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ケンタッキーにルーツをもち持ちオハイオの公立学校で育った著者がみたヒルビリー(田舎者)たち。祖父はアル中、母は薬中、戸籍上の父は赤の他人。彼らの希望は。
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アメリカの中西部の白人貧困層の状況が、一人の青年の成長と共に鮮明に描き出されている。現代のアメリカを理解する上で欠かせない一冊。
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貧困の原因の深さに恐ろしいと感じ、また、教育や誇り、愛情、努力がいかに大切なことなのか改めて感じました。日本もこのようになっていく面があるのか、もっと勉強しなければと思いました。
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著者は、どちらかと言えば酷い家庭環境にも負けずに努力した結果、アメリカで最も厭世的な社会集団である白人労働者階層に陥ることはなかった。著者の母親の自堕落さ、周りの人たちの粗暴さには唖然とする。社会の底辺に暮らす者は余程の幸運か自分自身で努力を続けない限り、生涯そこから抜けきれないのだろう。
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「地球上最も繁栄している国」で、かくも悲惨な人生を送っている白人たちがいる。
高校で一、二を争う優秀な生徒がシングルマザーとなって、大学にも進学せず、その子供がまた貧困の連鎖に捕まってしまう。
オバマやヒラリーの言葉が響かないのも無理はない。
トランプが何ら状況を改善しているとも思えないが。
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・驚嘆すべきは、さまざまな世論調査の結果、アメリカで最も厭世的傾向にある社会集団は、白人労働者階級だという点である。
・ヒルビリーの信念は教会を中心に形作られるが、そこでは感情に訴える言葉が重視され、子どもたちが成功するために必要な、社会的サポートを軽んじる姿勢が見られる。
私たちの多くは、労働力という面から見ると落伍者であり、よりよい機会を求めて新天地を切り拓くのを諦めてしまっている。ヒルビリーの男達は「男らしさの危機」に直面し、その男らしさを重視する文化こそが、変わりゆく社会でヒルビリーの成功を妨げている。
・あまりにも多くの若者が、重労働から逃れようとしている。よい仕事であっても、長続きしない。支えるべき結婚相手がいたり、子供ができたり、働くべき理由がある若者であっても、条件のよい健康保険付きの仕事を簡単に捨ててしまう。
さらに問題なのは、そんな状況に自分を追い込みながらも、周囲の人が何とかしてくれるべきだと考えている点だ。つまり、自分の人生なのに、自分ではどうにもならないと考え、なんでも他人のせいにしようとする。
・本書で焦点をあてるのは、私がよく知っている人たち、すなわちアパラチアに縁のある白人労働者階級である。… 読者の皆さんには、本書を通じて、人種というレンズを通したゆがんだ見方をするのではなく、「貧しい人たちにとって、社会階層や家族がどのように影響を与えるか」を理解してほしい。
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・アパラチアン州立大学で、編入生のサポートオフィスの責任者を務めるジェーン・レックス。私と同じく労働者階層の家庭で育った彼女は、一族の中で初めて、大学に入学した。結婚して40年近くになる彼女は、3人の優秀な子どもを育て上げている。
なぜ人生を変えることができたのかと彼女に尋ねれば、安定した家庭が、将来をコントロールできる自信とやる気を与えてくれたからだと応えるだろう。そして、広い世界を知ることは、将来の目標を見つける力になるとも教えてくれるはずだ。「身のまわりにお手本になる人が必要だと思う。私の場合には、仲のいい友達の父親が、銀行の頭取をしていたの。その人は、ほかの人とはちがっていた。彼を見て、世の中にはまったくちがう人生があるのを知った。おかげで、自分の将来に希望を持つことができたのよ」
・効果的な政策を打ち出すには、まずは、私の母校の教師たちが日々感じていること、つまり、多くの生徒にとって、本当の問題は家庭内で起こっている(あるいは起こっていない)ことにある、という事実を認識しなければならない。
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解説より
・タイトルになっている「ヒルビリー」とは、田舎者の蔑称だが、ここでは特に、アイルランドのアルスター地方から、おもにアパラチア山脈周辺のケンタッキー州やウェスト・ヴァージニア州に住み着いた「スコッツ=アイリッシュ(アメリカ独自の表現)」のことである。
ヴァンスは彼らのことをこう説明する。
「そうした人たちにとって、貧困は、代々伝わる伝統といえる。先���は南部の奴隷経済時代に日雇い労働者として働き、その後はシェアクロッパー(物納小作人)、続いて炭鉱労働者になった。近年では、機械工や工場労働者として生計を立てている。アメリカ社会では、彼らは『ヒルビリー(田舎者)』『レッドネック(首すじが赤く日焼けした白人労働者)』『ホワイト・トラッシュ(白いゴミ)』と呼ばれている。だが私にとって、彼らは隣人であり、友人であり、家族である」
つまり、彼らは「アメリカの繁栄から取り残された白人」なのだ。
・本書に出てくる、困難に直面したときのヒルビリーの典型的な対応は、怒る、大声で怒鳴る、他人のせいにする、困難から逃避する、というものだ。
・「将来に希望を抱くことができない」。それは人の生きるエネルギーを殺す。 周囲の大人が、「努力しても無駄」と思い込んでいる場所で育った子供が、希望を抱けるはずはないし、努力の仕方を学ぶこともできない。
ヴァンスのように幸運でなかった者は、「努力はしないが、ばかにはされたくない」という歪んだプライドを、無教養と貧困とともに親から受け継ぐ。
この問題を、どう解決すればいいのだろうか?
