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「ミッキーはあっちを向いてもこっちを向いても、ずっと手を振ってるんだよ。でな、あれは結構、きついぞ。こうやって、手を振るのはかなりきついんだよ。やってみろよ」
やってみろよ、と言われて藤間も困惑するが、確かに右手をぶるぶる10秒ほど振っただけでも手首が痛くなった。
「それをあいつはずっとやっているんだよ。大したもんだよ。相当、疲れるぞ。あれが仕事だと言ってもな、普通はできねえよ」(p.103)
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斉藤和義さんの歌詞を交えて書かれた作品。私も斉藤さんに会ってみたいです。「明日がきっと楽しくなる」の通り、明日から夏季休暇明けで憂鬱な気分が少し晴れて明るくなった気がします。短編なので気軽に読めてふふっと笑顔になりたい時に読み返したい作品。
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好き。おもしろい!ミステリー小説は苦手であまり読みません。何が苦手かといえば、ホラー的な要素があって怖いから。伊坂作品にはそれがないものが多い。わくわくして読めるから、安心して楽しめます。好き!
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伊坂幸太郎さんが珍しく恋愛ぽい内容をそこそこ入れた小説。タイトルは覚えにくい。
これまでの伊坂幸太郎シリーズといえば、銀行強盗や殺し屋、超能力者や死神、恐ろしく特徴のある犯人等が必ず登場し、コミカルな展開で進んでいくものがほとんどだったけど、今回の作品は、恋愛や友情が入り交じる作品で、短編ごとでストーリーは完結するものの、ぼんやりした感じで完結し、登場人物たちは、その後の篇でも登場する。
人と人とのつながりや、誰かの友達は誰かの友達というような、みんなどこかでつながってるなというのとを改めて感じるような内容だった。
レビューを書くにあたって、一番の山場はどこなのかと考えたけど、どこだったのかさっぱりわからない。人それぞれに山場を感じる箇所はあると思うが、日常が舞台なだけに、自分の身の回りにも起こりそうな場面が多く、自分の生活と重ね合わせて読むこともできた。
登場人物の会話の中で「自分が正しいと思い始めたら、自分を心配しろ。相手の間違いを正すときほど、言葉を選べ。」という一言があった。自分が『正しい』と思うことを誰にとっても正しく、他に正しい道はない!と思い始めたとき、視野が狭くなり自分本位になり、他を除外し始める。そうならないように思い込みをやめ、その「正しさ」で相手に物申すときは、最終的に相手の心に伝わるような言葉や物腰を選ぼうと思う。
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1つの短編から派生して、登場人物を中心に物語を絡めていく。そして全体として一つの物語を作る。そういった形でこの小説は作られています。その絡め方が絶妙で、いろんなつながりを感じながら読み進めることで、世の中がつながっていることを感じることができます。解説で「友愛の」とあり、なるほどと感じました。そしてこの小説では「恋愛」から始めることで、その2つのキーワードが気持ちよく絡んでいきます。その世界に漂うように、登場人物の人間関係を漂うように、気持ちよく読ませていただきました。いろんな人が、いろんなところでつながっていて、それってすごいことで、でも結構身の回りにもありそうな、そんな心地よさを感じさせてくれる小説です。
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最初は「出会い」の話。
システムエンジニアの佐藤とその先輩藤間、藤間はある日妻と子供に出て行かれ仕事中急に正気を失う。佐藤は驚き缶コーヒーをこぼしバックアップデータに支障をきたした。飛んだデータの回収の為仕方なく街頭に立ちアンケートをとる。そこでアンケートに答えてくれた彼女との出会い。
佐藤の大学時代の友人織田夫妻。
美容師とそのお客
先生と生徒 などなど
一見何の関係もなさそうな別々の話が過去と現在を行ったり来たり進んでいくがどこかで少しづつ繋がっていく。
最後はプロボクサーを軸とした話で全て一列に繋がります。
いや〜、こういう全く別のような話が最後は全部繋がる連作短編集は大好きです。
すでに映像化が決まっているらしいですがそれも楽しみにしてます。
伊坂さんの本は「アヒルと鴨のコインロッカー」以来久しぶりに読みましたがやはり面白く飽きさせない内容でスラスラと読めました(人物関係を頭の中で繋ぐのがちょっと時間かかりましたが……)
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伊坂幸太郎はいいねぇ。帰省で福岡へ向かう新幹線の中で読了(しかし、今日の混雑は半端ない)。
今回は、じんわりと胸の中を打たれる奇跡のような出会いのお話が6つ。
「アイネクライネ」「ライトヘビー」や「ドクメンタ」のようなありそうで実際にはそうはない、小説とすれば些か陳腐な出会いでも、この作者にかかると、自分にもこうしたことが起こるといいなと思いたくなる話になる。
「ルックスライク」の最後、良かったなぁ。かつての恋人が結婚した相手を見て『素敵な人と結婚したんだな、とわたしも嬉しかった』と言えるなんて…。
ここまでの登場人物の現在と19年前と9年前が行ったり来たりして語られる最終話「ナハトムジーク」、それまで全く関係なかった司会者の言葉に、またジンと来た。
