「わからない」がわかる。
2004/06/28 00:38
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投稿者:鳥居くろーん - この投稿者のレビュー一覧を見る
「旅は
本来、目的地に着いてから何をするかが重要なのではない。
目的地に着くまでにどういう過程を経るか、それが大事なのだ。」
と、誰かが言った。
もしあらゆる人間の人生に共通する確実な到着地点がひとつあるとすれば、それは死だろう。それが幸せなものであれ、不幸せなものであれ、誰しも死ぬために生きているとは思わないだろうから、それを目的地とは言いがたいのだけれども。
それでもやはり、人生を旅にたとえるのならば、それは目指すべき最終地点だと思う。
「死ぬまでにどういう過程を経るか。」
そして、こんな大げさな言い方をするまでもなく、誰もが幸せに生きたいと願いながら日々を送っている。
ただ、どうしたら幸せになれるか常に試行錯誤をしているかと問われれば、おそらく大半の人間は「否」だろう。「なんとなく」「妥当な範囲で」「失敗しないように」日々を過ごすくせに、「読んでためになる本」があると聞くと喜んで飛びついてそれで満足したりする。
しかし、どうごまかそうとしても
『「何でも解決してくれる万能の正解がある」と信じていた二十世紀』の幻想は消え去り、
『人はたんびたんびに「わからない」に直面して、その疑問を自分の頭で解いていくしかない』という現実は、いやおうなしに私たちを惑わせ、苦しめる。
目的地だと信じていたユートピアを見失い、最後にはどうあっても「わからない」から逃げおおせられないというのであれば。私たちはそんな現実世界をきちんと目的地まで歩きとおす体力と知恵を学びなおすしかない。もちろんそれが生半可な道でないことは、彼が教えてくれることと思うが……。
まっすぐの高速道路を時速八十キロでとばして目的地に向かうか、方位磁針だけをたよりに徒歩で行きつ戻りつ目的地に向かうか、どちらの旅がすぐれているかは、私の知るところではない。ただ、「わからない」に対する解法は、それがどんなものであれ、人それぞれにオリジナルのものでなければならない、ということは、結局彼が身をもって示してくれた唯一のことだったように思う。
だからこそ、この本に「正解」を求めることは、その行為自身が「不正解」なのだ。
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眼からウロコです。
この薄さで 人生観変わるのかぁ と。
厚さ薄さじゃないんだよな。
当たり前だけど。
主体がどこにあるのかってことを ごくごくフツーに見直してみるきっかけになったな。
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「正解」を追い続ける20世紀病を過去のものとし「わからない」現実をどう生きるのか、そんな本。問題意識は僕も同じ物を持っていたので特に目新しさがなかった。なんかの新書で推薦されてた。
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要旨は前書きで語られている。それを250頁にわたって執拗に敷衍して行く。第三章に、何故今の若い女の子が乱暴な言葉を使うのか、のヒントがある。
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ジェンダーに関する理解が甘い気はする。ただその点に目をつぶれば、新書として上出来。「わからない」って、素直な理解度を認めるところからはじめなきゃね。
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私はいつの日からか、気づいたら「経験主義」だったのだ。でもそれをexactllyにうまく理解できてなかったと思う。彼の考え方は、まさしく私のやり方だった。私は彼ほど極めてはいないけど。頭じゃなくて、体で、身体で「分かる」「理解していく」ことって大事だと思っていたし、なぜそれが「変」という概念になるのか、そりゃもうしっかり言ってくれちゃってる。読み進めていて嬉しくなった。橋本さん(=筆者)、ありがとう。と言いたい。
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世の中わからないことばかりだし、「わからない」ということからスタートすることで、プロの人には出来ない視座に立てるという話。
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「わからない」という方法は
「分からないことを分からないと伝える」方法ではありません。
それでは編み物を教えることに挑戦した男の話からご堪能ください。
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[簡単に”わかった”と言えるような便利な”正解”はない」という一言が最初から最後まで言いわれ続けている名著です。
本を読んで「わかった」気持ちになってる自分は、「知ってるけどできない」頭でっかちの人間だよ、とマニュアルを探す人には読みたくなかった本ではないでしょうか。
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タイトルが好き。個人的には特に目新しい感覚でもなかったせいか、半分読み進めた時点でも本題が始まっていない感じがして読みにくかった。でも176頁「3.地を這う方法―桃尻語訳枕草子」から急に面白くなった。ということで、もし私同様に読み進めるのが苦痛に感じたとしたら176頁から、、、や、話のまとまりを考慮して146頁「天を行く方法と地を這う方法」から読んでみるのもいいかもしれない。前半で詰まって読むのを辞めてしまうのは勿体無いので。[2007年1月読了]
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どこかに正解が存在していて「わかる」ことが当たり前だった20世紀とは異なり、「わからない」が前提となった21世紀にどのように立ち向かうかについて著者独特の語り口で述べられている。一度読んだだけでは、何となくわかったような気になっていたが腹に落ちていなかったので再読。「わからない」という前提に立って自分なりの方法を模索するしかない。知らないことを恐れない。知らないのなら、それを改めて知ればいい。という辺りにこの時代における著者からのヒントがあると思う。
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「わからない」から「わかる」までもって行く作者の方法を懇切丁寧に説明しているので、確かにまどろっこしいのですが、「わからない」という返事の背景が思考の停止か、延々とした思考の継続かでずいぶん最後に出せる答えが違ってくるなあと思いました。
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自慢してるんだか謙遜してるんだかわからない口調が好感度が高い。
延々と同じことを書いてるし、愚痴愚痴愚痴愚痴という感じなのだが、書いてることにはハッとさせられる。
大変面白く読めて、新しい視点が持てるいい本。
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橋本治さん、二冊目に挑戦した本です。
なんのためにやるのか。という目的意識に縛られすぎた
現代の私たちを戒めるかのような一冊。
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橋本氏の話は、廻り諄い。
「わからない」とは、どういうことか?を何パターンも考えだして話をする。
気が短いヒトは「だからなんなんだ?」と言い出すだろう。
この本の中には<『橋本にとって』わからないとは、こういうことだ>、でその<わからない>をどうしたらよいか?の解決法は、ビジネス本やハウトゥ本ではないので明確にはされていません(少なくとも、この本を読んですぐ実践出来る訳ではない)。
その点を不満に思う方も多いみたいですが…でも。氏には…自分で考えろって、ずっと言われてる気がします。
他人から与えられる『一定の説』ではなく、自分が持っている知性と経験で導きだしてこいと。
そのための<思考の方法>というか、手掛かりを示してくれてはいます。
その方法っていうのはさ、早いとこ自分で見つけて、さっさと自立してくれよ…読者を甘やかさない作者は希有な存在だと思う。
この本を読んだ後<あなた>はどうするか?
本の中に答えはなく、それは宿題として読者一人一人に突きつけられた挑戦なのです。