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じゃーん。
ひゅーん。かたたた。かちかち。
< Welcome to Macintosh. >
この瞬間のわくわく感は、マックに触れたことのある人にしか分かるまい。
一種の狂信者と揶揄されることもあった、マックユーザ達。
著者の山川健一氏は、そんなマックユーザです。
マックという魔法の箱と出会い、その魅力を伝えようと記されたのが本書。
1996年12月、という日付が、あとがきの最後に記されています。
あまり本の内容には関係ない事を書きます。
僕は、今この瞬間においても、史上最高のOSは「MacOS9」だと信じています。
その理由は山ほど有るのですが、あえてそれを一言でまとめましょう。
「共に歩むもの」であること。
マックとは、道具です。
但し、マックは血の通った道具でした。
通っているのは、本当は血ではなくて電気ですけどね。
マックは、"Computer"の概念を越えたところにありました。
本書にも書かれているように、マックには「哲学」があったのです。
その哲学に触れ、共感したものは全て、魅力の虜になりました。
僕が初めて購入したPCは、PowerBook G3でした。
新社会人になって、まだ日の浅い頃のお話です。
当時、40万近くしたものを、loanを組んで購入したのです。
今ではあまり起動していませんが、しっかりと動作してくれます。
Web surfingやmail程度なら、何の問題もなく、さくさく動きます。
マックには、困ったところも沢山ありました。
しかし、それらを補って、まだ余りあるほどの魅力に溢れていました。
僕の信念の一つ、「多くの欠点は、たった一つの美点で、魅力へと変わる」。
この信念は、マックに触れたことによって産み出されたものです。
誰もが持つ多くの欠点は、強烈な美点によって、魅力へと変わりうるのです。
Appleは、MacOS9をOSSとして公開すればいいのに、と思っています。
ごく個人的な話で恐縮ですが、MacOSXは、Macintoshとは認めたくないのです。
僕がAppleから離れたのも、MacOSXのreleaseと共に、でしたし。
まあ、原因はそれだけではないのですけれどね。
閑話休題。
本書の発行は、先にも書いたように、約10年ほど前。
日進月歩のこの業界において、10年というのは大昔です。
けれども、本書で扱われている内容には、まだ見るべきものが多くあります。
また、当時にしては、かなり先見性の高い記述も多く見つかります。
いつも思うのですが、Macintosh fanが書くMacの本は、本当に面白いものが多いです。
その理由は、マックへの愛情に他ならないのでは、と思ってます。
好きなものを、悪く書く事なんて出来るはずがない。
そして、好きなものについて書く文章もまた、くだらないものにしたいはずがないのです。
その結果として、上質な文章が産み出されるのではないのかな。
PCが日常の道具となり、今や必需品の位置にまで到達してきています。
携帯電話もまた、ケータイという名の情報端末に様変わりしつつあります。
だけど、どちらもまだ、Alan Kayの提唱した"DynaBook"には、まだ遠い。
それに一番近づいたのは、Macintoshであったと思います。
そんなマックの魅力を、徹底して説明した本書。
こんな時代だからこそ、一読してみるのも良いのでは、と思います。