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受賞は少し甘い評価ではなかったのかな。
まだまだ直せるところが残っているような
気がする読後感。
特殊な世界だが、そこで真摯に生きる人が
きちんと描かれていて、芸人の自己崇拝などは
微塵も感じないし、だからと言って過度な
自己嫌悪もない。公正な、第三者の目が生きた
描き方だと感じた。
しかし…どこか物足りない。
抽象的な人生哲学を
詰め込みすぎたからだろうか。
面白味は、徳永と神谷の会話にこそある。
哲学を語る神谷も、それに心酔する徳永も
さして興味をひかない。
描写に凝ろうとして稚拙になったところも
散見されて、筆力はまだまだ鍛えるべき人だ。
世間の評価ほどには、楽しめなかったが
この小説の中の人たちは本当に素敵だった。
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ネタバレあり。
夏目漱石の『こころ』と似てる気がしました。
主人公が先生=師匠を慕うけれど、先生=師匠はそんな慕われるような自分じゃなくて、むしろすがるように自分の生きた証を主人公に託す、みたいな。
堕ちていく神谷の話を、徳永がメモした自伝ノートを元に園子温監督的な映像にすると全く別のエンタメかも。
風俗で働く彼女のヒモで、甘えて気づいた時には愛を失い、借金地獄で唯一の芸人の立場も失い、きっと落ち着きと人格を失うほど痛い目に遭い、おもろい体にさせられて、これでも生きていけますか?と徳永にすがる。
死ぬでしょう、でも生きるのね、激しく火花を散らして命を燃やす。
私はそんな風に読んだ小説でした。
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第153回芥川龍之介賞受賞作。
やっと、やっと読めた。文庫になってから買う!なんて変に意地張らんと、はよ読めばよかった。はよこの作品に出会いたかった。
売れない芸人徳永と、天才肌の先輩芸人神谷。純粋すぎる二人の、不器用すぎる芸人人生を描く。神谷のような独自の美学を持っているのはすごく格好いいけど、圧倒的に生きづらいだろう。天才に憧れて、天才になれなくて、歳を重ねるごとに現実との折り合いをつける徳永も、めっちゃ苦しいやろうなあ。きっとここに吐露されている何倍もの葛藤があるだろう。
文学への並々ならぬリスペクトと、著者の優しさが溢れ出してる作品だった。表現に、生きることにちゃんと向き合ってる人には、絶対彼の優しさが心に染み入ると思う。巻末の芥川龍之介への手紙を読んでさらに、私も表現から逃げない、と決意を新たにした。
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初出は『文學界』2015年2月号。掲載時より現役人気お笑いタレントの手がけた純文学小説として話題を呼び、文芸誌である同誌が増刷されるヒットとなったほか、第28回三島由紀夫賞候補作、第153回芥川龍之介賞受賞作。
お笑い芸人二人。奇想の天才である一方で人間味溢れる神谷、彼を師と慕う後輩徳永。笑いの真髄について議論しながら、それぞれの道を歩んでいる。神谷は徳永に「俺の伝記を書け」と命令した。彼らの人生はどう変転していくのか。人間存在の根本を見つめた真摯な筆致が感動を呼ぶ!「文學界」を史上初の大増刷に導いた話題作。
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ずっと読みたかった。期待感が多すぎたのか、読後それほどの満足感は残念ながら無かった。
芸人の世界も大変なんだな。神谷さんはハチャメチャなのかちゃんといろいろ考えているのかつかみどころがない。つかみどころがないのは主人公の「ぼく」も同じだけど。
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文庫になって読んでみた。これで芥川賞なんだ、が最初の感想。読了後、残るものがない。芸人じゃなければ、取ってないだろう。芸人が大変なのはわかるが、どの業界もあるだろう。
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芸人の世界の厳しさがひしひしと伝わってきました。徳永と神谷の絆の強さは、漫才を通してのお互いの笑いのセンスを認めただけでなく、人として認め合った存在としてのものだと感じました。所々可笑しくて、笑ってしまうところも何か所かありました。芥川賞受賞作品で可笑しくて笑ったのは初めてかもしれません。
