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全然スッキリとはしないが、1人の女性の生き様を描き切った作品として重みとインパクトのある作品だった。
境遇や環境により、如何にして彼女という人間が形成されていったのかを彼女と関わりのあった人たちの視点から追いかけられていく。良かれと思ったことが裏目に出たり、結果として裏切られたりしていくうちにどんどんと追い込まれていく様によって田中雪乃という人物像は明確な形となり、彼女の選ぶ結末に共感はできずとも理解はできた。。
ただ、たまたま本作の直前にも冤罪を扱った作品を読んでたこともあって雪乃が放火事件そのものに対してどう考えていたのかは気になった。
あくまで自分の死に対してだけに執着していたのか、真犯人(その内の1人は死んでいるものの、残りは…)たちを社会に残したコトに対する罪も抱えていたのか。。
…ここは読者に委ねられた部分なのかもしれないが個人的には前者のような気がして、彼女の生い立ちからの考え方等には理解できたものの、残された人や社会に対する責を無視した一方的な自己中心的考えだっんじゃないかと。。
また、メディアによる犯人像と本人とのギャップと言う点にも考えさせられた。
エピローグにある「何も知らないくせに。自分勝手に決めつけて」。
正に本作にあるような犯人像だった場合、メディアを通じて知る凶悪犯としての田中雪乃を疑うコトはないだろう。これは報道側に期待するしかないが、起きた事実だけの先入観に囚われず、その背景なども公平な立場で伝えてほしいものだ。。
それらを含めて読了後に色々な見方、考えをさせられる機会と余韻を残す良作でした!!
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なんだろう・・・話の内容、結末が重くて悲しすぎて言葉が出ない。
付き合っていた恋人に別れを告げられその後元恋人は結婚し子供が生まれた。
その元恋人の家に火を放ち妻と娘2人の3人を殺害し裁判で死刑判決を下された「田中幸乃」の子供の頃からの30歳までの話
読み手側からするとなんてバカでお人好しで不幸な人生しか歩んでこれない人なんだろうと思うが「田中幸乃」本人からしたらこれが自分の幸せなんだろうと思わされた。
面白くて一気読みでした(読んだ後はドッと疲れましたが)
早見さんの本はこれが初めてだったので以前の雰囲気はわかりませんがかなりお薦めの本です。
これは映像化したらかなり面白い作品だと思います。
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結末は賛否両論。辻村さんの解説で、まさに「救いがない」と感じてしまった自分。改めて考えさせられました。簡単な言葉じゃ片づられない「何か」が、、、。
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201703/ここに至るまで幸乃の心境に共感や理解ができないので、救いがないと思ってしまうけど、でもこれで幸乃は救われたのだと思うと…でも…。
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放火殺人事件を起こした女性死刑囚の半生です。
主人公である死刑囚はいっさい何も語りません。
彼女に関わった事のある登場人物たちの言葉によって、
彼女がどういう人間であったのかが浮かび上がってきます。
リアリティがあるようなないような・・・と思いましたが、
死刑になりたいと通り魔的な凶悪事件を起こす人間が実在する昨今、
こういう人間もいるのかもしれませんね。
〝イノセント〟 には、〝純粋〟という意味と、
〝無実の〟という意味があるそうです。
まさにタイトルが全てを物語っているのですが、
純粋と無実をよくもここまで暗く救いようのない話に
したもんだとある意味感心させられます。
しかしながら読後感は多くの方がおっしゃるほど悪くは
なかったんですよね。
なぜなら私は主人公は救われたような印象をもったので。
逆に救われなかったのは、
彼女と関わったまわりの全ての人たちのように思いました。
まぁどちらにしても暗いことには変わりはありませんけどね。
この前に「殺人鬼フジコの衝動」を読んだのですが、
重く暗い話にも関わらず読み易いのはもちろん、
あれよりよほど文章が上手く、なんというか・・・
文章から彼らが生きている街の空気感のようなものが感じられて、
そういうところが話に入り込めたところでしょうか、
よかったと思いました。
これも話は面白いけど・・・って、程度かと思って読んだのですが、
少なくとも機会があればまた読んでみてもいいかなと
思えました。
作家さんの評価はもう数冊よんでからですかね(笑)
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読み終わった後はやや悶々ととしてしまった。内容は面白くスイスイと読める。特にラストシーンはドキドキしながら読んでしまう程である。
多くの人が絡み合うので読者によって感ずるものが違うかもしれない。犯人探しというより、心のすれ違いを楽しむ物語と思った。
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元交際相手とその妻子を殺害、放火したとして死刑判決の出た田中幸乃をめぐる物語。
周囲の人々が彼女について思い出す形で事件や人物像が明らかになっていく。その明らかにしていくやり方がうまいので、気になってページをめくってしまった。
最後についてはかなり衝撃を受けたが、それも仕方ない。本当に殺したのか否かがわかっただけで満足できたからか。
モヤモヤした気分が残るのは、彼女が心を病んでしまった状態を受け入れられなかったからかもしれない。ヤボなことと承知してても、何でそんな判断した!?という感想を持ってしまう。
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元恋人の住むアパートに放火し、奥さんと双子の子供を殺してしまった罪により、死刑を告げられる田中幸乃。
幸乃をよく知る人たちによりその話は語り継がれていく。
誰もが幸乃は無実だと信じて。
人は生まれや才能でなく環境で育っていくことがよく感じられました。
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無垢と悪意をどう見分ける?