ヴァンスは、ヒルビリーの子どもたちに、安心して学べる環境や、自分のようなチャンスを与えるべきだと考える。そして、悪循環を断ち切るのだ。だが、その方法については「私にも答えはわからない」と言う。
「(だが)オバマやブッシュや企業を非難することをやめ、事態を改善するために自分たちに何ができるのか、自問自答することからすべてが始まる」
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連続で当たり本。
アメリカは繁栄を象徴する国、アメリカの貧困層を占めるのは白人ではない、との勝手な先入観が全くの誤りだったことに気づく。
著者は「ラストベルト(さびついた工業地帯)」と呼ばれるオハイオ州の出身。ここは貧困層が多くを占める地域。健康診断を控えた母親から「クリーンな尿をカップに一杯くれないか」と頼まれる境遇。
カエルの子はカエル。貧困は下の世代に続く。著者はそんな環境から結果的に抜け出し、アイビーリーグのロースークルを卒業し今ではシリコンバレーの投資会社の社長を務める。本書はそんな著者の生い立ちを赤裸々に書いたものだが決して輝かしい立身出世録ではない。
貧困の環境から抜け出す者の共通項は、経験から教訓を学ぶこと、信頼できる家族がいること、そしてお手本となる人物から人生の選択肢や自分の可能性を教えてもらったことと述べる。
家族って何なんだろうと自問させてくれる書籍。
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ヒルビリー――アパラチア地方に住みついたアイルランド移民として生まれた著者とその家族の回想録。
著者自身これは学術書ではなく回想録だというが、「貧しい人たちにとって、社会階層や家族がどのような影響を与えるか」という実態はよく理解できる。暴言や暴力、アルコールや薬物の依存する家族がいる環境で育った子供はその性質を受け継いでいく。それは親もまたその親から引き継いだのもで、貧困が貧困を生む連鎖になる。
著者がそこから抜け出すことができたのは、祖父母、海兵隊での経験、そして後に妻になる恋人のおかげだ。祖父母はヒルビリーの中で育ちながら、そうではない価値観――勤勉さの大切さを教えてくれた。海兵隊では厳しい訓練を乗り越えた達成感が自信を与えた。恋人は、忌み嫌っていても自分にも受け継がれているヒルビリー的性質(うまくいかないことがあれば、激しい言葉を吐くかそうでなければ逃避する)に向き合い、支えてくれた。
著者は、この問題を解決するには政策だけでは不可能だと言う。例えば「勉強することは女々しいこと」という価値観は政策によってどうにかなるものではない。次いで、「自分たちが作り出して引き継いできた問題を解決できるのは自分たちしかない。そのために自分自身なにができるのか、自問自答することからすべてが始まる」と主張する。まさにその通りだ。自分も自分にできることをやらねば。
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貧困の原因の深さ。
その一方で、教育や誇り、愛情、努力がいかに大切なことなのか改めて感じた。
貧困の中で、決してよいとは言い難い生育環境ではありながらも、生きていく上で必要なそれらのことを学んでいたことは、著者にとって、後に大きな実を結ぶことになる。
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ヒルビリーとは、アイルランドのアルスター地方からアパラチア山脈周辺のケンタッキー州やウェストヴァージニア州に住み着いた「スコッツ=アイリッシュ」のこと。ヒルビリー(田舎者)、レッドネック(首筋が赤く日焼けした白人労働者)、ホワイトトラッシュ(白いゴミ)と呼ばれる、サブタイトルにあるようにアメリカの繁栄から取り残された白人達のリアルを知ることができる一冊。データ的な本かと思ったら、著者J.D.ヴァンスの半生記のようなものだった。ドラッグ中毒となった母親が高校1年の息子にクリアな尿を求めるといった凄まじいエピソードの数々。この地域を厚生する方法はない、と断言するその閉塞感、エレジー(哀歌)という言葉がぴったりと当てはまる。彼らは、素人の政治家であるトランプを支持した層だ。彼らの支持は、期待通りの結果になるだろうか。もはや、その答えは出始めている。