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本当に意外だったけど、面白かった。「芸人さんが漫才の片手間に書いたものでしょ」っていう理由で読まない人がいるなら、そんなことはないよと強く断言できる作品でした。芸人である又吉だからこそ書けるんであろう描写があって、きっとそれを今、文字に起こせる人は他にはいないんだと思うから、彼がこの作品を書く意味・書く価値があるんだろうな。そんな感想。
時間や風景は淡々と進んでいくんだけど、感情の起伏は鮮やかで、ラストステージのシーンには結構グッとくるものがあった。物語の締めになる神谷の奇怪な行動も「これ必要かぁ?」と一瞬戸惑うけど、変な余韻を残してくれるからアリなのかもしれない…とすら思えてしまう。
火花。タイトルのチョイスも私は好き。今2作目を執筆中のようで、しかもそれは恋愛小説のようで、自分のフィールドではない世界をどう描くのか、今から期待してしまう。物書きとして、どこまで火花を散らせるのか、はたまた火花を手にできるのか。私は楽しみだなぁと思いました。
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2017/2/19
ピースの又吉が書いた本が文庫化されていたので買って読んでみました。
お笑い芸人の道を行く徳永と、その先輩の神谷との出会いからはじまり、二人が最終的には別々の人生を歩むことになるまでのおよそ10年間という期間にあった出来事や出会った人々から受けた影響など二人の関わりを中心とした周囲の人々も含めた生き様みたいなものが描かれている。その話の中にはその期間で考えた芸人に対する考え方の葛藤や、自分の生き方に対する葛藤が二人のやりとりを通じてすごく丁寧な言葉とともに描写されているように思う。熱海の花火大会での出会いから始まり、最後も熱海の花火大会で締めくくられるが、二人が別々の人生を行くことになるまでの経緯はおそらく又吉の経験したことがベースになっているというか、ノンフィクションの割合もだいぶ高いんじゃないかなあと思わされた。内容がすごく現実的だしいい意味ですごく人間臭いところがこの話の魅力だと思う。
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待望の文庫化。でも期待が大きすぎたのか・・・
あらすじ(背表紙より)
売れない芸人の徳永は、天才肌の先輩芸人・神谷と出会い、師と仰ぐ。神谷の伝記を書くことを乞われ、共に過ごす時間が増えるが、やがて二人は別の道を歩むことになる。笑いとは何か、人間とは何かを描ききったデビュー小説。第153回芥川賞受賞作。芥川賞受賞記念エッセイ「芥川龍之介への手紙」を収録。
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いまさら説明無用、お笑いコンビ・ピースの又吉直樹が執筆し第153回芥川龍之介賞を受賞した大ベスト・セラー。わたしは意外とミーハーなのでw、このたび文庫化したと聞きすぐさま買い求め読んでみた。受賞当時からいろいろと論争はあったが、さすがに芯はシッカリとしていて、お笑い藝人が片手間に執筆したというような印象はみじんも感じさせず、受賞させたことも個人的には妥当ではないとも思わない。ただ、受賞を強く推したいかどうかはまた別問題。ほかの候補作を読んでいない以上なんともいえないが、もしわたしが銓衡委員を務めていたとしたら、すくなくとも受賞を強くプッシュすることはなかったのではないか。なぜなら、徳永の神谷に対する感情に最後まで馴染めず、違和感が拭い去れなかったからである。藝人の世界ではおもしろさと売れるかどうかがかならずしも一致しないということは、幾度かのお笑いブームを経てわれわれ一般人のなかにおいても広く共有されていると思うが、作中の神谷(あるいは「あほんだら」)なんかもおそらくこの例にもれず、「売れないけどおもしろい」存在の筆頭なのであろう。すくなくとも徳永にとっては。そこはべつに良い。神谷のおもしろエピソードがあまり登場しない――すくなくともわたしは読んでいてたいしておもしろいと感じなかった、徳永との掛け合いのなかでは登場したがそれは神谷だけの力ではない――が、テレビでおもしろかったお笑いのネタを家族や友人に口頭で説明して、ぜんぜん伝わらなかったという、これもまたおそらくある程度広く共有されている経験に象徴されるように、漫才のネタを小説として文字化してもどうせうまく伝わらないのであれば、あえて書かないという手法もあると思うので、そのことを問題視するつもりもない。