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相手との間合いというか接し方。慮りすぎてひきすぎる場合もあるけれど著者が描くこのあたりの感覚(間隔)はきらいではない。物語も必要以上にまとめようとせず流れるままに閉じられている。
父親海外単身赴任中、母、三人姉妹一息子の5人家族と彼女彼らの周りの人たちが織りなす物語。
向田邦子さんの小説を読み返したくなった。
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はじめての作家さんの本です。
下北沢に住む、土地持ちの家のお坊ちゃんは、成人した後も二人の姉と妹一人に囲まれ、なんの苦労もなく、これでいいのかと思いつつもバイトしながら日々を過ごしています。
里帰り中の長女、姪、幼なじみや、バイトの後輩。
家族を中心に身近な人たちとの関係や状況も変化していき、大きな事件があるわけではないのに全く飽きず、楽しく読めました。
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【所在・貸出状況を見る】 https://sistlb.sist.ac.jp/opac/volume/207086
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畑野さんの作品は4作目ですが、いずれも楽しく読ませてもらっています。
フリーターの望は、資産のある実家住まい、バイトの最古参になり、オーナーとバイトの掛け持ちをしている。そんな望の実家に一番上の姉が姪をつれて帰ってくるところから物語は始まります。
入院中の祖母、家に安心を与える母、破天荒な上の姉、過保護に育てられた二番目の姉、受験を迎える多感な妹、姉の連れ来た姪、姪の通う英語教室の教師、そして、幼馴染の女性と、女性中心に育てられながら、成長していく姿が面白い。
決して、波のあるストーリーではありませんでしたが、読んでよかったなって思える作品でした。
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下北沢駅南口、小劇場があつまり、雑貨屋や古着屋、若者でにぎわう界隈を抜けると、閑静な住宅街になる。
季節ごとの花が咲き乱れる庭と、赤い屋根の、屋根裏部屋がある中山家は、土地持ちの資産家で、アパートもいくつか持っている。
中山望(なかやま のぞむ)24歳。
大学時代から、マンガ喫茶のバイトを7年続けている。
家も土地もいずれ自分のものになると思うと、真剣に就職活動する気になれないし、やりたいこともわからない。
…という、いけ好かないヤツ(笑)である。
上の姉・葉子(ようこ)29歳は、娘を連れて出戻ってきた。
下の姉・文乃(ふみの)25歳、わけあって一人で電車やバスに乗れない。
妹・弥生(やよい)もうすぐ受験。
父、インドネシアに単身赴任、母は宝塚好き、祖母は入院中。
他にも登場人物多く、なかなか覚えきれない。
中山家の姉妹たちをはじめ、人との距離の取り方が、絶妙で微妙。
それでうまく行っているのかもしれないが、心のうちはわからない。
章ごとに入る、かわいいハリネズミのアイコンは、葉子の娘のメイが飼っている“ハリー”と思われるが、登場人物たちの抱える「ハリネズミのジレンマ」の象徴かもしれない。
中山家の持つアパートの住人、林太郎は、望のバイトの同僚で、役者志望というのが下北沢らしい。
この子が一番健全な精神の持ち主な気がするなあ~
下北沢は、若者にとって居心地のいい場所、いつまでも夢を見ていられる場所、ダメな人間に優しい場所。
それゆえに抜け出せない焦燥が募る。
同じく、不自由のない家の中も、ゆるい檻である。
登場人物がやたら多いのも、ああ、そうなるのね、という納得。
結局、望は、大黒柱というある意味人柱の道を選ぶ。
いろいろなことが“ナレ死”的な感じで知らないうちに進行しているのは、登場人物が多いせいなのか、主人公の望が、女たちの蚊帳の外に置かれているせいなのか。
身勝手と思える行動をとる人物が多いのは、これが現実なのかもしれないが、姉・葉子の別居の動機が、個人的に納得できない。
子供がいなければ、そういうお花畑な発想も構わないが、幼稚園児の娘を振り回すに足る理由なのだろうか?
烏天狗は独りの子供を見かねた商店街のおっちゃんか何かじゃないの?
