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安達さんの著作を読むのは今回が初めてで、
これ如何に?!と読み出したら、これかなりの良書。
読み出した現在(2017年2月)から
後知恵で過去事象をふり返っても、
2016年12月で執筆された安達さんの考察と記述は
事実として浮上したことも多々あるし、
現時点でまだ不透明な事象に対しても 「そういうオプションもありか!」とロジカルな選択肢を提示してくれている。
特に注目したのは、
「労働参加率」のくだり!
なるほどーーーーと 膝を打った。
主要KPIとして 「失業率」だけでなく、
労働参加率を掲げていると。
打ちのめされて意欲を喪失し、シーンから消え去ったかつての労働者を
再び 労働市場へ回帰してもらい誇りを取り戻してもらうこと、を ねらっている、という解説は面白い。
失業率は 5%で、USでは完全雇用と言ってもいいレベル、となると FRBは利上げへ、が自然の流れ。
このセオリーに沿うのか、
強気にさらなる緩和を進めるのか。
インフレを懸念して、利上げしつつ、需要upと供給力upをどうするのか、議論は尽きない
いろんなオプション案が明瞭に描かれていて ニュースの読み解き方の材料が一つ増えた。
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とても読み応えがあり、興味深い一冊でした。トランプ大統領誕生からそれが世界的に意味することや、トランプ大統領の経済政策構想に関する分析、現在の欧州が抱えているリスクや今後のアメリカが中国や日本に与える影響などが、著者の分析で丁寧に著されています。自分の経済に関する知識では若干難しい説明に感じる箇所もありましたが、今後勉強を重ねることで、その部分は再度読み直したいと思います。
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トランプのやろうとしている経済政策について、どのような条件が揃えば大化けする可能性があるのか、論理的に考察しています。
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◎クリントンは富裕層への増税による所得の再分配を強く主張した。
だが、多くの労働者階級が必要としたのは富裕層の「施し」ではなく、労働機会の増大だった。
ゆえに、雇用の創出を主張したトランプを支持した。
人は、「仕事をする」ことでプライドを保てるし、生きがいを得ることができる。多くの労働者にとって必要なのは施しではなく、「仕事をするという誇り」だったと考えられる。
今は後者ってことね
↓↓
◎世界経済は長期的に、「グローバル化が進展する時期」と「ローカル化(地域主義)へ逆行する時期」を繰り返している。
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大統領選後に緊急出版という趣で書いたものと思われ、日本語がこなれていないところもあるが、そこは気にしないでさくさく読み進めたい。
「~だったと思うので」とか「何かのドキュメンタリーで~」といったあたりは、編集者が確認してあげれば良いのにな、と思ったりしたが。
ほぼ二年前の本になるが、概ね筆者の予想していたとおりに事態は推移している。
トランプの経済政策は、レーガンのそれと同一視すると状況を見誤るだろうこと、経済政策と安全保障政策が一体化していること、主敵は中国であること。
想定外だったのは、2018年末の今に至っても、FRBは引き締め路線を続けていること、というより続けられるほどに経済環境も良く、マーケットも調整ははさみつつも「トランプ・ラリー」が続いている点か。
淡々と利上げを続けるパウエルFRB議長については、そもそも彼が指名される前の書なので記載はない。
しかし、トランプの経済政策が効果を上げるには、FRBが利上げ路線を放棄しなければならないとの指摘とその論拠は、現在のトランプによるパウエルへの口撃の背景を知るのに有用である。
ただ、著者はFTPL(物価の財政理論)なる論を紹介しながら進めているが、トランプのツイートなどを読むに、実際はもっと単純に適切な経済成長率をどこに見るかの差異を巡る衝突のような気もする。
具体的には、リーマンショック以前の3%弱あたりを見るのか、Make America Great Againなのだからと3%台後半、欲を言えば4%あたりまで期待するのか。
FRBは前者の立場で、足下4%台に達した今のアメリカの経済成長率は、放っておけばインフレが加速して然るべき状況なのだから今利上げしなくてどうする、となる一方、トランプからすると減税・インフラ投資でこちらが頑張っているのだから足を引っ張るな、と。
証券会社のエコノミストでありながら、市場の動きを国際政治の舞台での覇権争いと絡めて語ることができる人は意外と少ない。
直近10年とか15年くらいの動きは、まだ歴史化されていないことも多く、評価・切り口が固まっていないものも含めて、説得力のある解説に感嘆。
世界のアカデミズムの論文にも、市場にも精通している稀有な方と思う。