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ちょっと期待はずれかな。。。
ミステリー史に燦然と輝く傑作、『クリスマスに少女は還る』は読み終えた後、強烈なカタルシスを感じた。そうだったのか!!!と全てがストーンに胸に落ちた。
わたしが以前、書いていたブログ三十路女の日々是生活 in奈良でも■わたしが愛したミステリー Part4 ~『クリスマスに少女は還る』として感動を訴えている。何度、何度、読んでも素晴らしいミステリーであることは否めない。
翻って『愛おしい骨』はちょっとね~、なんていうか、途中から若干飽きてきました。。。つまり、ストーリーにのれなかったということ。加えて、『クリスマスに少女は還る』に通じる部分も多々あり、特に登場人物の設定がね。いや、正直に書こう、名前が違うだけでほぼ同じような登場人物かな。そもそものミステリそのものの設定も、『クリスマスに少女は還る』とダブルからね。
さて、あらすじ。今回は版元、東京創元社のHPから。というか、本のあとがきから。
舞台はカリフォルニア州北西部に位置する、広大な森に隣接した小さな町コヴェントリー。そこは、半径三十キロ以内に携帯電話の中継塔がひとつもなく、時間と距離が、“カラスが飛ぶように”ではなく、“カタツムリに翼があったなら”という言い回しで計られ、表されるような、ゆったりとした時が流れるスモールタウンだ。これまでに多くのよそ者たちが人生をやり直すために、あるいは追跡を逃れてゆっくり休むために、この“安全な我が家(セーフ・ハウス)”のような場所に引き寄せられ、骨を埋めてきた。
物語は、主人公のオーレン・ホッブズが、深い痛みと夜の恐怖と人生最良の時を与えてくれたこの故郷の家に、二十年ぶりに帰還する場面で幕を開ける。幼い頃に死んだ母の代わりにオーレンと弟ジョシュアを育ててくれた家政婦ハンナ・ライス。彼女に乞われて還ってきたオーレンを迎えてくれたのは、当のハンナと元判事である父ヘンリー、まるで時が止まったかのように“あの日”と同じ状態に保たれた我が家、そしてジョシュアの“骨”だった。
二十年前の夏、当時十七歳だったオーレンは三つ年下の弟ジョシュアとともに森に行った。けれどもその夜帰宅したのはオーレン一人だけ。ジョシュアは“あの日”を最後に姿を消してしまったのだ。
その弟が、いまになってうちに帰りだしている。骨になって、ひとつずつ。一体誰が何の目的で何ヶ月間にもわたって、深夜、玄関ポーチにジョシュアの遺骨を置き続けるのか?
そう、出だしはいいのよ。
行方不明になった弟が骨になって帰ってくる。ひとつずつ。
ゾクゾクとするわ。そして、その弟を探しに兄、オーレンが帰ってくる。陸軍の犯罪捜査官(CID)として華々しい計零機を誇った兄が。この陸軍の犯罪捜査官のくだりで懐かしくも『将軍の娘』を思い出したわ。次はコレを読もうっと。
イマイチ集中できないせいか意識が散漫になってしまい、つじつまがわたしの中であわないことが多い。加えて、幾重にも絡み合い、過去と現在。わたしが好きなパターンではあるんだけれど、あまりにも濃い人間関係にクラクラ。時を経ると人はこれほどにも変わるのか?と疑問と人間関係もこうまでも曖昧なものになるのか?と謎、謎、謎。
何よりも主人公である(と思われている)オーレンの人格があまりにもぼんやりとしすぎている。とらえどころのなさ、と言おうか。もちろん、キャロル・オコネンルの小説はそのとらえどころのなさがまた一つの魅力でもある。しかし、今回はオーレンに限らず、全てによるべのなさ、とらえどころのなさ、曖昧さがつきまとい、それが小説の世界にのめりこめなかった原因の一つでもあるように感じる。
また、あとがきでくどいほどに「狂おしいまでの愛の物語」の書かれている。まー、確かになんとなく共感できる部分もある。しかし、その愛すらも幻のように儚く、とらえどころがない。何故、彼は彼女を、彼女は彼を、夫は妻を、妻は夫を、娘は母を、父は息子を、息子は母を・・・と謎、謎、謎。
肝心のミステリーはさすが、といわせるものがあったように思う。というか、最後まで犯人がわかりませんでした。。。しかし、そういわれてみると、あの伏線は・・・ここにきたのか、とストーンときました。わたしの感想として悲しい結末でした。