本当に悪いのは誰?
「死刑になりたくて殺しました。」という犯罪者。死刑廃止論を唱えるために犯罪者に便乗する弁護士。イメージ先行で都合よく人物像を作り上げていくマスコミ。
そんな違和感が作り上げた物語だと思います。
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途中でやめられなくて、明日仕事だというのに3時過ぎまで読んでしまいました。
おもしろかったのだけど、なんと切ない話か。
幸乃に関わった人、みんなが「あの時こうしていれば、手を差し伸べていれば」と後悔してる感じ。
幸乃ちゃん、死にたいなんて思っちゃいけないよ……。散々辛い目にあっただろうけど、でもあなたには信じてくれる人がいるじゃない……と伝えてあげたかった。
そしてまた、この中ではずいぶんいじめが横行してるな! 読んでいてあまり気分のいいものではありませんでした。
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もしかしたら無実では? という死刑囚の話、というとありきたりな感があるのですが、相当惹き込まれて読みました。
その理由は自分ではよくわかっていないのですが……多分「ギャップ」ですかね? 報道されている内容と、田中幸乃本人、あるいは周辺人物からの情報との違い。そして、幸乃本人のパーソナリティと殺人犯という相容れないイメージ。
そのギャップの理由が知りたくて、先のページをどんどんめくっていったのかな、と。
で、物議を醸している結末に関して……結局間に合わなかったことについては仕方ないと納得できるのですが、せめて幸乃が無罪だったことやどのような人物だったのかを、誤解している人全員に知ってもらいたかったです。
幸乃自身はそんなことを望んでいないでしょうけど、いち読者としてはそれくらいの救いが欲しかった、というのが正直な感想です。
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久しぶりに胸が締め付けられる感覚。
一人の女性死刑囚の、死刑を宣告されるまでの人生を、関係する人々が語っていく流れです。
帯には3日寝込むと書いてありましたが、
それは、この本を読んで、救いがないと感じたからなのかなぁ。
私は、主人公の幸乃が最終的に幸せをつかんだように感じて、少し嬉しかったです。
読み手によって感じ方がそれぞれわかれるのも、本のいいところですね。
必要とされたかった幸乃。
必要じゃないと捨てられることが怖かった幸乃。
そう思わせてしまった幸乃の周りの環境。
弱くて、強い幸乃。
しばらく幸乃が忘れられそうにありません。
とてもいい本が読めて、良かったです。
この人のほかの本も読んでみたいと思います。
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死ぬために生きようとする
いくらでも違う道があったのに、結局は望んだ通りになったのだから、それはそれでいいのだろう。無実を解き明かしていくことで、重さが増していきました。
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田中幸乃の人生における登場人物たちとただの通行人の話。
明るくて、屈託のない女の子。
どこでボタンを掛け違えたのか。
ラストで明らかになるあまりにも哀しい真実。
死ぬことを強く望んでいた女のもとに、そのチャンスが舞い降りてくる。
彼女が生まれて初めて、自分の意思で生きようとしたのは、死ぬためだった。
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『無実の罪で死刑執行されるよりも人に見捨てられる方が怖い』
慎ちゃんが信じてくれていても、慎ちゃんに必要とされていても幸乃は死にたかった?どうしても死にたかった?
最後に桜の花びらと一緒に死刑執行されたってことは幸乃も少しは慎ちゃんを信じていたんだよね?無実の罪を証明しようとしてくれて嬉しかったんだよね?
こんな辛すぎる終わりってない・・・悲しすぎる・・・