紙の本
やはりそうか、では済まない。
2012/11/03 12:44
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投稿者:ポテトフライ - この投稿者のレビュー一覧を見る
世の中とはこんなものさ、とか、やはりそうだったのか、とか、さも世間が分かったかのような言葉で逃げてはいけない。特に、三月十一日を経験した後の私たちはこういう現実を正面から見つめなくてはならない。何かを考えるには感情に流されず、できるだけ事実に基づくべきだ。その事実の一端がこの本には書かれている。柏崎原発だけの問題にとらわれない続編を書いてもらいたい。
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あとがきにも書いているように、本書は原発の是非については触れていない。
賛否の立場を明らかにしない分、語りの推進力は他のノンフィクションに比べると若干弱いところがある。
それでも、原発稼働に至るまでの過程や、チェック機関の構造的問題などを明らかにしているのは有意義だと思う。
新潟県内の新聞に掲載された記事を再編集したものなので、住民目線に立った語り口が印象的だった。東京に住んでいる私としては、供給地と消費地の原発に対する心理的距離などは考えさせられるものがある。
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二〇〇七年七月十六日、中越沖地震によって東京電力柏崎刈羽原発で動いていた原子炉がすべて止まった。設計時の想定を大幅に上回る激しい揺れに襲われ、広範囲な被害やトラブルが続発。「安全神話」が大きく揺らいだ。世界最大の原発集積地で起きた非常事態は何を意味するのか。深く検証し、断層が走る地震国・日本の「原発」を考える。2008年度日本新聞協会賞、日本ジャーナリスト会議・JCJ賞をダブル受賞。
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にわか知識用の本、No,いくつ目だ?
新潟の地元新聞が書いているので、非常に「地元密着」で地元の人の動き、気持ちが見えやすい。
ですが、大枠は全部一緒。
そんなにしてまでいい思いがしたいんですかね、、。
同じ人間として、不思議としか言いようがありません。
きっと人種が違うんだ。。。きっとそうだ、。。
http://uchidashin1.blog117.fc2.com/blog-entry-29.html
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原発というのは完全に安全性を追求してつくられたものではなかった。
利権が絡まり、地震の専門家の話をききいれず、肩書きを利用するだけで、立てる前提ありきで進められてきたもの。
恩恵を受けている面があることは否定しないが、事実を隠され、または捻じ曲げられて安全性を謳ってきた東電は、やはり非難されるべきだ。
覚悟の上で原発を利用するのと、騙されているのとでは大きく違う。
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原発について考え続けている。本書は主に2008年にまとめられ、2009年に出版された本である。
原発建設予定地の土地購入問題や活断層の評価をめぐる裁判など、議論があっちにいったりこっちにいったりするところがあり、高村薫や石原都知事のインタビューも混じり、まさに「新聞のスクラップブック」みたいな本で読みづらい。が、そのことはマイナーな問題である。
2008年の段階で原発は大きなジレンマだった。特に地方にとっては原発がある不安となくなる不安に悩まされていた。東京都など都市部は増大する電力需要と、安全面は地方任せというジレンマを抱えていた。今この本を読むと石原知事がなぜ「天罰」と呼んだのかようやく理解ができるような気がする(必ずしも賛意は示せないけど)。新潟や福島の人たちの安全不安のうえに、東京都の人たちは安全で快適な「電気のある生活」を甘受していた。そのことを見て見ぬふりをしていた。このことを石原は苦々しく思っていたようだ。それは、そうであろう。
さて、2011年の今である。中越沖地震では、緊急停止した柏崎刈羽原発を「安全」と呼ぶか否か(運転再開可能かどうか)が議論の焦点であり、住民、関係者の悩みであった。今、このような筋立てで議論を行うのはもちろん不可能だ。もはや原発が「安全上問題なし」と主張する人はさすがにいないだろう。火力発電が「安全」というわけではない。事実、化石燃料は今回の地震でも大きな火災を起した(コスモ石油)。しかし、地震の後の化石燃料の燃焼は一時的な被害で済む。原発がもたらす被害とのconsequenceの差は大きすぎる。「原発は実害を起こしていない、津波のほうがずっとひどい」と主張していた人も、原発のもつ時間的な問題に次第にトーンダウンした。しかし、原発のジレンマの構造そのものが消えてなくなったわけではない。その構造は2008年のときと同じである。
2008年にはまだ民主党政権はなかった。このようなジレンマとしがらみが政策を決めていくのであれば、誰が政権を担当しても同じような判断しかできなくなる可能性がある。そのことは、すでに沖縄の基地問題で露呈している。
