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岩波文庫売上ベスト10の常連と言っても
過言ではない、はず。
明治~昭和初期の庶民の肉声を
自然なかたちで捉えている、
宮本の仕事の、ひとつの優れた成果
であることはもとより、
「マジで!?」必笑必驚の逸話満載。
よく、今の繁栄を築いたな~日本人。
別の国じゃねぇの~。
著者宮本のトボけた真面目さも
なんだか可笑しみがある。
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民俗学の名著といわれる一冊。
宮本常一はいつも日本全国を歩き回っていた人で、その代表作といわれる著作です。
最初から「対馬にて」で始まり、ワイフの生まれた地、対馬の長老たちから聞いた話がある。そこで書かれている昔の村々での生活の様子は、知っているわけでもない私にも容易に想像できる、とても日本的で原風景なるものだ。
この最初の対馬の章に、昭和26年に渋沢先生のお供で佐須奈へ調査に行き、村の娘たちが歌舞伎踊りを見せてくれたという、昔は盆踊りの時には掛け合いの歌合戦があった。しかも熱が入ってくると卑猥な内容が多くなってきてたいへん熱狂したという。・・・・この「佐須奈」というところが、うちのワイフの生まれ故郷なのである!ということは宮本常一らの対馬調査の時に義母さんも会っている可能性があるのではないか・・・びっくりしてワイフに聞いてみたが、その当時は親も佐須奈には居なかったのではないか、ということでした。
それにしても佐護川の舟を繋いだ渡しなど、義父さんも知っているようなくだりもあって、親近感に興奮してしまった。
この本は対馬の話だけでなく、各地を歩き昔の様子を聞いた話を幾つか集めてあるのであるが、とても面白く思ったのは、昔話の聞き取り・記録にとどまらず、今で言うと宮本常一の旅のエッセイのような雰囲気がある。村人との出会い、森の中の道を歩いていると・・・・民俗学の書というよりは、「旅人の視点」のような書き方が随所にあって、この人の本質的な部分が垣間見えるところが実に面白い。
私も名著だと納得です。
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民俗学の授業で「宮本常一が『忘れられた日本人』において、全盲の老人の一生を描いた話をなぜ「土佐源氏」と名付けたのか考えてきてください」という宿題が出たので買ったもの
まず「土佐源氏」を読む
…
源平の方の源氏かと思ったら、光源氏の方の源氏かよ!?
何かエロすぎないですか
てゆうかこれそっちの話しかしてないんですけど…?
土佐に住む老人が自分の一生を語り、著者がそれを記述するという形になっているんですが、ほんとにそーゆー話ばっか…
この老人が土佐に住んでて、若いころから大勢の女と関係を持ったのが光源氏に似てるから「土佐源氏」なのかなあ…
そうとしか考えられない
あ、老人の晩年がひっそりした生活だったっていうのが、光源氏が伊勢のあたりに流されたことと似てるっちゃあ似てる…か…?
この宿題が出てから何回か授業があったんですが、先生から答えの発表はまだありません
何だったんだ…
「土佐源氏」を読んだ後、最初に戻って最後まで全部読みました
寄り合いについての話が面白かったです
嫁に厳しく当たらないために、姑たちが集まって愚痴を言い合う集まりとか
あと、昔は夜這いの文化があったとか
「いい女がいると聞けば山を越えてでも夜這いに行った」とか
昔と言っても最近ですよ
明治・大正くらいかな?
民族学はエロスの歴史なのか?
しかし宮本先生はすごい
この本を読んでるだけで、彼が「歩く巨人」と言われた所以が分かります
そんな僻地まで!?という…まあ僻地にこそ民族学の題材は転がっているんでしょうが…
面白かったです!
