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「どうか文庫の貸し出しをやめてください」――文芸春秋の松井社長が、
「全国図書館大会 東京大会」でこんな訴えを行った。
http://biz-journal.jp/2017/10/post_21081.html
収入は減る、本は自分で買え、では踏んだり蹴ったりです。出版社は新聞に文庫の新刊の広告を載せるなと叫びたい。
嵐山光三郎『猫のほそ道 ノラ猫俳句旅』(小学館文庫 2017年9月11日発行)
新聞広告で見つけて、市立図書館にリクエストして6週ほどで到着しました。
内容紹介
《我が家の老猫ノラはある日コツゼンと姿を消しました。ノラは、芭蕉さんの「奥のほそ道」の旅に出たのだと思うのです。消えてしまったノラの念力をい
ただいてこの話ができました。》登場する猫たちはみな俳句を詠む。句会はもちろん、連句もあるし、句合せもある。
猫たちの句の一部をご紹介:老猫の小さな足に西日さす/
みちのくの涼しさつげよ猫の旅
/水を飲む猫の小舌に秋の風/
そして連句――
スーパーの煮干しの固き余寒かな ノラ
貧しき家にけふもいついて トーちゃん
猫の世界観では、人間は猫の下位に属する動物で、猫に餌を奉納する係なのである。人間が猫に餌を与えるのは、天がそう命じたからで、いちいち人間に
礼をいう必要はない。(186~187頁)
わが家の寅と酉は猫の下位に甘んじている。困ったもんだ。
『猫のほそ道 ノラ猫俳句旅』は一種の戯作ですが、楽しく読めました。