最後に、この本は1度でその魅力が分かるものではない、と思う。何度も何度も読み返し、伏線を辿り、人間関係を辿り、その中にある、とらえどころのなさ、を楽しむものだと思う。それがオコンネルの真骨頂なのだろう。
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『クリスマスに少女は還る』のキャロル・オコンネル。マロリーのシリーズも最近出ないしと諦めかけていたところに見つけて、即買いました。期待が大きすぎたかも。面白かったけれど満足は出来なかった。人物設定は相変わらず極端で奇天烈だけれど、単に不格好なわけではなくそれぞれのコンプレックスや哀しみを個人の特徴としてデフォルメしたかのようないびつさなので、独特の不思議な魅力があって、その世界に引き込まれてしまうのは相変わらずでした。ストーリーと同じくらい雰囲気や世界観を楽しめる作家です。家政婦のハンナがとても良い存在感でした。日本で紹介されてない作品も少しずつでいいので訳して出版してほしい。
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なんてことだ、この小説は完璧だ。
前半を読んでいる時はとにかく面白くて面白くて大興奮だったが、
後半はどこまでこの小説は完璧なのかと怖くなった。
魅力的な登場人物も場面描写も、まるで映画を観ているように頭の中に描ける。
全く隙がない、完璧すぎて怖い。
今のところ今年一位。
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「クリスマスに少女は還る」がとても印象深い作家さん。
今回の作品もかなり良かった。登場人物の会話もテンポも描写も良く、すっとアメリカの田舎町の舞台へ引き込まれる。いたるところに伏線がはられ、あとから「ああ、そうかあ」と納得。ただ、英語では頭文字が異なるが、日本語ではイヴリンとイザベルがよーく似ていて時々混同(笑)。勢いだけで読み終えてしまう軽いミステリとは一線を置く、読みごたえあるミステリ。
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最初は独特の文体にダレたが、途中からは圧巻の一言。
ツイン・ピークスのように狂った住人たちの街に降り立った「大天使」オーエンの冒険のはて。
悲惨な物語なのに、不思議と明るい読後感。
思春期の恐ろしさ。
大傑作。
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まさに、歪んだ愛の物語である。
20年ぶりに兄が帰郷した。それは、15歳で失踪した弟の骨がひとつづつ家に戻ってきたからだ。
「クリスマスに少女は還る」のオコンネルのノンシリーズです。
「クリスマスに少女は還る」も、マロリーシリーズも、個性的というよりもっと強烈な人々が出てくるが、これはもっと偏っている。誰もかれもが、自分の世界をひたすら守ろうとしていて、そのための手段を選ばない。その一方で、狂おしいまでの他者への愛が行動の基盤になっている。
愛が歪む、その悲しい結末を見るようだった。
にしても、オコンネルの人物造形はすごい。
妻に死なれた判事の家に、突然現れ、家政婦として居ついてしまうハンナ。物語は、彼女ゆえに動きだし、帰結する。
そして、主人公を愛しながら歪んでしまっている隣家の娘。
歪んだ理由は、とてもまっとうで、歪んだヘンな人間ばっかりでてくる物語の中で、彼女と主人公の二人だけが妙にイノセントに見えるのである。
多分、それが作者の手だったんだろうと思うけどね。
ともあれ、オコンネルは最高に面白いです。
お願いですから、マロリーシリーズの続きをさくっと出して下さいm(__)m
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SPAの書評を見て読んでみた。
地味な話だけど、確かに最後まで飽きさせない語りはさすが。
ただ、人物達にいまいち移入出来なかった。お国の違いだから?