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大学を卒業しても定職に就かず漫画喫茶でバイトを続ける望は、姉と妹と母親と共に下北沢の閑静な住宅街にある庭付きの家で暮らしている(父親はインドネシアへ単身赴任中)。そこへ、結婚して品川で暮らしているはずの長女が娘と共に帰ってきた。圧倒的な女系家族の中で屋根裏部屋に追い立てられてもそれなりに快適な望だったが…。
常に社会や自分と闘い疲れている女たちを、男たちが柔らかく受け止める。登場する男たちがどいつもこいつも優しくて受け身で頼りないのがいかにも今っぽい。
主人公の望はとても人柄がいい。おっとりと育ちが良く、順応性があって思いやりに満ちている。でもこれでは彼氏にしたいとは思えない。相談や愚痴を聞いて貰うお友達止まりだ。
望の家では、来客が帰る時には手の空いている人がみんな玄関に出てきて見送る。お母さんはエプロンで手を拭きながら、妹は食べかけのおやつで口をもぐもぐさせながら。暖かなこの家族の中にいたら、なかなか出ていけないだろう。でもそんな居心地のいい家を作っているのはお母さんだ。定期的に宝塚を見に行くのは、家という仕事場所からの逃避なのだろう。
読みながらなんとなく『海街diary』の雰囲気に似ているなと思った。家族それぞれに葛藤があって、悩みを町の人たちも知っていて、噂はすぐに広まるけれど話してはいけない事は本人の耳には入れない思いやりもある。海街diaryならぬ下北diaryといったところか。
冒頭で、望たち一家が暮らす家の場所が明かされている。
“下北沢の駅の南口を出て左に行き、スーパーのオオゼキの前で右に曲がり、まっすぐに進んで茶沢通りを渡って、CDショップのディスクユニオンの手前で緩やかな坂道を上っていくと、桜や紫陽花やバラに隠れるように、一軒の家が建っている。”
グーグルマップでこの通りに道を辿っていくことが出来るが、赤い屋根に白い壁で屋根裏部屋がある家は見つけられなかった。
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再読。
望の穏やかで情緒の安定した雰囲気が好みです。
女家族に囲まれた男子に多い感じなのかなとは思いました。
望の家族の心のうちの見方がとても優しく、家族の仲の良さを伺わせます。
近くにいるのが当たり前で少し鬱陶しい、でも居なくなったら寂しいは家族ならでは。
みんなが一斉に家を出ることになりましたが、折々でこの街に戻る家族の姿が想像出来る終わり方が良かったです。
2018/08/22
初見。
下北沢で生まれ育った望は、母と3人の姉妹、単身赴任中の父、入院中の祖母の7人暮らし。
大学卒業後に就職をせずフリーターとして近所の漫喫で働いていた。
望はちょっとしたダメンズのはずだけど、私には魅力的に映りました。
女ばかりの家族の中で、周りとの距離感のとり方が上手で、下北沢の家持ち、土地持ち、不動産持ちの良物件(笑)
最後に将来を考えるようになり、更に彼に惹かれました。
中山家のみんながいい。
あまねを筆頭に、近所の皆さんも好ましい。
押しの強い人が少ないからかも。
流れる雰囲気がとても好みの作品でした。
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下北沢に住む4人姉弟の物語。
下北沢に昔から棲む中山一家。
母、姉の文乃、弟の望、妹の弥生が住む実家(父は単身赴任)に、突然姉の葉子が娘・メイを連れて出戻ってくる所から物語が始まる。
学生時代からマンネリにバイトを続ける望とトラウマに悩む文乃は、恋愛と生き方に悩み、弥生は下北沢から脱出しようと考え、家族の在り方を考える葉子。
雑多な町・下北沢のフレンドリーな友人たちに囲まれながら、自分の居場所、生き方のヒントを得ていく。
家は家族で、庭は下北沢かな。
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なんてことない日常、その辺にいそうな男子。
でも、とてもおもしろかった。
この話の世界に入りたい。
うらやましい家庭だ。
畑野智美さんが描く男子が好き。
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「国道沿いのファミレス」の作者だったんですね。気がつかなかった。
下北沢の地主の息子とその姉妹たちのほんわかホームドラマです。ユルいけど嫌いではない。
恵まれた環境の中でもいろいろ悩んだりはするでしょう。その場所場所で悩みは尽きないものですから。
