。
さて。ナターシャは全編を通じて何度かの変化を遂げる。
天真爛漫で恋に恋する少女、今を楽しみ明るい輝きを信じた娘時代、愚かな行為に走る思春期、それを乗り越えアンドレイに対しての真摯な看護、そしてピエールとの結婚後は強くて家庭がすべての多産の牝。
しかしナターシャが本当に欲しかったのは夫と家庭で、完全な家庭人になりたがっていたことを母(ロストワ伯爵夫人)は見抜いていた。
夫にも家庭を優先してもらう代わりに夫のすべてを理解しようとする。貴族夫婦の理想なのだろう。
…しかし本編通して溌剌とした魅力が強調されていたナターシャが「太って付き合いが悪くて家庭にしか興味を持たない平凡なおばちゃん」になる姿は、
今日でもヨーロッパの若くて美しい娘さんがある年になったらど~~んと太ったおばちゃんになる姿に妙な納得を覚えたのであった…f(^^;)
❖ペーチャ(ピョートル・イリーイチ・ロストフ)
ニコライとナターシャの弟。ピエールを尊敬している。
まだ少年と言っていい歳だが戦場を望み作戦に同行させてもらう。
しかし弾丸が彼の頭を貫く。
❖ソーニャ:
ニコライの事実上の婚約者だったが保護者も持参金もナシで誰にも歓迎されず。
ニコライだけをずっと愛していたが、ある心情に辿りつき自らにニコライに別れを告げる。
ここぞとばかりにその別れに乗っかるニコライ。「ソーニャに対して責任は感じてたよ?でも彼女から別れようって言われたんだよ?マリヤの事はお金じゃなくて心の美しさに惹かれたんだよ?金じゃないったら金じゃないよ?」って現代だったら「大丈夫かこの男」なんだが…(ー。ー)
(ニコライの名誉のために、結婚後は良い一家の主、領主となったと書いておこう。マリヤの内助の功が大きいと思うけどね)
しかもその後、保護者も資産もないソーニャはニコライとマリヤが結婚した後も扶養家族として同居。こりゃたまらんな(ー。ー)
今日でも「女性の権利向上~」とか言われるが、
昔は本当に後ろ盾や資産の無い女のなんと寄る辺ない事。そもそも女に個人資産なんてないんだもんね…。
❖クトゥーゾフ:
ロシア軍総司令官。
戦争判断は、ロシアのアレクサンドル皇帝からも不満を持たれていたが、
トルストイは強く評価している様子。
最後にちょいと気になったことが。
巻末解説で、トルストイはもともと30年の収容生活からモスクワに戻った老夫婦を書こうと思ったが、
そのために彼らの過去から始めることになり、どんどん時代が遡って行って…ということが書かれていた。
この夫婦とはピエールとナターシャ。
年代を考えると、「戦争と平和」が終わった5年後くらいにこの夫婦は30年間収容される未来が待っているのか??
なんとなくピエールはその性格もあって逆境にあっても落ちぶれすぎないような妙な安心感があったのだが、この後大丈夫なんだろうか。
二人の未来に安寧あれ。