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2017.11.23.パリで一から画商の道を歩みジャポニスムの嵐を巻き起こしている林忠正、彼を慕って日本からやってきた加納重吉。六人兄弟の三番目として生まれ、画商として家計を支えるテオドール・ファンゴッホ。その四歳上の兄は後世に名が残る名画家フィセント・ファンゴッホ。二組は数奇な運命の元出会い、お互い影響しあっていく。
何回かいったゴッホ展で解説などで知っていた断片的な知識が繋がっていくのを感じ、面白く読んだが、物語はいつ始まるのか…と思いつつ消化不良で終った感がある。ストイックな画商林忠正はゴッホをどう捉えていたのか、最後までわからなかった。おそらく、来年早々の直木賞にノミネートされ、とるのではないかと思われる力作だが私としてはいまひとつのままで終ってしまい残念である。
浮世絵が西洋絵画に与えた影響が非常に具体的に描かれており、興味深かった。浮世絵を観る指標になった。
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売れない画家のフィンセント・ファン・ゴッホは、パリにいる画商の弟テオドルスの家に転がり込んでいた。そんな二人の前に、浮世絵を売りさばく日本人、林忠正が現れ…。
「楽園のカンヴァス」や「暗幕のゲルニカ」にあったサスペンス色はなかったけど、読み応えは十分。本の装丁にも使われている「星月夜」や「医師ガシェの肖像」「オーヴェルの教会」などは実物を見たことがあるが、現在東京都美術館で開催中の「ゴッホ展」にも行ってみたくなった。
(A)
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ゴッホといえば耳を切り落とした事件と印象派画家ぐらいの知識しかなく、その激しい生涯の印象と「たゆたえども沈まず」というタイトルがどうしても繋がらなくて、逆に興味を惹かれて読んだ一冊。
それにしてもなんて悲しい物語なのだろう。
時代が早過ぎた作品達を産み出してしまった天才ゴッホとその価値を誰よりも認めていたが故に誰にもその絵を売ることができなかった弟テオ。
その苦悩がありありと描写されていて、最後の方は読むのをやめることができませんでした。
画家をモチーフにした作品は、奇しくもゴッホの友人ゴーギャンをモチーフにした「月と6ペンス」以来だったことに不思議な偶然を感じました。
物語の終盤以降は怒涛の悲しみに見舞われるものの、序盤から中盤までは華やかなパリの情景や歴史に名を残している印象派画家なども登場し、その見事な情景描写で軽快に読み進めることができました。
読み終えてみて、自分の中できっと心に残る一冊になるという実感があります。おススメです。
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19世紀後半、東洋人への差別激しいフランスへ渡り、浮世絵の販売を通してその道の第一人者となった林忠正と、その片腕・加納重吉を軸に、孤高の画家フィンセント・ファン・ゴッホと、彼を支え続けた弟、テオドルス・ファン・ゴッホを描く。
当時の日本で、茶碗の包装紙でしかなかった浮世絵を、フランスの地で至高の芸術にまで高める事に尽力した忠正。さらにその浮世絵は、後の絵画界に革新をもたらす画家達に大きな衝撃と、インスピレーションを与える。
弟テオの献身と、兄弟が、お互いを想うが故の悲しすぎる結末。
「自分たちの感性よりも、海外で賞賛されたものを認める」という、日本独特の特性。
未だに様々な分野で当たり前のように繰り返される。
タンギー親父がたまらなくいい。
近代美術の立役者は間違いなくこの親父だ。
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書店で買った本。美術や芸術に関心を持つ私は好きな本だと直感したから購入した。内容はゴッホとゴッホの弟、日本からパリに行った加納重吉、林忠正の話でパリで画商として働く林忠正・重吉たちはパリで浮世絵ブームが起きた仕掛人のような存在でもある。印象派の画家達に影響を与えた浮世絵はゴッホにも強く影響をもたらす。画商の日本人とゴッホ兄弟の絆の話でもあり、アルルに行ってからの画家ゴッホの生き様の話もある。炎の画家ゴッホの映画を観てたのもありゴッホのストーリーは最後まで知っていたが、日本人との交流知らなかったから新鮮だった。歌川広重の大はしあたけの夕立は私も大好きな浮世絵だ。
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タイトル萌えですわ。装丁も素晴らしい・・・って、これはゴッホの作品だけど。伝記かというと、そうではなくて史実を元にしたフィクションということらしい。ゴッホの物語だけど、主人公はむしろ弟のテオと日本人画商の2人だと言える。芸術家とその周りの人々。フィンセントと彼を支え続けた弟の思いが絡まって、どこかでちょっとずれてしまって、切ないなー。この「星月夜」、ゴッホの作品で一番好き。