この本によれば、下北沢は住んだら抜けられなくなる、そんな魅力があるようです。産まれた街にどっぷり取り込まれる居心地良さと、このままじゃいけないという焦り。若者は大変だ。
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ひとり息子 望と女姉妹 3人
彼を取り巻くたちの日常を普通に描いた1冊
個性的で都会的な 彼の周りにいる女性が
魅力的に書かれ ついつい読み続けてしまった。
結果 ホームドラマ的な展開に引き込まれて一気に読み終えました。何気なく読んでしまう本だったなあ
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家族の過去と日常、その先が優しいタッチで描かれている作品。一家みんなが、家族を思い、その一方で家族に「縛られ」て時が経っていく。大きな事件が起こる物語の構成ではないものの、それぞれに特徴的な家族のキャラクターが面白かった。また、家族や土地へ抱く気持ちや将来の見方はリアルで、共感を呼び、一息に読み進められた。
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冗長。
最後まで読んだ私、エライ。
お姉ちゃんをちゃん付けで呼ぶのは解るけど、字面になると、くどい。
女三人の姉妹に一人の男児だと、こうなるんだろうなぁ……
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主人公は、大学卒業後も就職をせずアルバイトを続けている20代男性。下北沢で、母、次姉、妹と暮らしている(父は海外に単身赴任中)。そこに夫婦喧嘩をした長姉が娘を連れて転がり込んでくる…
私はきょうだいがいないので、4人の関係、距離感を、時に羨ましく思ったり、驚いたりしながら読みました。
刺激はないけど不満もない町に住んで、このままでいたいと思う人や、出ていきたいと思う人もいて、私も似たような環境なので、どちらの気持ちもよくわかった。嫌だから出ていくんじゃなくて、留まることが不安で出て行きたくなる。
主人公が就職をしないのは、一見怠惰に見えるけど、4人きょうだいの唯一の男性で長男、将来は親が管理している不動産(アパート経営)を引き継ぐことになる、という環境のせい。就職しなくても不動産で収入があるというのはラッキーなことかもしれないけど、そのせいで別の職に就けなかったり土地を離れられないという足枷にもなる。
私の親には不動産はないけど、一人っ子で、代々同じ土地に住んでいる家系なので、共感できた。
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大学を卒業したもののやりたいことも見つけられず、バイトで小遣い稼ぎをして日々を過ごす24歳のパラサイト男の1年を描く。
* * * * *
下町風情の残る下北沢の生きやすい空気を描きたかったのはわかります。
また、どんな自分でもそこにいることが許される中山家の居心地のよさを描きたかったのもわかります。(それは、妻として母としての新しい幸福を得た自分に耐えきれずに出戻った葉子から顕著に伝わってくるからです。)
さらに主人公の望が、小心者ながら正義感や倫理観を持ち合わせた優しい男であることもわかります。
それらすべてを承知したうえで思うのです。甘すぎないかと。
文乃は幼少時代体験から考えてやむを得ないところはあるでしょうが、望はダメでしょう。
なんだこのモラトリアム男は!? 高等遊民気取りはいいかげんにしてもらいたい。ただの居候にすぎないではないか。
そう思ってしまいます。
バイトとは言え望には労働所得があります。なのに家に生活費を入れている形跡がありません。バイト収入は使い放題だということです。(これは文乃や身勝手出戻り女の葉子にも言えることですね。)
だから、自立心をスポイルするような家を美しく描くのはどうなんだと思います。林太郎やあまねの生き方こそが本来あるべき成人像(不倫はダメだが)ではないでしょうか。
物語終盤、アパートの家賃収入は誰の所得になるのか。望ではないでしょう。そうすると、管理を業者に委託している形跡がない状態で、家主がインドネシアへと長期滞在しに出かけてはいけないでしょう。(時間的に見て、母親から望に業務の引き継ぎがあったとは思えない。)
望の(亀の歩みのような)成長物語だと認識しています。決してファンタジーではないとも思っています。
だからこの現実感の弱さは気になります。(広い庭が彼岸を思わせるような描き方なので、中山家を極楽に見立てているのかもしれませんが。)
物語はおもしろかったのですが、ツッコミどころ満載の連続テレビ小説を観るかのような作品でしたた。もやもやが残りました。