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2011年3月11日、巨大地震発生。志願し被災地に赴いたベテラン記者・大嶽が遭遇したのは、想像を絶する惨状だった。行方不明の新人記者捜索という特命を受け、記者の誇りと存在意義を賭けた日々が始まる。そんなある日、地元で尊敬される男が凶悪事件と関わりがある可能性に気づき……。読む者すべての胸を打ち、揺さぶる衝撃のミステリ!
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3.11もうすぐです!
各章のはじめに新聞記事が掲載されており、読み応えがありました。
東日本大震災が起こり、その地へ取材に。
7年前の事がよみがえりますので、描写内容に胸が痛みました。
物語はいくつもの事象が重なり合い、結果も予想外となりましたが、記者社会の厳しさにもふれることが出来、知らないことを知る事の面白さを感じました。
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応援教師を主人公に、東日本大震災の被災地の子供たちや地元の人々との交流を描いた著者が、本書では新聞記者を主人公にそえた。
記者魂の塊のようなベテラン記者が、東日本大震災の現地雪を志願する。彼は、阪神淡路大震災の時に書いた記事で深い傷を負い、その克服のために取材を敢行する。
一人称で書かれており、他社とのスクープを巡る戦いや本社幹部との確執など、記者版ハードボイルドの感。
冒頭から続く被災地の壮絶な様子に加え、被災者の心情を克明に描写できるのは、著者自身が阪神淡路大震災を経験している所以か。
被災地での過酷な取材活動が続くが、中盤から俄然ミステリー性を帯びてくる。新人記者を救助する際に犠牲になった、地元の人々からも尊敬される僧侶が過去の凶悪事件と関係があるのでは、と。
周囲の反対を押し切り、関係者と軋轢を起こしながら、主人公は真相を追い求める。彼は殺人犯なのか、それとも・・・
やがて、衝撃的な真相が明らかにされる。
新聞記者とはどうあるべきか、そして、人はなぜ過ちを犯すのか、を問う、挑戦作。
著者は、読書の醍醐味を十二分に味合わせてくれる。
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4よりの3
これで終わりか!
読了後の正直な感想。
でも、この本のメッセージ、秘められた想いを鑑みると、これで終わるしかないんだろうとも思う
新聞記者として、何故記事を書くのか
阪神・淡路大震災で、記事を書くという恐ろしさを知った主人公、大嶽が家族との安全や幸せよりも、記事を書くという選択をした。
彼は、東日本大震災の地に踏み込み、後輩の遠藤、細川、社主の孫である松本、震災を受けた人たち、その人々を助ける青田たちを通して、何を見、何を書くのか。
ミステリーというテーマだけでは収まらないような気もする。
何か震災が起こった時、私はニュースや新聞で事実を知る。そこには、必ずそれを見て、聞いて記事にする人がいる。その当たり前のことを、私はこの本を読んで初めて気付いた。
記者が、現場で事実を書くために、身を粉にして取材をしなくてはいけないことを知ったのだ。
それが、どれだけ危険なことでも、聞ける状況じゃなくても。
松本が探した震災の生と死の境目。
手を離してしまった。ただそれだけなのに、振り返ったらそこにはもう、さっきまで生きていた人間がいない。
誰のせいでもないのに、あの時こうしていれば、を繰り返す。
そんな想いを知り、事実だけを伝えることがどんなに難しいことなのだろう。
だからこそ、大嶽は、震災という事実ではなく、殺人の事実を求めたのかもしれない。
こういう時に、AIが活用されるかもしれないな。
記者AI。
だけど、感情のない記事は、本当に意味があるのだろうか?
読む側も書く側も、記事の意味って、永遠の謎だよなぁ。
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東日本大震災を扱った著者の作品を読むのは、これで3作目。「ハゲタカ」で有名な作家さんだが、私はほとんど震災関係の作品しか読んでいない。
今作も他の本の後ろにあった作品紹介で知った。
ただ「そして、星の輝く夜が来る」「海が見えるか」の震災の絶望から希望を描いた作品の印象が強かったため、今作の震災にミステリーを絡めた手法には、読み終わっても抵抗とか違和感しか感じなかった。
阪神・淡路大震災で少女の救出劇の記事を書いた後、その少女が亡くなってしまったことで、トラウマを抱える新聞記者の大嶽。東日本大震災が発生し、彼はトラウマを克服するべく、志願して被災地へ向かう。彼の担当は宮城県。しかし、大嶽に命じられたのは、取材の途中で被災し、行方不明になった社主の孫娘の記者を探すこと。早々に本人は見つかるが、彼女を助けた寺の住職は津波に飲み込まれ、亡くなってしまう。それが美談の記事となるはずだったが、その記事が13年前の判事夫妻殺人事件に結びつく。
前半こそ、被災地の様子が描かれるが、「5日目になると被災地も落ち着く」などのような描写があり、その後は亡くなった寺の住職と13年前の事件の結びつきにフォーカスが移ってしまい、被災地の様子や被災者の大変さが全くなくなってしまう。
ミステリーだったら、ミステリーでいいとは思うけど、東日本大震災と言う、多くの人の心に傷を残した大災害を簡単にフィクションの題材にしないで欲しいと感じるのは私だけだろうか?
もうすぐ9年。まだ東日本大震災を過去の出来事とは思えないし、お話の中の出来事と割り切ることも出来ない。
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ミステリーとしては面白く読みました。ただ、震災を題材にするのは時期尚早な感じがします。
解説にあった「日本は自然災害が起こる割合、頻度が他の国と較べて格段に高い」に妙に納得してしまいました。
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阪神大震災を経験し東日本大震災の現地記者の主人公の話。ある事件を通して新米汽車とコンビを組み事件を追っていく。私が惹かれた部分として仕事へのスタンスが新米記者とベテランとでは全然違う点だ。ベテランである主人公は目的に対して躊躇なく仕事をする。 目的にたいして私心と記者としての行持に揺れ動きながら進んでいく様がとてもよかったね。
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雨に泣いている 真山仁さん
1.真山さん
ドラマ「ハゲタカ」で知ることになり、その後、バラ色の未来/カジノ誘致、虚像の砦/放送認可、マグマ/地下熱発電、オペレーションZ/国家財政、標的/女性首相と読了してきました。
そして、雨にぬれている/東日本大震災
2.首尾一貫の姿勢
新聞記者出身の真山さん。
真山さんが、主人公を通じて訴求するメッセージは一貫しています。
「報道とは?」への想いです。
3.書籍から
「目の前で起きていることを伝える。
バッドニュースかもしれないし、
グッドニュースかもしれない。
だが、それを判断するのは俺たちの仕事じゃない。」
4.新聞発行部数が減りつづける
スマホがでてから、ビジネス側の視聴者への隙間時間への捉え方が変化しているはずです。
従来は、24時間のうちで在宅時間が焦点でした。
テレビも新聞も。
しかし、いまは、起きている時間帯の、さらに、1,2分という、細切れの時間に対する接点がポイントとなっています。
テキストから動画へ。
この流れが縮小することも想像しづらいです。
報道、記者とは?
この小説から、その本質が見える気持ちがするのは、私だけでしょうか?
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東日本大震災の混乱の中,様々な出来事が起きていることを新聞記者の目を通して「伝える」とは何かを訴えている。
但し,色々盛り込み過ぎな感じがした。