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題名に宗教とあるが、宗教の入門書か何かだと思って読むと肩透かしを食らう。著者の教義の解説には間違いが多いとして避ける向きも多いようだが(断定口調にもその一因ありか)、本書の主眼は各国の社会や行動様式とその宗教の関係を考えるところにあるのであり、教義の解説にはない。教義を正確に知りたい人はその手の専門書にあたればいい。たった250ページの平易な文章で、アメリカ・イスラム諸国・インド・中国・日本の社会形成に宗教が与えた影響についてあれこれ考える契機が得られるのだから、大変お得な本だと思う。
一つ気になるのは、他の本でも著者が多く使用する論法。ある社会に古来Aという考え方があって、なおかつ現在はAと矛盾するBが観察されるとき、著者はAが否定されたのでなく、Bが要請されなければならないほどのCという別の考え方があったためだとする。これだとAは如何なる場合でも否定されないのでは、と思えてしまう。
例えば、中国では祖先崇拝(A)の考えが根強いため、男子をもうけ家系を守ろうとする意識が強いそうだが、現在はこれと矛盾する一人っ子政策(B)が施行されている(今後は緩和方向)。このことについて著者は、祖先崇拝の考えを覆い隠すほど「政治」の力(C)が強いことがその理由だとするのだ。だが本当にそうだろうか?結局は中国人の意識が、市場経済化によって「家族」<「経済」となったのだということに過ぎないのでは?中国人は「実利的」だと他の箇所にも書いてあることだし…。
とはいえ、これだけの濃密な内容をさらっと軽やかに読めるのは本当にありがたい。視野がガバッと広がること請け合いの一冊。
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全くの未知の世界であり、驚きの連続であった。
海外の情報はもとより、日本についても、時代背景と合わせて考えると、なるほどそうなんだと思える内容である。
それにしても、まずは食べることが何よりも大変で、生きることに懸命ですあったんだなあと思う。
その、心の支えであったり、統治の目的であったり、そこに宗教が存在したんだということなのだ。
果たして宗教とは?
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無宗教の立場の日本人(俺ら)の神の概念とか死生観って色んな宗教から要素を引っ張ってきていてカオスだなぁと改めて。
イスラム教等に対する偏見も言われてみれば偏見以外の何物でもないと読んでいてつくづくと。
全体的な印象としてはまさに宗教の入門書といった感じであまり深くはないし、独自の解釈が面白いといった種類の本ではなかったです。もっとビジネスとの関わり等に詳しい内容なのかと思って手に取ったので少し物足りなかったです。
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書き下ろしではなく橋爪先生のセミナーの書き起こしで構成されています。受講生からの質問と回答も掲載されていて、ライブ感を感じられるのはなかなかよいです。
肝心の内容は、キリスト教•イスラム教•ユダヤ教、さらにヒンズー教から中国の宗教観、最後に日本の宗教まで、それぞれの違いや考え方の解説となっていて、読み手のレベルに合わせて読み進めるうちに知識が(豆知識含め)補足される感じ、でしょうか。
新書の性格上、広く浅くの解説になっていますが、橋爪先生のお話はわかりやすいので、各宗教の成り立ちや対立点の理解、世界中の揉め事の理由がどこにあるのかのヒントにもなります。興味があれば楽しいです。
小室直樹先生亡き後、直接のお弟子さんである橋爪先生がこの分野の啓蒙をされることはとてもうれしいです。そんな私情も含め、とても意味のある一冊だと思いました。
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大学でも宗教の一般教養は履修したけど、これは本当に面白かった。理系大学の教授らしいサバサバした解説が、科学という思想に浸かってる今の僕たちの頭に染み込みやすいのかも。ガリレオのヒットもここにヒントがあるのか…?
