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徳川の終わりの時代に日本から飛び出して米国そして欧州へと興行した曲芸師たちのお話でした。ある高校の生徒の読書記にこの本の紹介があり、図書館で調べてみるとずいぶん古い本でした。高校生がこんな本を読むなんて…とまずはそこでビックリです。
言葉以外の文化の違いに翻弄されながらも訪れる先々で大入り興行を続ける彼らの強さ、もしかしたら江戸時代の日本人の強さを強く感じる作品でした。女郎買いの記載がとても多く、この時代のお金のある人には日常の当たり前だったということがわかりました。火事にあったり盗人にあったり女郎に逃げられたり、当人たちにとっては誠に難儀なことでありますが、通勤電車でつい吹き出してしまうところもありました。
主人公のこの時代の言葉での表現が沢山あって、この高校生がよくこの作品を読み切って、そしてよく感想を書いたものだと感心しきりです。
読了し裏表紙をみると、この作品が遠い昔の朝日ジャーナルに連載されたものであることが記載されていました。時期もピタリです。どこかで読んだような…の感覚はまさにこれにちがいありません。人間の記憶って大したものだ、大学生のワタシが山手線で…