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死者をひたすらに、深く、深く探っていく。いつもは事件が起こり警察の要請を受けてから動く、火村・アリスコンビが、今回はいつもと少し違った捜査方法で、事件の真相に迫っていきます。
アリスは面識のない大物作家、影浦浪子の招待を受け、文壇のパーティーに出席する。影浦がアリスを招待した目的は、ホテルで自殺したとされる梨田稔という男の、死の真相を探ってほしいというものだった。
生前、5年近くホテルのスイートルームに住み、ホテルの支配人夫婦や常連客とも馴染みの深かった彼は何者だったのか。興味を持ったアリスは火村と共に調査を開始しようとするが、折りしも火村は大学の試験監督のため身体を空けられず、アリスは単身、調査を開始する。
いつもは切っても切れない火村とアリスの名コンビ。しかし今回は、小説の半分以上。400ページ近くアリス単独の調査で進みます。
ひたすら足と聞き込みで、梨田の人生を追っていくアリス。
「鍵が掛かった男」梨田の秘められた過去が、アリスの粘り強い調査で少しずつ明らかになってくる。
この調査の過程はとにかく地味で、そしてなかなかの長さもあるものの、シリーズファンなら、いつもと違う調査といつも通りのアリスの語り口で、自然と読んでしまうのではないかと思います。
火村から『お前は本当によくがんばったよ』という言葉(この発言、女性火村ファンはクラっとしそう)を引き出すアリスの調査は少しずつ、封印された梨田の過去と罪を明らかにしていきます。そして真打ち火村が後半に満を持して登場。梨田の過去と事件の真相をめぐる物語は、佳境へと向かう。
アリスの調査と火村の推理で、徐々に梨田の人生が形作られていきますが、彼の数奇な運命と、人生の要所で迫られた究極の選択、そして孤独と救いは、ある意味では事件の真相以上にドラマチックに映ります。
梨田の死亡事件については、有栖川作品らしくロジックで解き明かされるのだけど、単にロジックだけでは割りきれない、被害者の人生もこの『鍵の掛かった男』では描かれ、二重の意味で面白く読めました。
そして梨田の人生の最期を知る人物の複雑な感情も、改めて人生の数奇さと、人の感情の割りきれなさを映すようで印象に残ります。
現場となったホテルのある中之島の風景も読みどころの一つ。自分は国際美術館や、朝日放送、朝日新聞なんかに行ったことがあるので、自然と土地の様子や雰囲気も思い浮かぶのだけど、中之島や淀屋橋回りの川や橋の風景の描写も、風情が感じられました。土地勘がある人なら、より楽しめそうな作品。
本格ミステリとは関係の薄い、被害者の人生にひたすら焦点を当てるこの『鍵の掛かった男』。
有栖川さんの作品では、やや異色ではありますが、いつもの有栖川さんと一味違った本格ミステリが楽しめたと思います。
2016年版このミステリーがすごい! 8位
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ホテルの長期滞在者が自殺。その自殺に納得いかない小説家がアリスと火村先生に調査を頼む。最初は火村が忙しいのでアリスだけで調査。アリスなりに少しづつ情報を集める。火村合流してからの調査のスピード感。さすが。
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前半部分は有栖川が活躍しながら、中之島のホテルで首吊を吊って亡くなった男の事件と人生の謎を明らかにしていく。
"ワクワクドキドキ"という話ではないけれど、徐々に明らかになる過去に引き込まれていった。
中之島を歩いたことがあると、物語の至る所に表現されている雰囲気が分かる。
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レンガ本。
持ち歩くのが、重かった・・・。
今回は火村先生ではなく、有栖さんがメインで活躍。ホテルで暮らせるなんてなんて贅沢なんだろうと思ったが梨田の生活を見てみると色々考えさせられる。まぁ、梨田の場合は御祓の意味も含むからちょっと違うかもしれないけど。
ただ、最後一番強く感じたのは男性と女性の見た目の変容。気づければこんなことにならなかったのに。
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#鍵の掛かった男
#有栖川有栖
人気の『火村英生シリーズ』
ホテルに長期宿泊していた、謎多き男の自殺案件をひょんな事から調査する事になった有栖と火村。
しかし火村は、しばらく調査に加わることができない。
まずは有栖のみで調査に乗り出すのだが…。
謎に包まれ、鍵が掛かったような男の謎を少しずつ有栖がほどいていく中、火村英男の推理が炸裂する。
男はやはり自殺なのか?
それとも他殺なのか?
