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タイトルと表紙からどうせタイトル落ちなんだろうと、高を括って本書を本棚の片隅で眠らせていた自分を殴ってやりたい。クローン人間を食べるという設定からは到底思い付かないような展開の数々に衝撃でした。探偵役が現れては自説を披露してそれが覆されるという流れに、いったい自分は何を読んでいるんだろうと思ってしまいましたが、それらが最後にはきちんと纏まったのだからすごいと思いました。
小説は自由なのだと思い出させてくれた一冊でした。他の作品も読みたいと思います。
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初白井。いや〜凄かったッ!?期待以上でした^^ 食料として自分のクローンを作る世界。由島三紀夫というヤヴァイ人物w とてもグロテスクで、多少エロティックww カチッとハマる推理には爽快感すらあった。万人受けはしないけれど、わたしは推したいね♪星4つ半。
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タイトルから勝手に猟奇ホラーだと思ってたら、SFミステリでした。中々に興味深い内容だった。未来の食糧難、人類は昆虫を食べているのか、それとも・・・。
あらすじ(背表紙より)
「お客さんに届くのは『首なし死体』ってわけ」。安全な食料の確保のため、“食用クローン人間”が育てられている日本。クローン施設で働く和志は、育てた人間の首を切り落として発送する業務に就いていた。ある日、首なしで出荷したはずのクローン人間の商品ケースから、生首が発見される事件が起きて―。異形の世界で展開される、ロジカルな推理劇の行方は!?横溝賞史上最大の“問題作”、禁断の文庫化!
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あらゆる動物の肉が食べられなくなり、食用のヒトクローンが出回る架空近未来での陰謀、特殊な論理。
周到な伏線とロジカルな推理。
相次ぐどんでん返しが確かに本格の読み味でわくわくさせられた。
いかにして生首は持ち込まれたのか?
SF的陰謀に巻き込まれた男はいかにして事件に幕を降ろすのか?
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人に薦められて読んだ。
表紙で損をしていると思う。内容はとても下衆にこだわっていて清々しいぐらい。意外性とパズラーとしての意気込みも良い。煎じ詰めればこの世界観ではトリックなんてなんでもありな訳ですが、割とその辺りを目立たせないように上手く処理していると思う。
冒頭に矛盾を仕込んでおいて「あれ、気づかなかったんですか?」と澄まし顔で冷笑してくる作りは好みのもの。法月綸太郎「ふたたび赤い悪夢」みたいだ。
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自身のクローンのみ食人が認められた日本を舞台にしたミステリ。本作も作者さんが得意とするエログロが際立つ作品。 ミステリとしての斬新さはあまり感じませんでしたが、丁寧な展開と、この設定に期待することを詰め込んだような作品。ミステリの心地よい驚きとパニックものの楽しさが詰まった好印象な作品です。
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横溝正史賞受賞作。
グロテスクさが前面に押し出されているので、割と好みが別れる作風なのではないか、と思うが、面白かった。個人的にはこういうグロ方向に突き抜けた特殊設定は独自ジャンルを築く武器になると思う。
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肉食が忌避されるようになり、自分自身のクローンの肉ならば食べて良いことになった世界のお話。どんな世界だ、という感じだけど、この設定でなければ成立しないお話なので仕方がないというか。
和志(本物)は嵌められて多分このまま死刑になるけど、自分のクローンを虐待したり、女性蔑視思考も酷かったりするから、可哀相だとも思わないな。
和志(クローン)は実際、本や新聞を与えられるだけで何故こんなに賢くなれたのかがちょっと謎。そこは「お話だから」ということで良いのか。
河内ゐのり(本物)は完全にとばっちり。気の毒に。
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この三連休に以前買ってあったこの本を読んだ。自分で自分のクーロンを食べる世の中という現実にはあり得ない世界でのストーリーに没頭させられた。作家はやはりすごいなと思う。
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汚ない。評判のいい『名探偵のいけにえ』もそうだったが、不必要に汚物などの描写があるのでゲンナリしてしまう。評論家諸氏は絶賛しているが、なんだかね。綺麗な論理も汚物で台無し。
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タイトルのインパクトに惹かれて手に取りましたが、意外にもミステリーでした。
「人間のクローンを食糧として飼育する世界」というトリッキーな設定を前提としたミステリー。
解説にもあったように万人受けはしないでしょうが、意外性があってなかなか楽しかった。
誰が探偵なのか?