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世界の主要な宗教についてが成り立ちから概説し、その宗教が現代の社会にどのような影響を与えているか考察している。儒教を宗教と考える理由、中国仏教、日本仏教がインド仏教から大きく変質している点等興味深い指摘が満載である。世界を理解するための基礎教養が得られる。
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わかりやすい。まるで著者の講義を受けているような、対話形式のわかりやすい説明。この本を理解するには、ある程度、聖書や宗教に関する知識が事前に必要かもしれない。
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キリスト教・イスラム教・ヒンドゥー教・儒教・仏教について、
その成り立ちと、国の発展にどう影響したのかを、
講師と生徒との会話形式で、分かりやすく論じる内容。
とかく日本にいると分からない宗教の影響の大きさを理解できるとともに、
実に色々な示唆の得られる本。
海外ビジネスに携わっている方にも読んで頂きたい1冊。
但し、書かれた内容はややレベルが高い。
ある程度、これら宗教について概要を理解している人が、
更にその理解を深めるために読む本だと思う。
全く知識のない人にとっては、1度読んだだけでは到底理解できないと思う。
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2013年21冊目。「世界は宗教で動いている」読了。
「不思議なキリスト教」に次ぐ橋爪著。イスラム教、ユダヤ教、キリスト教、仏教、ヒンズー教など、数ある宗教を端的に理解するのに役だった。そもそも宗教を論理的に理解するのは無理があるのだろうが、日本人が不思議に思う部分を、日本人にあったロジックで説明してくれるところが読みやすい。しかし、断定的な言い回しをそのまま鵜呑みにしてよいのかは疑問。宗教の概要だけを捉えるのにはちょうど良いかもしれない。
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世界の経済や政治は宗教と不可分だけれども、だからといってイスラムと過激派を一緒にしてはいけない。宗教というのは宗教単独で生まれ育ったものではない、ということが、現代日本に暮らすとわからなくなりがち。でも世界は宗教で、というか、宗教を背負ったり、もたれかかったりする人で動いている、のだ。
あのGodとこちらの神々の大きな違いと、そして神々を忘れかけてる国。それを思い出したら皆解決、というわけではないけど。
他者の拠り所を理解することは出来ないかもしれないが、知ろうとする分にはいいではないか。拠り所の無い人のほうが怖い。
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それぞれの宗教について、もう少し深いところまで書いてあるのかと思って期待しましたが概要的なことが書かれています。講義的なポイントでさらっとした内容です。
「世界は宗教で動いている」というタイトルでは、この本の内容とちょっと違う気がします。宗教で動くってことについてもの足りない。
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キリスト・イスラム・ユダヤ・ヒンズー・仏教・儒教・神道についての生い立ち、価値観についてわかりやすく説明されている。
宗教上の対立。
インド仏教が中国に伝わり日本に伝わった仏教の変遷。本来の仏教とは異質のものに解釈し独特の宗教として広がり今の日本に根付いた歴史は日本人としてしっておくものと考える。
中国では、国家体制維持のために独自の解釈により現在では少数派になっていることもうなづける。
常に世界では、宗教を理解したうえで相手を見ないといけないことが全宗教をほぼ網羅した当書によって整理できる。
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宗教についての本、のはずなのだけれど、この本で展開される内容自体が宗教がかっていて、論理的に宗教を論じるといった類いの本ではなかったので、読む気がなくなった。
なんていうんやろ、この本の決めてかかる感じ。逆にそれが宗教だ!と言わんばかりの。うーん。
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カルヴァン派がよって立つpredestinationの考え方が、徹底した個人主義と徹底した人間不信という帰結をもたらし、それゆえにアメリカは法の支配する国となり、弁護士がいっぱいいて、裁判だらけになるんだって。
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ちょっと?と思い自分で調べてみたい箇所がありましたが、全体的に各宗教についてわかりやすく要点がまとめられています。
ただ、多少宗教についての基礎知識がある人のほうが楽しめるように思います。
前半は受講生との講義形式っぽく進みますが、後半に行くにつれて受講生の発言がどんどん少なくなっていきます(思い出したころに急に出てきたりする)。