ただ、個人的に違和感を覚えた最大の理由は、徳永が自分を卑下していることである。なにも自信満満でいろというわけではないし、もともと若手藝人という設定なのだから、過剰にプライドなりなんなりを発露しているほうがよっぽど違和感を生むであろう。しかし、だからといってやたら神谷と自身を比較するというのはどうなのか。所詮他人は他人などという正論を大真面目に言うつもりもないが、相手を尊敬することと自身を卑下することもまた違っていて、いつなんどきももっと是是非非であるべきだと思う。「尊敬」という感情は大雑把にいえば「自分○他人○」と「自分×他人○」の2種類があって、さらに尊敬ゆえに相手に否定的なニュアンスを述べることなどもあるから、より多くの象限に分割することができるし、それが微妙なバランスで揺れ動くのが人間という生物のおもしろいところではないか。ところがこの作品では、つねに1種類の尊敬しか登場しないような気がする。尊敬を上手に描写できていないのである。本作は冒頭から末尾まで神谷と徳永の人間関係を中心に物語が展開してゆくから、これは致命傷である。一見うまくまとまっているので、芥川賞受賞もある程度納得はできるものの、細かく見てみるとやはりとくに尊敬の描写は「まがい物」で、まだ受賞には早いのではないかという気にもさせられる。
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芸人であるピースの又吉氏が芥川賞を受賞したデビュー作。
このニュースが大きく取り扱われ、
少なくとも多少はどんなもんなんだと色眼鏡で見られている
そんな気がしてならなかった。
だから今まで手を伸ばすことがなかったのだが、
文庫化というこの際に拝見してみた。
予想と反して短いページ数だったが、
そこに芸人の光と闇がしっかりと描かれていたように思う。
だが、如何せん華やかな側面しか知らなかった分、
ここまで大変なのか、とか闇の部分に関して
知らなかった事実を知りたいという欲求が大きすぎた気はする。
そこまで闇が闇でない様なそんな気はした。
だがしかし、先が見えない未来への恐怖、
自ら諦めなければならない恐怖、
その辺りは大変共感できた。
人生の敗者と勝者を決めるのは、誰でもない。
自分自身でしかないのだ。
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「火花」文庫落ちしたので読みました。さらさら読める素直な文体で漫才師さんらしい軽妙な会話やリズムが心地よいです。登場人物たちの笑いに対する真剣さや主人公の冷静な視点が緊張感を生んでおり、非常に下らなくやるせない場面も惹き付けられました。読後にふと思い出すと、今度は妙な可笑しみを感じたりもして、不思議な味わいがあります。
職業作家であれば、ウイットな会話などは無理にでも書くことができるし、巧みな構成によって山場のカタルシスを強めることも可能でしょう。しかし、そういう技巧は目立っておらず、著者の思う「面白さ」「あこがれ」「やるせなさ」が最後まで淡々と並べられているところに、この物語の美点があると思います。こんなに飾り気のない、素直な小説は久しぶりに読んだかなと逆に新鮮な驚きがありました。
著者がテレビに映るような漫才師でなければ話題性に乏しい作品だっただろうと評するひとも多いけれど、見方を変えれば、彼がある程度成功し、上も下も見ることができた漫才師だからこそ、卑屈っぽさのない純度の高い世界観が描けたのではないかなと個人的には思います。
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不器用に悩み、不器用に弾かれ、不器用に傷を負いながら不器用に人を笑かしていた徳永。
そして売れない偉大な、不器用な先輩。
生真面目な文体にユーモアを染み込ませ描く、徳永が見ていた背中。
東京に敗れ去った者達。
夜空に舞った火花はパラパラと音を立て、煌きながら堕ちていく。
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期待しすぎましたかね。大きな盛り上がりもなく、人物の魅力も感じませんでした。
文体の単純な繰り返しも、あまり好きではありませんでした。次の作品も出ないし実力も分かりませんが。