様々な人物に視点が切り替わって進み、最後まで結末がわからない。
やや結論ありきな組立ての気はするが、解けた時の完成した絵面は見事。
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途中まどろっこしい展開や細かい部分に「?」なところはあるが、複数視点の構成、特殊設定の用い方は非常にうまいと思った。先が楽しみな作家。
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● 総合評価 ★★★☆☆
新種のウイルスの流行により,人間のクローンを食するようになったという異世界を舞台としたミステリ。異様な設定の上,かなりグロテスクな描写もあり,読む人を選びそうな作品。ミステリとしては,食人法を成立させた政治家,冨士山博巳のもとに,本来では送付されるはずのないクローンの首から上と脅迫文が送付される…という謎が提示される。クローンを梱包して送付したのは柴田和志という男。クローンを梱包して送付した場面はこの男の視点で描かれており,読者には柴田が犯人でないことは明らか。いったいどのようにして冨士山の首から上と脅迫文を冨士山に届けたのか。
更に,プラナリアセンターに火が放たれ,4420人分の人間のクローンが焼死する。
このミステリに仕掛けられた仕掛けはいくつかある。まずは叙述トリックとして柴田和志と柴田和志が作っていたチャー坊というクローンの視点が混在しているという点。風俗嬢の川内ゐのりと接触していた「柴田和志」は,実はクローンのチャー坊だった。また,川内ゐのりも風俗嬢と「守銭奴」というバンドのメンバーである川内ゐのりの二人がいる。守銭奴のメンバーの川内ゐのりが接触していたのは本物の柴田和志である。
この2つの叙述トリックにより,読者に対し,チャー坊が裏で犯罪計画全体を構想していたことが隠されている。
作品内のトリックとしては,冨士山が政敵である野田丞太郎を殺害したときに,アリバイトリックとして自身のクローンを利用する…というものがある。そして,このクローンが事件の実行犯。この事件における犯人は,柴田和志のクローンであるチャー坊と冨士山博巳の黒^ンの二人。チャー坊による柴田和志に対する復讐,プラナリアセンターの破壊そして,冨士山のクローンによるクローンの革命。クローンと人間を入れ替えることで,クローンの社会進出を狙う革命だった。
ほかの書評でもあるが,特殊世界の設定はかなり苦しい。個人的にはあまり気にならなかったが,設定の細かい点には無理があるとは思う。
叙述トリックが見事に決まっており,チャー坊が柴田和彦として,風俗嬢の川内ゐのりと会っているとは思わなかった。これは柴田和志によるチャー坊の飼育シーンのグロテスクさが,まさかチャー坊が人間として行動していると思わないという点につながっているようにも思う。そうするとグロテスクな描写も,この作品のプロットには不可欠だったということだろう。
ミステリとしては,冨士山にクローンの首から上を送り付けた点について多重解決が示される。ここは面白い。真相の意外性があるといえばある。正直,チャー坊冨士山のクローンを結び付け,この二人による共犯とは思わなかった。
結論としてどういう評価かというと…。悩む。読んでいるときは,この話をどう決着付けるか楽しみで一気に最後まで読んだ。そして結論は意外性があった。そうすると満足度が高くなりそうなのだが,そうでもない。伏線も見事といえるのに…。なぜかというと,やはりアンフェアに感じる部分があるからだろう。チャー坊が人間して行動していたという部分と柴田和志の飼育シーンでのチャー坊の描写���ギャップがあり過ぎて,やられたという感じにならないのだ。
冨士山のクローンが冨士山にとって代わったというところもそう。本当にそんなことができたのかが疑問。チャー坊と冨士山のクローンの出会いもご都合主義。やられた感が少なくなっている。また,由島三紀夫の存在など,ほったらかしの伏線と感じるものもある。
「殺戮に至る病」や「殺人者」シリーズを読んだときも感じたのだが,どうにもグロテスクな描写が苦手で読みこめない。これも減点対象。評価としては★3で。
● サプライズ ★★★☆☆
真相が,チャー坊と冨士山のクローンが計画した犯罪たという点はサプライズがある。柴田和志→チャー坊と,二人の河内ゐのりの存在を,それぞれ1人の人物と誤信させる叙述トリックなど,驚ける要素はある。しかし,どうも伏線が回収されきっていると感じられず,そこまでやられたと感じられなかった。むしろ,なんとなく説明不足だと感じてしまう。もう一息でもっと驚ける傑作になっていたと思う。
● 熱中度 ★★★★☆
冨士山にクローンの首から上と脅迫状を送り付けたのは誰か,野田丞太郎殺しの真相,プラナリアセンター爆破の犯人など,話のスジ,謎は非常に魅力的。これをどのように決着付けるつもりか。最後まで一気に読み進めることができた。熱中度は水準以上
● インパクト ★★★★★
クローン人間を食べる世界という特殊世界の設定,グロテスクな描写など,インパクトは十分。叙述トリックも見事。インパクトは十分
● キャラクター ★★☆☆☆
個性的なキャラクターぞろいなのだが,いくら性格を使い分けているといっても,柴田和志に飼育されているチャー坊と柴田和志のふりをして,川内ゐのりに会っていたチャー坊の描写が違い過ぎて,同一人物とはとても思えない。叙述トリックとしては面白いが納得しきれない。由島三紀夫の存在も割り切れず,キャラクターとしては難あり。
● 読後感 ★★★☆☆
川内ゐのり,チャー坊,冨士山のクローンの三人の会話で真相が語られるエピローグを読んだ後の読後感は悪くない。本物の芝田和志がイヤな人物であり,こいつがひどい目に遭う終わり方が読後感をよいものにしているのだろう。とはいえ,ここでも由島三紀夫の存在がネック。エピローグの蛇足感がひどい。とはいえエピローグがないと,由島三紀夫は何だったの?と思ってしまいそう。総合的な読後感としては★3で。
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安定のグロ設定で、きちんと推理ミステリー。
コロナウイルスによって家畜の肉が食せなくなり、子供達への栄養管理の為、クローン人間の肉を食す世界。
という、変わり種設定を巧みにトリックに盛り込んだ上、基本のミステリー要素も満載。
「東京結合人間」もそうでしたが、白井智之の作品を読んでいると、江戸川乱歩のミステリを読んでいる時のようなもやもや感があります。
なんだか「奇妙」な感覚。
ハマりました。
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やばめのタイトルに惹かれて読みました。
上から目線になってしまいますが、最近読んだ本(ミステリー)の中でも、かなりいい構成で純粋にミステリーとしての楽しみ方が出来ました!
きっと次はこうなるな…と、自分の考えていた結末から、2転3転して最後には考えもしなかったようなラストについ「え?!ちょっと待って」と本に話しかけていました。笑