電子書籍
潤一郎ラビリンスへの入り口
2022/01/31 16:01
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投稿者:あんあん - この投稿者のレビュー一覧を見る
馥郁たる芳香を放ちながら読む者を陶酔の境地に誘う美女の唾液のようなリッチな文体。
若い女性の体から分泌されるラクトンの甘い香り、若しくは年増の白粉の咽るような官能。
最高の知性を持ったド変態。日本語の魔術師
紙の本
興味深い
2015/08/09 09:41
1人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:愛美 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな昔にこんな変態小説が書かれていたのか!と、驚きました。
「悪魔」にでてくるフェティッシュがすごく衝撃的で、この後もっとすごいのが出てくるのか!?と期待しましたが、結局「悪魔」が一番衝撃が強かったので、少し拍子抜けしてしまいました。
でも「憎念」も好きです。人をいじめたくなる心理が、ちょっと解るような感じです。
人間の心理って、本当に面白いものですね。
最後のKIKIさんという方の鑑賞は、要らなかったんじゃないかなと思いました。
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「青い花」の雰囲気が素敵で、あぐりが私の想像の中で美少女でした。
「富美子の足」これが本当の足フェチ・・・・・
フェチを簡単に語れなくなります。
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きっと私が初めて読んだ谷崎作品は「刺青」だったのだと思います。
教科書に載っていたような記憶があるので。
その時は何と言う作家の作品か知らなかったのですが、なかなかすごい話だなあと印象に残っていました。
手元に用意するのが面倒でちょっとわからないのですが、マゾヒズム小説集の「麒麟」も末喜の話ではなかったかな。
自身の嗜好を体現している女性、のような思いでお気に入りだったのでしょうか。
わたしも封神演技ではだっきちゃんが一番お気に入りだったこともあり、刺青がいちばん気に入っています。
次が青い花、そして冨美子の足かな。
青い花は読んでる最中は、何だこの話・・・早く着せ替え人形して遊んでくれよ・・そこが読みたいんだよ・・・思っていたのですが、改めて読んでみると少女を自分好みにできる、という男性の浮足ぶりがこれでもか!と表現してあって面白いですね。
多分「カフェ かもめ亭」に女の子に若い僧侶が溺れて身も心も奪われて、蝶になった女の子の為に頭から花を咲かす、という話があったような気がするのですが、それも青い花だったなあとぼんやり思い出しました。
青色の花は繁殖上の理由で(食欲を減退させるのだっけ)自然界にはあまり存在しないようですね。
冨美子の足はザ・フェチという感じで、この話も読んでないのにこの爺さんの気持ちもわからんのに脚を語るな、という脚フェチにとってはまさにバイブルのようなものに違いない。
わたしは脚フェチではないのであまりわかりませんが。
でもきっとあのおじいさんは幸せだったでしょうね。
嫌な顔しても付き合ってあげる冨美子が好き。
マゾヒズム小説集は読みながら「こんなのマゾじゃねえ!」と思っておりましたが、犯罪、そしてフェティシズムとだんだんタイトルに見合ったまとまりのある作品集になってきたように思います。
表紙も素敵で次も楽しみです。きっと買うことでしょう。
しかし何故タコが絡みついてるんだろう。
ぬるぬるフェチを表してるのかな?
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まさか「悪魔」がこんなに可愛い装丁の文庫になることがあるとは。
学生時代に必死で文献探しに付き合わされたことを思い出しつつ、懐かしさと共に読みました。
無難に「刺青」から始まり、「憎念」……はあまり私好みではありませんでしたがこれも確かにフェチ。
「冨美子の足」も久々に読み、本当に脚大好きな谷崎潤一郎です。「青い花」等はもう女の子大好きです。「蘿洞先生」はもう、だからなんだというMですね。
本だから許せ、引き込まれました。谷崎のフェチズム、軽く集大成レベルで集められていると思いました。
変態万歳……とか思わず呟きそうになる作品群。
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決して巷に出回る手頃なエロ小説なんかではない。フェティシズムも谷崎氏の手にかかれば、何と崇高で美しい歓楽の世界となって映ることか。
とにかく女性美に対する病的な憧憬と畏敬の念は並大抵でない。特に「富美子の足」では、脚の美しさを讃える描写が何ページにも渡り、氏が相当の脚フェチであったことが窺える。
ストーリーの中に描写があるのでなく、描写でストーリーが進むことを強く実感する短編集。
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谷崎潤一郎の短編の代表作と考えられる「刺青」はとても官能的。
墨汁が肌に染み入る描写は、不可能だと考えられる自我と他人の同一化をこれ以上ないくらい美しく実現させている。
また、彫られた蜘蛛が生命を持って女性を抱くシーンも美しい。
他の短編については、それぞれの中で開眼させられるような描写は出てくるが(「憎念」の蒟蒻についての描写や「青い花」の洋服についての描写など)、個人的には自然派を思わせるような写実的な描写は冗長に感じた。
一転して、「富美子の足」にみられる富美子の肢体の描写は非常に官能的で美しい。
思うに、谷崎の描写はフェティッシュの対象を描く時には読むものを惹きつける官能性を帯びるが、情景や特徴を描写する場合には少々冗長になるのではないか。