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トランプ大統領が、なぜ、一部の国民から、あそこまで支持されるのかが分かったような気がします。
アンチ・オバマの理由も本書で理解できました。
日本でも格差は問題になっていますが、日本より格差の大きな米国での実情は、もっと厳しい。
しかし著者のように、状況を覆すための応援や環境さえあれば、抜け出すこともできるのでしょう。貧困層をどのように導いていくかが米国の政策には必要だということがよく分かりました。
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この本は本当に読めて良かった
アメリカの中にある本当の貧困、格差
そして筆者の幸運
ソーシャルキャピタルのそもそもの必要性・活用法がわからないほどの貧困さ
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ケンタッキー州のアパラチア山脈東部地域の住民は自らをヒリビリーと呼ぶ。著者の祖母夫婦はオハイオ州へ職を得て移住。そこは現在ではラストベルトと呼べれ、白人労働者が明るい未来を描けない地帯となっていた。
本書は祖母や母のヒルビリーとしての荒々しい気性とラストベルトの希望の持てない環境で揺れる筆者のティーンエイジまでの様子を主に描き、最後にそこからどのように抜け出して成功を収めたかを加えている。面白いのはその最後の部分。コネクション、成功者たちのルールの部分。
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無名の31歳の弁護士が綴った自叙伝がアメリカで大きな反響を
呼んだのは2016年。イェール大学ロースクール出身の白人男性。
成功者であるとも言えるだろう。しかし、彼の出身はトランプ
大統領の強固な支持層とされる白人労働者階級だ。自身の家族
史を詳らかにし、育った環境を包み隠さず綴っている。
アメリカの生まれの白人でも、黒人や南米からの移民と同じように
苦境の中に生活する人たちがいる。
アメリカの製造業が繁栄を謳歌した時代、安定した雇用を求めて南部
から北部へ移住した白人は多くいた。誰もがアメリカン・ドリームを
求めて、その夢を果たせた時代もあった。
だが、繁栄は永遠ではない。製造業はより人件費の安い海外に転出
し、労働者は置き去りにされる。引っ越し費用にさえ事欠く人たちは、
その場所で生きて行くしか選択肢がない。
罵詈雑言と暴力が、普段の生活のすぐ隣にあるだけではなく、家族
への愛を口にしながらも家族間では絶え間のない軋轢が起きる。
著者が育って来た環境には驚くばかりだ。生まれた時、母は既に
実父と別離しただけではなく、次々と父親候補を連れて来る。その
母に殺されかけたことさえある。そして、母は看護師の資格を持ち
ながらも薬物依存に陥る。
映画のストーリーかと思うような現実が、世界唯一の強大国アメリカ
の片隅に、確実に存在しているのだ。
しかし、著者には逃げ道があった。母親代わりに著者を守ってくれた
5歳年上の姉の存在と、母方の祖父母だ。祖父母も強烈な個性の持ち主
であるのだが、この3人が身近にいたことと、高校卒業後の海兵隊への
入隊が貧困の系譜を断ち切ることとなった。
「おまえはなんだってできるんだ。ついてないって思い込んで諦めて
るクソどもみたいになるんじゃないよ」
祖母はくり返し著者に言ったと言う。生まれ育った環境を、自分では
どうすることも出来ないと思い込み、多くの可能性を封じ込めていや
しないかと思う。
それは本書に描かれている白人労働者階級だけではないだろう。私自身
もそうだし、日本での貧困層もそうかもしれない。一方で、自分の力だけ
でどうにかするにはやはり限界はあるのだろうとも感じる。
アメリカン・ドリームが本当に夢になってしまったアメリカ。それは
近い将来、日本でも確実に起きるはずだ。いや、既に起きているのか
もしれない。
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抜群におもしろい。
うちも貧乏だけど親戚はおらず核家族だから、ある意味賑やかな家族に囲まれていて羨ましい。子供のころ、悩みを親に打ち明けて答えてくれる習慣はなかった。その点、相談できる祖母がいるというのも羨ましかった