ｉ・ショウジョ＋ カラー版 14 みんなのレビュー

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投稿者：求道半　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

意地を張って素直になれない高校生の恋を、数多く後押ししてきた魔法のアプリの秘密が明かされる最終巻は、何度となく、それに干渉してきたパームズという組織の成り立ちから、その目的、そして現在の状況を語る事に、大部分を費やす、異色の構成である。
　それは神話的かつ超常現象的な歴史の叙述と魔法のアプリの誕生秘話であり、前巻までの平凡な高校生の恋愛相談とは、一見すると関わりのない夢物語である。しかし、最後まで読めば、その内容が、本作の屋台骨である事が、自ずと分かる仕組みになっている。
　もちろん、本巻でも、様々な愛の情景が描かれるのだが、主体はその裏返しの狂気であり、舞台である威風音学園の日常の光景からは考えられないアクションシーンが満載で、本来は魔法のアプリの説明書であるアイビスが、体を張って闘うのだ。
　書き下ろされた最終話は、単行本を買わせる目的で急遽、付け加えられた、箸にも棒にもかからない、少女の裸が溢れているだけの子供騙しだ、と勘違いして買い逃すには、勿体無い、本作の評価を高める、適切な総括であり、性的な描写の技量でのみ作者の力量を推し量っていた読者の目からは、必ず、鱗が落ちる、奇跡的な逸話である。
　他の単行本とは収録内容が異なるとは言え、毎回、恒例の女の子の裸は、本編への加筆や最後のおまけで、遺漏なく、情報公開されており、おまけ自体も、登場した女性陣のスリーサイズの一覧や、各学年、各組別の集合写真風の紹介などの、最終巻ならではの趣向で、本編に花を添える。
　週刊少年ジャンプに掲載された第一話から紆余曲折を経て、最終的にこのような形で、幕を下ろすとは、心底からの驚きであり、実質的には全十七巻の本作の結末に至る最後の数コマで囁かれる、愛の言葉を、多くの人に、聴いて、もらいたい。