大切なのはまなざしである。僕らが向けるまなざしは、自分たちの子どもや孫の世代がどういう生き方をするかというまなざしである。今のそれではない。今後100年、原発は地震や津波を無難に乗り越えることができるような「安全な代物」だろうか。僕には懐疑的だ。そのような主張は、2007年の中越沖地震でもなされたが、あっさり覆されるのにほんの数年しか要しなかったのだから。とはいえ、今後100年を石油や石炭のような化石燃料に依存し続けるのも困難である。というわけで、自ずと選択肢は収斂されてくる。政治家と官僚はこれまでとは異なるまなざしと語り口で、未来を見据えたまなざしで、ジレンマとしがらみがどろどろずるりと政策を決めてきた過去とは異なる政策の決め方をする必要がある。本書の中で高村薫は半世紀くらいかけて原子力の代替エネルギーへの置換を提案している。50−100年くらいのスパンでエネルギー源転換計画を立てるというのは、理にかなったことだと僕も思う。
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それは分かるのですが、反原発=正しい のでしょうか。
それで終わらせることができるなら良いのですが。
私はどちらにも反対だし賛成です。ずるいけど。
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2007年の中越沖地震によっておきた原子力発電の事故を契機に新潟日報社特別取材班が行った長期連載を単行本として2009年1月に発行された本である。原子炉は緊急停止し冷却も安定的に行われ環境への放射能漏洩がそれほどおおきくなかったが、変圧器の火事により黒煙ががでている映像が流れ、地元民の不安は高まった。この事象から学んでおくべきだったというのは結果論にすぎない。
斑目、勝俣、清水などおなじみの面々も登場している。柏崎全停止だけでも東京電力にとってそして地元にとって痛手であったこともよくわかる。
また、原子力発電のかかえる様々な問題が要領よくまとまっている。ただその後のフクシマのような大量に放射性物質が漏洩したらどうなるのかまでは想像は及んでいない。この本に限らず もし重大な事故が起こったら大変なのにその危険性を顧みている程度が低いと指摘しる本は多かった。危険性をより具体的なものとして想像することはむずかしかったであろう。
我々は危険性を程度と確率をかけあわせたものを天秤の片側に、そして発電によってえられるものをその反対側においてよく針がどちらにふれるのか見ないといけないと考える。
メリットとデメリット双方を勘案するというやつだ。ところがデメリットの方は定量的に測りしえないのである。
天秤などにのせるのは土台無理な話なのだ。
それにこの本をみると誰も天秤に乗せていないことすらみえてくる。
安全審査も訴訟もすべてレトリックのかなたに消えてしまっている。
先の大戦の失敗や日露戦争のノモンハンが想起される。
アパシーこそ すべての敵である。
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二〇〇七年七月十六日、中越沖地震によって東京電力柏崎刈羽原発で動いていた原子炉がすべて止まった。あわやメルトダウンまでいったといわれるこの事件を、地元紙記者たちが詳細な取材を重ねて著したものです。
この本を読みながら2007年の段階で、すでに警告があったんだな、ということを考えずにはいられませんでした。この本は2007年の7月16日に発生した中越沖地震に伴い。 東京電力柏崎刈羽原発で稼動していた原子炉がすべて停止し、あわや大惨事までいったという事件を地元紙である新潟日報社が詳細な取材を積み重ねて書き上げたものであります。
この段階で原発における「安全神話」は大きく揺らぎ、その後でも事件を総括する動きのてんやわんやさが全編にわたって描かれているということと、数少ない「地場産業」である原子力発電所にしがみついて生きている住民たちの不安な声が巻末に挟みこんであって、これを読みながら、原発をこれ以上維持するのは難しいかもしれないが、「国策」の名の下に原子力政策が進められて、その過程の中で生業を営んできた人間は一体どうすればいいのか?という疑問と、この事件を取材、総括しようとする新潟日報社の記者たちの丹念な仕事振りが積み重なっていて、こういうところにマスコミの「良心的な」部分がまだ残っているのだ、というかすかな希望を抱きました。
断層が縦横無尽に走る日本で原発を動かしてきた事実。この事件と「すでに起こってしまった」福島の原発事故をもう一度検証するのは、私たちにとって有意義なことであるのは疑いようもないと考えます。
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二〇〇七年七月十六日、中越沖地震によって東京電力柏崎刈羽原発で動いていた原子炉がすべて止まった。設計時の想定を大幅に上回る激しい揺れに襲われ、広範囲な被害やトラブルが続発。「安全神話」が大きく揺らいだ。世界最大の原発集積地で起きた非常事態は何を意味するのか。深く検証
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今回のフクイチの問題点がもう既に4年前に出ていたのだ。◆今回のフクイチ事故で出た裁判のことや国と自治体の対応、東電の当事者能力のなさなど、同じ失敗を二度繰り返したということか。◆◆日本の原発がターンキー契約である課題もここで挙げられていた。◆今まで読んでいる古い原発関連本は、全て問題点を的確に指摘してたのか。◆◆保安院の斑目委員長がこの本では結構まともに回答しているが、それ以降変わっていない原子力村の現実。一体何なんだ。
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この書籍は、中越沖地震に関連で起きた「揺れ」による、「東京原子力発電所 柏崎刈羽原発所」の原因・対処の警告・提案です。