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自分で言うのも何だが、それなりの数の四コマ漫画を読んできた、って自負はある。その蓄積に見合った「眼」を得たつもりでもいる
そんな私が、マヂかつガチで「この先生、凄ぇな」と思っているのが、この『ふみんなふみな』の作者、城戸みつる先生だ
城戸先生の実力は、実に侮れない。確実に、今後、四コマ漫画業界のピラミッドの上層に行ける猛者だ、と私は思っているし、信じてもいる
この作品にしろ、『ハッピーミリィ』、『北斎先生!』、どれもテーマが奇抜。それでいて、ストーリーのテンポがメチャクチャすぎず、キャラも個性的ながら、暴走により作品が破綻していない
単に、城戸先生の実力、起承転結のセンスが高いのだろう
誰かを好きになり、眠れなくなる、その経験は誰にだってある
しかし、三年間も意中の相手を想うあまり、全く寝ていない、なんて漫画的な表現としても、ありえないレベル。けれど、面白い。比喩表現も、ここまで突き抜けると、一つ上に到るんだなァ
誰かを好きになる、それ自体は実に素晴らしい事だし、否定もしない
ただ、不眠により、容姿も性質もおかしくなっちゃうんじゃ、本末転倒にも程がある
仮に、同じテーマで他の四コマ漫画家が描いたのなら、何だかんだで、苦労の末にヒロインは安眠したんだろう。だが、城戸先生は、とことん、文奈を寝かせない。それどころか、更にヤバさを剥き出しにさせている
どんなジャンルにしろ、攻めの姿勢は大事だが、このヒロインは暴走し、「常識」の外に飛び出してしまっている。だからこそ、面白いってのは否めないが
ヒロイン・文奈がおかしけりゃ、周囲を取り巻くキャラも、大なり小なり個性的ってのがお約束
一言で言うと、ボケとツッコミの比率がヤバい
この(1)で一番かつ唯一の常識人でツッコミをこなせているのが、奏。現時点で、相当に苦労させられているが、今後、更なる心労を課されるのは目に見えている
ほんと、彼女にこそ、イイ彼氏が出来るべきなんじゃないだろうか、と願ってしまうほどだ
基本的に文奈の暴走に周囲が巻き込まれる内容。ただ、じっくり読むと、ラブコメとして、芯がちゃんとあるのに気付け、驚かされる
およそ、正統派とは言えないが、これにはこれで、青春っぽさはある、確かに
文奈が、こうなってしまうほど惚れているのも、暁の言動を見ていると、「なるほど」、そう納得できるものがある
軽薄って印象こそ人に与えがちだけど、実際は誰にも親切だし、器がデカい。寝つきが良すぎるってトコにはツッコみたいが、眠れない&眠らないヒロイン・文奈との対比が実に好い
果たして、どちらが先だろうか、文奈と暁が恋人になるのと、文奈が安眠できるようになるのと。ただ、まぁ、文奈の永眠ルートがあるってのは一概にゃ、否定できないよな
どの回も面白すぎて、こっちの神経が昂り、眠気を吹っ飛ばしてくれる。その中でも、特に強烈だったのが、文菜の妹・遊菜が登場する、第11夜「妹、遊菜」だ。この遊菜ちゃんには、文菜と異なり、ちゃんと瞼があるのだけど、姉ゆえの愛なのか、姉のやる事なす事、全てが正しいように見���るフィルターがかかっているようだ。シスコンも、ここまで来ると、笑いしか出ない
この台詞を引用に選んだのは、さすが、文菜が惚れた男、と好印象を暁もといメリィに対し、抱けたから。人間力を鍛えたかったら、睡眠を極めるべきなのか、と思ってしまったほどだ、数瞬。大事、必要、すべき、した方がいい、これらの言葉に、私らは無自覚の内に縛られ、行動を決め付けられていたのかもな。したい事をする、大事だな。もっとも、人に迷惑がかかった時点で、したい事をする権利が剥奪されるって意識は持った方がいい