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カバーイラストと題名で買いましたが、衝撃です。
今ある常識は、過去にも未来にも、一貫してあるものではないということを突きつけられます。世界に立っているのだから、国が違えば常識も違う、考え方も違うとわかっいたつもりになっていたっていうことを、確認した感じです。
10人産んだら、一人殺せる。
人口減少のための、命を生み出すシステムとして「殺意」が導入されたという設定がすごい。
そして、出産が刑罰のレベルってのもすごい。
この本を読むと、きっと誰もが、今殺したい人を心に思うかべるんじゃないかと思う。自分の時間を犠牲にしてまで、叶えたい思いなのかどうか。
設定が独特なので、他の本を読んでみたいかも。
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久しぶりに小説読んだー。出産って言葉にとりあえず飛びつくのは職業柄。エキセントリックな設定が静かに進んでいく、好きな雰囲気。極端に振り切れたところから、本質に迫る問題提議や矛盾や違和感がじわじわ炙り出されてる感じ。なんか引っかかる読後感もいい。これ好きー、って思ってる間にあっという間に読み終わった。
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この衝撃、恐怖は乙一以来!
読んでいくうちに、自分の常識の感覚が正しいのか、読んでいる文章が本当は常識なのか、わからなくなってくる。
こういう日がいつか来るかもと思ってしまう。
発想がすごすぎて、唯一無二なのではないかと思う。現代の社会にマッチしすぎているのも怖い。
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短編集です。
「殺人出産」
少子化対策の一環として、10人産んだら1人殺せるようになった日本の話。
殺人出産は、どうして人を殺してはいけないのか、死ぬことは何かについて考えさせられる話でした。
「トリプル」
「カップル」ではなくて三人で付き合うのが流行っており、主人公の若い女の子も男の子二人と付き合っています。男の子二人もお互い付き合っていることになるんですね。
「清潔な結婚」
「家族」なのだから男女関係なんて気持ち悪いと考える夫婦が子供を考えて、とあるクリニックを訪れる話。
「余命」
科学が進み、蘇生技術がかなり進歩した世界。
人は自ら死を決め始めます。
死に方を考えて自ら薬品などで死にます。
生と性がテーマになった濃い話ばかりでした。
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「しろいろの街の〜」がよかったので、同じ作家の本を探して、設定が面白そうなこの本を手にとった。
殺人は悪だけど、テロ組織を殲滅したら正義なわけで。常識なんて、今の、ここの、限定的なものだというのはよく言われることだけど、僕もがっつり作り上げられた社会の常識に洗脳されている。良いとか悪いとかではなく。
だけど、考えることは大事だと思う。
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いつか世の中が変わって、
生と性の概念が変わってしまったらどうだろう。
という、作者の創造世界が炸裂していて面白かった。
今とは180度変わってしまった概念や道徳観でも、
読んでいるうちに、まあそれも有りかもなと思ってしまったり。
4つの短編の中で、清潔な結婚はラストの意味するところがよくわからん。もうちょっと続きがあってもいいのにな。
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4つの短編から成る。
表題の「殺人出産」が一番長くまた楽しめました。
近未来の話で10人出産した「産み人」は人を1人殺す権利が与えられる。
設定がありそうでありえない形でそれを未来でなく現代の世界感に合わせていて、読みやすかった。
他の3作品も設定が秀逸。よくこんなこと考えるなという感じです。
ただ、「殺人出産」以外の3作品は結末が物足りなかった。
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10人産んだら1人殺せる「産み人」という社会システムに好奇心をもち購入。殺人や出産システムなど「正しい」とされていたことが時代により移り変わっていく、そんな短編集が3つ収録されている。社会制度としての「産み人」という発想は面白いが、どこか文学的で、制度としての面白さより情緒的な物語な点で好みから少し外れた。
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子供を産まなくなった社会で新しく生まれたシステム。
10人産めば、1人自分の手で殺していい。
公的に認められた殺人と殺人がもたらす救済的効用。
殺せるという事実が逃げ道になる。
そしてそれが新しい正義になった。
人は新しい正義に価値観を犯され続けて生きている。
生や性や死は完全にコントロールできるようになると瑣末なものになってしまう。
趣味的なものになってしまう。
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価値観が反転していくアハ体験を味わう究極の4編。
表題の「殺人出産」は正義と倫理について執拗に描いている。花と昆虫食と殺人と出産というモチーフを何度も対比させ、制度や常識といったシステムの脆弱さを炙り出そうと試みている。
「トリプル」は信仰の話だと思った。性愛と常識という一番遠いようなものが実は最も肉薄している、生々しい描写だからこそ“正しさ”が際立つ。
「清潔な結婚」、これも価値観の反転。産むのは旦那様のほうなのだ!“排出”という言い方に少し笑う。
「余命」は星新一を彷彿とさせる掌編。
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村田さんの本はいつも
テーマに惹かれて手に取ってしまうけど
どうにもこうにも気持ち悪くなってしまう。
汚いところもしっかり描かれてるからかな。
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生死・性愛のあり方を根本からひっくり返す短編4編といったところ。数日の間引き摺る。眠れなくなりそう。
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消滅世界と同じような世界観。現実世界の設定を一部極端にすることで異様な世界になる。表題作ともなった殺人出産は出産が人口維持、増加のためであるという経済的な要請を極端化したものであるし、清潔な結婚なども夫婦は家族であるという設定を極端化している。それはそれで設定としては面白いのだが、小説として優れているかといえばそんなことはなく、再読には耐えられないレベル。この調子だとネタ切れした時に厳しい気がする。
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『消滅世界』→『コンビニ人間』ときて、こちら。
気分の良い小説とは言えないかもしれないが、消滅世界をおもしろく感じた方は問題なく読めると思う。
どのお話も設定が秀逸。ありえないけれど、百年後や千年後もありえないかと言われると否定はできない。そして、ちょっと魅力的にも感じてしまうところがある。そんな話ばかりだった。
「殺人出産」
表題作。ページのほぼ半分が使われていて、じっくり楽しめた。
10人産めば1人殺してもいい。犯罪者は男も人工子宮をつけられ産む機械となる世界。
蝉スナックが良いアクセント。実現してくれるなよ、と思ったが。
同僚のなにも言わず死んでいった女の子は、内面はどんな子だったのだろう。
殺人シーンは読めるか不安だったが、相手に意識はなく、まるで芸術のように描かれていたのもあって、すんなり読むことができた。
「トリプル」
2人で付き合うカップルではなく、3人で付き合う「トリプル」が流行っている世界。
3人でするセックスのやり方はちょっと・・・と思うものの、これは実際にいるかもしれない、と思える。
カップルのセックスに嫌悪感を覚えるのは消滅世界でもあったが、これも分からなくはない話だ。
「清潔な結婚」
消滅世界にも通じる、不倫肯定。そもそも不倫なんて言葉が存在しないか。
まるで兄妹のように過ごす夫婦。そういう家庭には憧れる。
子どもが欲しくなったら、病院で人工授精・・・現場を想像すると滑稽ではあったが、もっと上手くやってもらえたら、流行りそう。
「余命」
不老不死が可能となり、自分で死に方を選べる世界。
短かったが、とても好きな雰囲気で、羨ましいとすら思える話だった。
苦しくない死に方もどんどん開発されて、パフォーマンスのようになったりして。
今までにはなかったタイプの作家さん。
他の作品も、今後の新作も読んでみたくなった。
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コンビニ人間の前に読んでいたのだけど、同じ作者さんだとは知らなかった。
淡々と進む。さくさく進む。
人を殺すために人を産む。別に、悪い事じゃない。権利を行使するために義務を果たす。