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核となる事件そのものもそうなのだけれど、登場人物たちも最初は遠目にぼんやりとその姿が見えているにすぎなかったのが、徐々にくっきりと焦点を結びだすといった風なのが面白い。
そうしたなかで、最初からくきっと際立っているハンナ・ライスとおバカ犬ホレイショーに出会えただけで、もう満足。
Bone by Bone by Carol O'Connell
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マロリーのシリーズではない新作。
読み応えあります。
「クリスマスに少女は還る」に続く系統でしょうか。
文章はスタイリッシュで、登場人物は非常に個性的な所はマロリーのシリーズにも通じます。
このミステリーがすごい!2010年の1位。
ある日、森に行った兄弟…15歳の弟ジョシュは帰らず、17歳の兄オーレンだけが帰ってきた。
町中総出で探したが、ジョシュは見つからないまま…
オーレンは遠くの学校へ行かされ、そのまま軍に入って帰らなかった。元判事の父に追放されたと感じていたのだ。
20年後、故郷に戻ったオーレンはスター性のあるハンサム。
母亡き後に兄弟を育ててくれた家政婦ハンナは、小柄で素性のわからぬ謎めいた女性。彼女が傑物なのです~。
弟のものらしい骨が少しずつ玄関先に届けられるという奇怪なことが起きていた。
家は20年前のまま、弟の部屋は服や靴の位置さえ変わらず、犬は剥製にされていた。
大金持ちの娘イザベルと街ですれ違ったオーレンは蹴りを入れられる。今は鳥類学者になっているイザベル。
11、2歳の頃、恋心がお互いにあるのは周りにも一目瞭然だったが、実際には口をきいたこともないままだった。意地っ張りな幼い恋。
何か隠している保安官。
図書館に住みこんで動かない巨大な女性は、町の怪物と恐れられている。
自己顕示欲の旺盛な弁護士アディソンはイザベルの義父。
その妻がイザベルの母セアラで、すごい美女だったが今は重度のアルコール中毒。お城のような豪邸に住みながら、虜囚の姫君のよう。
年に一度だけ、誕生日記念の舞踏会が催されるのが町の大きな行事になっていた。
写真で小遣い稼ぎをしていた弟は15で既に才能を開花させていた。街のあちこちに張られている弟が撮った写真。
そして、今も行われている降霊会…
町の人々の秘密が次第に明らかになっていく。
父が調査を依頼した元警官のスワンをオーレンは訪ねる。
捜査官としての経験を積んだオーレン・ホッブズは、自らも疑いを掛けられながら、今度こそ真相にたどり着けるか…?
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物語の始まりは、
退役軍人である主人公オーエンは、家から送られてきた手紙をきっかけに故郷の街に戻ってくる。そこで彼は家族から、家の玄関先に定期的に人骨の一部が置かれていることを聴かされる。その骨は少年の頃、森で行方不明になった弟のものだった、
という感じです。骨が戻り、オーエンが戻り、止まっていた時間が動き出す。
描き方としては、主人公にのみ焦点を当てるタイプではなく、登場人物たちにぱっ、ぱっ、とスポットライトを当てていくもの。そのため、登場人物の心情に感情移入はしづらいように感じた。兄から弟への愛情を身に迫ったものとして感じられなかったのは少し残念に思う。
物語は、はじめはゆっくりと、オーエンの周りにいる意味ありげな登場人物たち(の行動)について語られ、後半は事件の核心に早足で近づいていく。けれど、謎解きもの、という印象はあまり受けなかった。何故、殺されたか、誰が殺したのか、は物語の中心からは少し離れたところの問題だったように思う。事件の周囲にいる人々の思惑に頁を割いている。
登場人物たちはみんな色とりどりのセロファンを持っていて、それをジョシュ(殺された弟)の死体の上に被せている。事件を複雑化させたのは、そのセロファンであり、死体と彼らの上に流れた時間だった。
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KL,CL 2011.1.16-2011.2.1
面白かったけど、回収されていない伏線があったような。
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2011年度の「このミス」海外編 1位だそうなので読んでみたのだが、ミステリーとしても、物語としても凡庸。今年は海外ミステリー不作の年だったんだろうか。
「切手ほどの」小さな町を舞台に、二十年前に起きた未解決殺人事件が、また新たな事件を呼び起こす…という物語。小さな町の人びとの暮らしを柔らかな目線で見つめたところはうまく描かれているのだが、破綻気味のプロットがせっかくの雰囲気を損なってしまっている。
解説者もこの凡庸な作品を絶賛し過ぎだし、「このミス」1位という期待の高さが逆に作用してしまって、星二つ。普段、年間〜第1位とかいう作品は遠ざけて手を出さないことが多いのだが、たまたま気が向いて読んでみたらこのザマだよ。
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読むのに時間をかけ過ぎてストーリーを追うのが大変だった。多彩な登場人物は魅力的です。映像化してほしいな、と思った。
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解説にもそんなことが書いてあったが物語を好きな人なら面白いと感じるだろう。癖のある人々が暮らす町を舞台にした過去の事故の真相をめぐる物語。登場人物の誰もが何か秘密や謎を抱えており、表に見えてくる関係の裏にどんな糸が張り巡らされているのかがとても気になる展開。
『クリスマスに少女は還る』のときも感じたが、オコンネルの物語は少しファンタジックで現実感が希薄な気がする。現代の物語のはずなのに、クリスティーとかクイーンとかの古典的、舞台劇的な雰囲気を漂わせているような。
自分的にはその変がちょっと違和感を感じたり、伏線の回収の仕方がミステリとしてもう少し頑張ってほしかったりするのだが、物語的に”おもしろい”と言える類の作品。
■このミス2011海外1位
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家政婦のハンナがとても素敵なキャラをしている。
愛おしさと憎らしさが共存している狂気さが
読んでいて切なくなる。
読んでとても満足