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鏑木蓮さんの本は、「思い出」「過去」に重点を置いた物語が多い。
今作もまさにそんな一冊。
独居老人が多く住むマンションの管理会社でバイトする、
主人公の門川は警備のバイトも掛け持ちするフリーター。
ホントは映画関係の仕事をしたかったのだが、それもかなわずに。
ある日、そんな彼は住人の帯屋が独り部屋で死んでいる所に出くわす。
そして、遺品整理の最中に見つけた8ミリ映像に興味を持ち、
帯屋の人生を追うドキュメンタリーを撮ろうと動き始める。
しかし、帯屋を知る人に会おうとするもなぜか非協力的だったり
敵意を露わにされたりして、うまく事が進まない。。。
果たして、彼はちゃんとドキュメンタリーを完成させられるのか。
それは一体なにをもたらすことになるのか。
うーん、他の著作と同様に地味ですね。物語としては。
この物語こそがドキュメンタリーだったなら、もっと心動いたんだろうけど。
そして、主人公よりも彼の上司の方に興味が湧いてしまいました。
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孤独死というテーマでおもしろいというと語弊があるけど、心が動く作品だった。著者の単語の選び方も好き。最後の証言が続くあたりが特に良い。
ただ、孤独死に戦争という結構大きなテーマが絡んでたことで、若干どっちが本題かわかりにくくなってるような気がした。こういうやわらかな縁のつながりはこんな特殊な体験を持った老人を登場させないと描けないものかなぁと思った。
あと、伏線の張り方が、張られた段階でそれとわかる書き方でちょっと残念だった。甲山の資格勉強の話など、なくても良かったんじゃないかと思った。
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映画監督になる夢を抱きつつも実際はフリーター生活の主人公。バイト先で孤独死した老人の遺体を発見、その遺品の中にあった8mmカメラの映像に惹かれ、亡くなった老人の過去を調べていくことに。
人生を映画に見立て、どんなシーンで終わってもエンドロールでどう感じるかがその人の人生。そこだけ読むと感動作だと思うのですが…どうも小説の世界に、というか登場人物たちに感情移入できませんでした。映画監督になるという夢を持っているわりに、ただ映画鑑賞だけを重ねて、人とも深く関わることなく、バイトに明け暮れる主人公。老人が残した映像を見た感動を他の映画に重ねるのはともかく、なぜ「この映像と老人のことを調べて映画にしたらどうか、ドキュメンタリー映画だって高い評価を得ているし」という流れになるのか分からない。老人の関係者は主人公に調査を進めてほしくないようだけど、それだってただ怒鳴るんじゃなくて、他にいくらでもやりようがあったはずでしょう。結局行き着く8mm映像の謎も、撮られた経緯は明らかになるけど「どうやったらこんな映像が撮れるのか」には答えがない。戦争での体験があって、ずっと苦しんできたから?撮影対象への気持ちから?
そもそも「孤独死」の問題は、一人で死んでいくのが可哀想、ということではないんじゃないでしょうか。そのことに「自分は孤独が好きだ」と豪語している主人公が気づかないわけないのだけれど。
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アパート管理で見つかった孤独死した老人。重くて暗い始まりから、終始軽く扱えないテーマが出てきてストーリーを貫いている。でも、最後に希望のようなものが見えて、読後感は意外にスッキリするものでした。
主人公と同じ年齢ということもあって、その行動や考え方は他人事とは思えず、自分に置き換えて考えると、もっと人生・家族について振り返らなきゃ・・・とも思った。
そういう意味でも最後の締め方は救われました。
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思い出探偵と同じ作家だったのか
縁を感じるな
期待をするには、まず信頼しなければならない。
役者の鼓動と見てる私の鼓動が共鳴することがあるんだ。
生き様が死に様なんだから
人間は生きたようにしか死ねない
絆/繋がり
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5/22~6/2 なんか思わぬ読後感を味わえた。戦後モノ?ミステリ?
