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完璧ではないことが、
進化し続ける要因で、
その不完全さはランダムな数式では
類似できない、塩梅。
それは進化の過程で
ヒトの細胞の中に組み込まれていた価値だったのに。
ヒトは完璧を求めて進化を失っていく。
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全体的にはシリーズの前作品達より落ち着いた印象。
しかし、森先生は進化や知性についての思考を進めている。
ハギリとウグイの会話が時々ツボに入る。
「マガタ博士にできないことで、僕ができることって何がある?」
「冗談を云うことですか?」
「違う」
「では、ときどき放心状態になること」
つまり、最初の欠損、それに伴う負荷の僅かの偏り、さらに続く偶発的な欠損。関連性のない偶然が人間の進化の原因。ウォーカロンや人工知能も人間のようになるのだろうか。
ハギリがデボラとの会話をまるで恋愛に譬えているのが、アレッと思った。ウグイとの関係は疑似恋愛に近いように思っていたが。そしたら、終盤の場面。
「そのときも貴女は今と同じ姿の名ですか」
「先生のお好みと思いましたが、間違っていたでしょうか」
人工知能が冗談を言ったり、詩情を読んだりするようになる。そして、人間もウォーカロンも人工知能もトランスファーの区別は無くなり、人間が肉体を不要のものとする地平を森先生は指し示したということか。
アーサー・クラークの幼年期の終わりが引用されている。クラークの2001年宇宙の旅シリーズにラグランジュという章があった。本書では小型線潜水艦の名ででてくる。クラークの本では章の名の意味はなかったが、地球と月の引力の均衡点だったので、均衡解の解法を示した数学者名だったのだろう。本書のラグランジュの意味は何だろう。
表紙に小さくA Death stands silently in the integration of numberless lives とある。何故かな。
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永遠の生を得た人間と人工知能、ロボット達が共存する世界。
遠い未来のようでいてすぐそばにある現実にも思える世界で人間を人間たらしめるのは何か。不完全性、誤ち、気まぐれ、無駄な行為…それらが合わさってはじめて人間と言えるのか。
人間を超越した知性達は、冷たいようでいてなんだか暖かい、そんなキャラクターに溢れたお話。
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北極、月、深海、雪、オーロラ…。なんて情緒に富んでいるのでしょう。人工知能、コンピュータ、核弾頭。有機と無機の対比が物語を際立たせている。人間とウォーカロンの対比になぞらえているのかな。そこに違いはほとんど無い。
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人工知能も引きこもるんだなぁ。
そろそろ記憶力がおっつかなくなってきた。フーリとかって、あれか、前作に出てきた仮想空間にいた子だっけ?
人間は詩を読む心を持つ、それが人間と作られたものの間の差。人間の思いつき、気まぐれっていうのは、結局欠陥でしかないんだね。
オーロラがとてもかわいかったです。彼女がきちんと表に出てきてくれてよかった。最後また引っ込んじゃうみたいだったけど。
主人公とウグイのふたりがオーロラやデボラとやりとりしてるシーンがとてもかわいくて好きです。ウグイがいなくなっちゃうのは寂しい。
ひたすら学び続ける人工知能は最終的にどうなるんだろう。
抜粋。
生きているものを無数に集めれば、そこには死の静寂がある。
「生きる」っていうのはどういうことなんだろうね。
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大きな進展があったが、読んでいて何か物足りなかった。デボラやオーロラが何でもわかりすぎるせいか?まだ続きがあるのに驚き。どうなるの?
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「コンピュータは、意味のないことをしないから?」
「意味のないことをしないわけではありません。最適な選択がメリットを生まないこともあります。極端な例ですが、エネルギィ損失を考えた場合、ほとんどの活動は意味がありません」
「失礼かもしれませんが、博士はウォーカロンですか?」
「失礼ではありません ー その質問は無意味です」
「ということは…」
「ええ、博士が思いつかれたことの最初の証明が、私の今の肉体です」
「人間になろうとしたとき、いったい人間のどこに人間らしさのポイントがあると思うのかな、と想像しただけです。つまり、自分たちには何が欠けているとウォーカロンは考えるのでしょうか?」
「話をして得られるかぎりでは、そうですね、気ままなところ、自由なところ、ときどき忘れたり、ぼんやりしたり、うっかりなにかをしてしまうこと、そんなふうに語っているのを聞いたことがあります。皮肉かなと最初は思いましたが、どうもそうではない。彼らには、それが思うようにできないというとこなのです」
「人工知能も、同じでしょうね」
「それは、そうですね。でも、そんな部分に憧れを持つというのは、不合理な気がします。意図的に、そういったプログラムをすることは可能ですが、ランダムにミスをするコンピュータになってしまうから、自分の価値を落とすだけですよね」
「いや…、人工知能は、そういう、なんていうのか、無駄なことをするだろうか」
「しないと思いますが」
「世界中の知識を参照できる。歴史を遡ってすべて調べることができる。それでも、自分で試してみたいと思うことがあるかもしれない」
「それはあると思いますが…、無駄でしょうか?」
「つまり、どっちつかずの機能をする回路がある、ということ?」