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恋愛ものでした。恋愛というか出会いというか。バイオレンス系が多い作者のようですが、ほんわかする話ばかりでした。登場人物が作品を超えて繋がるのが得意らしく、短編集ですが全作品の登場人物がみんなどこかで繋がります。時間設定とかたまにこんがらがりますが。面白かったです。
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久さしぶりに手に取った伊坂幸太郎作品は、氏の真骨頂である連作短編集。収録6話のどれもが愛おしい話だけど、中でも「ルックスライク」がたまらなく好き。
「やはり人は細胞の入れ替わりと人との付き合いにより、変化するのだなあ。かさぶたを剥がす勇気が湧いてくるほどだ」(「メイクアップ」より)
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『アイネクライネ』
先輩のミスで失ったデータを埋めるため、街頭アンケートを行っていた佐藤。そのときたまたま回答してくれた女性との、ほっこりする出会い。次の日から同じ道を通る佐藤と彼女との間に、どんな物語が待っているのか、読者は想像を巡らせてしまうに違いない。
妻に逃げられた藤間、ライトヘビー級の世界王者、変人織田とその美しき妻由美などなど、他の話とのつながりもそこかしらに散りばめられているのが、いかにも伊坂作品らしい。
『ライトヘビー』
とある美容師が、友人であり客である美奈子に弟を紹介する。電話だけで始まった関係。彼の職業は“事務(ジム)職”。ライトヘビー級の世界戦で挑戦者が勝ったら告白する、という他力本願(!?)な彼の正体は。
この物語のスパイスは、やっぱり「斉藤さん 一回百円」。百円払い、悩みを打ち明けると、愉快な気持ちにさせる曲の一部を流してくれる。これは、斉藤和義が伊坂氏に作詞を頼んだところ、「作詞はできないので小説を書くことならば」と出来上がった物語だそうな。粋だわ〜。
『ドクメンタ』
妻に逃げられた男(そう、アイネクライネで登場した藤間だ!)。面倒臭がりで、大雑把で、失敗の多い彼に嫌気がさしたのが原因である(困惑と怒りで仕事でのミスを誘発することになるのだが…)。第三者から見たら、「そんなこと」と思うような些細なことが、積み重なることで重大な溝をもたらす。
大雑把で面倒臭がりは、記帳なんてしないし、免許の更新は期限最後の日曜日だ。それが思いもよらぬ形で解決への糸口になるのだけれど。ふふふと笑ってしまう仕掛けが愛おしい。
『ルックスライク』
「あの人の娘さんにそんな風に強く言うなんて、命知らずだな、と思いまして」
なるほど、うまいクレーマー撃退法だ。そしてそうそう思いつく作戦ではあるまい。まさか自分の父と先生が同じ台詞を口にするなんて。You look like your son.
アイネクライネの織田夫妻の娘美緒が登場するところも憎い。
『メイクアップ』
クラスには必ずいるのだろう、小久保亜希的憎まれっ子は。いつも気がつけばあらゆる判定をしていて、情報操作に長けていて、皆その子の手の中で踊らされる。そして、誰もやり返せないし言い返せない。
大人になって、憎まれっ子と再会したら?しかも仕事上、自分が上で相手が下の立場だったら?復讐のチャンス!とばかりに行動する?「復讐する派」にはスッキリしないラストだけれど(伊坂作品の読者は復讐しなさそう)、世の中には上には上がいるということで、いいんじゃないでしょうか。
『ナハトムジーク』
あの世界王者のその後。美奈子とは結婚していたが、ベルトはすぐに奪われていた。再起をかけた戦いを見守るのは、今まで出てきた登場人物たち。
バラバラの糸がスルスルっと繋がっていく気持ち良さが伊坂作品の真骨頂だと思う。人と関わることは、小さな奇跡を起こす可能性をばらまくことなのかも。
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相変わらず言葉の掛け合いが面白い
短編集だけど登場人物が部分的に繋がっている
時代は変わっているみたいだけど、気付くとちょっと嬉しいね
どれも疲れずに読めるのが良い
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久しぶりに読んだ伊坂さん!
なんか、伊坂さんぽくなくてびっくりしたけど
すごくよかった、、
人と人とが繋がる系、大好きなのだけどこんがらかってしまう。だれか人物相関図つくって!
自分でも書き出してみたけれど、拾えてないところがあるなー。
ジム職=事務職 すごくすきだった!
あと、記帳のエピソード。
あー。余韻。
斉藤和義聴こう!!!
斉藤さんって、斉藤さんだよね。
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これは伊坂幸太郎の一番うけるパターンのやつ!
結局こういうのが私も好き。文句なし。
妻に逃げられたシステムエンジニアと通帳記帳
美容院の客の弟とボクシング世界チャンピオン
父子そっくりだったり、誰の娘か分からなかったり
一見つながっていないようなひとつひとつがうまいことつながる。
この作品の場合は伏線ではなくて、ジグソーパズルという
ほうが正確ね。
最後までちっちゃなサプラーイズ!がちりばめられた楽しいお話です。
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短編の連作集。
相変わらず時間軸の使い方と話の繋げ方がうまい。
語る順番で、こんなにも話にメリハリがつくんだなぁ。
とても心温まる話でした。
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「いいか、後になって、『あの時、あそこにいたのが彼女で本当に良かった』って幸運に感謝できるようなのが、一番幸せなんだよ。」