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浦野所有。
民俗学者・宮本常一の代表作。日本各地の農村・漁村を訪ね歩いた氏は、果たして何を見ていたのでしょうか。氏の視線がありありと伝わってくる1冊です。
民俗学や口承、伝統的な農耕・儀礼などに興味がある人はぜひどうぞ。
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何度読み返しても、そのたびに新しい発見と感動、感慨が得られる名著。
勧めても誰も読んでくれないけど、
懲りずに本の好きな人にはどんどん勧めたい。
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20年以上前、モグっていた大学の授業で課題図書になっていた本。ずっと書棚に死蔵状態だったのをiPad用に「自炊」する中で再発見・再読中。面白い。いや、むちゃくちゃ面白い。
で、読了。
元来、社会学系の「フィールドワーク」にはあまり興味を持っていなかった。でもこの本を若い頃に読んでいたら社会学系の勉強をしてみたくなったことだろうな。なぜか戦争関連の「ロマンチック」な本だと思い込んでいて、永らく読まずにいたのが悔やまれる本。
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日本の辺境に生きた忘れられた人達の物語。
民族学者・宮本常一の代表作。
著者は戦前戦後にかけて日本中をくまなく歩き回り、地方に残る民間伝承などを調査した。その中で対馬や四国の山奥など辺境の地に生きる老人達のオーラルヒストリーを集め、編集したのがこの本です。
歴史では、事件や事故などの出来事や政治経済などの大局的なものは記録されますが、一般市民の生活といったものは、記録の価値が低いとされて、なかなか記録に残っていません。著者は、そういう人達の生活に注目し、民俗学的な見地から考察します。
昔の辺境に暮らす日本人達がどのような生活をしていたかを知る一冊です。
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何がいいって、昔の人と今の人の日常的な意識の違いがよく感じられる。現代の抽象と思考をこねくり回す醜さを持たず、しかしあまりに生々しく、どっぷりと世界に浸かっている。日本民謡と、相対性理論の音楽くらいの距離感。昔を賛美し懐かしむと色々批判されるけど、こういう意識のモードで生きた人々がいたんだ、ということは今の自分達について色んなことを教えてくれる。
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どんな取るに足らぬタレント本ですら誰かがケチをつけるこのご時世に「誰も批判的な視点で語らない本」というのが、ごく稀にあります。
本書はその稀少本のひとつ。
誰もが“なぜか”賞賛する本です。
批評精神に富むかたはぜひ挑戦されるとよいかと。
近親憎悪や嫌悪感をもよおしこそすれ、脊髄反射お子ちゃま感想文以外で反発するのは難しい本です。
内容に肉迫したリアリティを感じはじめられたら、立派なニッポンのオトナになれた証しなんでしょうね。たぶん。
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いくつかの示唆に富んだ、文字通り名著といえると思う。
同書は基本的には老人への聞き書きで構成されている。
エリアは主として西日本。瀬戸内海周縁が多いだろうか。
こういう言い方もナンだが、名もない、その辺に村に住む老人の生涯を
とても丁寧に聞き取ることで、その時代の習俗が鮮やかに甦る。
殊、印象深かったのが、唄とセックスの風俗。
明治から昭和初期にかけての男女の固定観念としての貞操感を覆す。
そのセックスについてまわる唄の巧拙と女を落とす関係。
この辺は、習俗の記録として、非常に価値ある記述と思う。
だが、何よりも全体を通じて記録されているのは、無字文化の伝承。
ここに登場する老人の大部分が文字を読めないし書けない。
つまり、著者が老人のもとを訪ね、その話を書き取らねば、
ここに書かれた全てが絶たれてしまう。
その意味で、忘れられた日本人、とのタイトルに一層の重みが増す。
有字だけでなく、大部分のこうした無字文化の堆積によって、
僕らの生活は成り立っているのだと感慨深くなる。
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あなたが日本人だったら絶対に読むべき本。この間までの日本人ってみんなにもおおらかだったんだ。戦後教育でできた軽くて薄っぺらな自分たちが、情けなくなるかも。現代日本で得たものも多いが、失ったものは、それ以上にも感じてくる。朝日新聞2010/10/27付秋の読書特集では、四人のうち二人が必読書として挙げている。南木佳士さん「読んでおかないと損だ」。佐野眞一さん「読んだ時の感動は今も忘れがたい...長い間醗酵する本だ」。
自分のDNAが呼び覚まされるかも。読むべき。
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寄り合いでは何日もかけて話し合っていたとか、昔の日本の女性たちの開放的な「エロばなし」とか(ほんとに驚いた)、知らないことばかりだったので読みごたえがあった。自分も西日本の田舎のおじいさんやおばあさんに話を聞いてるような感覚。
【心に響いたことば】
「女たちのはなしをきいてエロ話がいけないのではなく、エロ話をゆがめている何ものかがいけないのだとしみじみ思うのである」
「私のいちばん知りたいことは今日の文化をきずきあげて来た生産者のエネルギーというものが、どういう人間関係や環境の中から生れ出て来たかということである」
あとがきにあった「民族学の旅」からの引用
「いったい進歩とは何であろうか。発展とはなんであろうかということであった。すべてが進化しているのであろうか(中略)進歩に対する迷信が、退歩しつつあるものをも進歩と誤解し、時にはそれが人間だけではなく生きとし生けるものを絶滅にさえ向かわしめつつあるのではないかと思うことがある。」
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昭和前期の、主に西日本の老人達の語りから古き日本人の姿をうかびあがらせた作品。
難しく書いてあるけれど、作中の半分はセックスな話。
貞操観念が今とは著しく異なる時代の話は面白く、その時代に成立した愛情にも魅力を感じる。
あとは、民謡とかそういう話。そっちはあまり面白くなかったです。
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一編一編がとても味わい深く、また時間をおいて読むことが約束された作品である。表題のとおり、今ではほとんど見ることもできない生活や風習が活き活きと描かれている。決して豊かとはいえない暮らしであったろうが、タイムスリップしてでも訪ねてみたい世界である。
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民俗学の研究者が日本を旅して見聞きしたことを書いた本。戦後間もない頃の日本の田舎の人達の生活や伝統・知恵などが書かれている。