人情系? 色々要素がいいかんじにブレンドされて素敵な作品に。 こういう作品に出会えるから手当たり次第読みも悪くないと思う。
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久しぶりに「当たり」でした。
人生の終末を映画のエンドロールに見立て、人生の価値を問い、孤独死と呼ばれる状況がその人の人生を反映している物では無いことを訴える。
初めての著者の作品を読むというのはちょっとした冒険だけれど、これだけスッキリと自分の胸に入り込む作品を探り当てた時は祝杯をあげたい気分です。
*本作品は「しらない町」を改題した物だそうです。
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ある人の人生が幸せなものか、そうではなかったかを評価するのに、ある一点をもってのみで、軽々しくなされてはいけない。そんなことを考えさせられます。
同時に、主人公である映画監督に憧れるフリーター青年の成長も嬉しい。
そして、田口幹人氏の解説にグッと来ます。
▲とにかく、人間の死を扱いたいのなら、地に足つけて生きることから始めるんだな。生き様が死に様なんだから▲
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面白くて、一気に読んでしまいました
一人で生まれ、
多くの方と縁を作り、
そして一人で旅立つ。
自分の人生を人のせいにして
毎日を過ごしていた若い門川が
帯屋の死に関わったことで
知らない間に変わっていく
それは、自分だけが変わるのではなく
関わっている周りの人たちとの関係も変わる
そんな様子や
戦争での記憶を背負って生きている
老人たちの苦しみや後悔
色々なことがギッシリと、
でもゆるやかに映し出されている
映画のような小説でした
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本屋でふと目に入り購入。映画監督になる夢を捨てきれない主人公が、 バイト先で老人の孤独死に遭遇することから始まる話。遺品である8ミリフィルムが、様々な展開を生むきっかけとなる。エピローグの文章がとても美しかった。「私はそれを誇りに思っています。」私もそう言える人生になるだろうか 。
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「エンドロール」鏑木蓮◆マンションで孤独死した老人の遺品整理をすることになった主人公。遺品の中から8ミリフィルムと意味深なノートを見つけ、老人の過去を探り始めるが…。戦争や孤独死など重いテーマを扱いながらも読後に残るのは温かさ。死ぬときに誰かの顔を思い浮かべられたら幸せかな。
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主人公は映画関係の仕事につきたいフリーター。バイトでマンションの管理人をしていたが、孤独死に遭遇。その住民の8ミリに魅せられ、ドキュメントを作ろうと決める。途中亡くなった人を知人の話で追求していくあたり、少し「永遠の0」に似てるかなと思ったが、そうでもなかった。死んだ人の思惑というのは、いくら親しかった人に聞いても、わかるものではないのかなぁ。孤独死といっても、それまでの人生において関わった人たちがいる。なにも独りで死ぬことが孤独死ではない。
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結局、時代の流れで人の思考や価値観は移りゆくもので、後世に残したいものも消し去りたいものも、それをどう解釈するかはそれぞれ。
何が正しいかは、これからを生きる人たちが時代を学び応えていくもの。
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老人の孤独死をテーマに描かれた本。
映画監督を夢見るビル管理のアルバイト青年がある日、孤独死した老人に出会う。そのまま終わるはずだったが、その老人がかつて映写師であり、また自分で撮った作品を遺品として残していた。それを見た青年の中に「この老人はどんな人だったのか撮りたい」という熱い情熱が燃え始める。
本書の骨子は、現在孤独死問題に挙げられている人々は戦争を経験した最後の世代であること。
その人生の極限状態を生き抜き、その後も生きてきた人々で、その間には数多くの縁、つながりがあってきたはず。
それを現在のつながりだけを見て孤独死はかわいそうだ単純に判断するのはおかしいと思う。
むしろ上から目線で、失礼にあたるかもしれない。
だから孤独死したからと言って同情するのではなく、その人の歩んできた人生、培ってきた縁があったことを意識してほしい。
という提言には思わせることがある。
どこにいても人の縁は生き続けるというのは元気がもらえる。
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本屋で何も考えずに手に取った本。
人生のエンドロールを迎えた際に、人は何を思い何を残すのか!
老人の孤独死に遭遇した映画監督を目指す青年・門川が、老人の遺品である8ミリフィルムを見て、老人の人生に興味を持ち調べていく。
映像の場所に行き、関係のある人から話を聞くにつれて…。
とても地味な話だが、人と人との繋がり…老人の人生…そして最後のエンドロールに涙しました。。。
登場人物の心の温かい部分を感じ、心地よい気分になりました!