「憎念」にサディズム傾向を感じる人が多いようだが、精神的な嗜虐性や暴行中のシナリオ性の欠如と極端なまでの部分の描写から、自分はサディズムではなくフェティシズムの表現だと感じた。
反対に、「悪魔」における鼻水を愛でるシーンには相手の羞恥心を表す表現があることから、サディズム傾向を感じた。
また、どうでもいいことだが、脚フェチと足フェチは別物なんだなと思った。
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どの短篇も印象に残ります。登場人物がフェティシズムの渦に巻き込まれるスイッチみたいなものが入る瞬間、ああこの人もう戻れないんだな、と思うと同時に何故かワクワクしてしまいます。
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薄かったからすぐ読み終わるかと思いきや、なかなか入っていけず時間がかかった。
足への思いが強すぎるでしょ。。これでもかというぐらい足の描写が。お腹いっぱいです。
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足への並々ならぬ執着が伺える
どろどろとした粘着質な変態性を、ここまで暗く美しく描くとは。凄まじいの一言
収録作品:『刺青』『悪魔』『憎念』『富美子の足』『青い花』『蘿洞先生』
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病的です。フェティシズムの対象を崇拝し、変態として酔い痴れ、堪能し尽くす…文体の美しさが近頃のフェチものとは別格。
「悪魔」にいたってはかんだ後の鼻水ですよ?きちゃない。幸い、この境地には達しておりません。
「刺青」「悪魔」「憎念」「富美子の足」「青い花」「蘿洞先生」収録。
「刺青」と「富美子の足」が同時収録されているのがいいですね。
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どハマりです。
私は女性の美しい脚が好きなので、気持ちが分かる。
女性の足ってどうしてあんなに魅力的なんでしょう。
男性の足ではだめなんですよね。
あの、えも言われぬ曲線が私のこころを惹きつけて止まない。
私も女ですけど、女性の美しい脚はいつまでも見ていたい。
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「フェティシズム小説集」と銘打たれたアンソロジー。編集者の手腕だろう。短篇集『刺青』よりはずっと売れそうだ。谷崎の新たな読者の獲得も期待できるだろう。谷崎にこのカヴァーはいかがなものかと思うが、まあ昨今のとんでもないのに比べれば、まだしも許容範囲か。内容的には、やはり「刺青」の出来が群を抜く。他の「悪魔」や「富美子の足」、「青い花」なども谷崎ならではのフェティシズム小説だ。こうしてみると、フェティッシュのエロスとタナトスは表裏一体、不即不離ということになりそうだ。少なくても谷崎においてはそうなのだろう。
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何ページにもわたって脚についての魅力を語っていたり
ちょっと一般人のわたしからしたらひいてしまうような性的嗜好を持つ主人公ばかりの短編集なのですが、文章が美しいので最後まで読めました フェチという言葉は現代ではかなり一般化していますが、これには真のフェティシズムの深淵を垣間見せられた・・・!
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「谷崎先生の、自己フェティシズムフェチ。」
至宝の女体に施した刺青が女の性分までを一変させた表題作「刺青」、自分を秘密の楽園に誘ったモノとは…「悪魔」、その一部に憎しみを抱いたが最後どこまでも憎み続けずにはいられない「憎念」、隠居と僕を虜にした足「富美子の足」、女が身にまとう洋服への妄想と執着を描く「青い花」、もはや自虐的な「蘿洞先生」6編収録。
まずはおさらいしときましょう。
性的フェティシズムとは
「異性の肉体の一定部分や、女性が身につけている衣服の断片あるいはそれと密接な関係にある物体などに性的な興味が集中し、それらに異常な強度をもって性欲を刺戟される倒錯性」(解説より)
谷崎先生、噂通りの変態ですな。
とくに足に対してのこだわりは大変なものだったらしい。
「神」ともあがめる足の持ち主である若いお妾さんの、その足に
額を踏みつけられながら大往生、なんてもはや想像を超えている。
ここには、とりあえずそうしたフェティシズムを持ち合わせない人にとっては
「あなたの知らない世界」が繰り広げられています。
一つ一つにはまあ目が点になったりするのですが
この短編集全体を俯瞰してみてみると
谷崎先生は自身のフェティシズムに相当な興味があったのでは?
なんていうことが感じられてきたりするわけです。
女体に施す刺青であったり
鼻水まみれのハンカチであったり
顔の上の足であったり
女の皮膚の一部と思える洋服であったり
書斎の机の上でのお尻ぺんぺん、これはもう漫画ですが
大好きなおもちゃを上げてみたり下げてみたりいろんな角度からそれを眺めて飽きない
谷崎先生の子供のような無邪気さがそこには見えてくるのだわ。
もう自身のフェティシズムこそがフェチの対象になってます。
でもその自己観察の鋭さやこだわりを突き詰めて見せたところに
近代文学の名匠としての谷崎潤一郎があったんだろうなあ。
本短編集、作品のセレクトそのものはもちろんですが装丁もいいです。
表紙の尺八と三味線を持った妖しげな制服姿のおねえさん、
背徳の香りを漂わせつつもモダンでからりとしたその表情は
谷崎先生の無邪気なフェティシズムをヨシヨシするかのよう。
編集の妙にも拍手。