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初読。図書館。このところアートを題材にした小説が続く原田さん。新しい芸術が生まれるパリの空気、兄弟の愛情と献身と不安、温かく厳しい友情、まるで彼らの人生をそばで見てきたような気持ちになった。ゴッホがどうして生きている間に世間の評価が得られなかったのかと、他人事ながらあらためて悔しく思う。ラスト近くは通勤電車の中で涙がこらえきれずに怪しい人となっていました。
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日本に高い関心を寄せていたゴッホとゴッホを献身的に支えた弟のテオ、そしてフランスに強いあこがれを抱いていた日本人の画商たちの物語。まるで1800年代のパリにタイムスリップしたような臨場感あふれる展開で物語とアートの世界に引き込まれていきます。
https://opac.shodai.ac.jp/opac/volume/528345?current=1&q=%E3%81%9F%E3%82%86%E3%81%9F%E3%81%88&total=1&trans_url=%2Fopac%2Fsearch%3Fcount%3D20%26defaultpage%3D1%26defaulttarget%3Dlocal%26order%3Drecommended_d%26q%3D%25E3%2581%259F%25E3%2582%2586%25E3%2581%259F%25E3%2581%2588
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ゴッホとその弟テオの史実に基づいた小説。
お見舞いとしていただいた本でしたが、表紙が大好きな星月夜で、病室に飾っていてもとてもすてきでうれしかったです。
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絵が画家のものだけではないのだな、と教えてくれる話だった。
違う国の人間なのにテオと重吉、フィンセントと忠正は誰よりもお互いのことが理解できた、そんな感じだった。
憧憬を抱くものがあり、苦しくてもそれに真っ直ぐ向かって行く。格好いいし、羨ましいし、辛そう。
変動の時代の影には光だけでは表せないものがあるんだな。
林さんもテオドルスさんも実在のようなので二人に関する本も読んでみよう。
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ゴッホ展からの「ゴッホ 最期の手紙」からの流れで読んだので登場人物が昔からの知り合いくらいの感覚に。笑
特に映画が本当に本当に素晴らしくて「生まれて初めて」という久しぶりの感覚を味わった。静止画でしか会ったことのない人、見たことのない風景が目の前で息を吹き返したかのようだった。そして光と影。「Starry, Starry Night」の最後の歌詞。あの映画は紛れもなくゴッホへのラブレターだったんだろうなぁというほとんど映画の感想。「星月夜」見てみたいなぁ。
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印象派と浮世絵の光の洪水の中、絡む人々の生々しい生きざま…一直線な因縁、宿縁、契りを感じさせる。夢、睡蓮、ゲルニカに負けず劣らずの今刊の星月夜。この時期に、この一冊、、一足早いX'masプレゼントだなぁ
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史実に基づくフィクション。
私のような無知な者でもゴッホは知っています。
マハさんは
私にとっては美術の先生のようです。
絵を観賞するテクニックを
もっと早くに知りたかったなという感じです。
兄弟ゆえの甘え、煩わしさ、
それを越えた愛しさがとても苦しく心に迫りました。
これまで知っている絵も
これまでとは違った印象になるかもしれないなと思います。
年明け1月下旬からの京都にやってくるゴッホ展を
楽しみにしています。
あれほど、
恋い焦がれた日本に作品だけがやってくる、
ゴッホはテオはどんな風に感じていいるでしょう。
ハヤシもシゲも。
夏に札幌で観光をやめて「ゴッホ展」に行こうかと言う話がでてましたが
京都にもくる!とわかったので見に行かなかった、ということがありました。
あの時、みていたらまた、印象が違ったのかもしれません。
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ゴッホとゴッホを支えた弟テオ、そして二人を見守る日本人の画商たち。テオは兄ゴッホに絵を描かせることに生涯をかける。その時代、浮世絵がパリで評価され、画商として成功する日本人たちとの関りも興味深い。ゴッホの不遇な人生を改めて感じ、他界後の今の評価を兄弟はあの世でどう思っているのかと思うと感慨深くなるstoryだった。
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ゴッホのことは、「ひまわり」を描いた人、それを日本の企業が高額で購入した、ぐらいしか知らなかったので、とても興味深く読書の時間を楽しめました。
多くの芸術家たちがそうであったように、生前は不遇で死後作品が認められていく…途中そして最後はとてもせつない気持ちになりました。