最後まで一進一退の本格ミステリ。
#本格ミステリ
#火村英生シリーズ
#有栖がメインで動く
#終盤は二転三転
#人間ドラマ
#登場人物が少なくわかりやすい
#長編ですがさっくり読めます
#読書
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単行本版を既読。そういえば文庫版を買っていなかったな、というのと分厚い本が読みたいな、というので購入した。単行本を読んだのは5年近くまえ。細部を覚えていたりいなかったりしたが『鍵の掛かった男』の死の真相はまったく覚えておらず、初見のように読めた。そしてシリーズのファンならよく知るアリスの取り扱いが他作品とはひとあじ違うという点でも、本書は読みごたえがあるだろう。緊張感を程よく持続させながらぐんぐん読ませるので、700ページがあっという間であった。こんなアプローチをされるから、ミステリから離れられないのだ。
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分厚すぎ!と思って読み始めたが、話が進むにつれおもしろくて一気に読んでしまった。見た目通り長いので、散りばめられた伏線は綺麗に回収するし、「鍵の掛かった男」の何重にも掛かった鍵も最後にカチッと回されて開かれる。とてもすっきり。
なので、見た目に反してすぐ読んでしまった。
今回は半分以上アリスの単独捜査で、真実に肉薄していくのがとても良い。いつもは奇想天外なトリックをぽんぽん言って火村にバカにされがちだけど、今回は違う。地味ーな捜査ながら、足を使って様々な人から少しずつ被害者の話を聞き出し、人物像を形作っていく。読者も同じ情報から、大体アリスと同じような結論に至るので読んでいてとてもわくわくした。
そして満を持して火村先生のご登場。
アリスに「お前は本当によく頑張ったよ」と言う火村先生にきゅんときた(笑)
火村先生により、アリスが拾ったパズルのピースがどんどんとはめられていき、最後にかちっと鍵が開いた。
禍福は糾える縄の如し、とは鍵の掛かった男の一生を言ったようなもの。最後は孫を抱いて幸せな気分で逝きたかったろうに。
長い話だけあって、殺人、被害者の人生、そしてホテルへの愛が何重にも絡まったいい話でした。
いつになっても34歳のアリスと火村先生と、大体共有する時事ネタが一緒になってきて違和感(笑)
読み始めたの高校生の頃だったんだけどなぁ…
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どうして?そんな動機で人を殺せるの?
何か、その、足の指を見るだけで、幸せだった老人を、何か、その、嫌だなー。
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いつもは殺人事件が起こってから動く二人ですが、今回はまず自殺なのか他殺なのか分からない状態から話が始まりました。
5年間ホテルで暮らし続け、自殺したと思われる男の過去を、有栖川有栖が紐解いていきます。
今回の有栖の活躍はホントに凄い!!
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初有栖川有栖。
読み応え抜群の分厚い文庫本だが、どんどん紐解かれてゆく梨田の情報を知りたい一心でするする読んでしまった。ミステリながら謎は殺人事件そのものよりも梨田とそれをとりまく人間関係にあり、犯人の特定方法はえっそこからなの!?という感じ。最後まで読まないとわからないという構図は読者がわかっちゃったなと退屈しないのでうまい。実在の建物やコンテンツ、そして震災等のイベントが登場することで「あの頃の大阪」感がかなり強まっており、そういった方向でも楽しめた。
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今年は、昔よく読んでいた有栖川有栖作品をふたたび読み始めた。最後に読んだのが「乱鴉の島」なので、15年以上も読んでいなかった…⁉ 久しぶりに読む有栖川有栖作品は、人間描写に深みが増し、円熟味が感じられた。好きだった作家さんが良い作品を書き続けていたことが嬉しくて、最初から最後までじっくり味わった。
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面白かったー!分厚いのでむしろのんびり読み進めようと思ったけど止まらない。じっくりゆっくりのめり込める充実感のあるミステリーでした。登場する有栖川のキャラクターも好印象で、緊張感もあれば独り言のツッコミも面白くて。
初、有栖川有栖で、ベテラン本格ミステリーの印象に躊躇していたけれど、読みやすかった。そして、火村英生シリーズとは知らなかったので、他のも読んでみたい。
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「鍵のかかった…」に惹かれて手に取りました。
波乱万丈な梨田さんの人生でしたが、終章では家族や周囲に見届けられ、漸くカコちゃんと再会出来たのかと感じ、泣きそうになりました。
犯人の動機において、本人にとっては重要な事かもしれませんが、どうしても自業自得としか思えませんでしたね。
終盤で探偵と2人の作家が答え合わせをしていく場面がオシャレでお気に入りです…頭が固いので、私は一切推理をせず答えを早く知りたすぎてそのまま読み進めましたが(笑)
なんと、シリーズ作品だったんですね。
他作品も読みます!
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再読。作家アリスシリーズ長編。再読なので犯人は覚えていたのだがそれがどうやって明かされるのかまでは覚えていなかった。今作では探偵役たる火村先生が事件現場に到着するのはだいぶ後になってからで、ワトスン役であるアリス先生が事件の主な捜査を担っていく。そういう意味でアリス先生がこれだけ活躍する長編というのは珍しい。そして死者に対してここまで向き合った小説というのも有栖川作品の中では同じように珍しいような気がする。
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火村シリーズで初めて「犯人は誰なんや…」と気になってページをめくりました。
長かったけど面白かった。
このシリーズ、有栖の察しの悪さや頓珍漢な発言やらに嘘やろ?と本気でスン…となって現実に戻されることが毎度あるんですがこれは敢えてなのかなんなのか…それさえなければもっと作品のこと好きになれるのにな。