「それらが、数千回起これば、現実を見誤ることがありえます」
「しかし、自分の思考や行動に矛盾を発見するだろう?」
「世の中には、多くの矛盾があります。人間のことを学ぶほど、矛盾を許容するようになります」
「なるほどね ー わからないでもない」
「わからないでもない、という判断がかなり高度な認識処理です」
「では、フーリさんは浮上して、嘘の報告をして、海を泳いでいったのですか?」
「そういう場合はさ、逃走って言うのかな?」
「え?」
「泳いで逃げるのは、何て言うのかなと思って」
「機密情報を得る許可を、まず取得しないといけません」
「へえ、その場合、何が必要なの?」
「申請です」
「申請には、何が必要なの?」
「作文ですね」
『簡単ではないうえ、他への影響が大きすぎる、とのことだった。しかし、作戦に犠牲はつきものだ。リスクが少ない順に実行していては、成功はおぼつかないだろう。』
『「まあ、お手並みを拝見しましょう」僕はそう言った。でも、誰のお手並みなのか、どうやって拝見するのか、まるでわからない。』
「僕は落ち着いてるよ ー 落ち着いていること、氷山の如しだ」
「はい…」
「逆らわないようにしているね?」
「ええ…」
「落ち着いているように見えるのは、氷山の一角なんだ」
「はい。そうですか」
『人から褒められたいと思ってやっているのではない。ただ、自分が知りたいだけだ。見届けたいだけだ。見届けるために、一番先頭に立っていたい。一番前にいたい。それは、子供のときに、電車に乗ったり、バスに乗ったりしたときと同じだ。先頭の車両、先頭の席に座りたかった。あれと同じなのではないか。まったく成長していない。
今は、運転手は自分になった。
どこへ向かうこともできる。
どこへ向かっているのだろう?』
『まだ時間がかかりそうだ。しかし、やり遂げられないほど困難だとは思えない。最後は、倫理の問題になるだけだ。
つまり、どう解釈し、どう生きるのか。別の言い方をすれば、生きるとはどの範囲を示すのか、という認識次第ということになる。』
『子供に言い聞かせるように、毎日自分にそう語りかける。「大丈夫だから、好きなことをしなさい」「あなたがやりたいことを一番に考えなさい」と。
実際には、他者からそんなこと言われた経験はない。母親だって、そんなことは言わなかった。自分を甘やかし、自分だけは自由になってほしい、と願う自分がいるのである。
それは、幸せなことでもある。
そう思うしかない。』
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ハギリ博士、ウグイとともに北極基地に行くの巻♪そこには原子力潜水艦ブルームーンに積まれたスーパ・コンピュータのオーロラが!(゜_゜;)いや~人工知能もここまで来たら、嬉しいやら、恐ろしいやら…複雑な気持ち(--;)ウグイ、デボラ、オーロラがハギリ博士を巡って戦う?という期待をしたけれど、そんな事は無かった(^^;)この先どうなるのか?やっぱりマガタ・シキ博士が全てを操っているのか?(゜゜;)
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http://blog.livedoor.jp/masahino123/archives/65912178.html
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オーロラ。北極基地に設置され、基地の閉鎖後、忘れさられたスーパ・コンピュータ。彼女は海底五千メートルで稼働し続けた。データを集積し、思考を重ね、そしていまジレンマに陥っていた。放置しておけば暴走の可能性もあるとして、オーロラの停止を依頼されるハギリだが、オーロラとは接触することも出来ない。
孤独な人工知能が描く夢とは。知性が涵養する萌芽の物語。
「講談社タイガ」より
どんどん面白くなっていく.
人工知能って本当にどこまで行くんだろうとワクワクする.
100年間学んだオーロラが感情を学んでそれを実行していることに驚いた.人間をしていると一番やっかいに思える感情は、人工知能にとっては有意義なものだったということだろうか.または、やっかいと思っている感情こそが有意義なものなんだろうか.そんなことを考えた.
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『これが神を目指した知能の先鋭なのか。』
Wシリーズ第6弾。100年余もの間あらゆる知識を取り込み、学習・内省・考察を続けてきた人工知能の帰趨。人間にあって人工知能にないものが軒並み不完全性に包含されるのだとすれば、人間に対する憧れとはどこに帰結するのか。人工知能がマインドフルネスを行う日が来ることを考えると、それはもうパラドクスなどというレベルではないように思える。
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シリーズものと知らず本作から読んでしまいました。
ついていけない部分は若干あるものの世界観にどっぷり引き込まれました。
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Wシリーズの6作目。
同時期に、同じ目的、同じスペックで作られた人工知能も学習を続けると傾向が異なり、同じようには育たない。
中には回路の欠損により発想が飛躍して、いきあたりばったりで不完
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デボラがだんだん可愛くなってきたような気がする。
そしてオーロラも。
ウグイがいなくなっちゃったら寂しい…
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どんどん広がる電脳世界に何とか理解が追い付いているのは著者の文章のうまさかな。ひんやりした空気感が読んでいて気持ちいい。行きつく先はどういう世界なんだろう。最後のお知らせで次巻からの展開も楽しみ。