紙の本
かなり実験的な小説
2017/12/14 22:08
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
この小説の構成はとても大胆で、「オーキッドと秘密工作員」と「改定版」という作中作、それに編集者から作者にあてた手紙を交互に示しています。パルプというだけあって「オーキッドと秘密工作員」はチープなストーリー。「改定版」はメタなストーリーですが、これらが交互に読ませてその間に編集者からの手紙を混ぜることで、何とも言えない浮遊感のある作品に仕上がっています。この小説の主人公であり、作者のタクミ・サトーは直接出てきませんが、太平洋戦争下の彼の苦悩と怒りが伝わってきます。
紙の本
評価は人それぞれですが…
2017/07/15 21:39
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投稿者:アジア坊 - この投稿者のレビュー一覧を見る
出版社の前評判があまりに大げさだったのでついつい過大な期待を抱いてしまいました。
決して駄作ではないのだと思います。
むしろ評価する人の方が多いのでしょう。しかしながら、天下の奇書、大どんでん返し、
めくるめく幻惑的なストーリーなどを期待した当方としては、こんな程度かというのが正直な感想でした。
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刊行前から版元がかなりプッシュしていたので期待して読んだ。
書簡体小説の変形版といった構成で、ある新人作家の原稿と編集者のやり取りでストーリーが進む。確かにジャンルとしてはミステリなのだが、かなり『テクスト』に意識的な作家という印象を受けた。
因みに『青鉛筆』とは日本で言う朱筆に相当するらしい。へー。
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ハードボイルド、スパイ物、編集者の手紙と3つの物語が展開されていくが後半にいくにつれて繋がっていく。
編集者の手紙のパートはイマイチ読み取れなかった。展開はそれなりに面白いのだけど驚きが少ない。
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積読2年、ようやく読みました。
ある家から発見された
①スパイスリラー小説
②「改訂版」と言う名の謎の小説
③著者に対する編集者からの手紙
で構成される小説
三つの場面切り替えの中で、少しずつ著者の状態がわかっていく仕掛けや、時代背景に振り回されている様子が伝わってくる。
大仕掛けだけど、親切な描かれ方で混乱せずに読むことができた。
解説にも助けていただきました。
現実と架空の話を織り交ぜて描くあたりの凝り方
とか他の人にはない作風で新鮮だった。
漫画だとシマダトラノスケさんあたりの感じ。
もっと他のぶっ飛んだ話も和訳してほしい。
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今までに馴染みのない新鮮な形式の作品。手を加えた小説原稿・担当編集者の手紙・元の小説原稿の3つの読み物が順番に登場する。意味がわかるようなわからないような複雑な心境のまま読み進めることになった。最後になるほど、と考えさせられ、じわっとくる。不思議な作品。再読予定。
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見つかった2作の原稿と手紙。その3つが微妙にリンクしながら物語が進行していく。設定は面白かったが、最後尻すぼみで、かなり中途半端。謎が全くといっていいほど回収されない。残念。
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ある登場人物の感情が次第に高まっていき暴走し始める過程が生々しかった。ラストのオチにはもう一捻り欲しかった。
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多重構造?パラレルワールド?
こういった凝った作りの小説、大好物です。
本当の主人公は青鉛筆の女。
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2014年カリフォルニアで解体予定の家から発見された貴重品箱。そのなかには三つのものが入っていた。1945年に刊行されたパルプ・スリラー。編集者からの手紙。そして、軍支給の便箋に書かれた『改訂版』と題された原稿…。開戦で反日感情が高まるなか、作家デビューを望んだ日系青年と、編集者のあいだに何が起きたのか?驚愕の結末が待ち受ける、凝りに凝った長編ミステリ!(e-honより)
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真珠湾攻撃と言う、宣戦布告のない卑怯な攻撃があり、米国で産まれた米国人なのに日系人である作家が「青鉛筆(校正)の女」という編集者によって、文章をメタメタに改竄させられる話。そもそも書き直すことがしんどいのに、自分の出生をことごとく否定させられる行為は、日本人の血が流れてなくとも非常に憤慨させられる。作者はカリフォルニア出身とのことで、強制収容所以前はあの辺りは日系村だったらしいが、日系人なんだろうか?日本人の名字などの表記がとても自然である。もっと読みたいと思う作品は決まって一冊しか出てない現象なんなの。