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紙の本
実母の存在を問いかける相姦物語
2017/04/02 18:42
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:DSK - この投稿者のレビュー一覧を見る
父母の離婚により離れて暮らすことになった実母に異性の愛情を忍ばせる大学生の主人公。それが元で義母とはぎこちないのだが、紆余曲折あって最後は心身共に関係が固まる話である。ここ最近の庵乃作品で顕著だった「ガニ股・剛毛・デカ乳首」は影を潜め、爆乳を除けばオーソドックスなヒロイン像と言えるが、主人公の友人が急に転校した過去の経緯には主人公の知らぬところで実母が関係している。
義母【真紀】33歳
男女の立ち位置こそ逆だが相手の自慰を偶然目撃してしまう発端は高竜也作品を彷彿とさせ、その後の気まずい状況を友人の熟女に相談するのは牧村僚作品によく見られた展開。偶然とは思うが往年のフランス書院文庫作品を踏襲するかのテイストが盛り込まれるのは興味深いところである。奥ゆかしさの中に義息たる主人公への愛情を忍ばせ、一度は生じた距離を埋めて深く結ばれるまでが淫靡な官能と共に描かれている。
実母【景子】42歳
離婚後の起業で成功して今はスーツ姿もビシッと決まるクールな美女。息子たる主人公への溺愛は変わらず、真紀へ配慮しつつも仲の良さを隠せないでいる。真紀と主人公の密戯に遭遇して一旦は引き離し、実母相姦の扉を開けてしまうのだが主人公の気持ちが次第に真紀へ傾いていることを知って悩む。この悩みは女としての対抗心であり、実母として背徳の関係を結んでしまったことであり、そして過去の経緯も絡んでいる。
友人の母【裕美子】38歳
主人公の友人の母であり、ママ友として景子とも仲良しだったが過去の経緯によって絶縁状態にある。この「過去の経緯」により昨今のいわゆる一竿至上主義的なテイストにあって直接の官能描写こそないとはいえ景子に主人公以外の男の存在を纏わせたのはエポックメイキングと言える。今は真紀の良き相談相手になっている裕美子だが、遺恨のある景子に対して意趣返しの機会到来とばかりに真紀へ背徳のアドバイスを送る。その意味では悪女担当なのだが、後には主人公を巡る2人の母を繋ぐ蝶番のような役回りも担うこととなる。
合体へと至るのは意外に遅く全体の折り返しを過ぎた辺りから。義息との距離を縮めようとする真紀や挑発含みな裕美子の戯れが前半を占めているが、真紀が覚悟を決めて以降の後半はドラマとしての動きもあって官能成分が高まり、これに景子も加わっていく。
最後は実母から義母への母として、そして恋人としてのバトンタッチを果たす試練の3Pから裕美子を交えた4Pへと発展していくのだが、血は繋がれど成長した息子を送り出すのが実母の役目とする母の矜持を盛り込んだことが物語の肝になっていると言えよう。この共通認識と相互理解によって景子と裕美子の溝もまた埋められたのである。
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