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【郷愁を誘う大河的青春吸血鬼小説!】中国から来た吸血種族バンブーは人の姿だが歳を取らない。マフィアに狙われた少年を救ったバンブーは掟を破り人間と同居を始めたが。
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バンブーは優しい。
命の火を灯す人間に憧れ、慈しむ。
自分の命にかえても大切な人を守ろうとする。
人が日々の忙しさの中で忘れていってしまうことでも、バンブーは忘れない。
いつまでも。。。
私は、この物語を読んでバンブーに魅了された。
どのバンブーも愛しい。
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残酷な童話のような作品。胸がきゅっと苦しくなり、切なく悲しい、でも美しく暖かい、なんとも不思議な作品でした。
短編作品のオムニバスになっていますが、一作目と二作目の繋がりが物凄く好きです。
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ひさびさに桜庭さんの本を読みました。
バンブーという吸血鬼と人間の物語。
とても綺麗でせつなくて、生きることを
感じる物語でした。
とりあえずさいこうです。
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読んでいて涙が出た。ちょっと切ないファンタジ。桜庭作品は何冊か読んでいるが,こういう作品も描けるのかと驚いた。
あらすじ(背表紙より)
中国の山奥からきた吸血種族バンブーは人間そっくりだが若い姿のまま歳を取らない。マフィアによる一家皆殺しから命を救われた少年は、バンブーとその相棒の3人で暮らし始めるも、人間との同居は彼らの掟では大罪だった。禁断の、だが掛けがえのない日々―。郷愁を誘う計3篇からなる大河的青春吸血鬼小説。
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金原瑞人いわく、ニール・ゲイマン「墓場の少年」、キプリング「ジャングル・ブック」。
人ならざる者に成長を助けられた少年が、社会に戻るという話型。
萩尾望都「ポーの一族」あるいはアン・ライス「夜明けのヴァンパイア」すなわち「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」。
出だしだけはリュック・ベッソン「レオン」。
バディのイメージとしては吉田秋生「バナナフィッシュ」くらいの青年。
(ちなみに後日談「ほんとうの花を見せにきた」は映画「ロリータ」を連想するところあり。)
そもそも「パンパイア」→「パンブー」という、語感の連想の発想の勝利。
バンブーは冷たい。生者は熱い、火を持っている。
バンブーは掟により、生者ではなく死者の血しか飲めない。
ムスタァと洋治は夜勤の看護師として働きパックの血を購入している。
東日本のこの町は国籍が入り乱れているのでバンブーも住みやすい。200人くらいいる。
バンブーにはバンブーの法律がある。生者の血を吸ったら60年の樽詰め土埋めの刑、とか。他、集会の場所を教えること、人間と一緒に暮らすこと、が罪。
バンブーは空を飛ぶ。傷は治るが腕を切り落とされるとそのまま。
バンブーは鏡に映らないので、単独でいると薄汚くなっていく。だから身だしなみを整えるためにも相棒が必要なのだ。デジタルではなく8ミリになら映る。
法律に従わず満月の夜の集会にも出ない、はぐれバンブーという存在。
不死ではない。年を取らないが、120年の寿命を迎えると花になって散る。
日の光に当たると溶けてしまう。
半島における、金持ちの町=上の町→貧民街の端っこの海辺の小屋。トポス移動による見え方の違い。
上の町の高校に進学し、スクーターで通う。かつての学校仲間は娼婦などになる。
列車で町の外へ。大人になり老成し、小屋に帰ってくる。
ひどく甘ったれた台詞回し、ひどく感傷的な地の文、を使って描き出される、ハードで陰惨な状況、
といった作者の持つギャップの妙味が、いいほうに働くこともあれば十分に効果的でないこともある。
今回はやや後者かなー……。
現代のちょっとだけ先にファンタジーも狙って設定されているのだろうけれど、そのぶん入り込みづらいところも。
そんな状況でどれだけ呑気にお喋りしてるの、とこちらがやきもきしてしまう。
「ちいさな焦げた顔」がメインで、「ほんとうの花を見せにきた」が後日談、「あなたが未来の国に行く」が前日談。
カバー絵はハードカバーのほうが断然素敵。
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面白かったです。昔々におすすめしていただいたのを漸く読みました。
吸血種族であるバンブー、竹なのかな…?と思いましたが細かいことは明かされず、それがまた不思議さを増していて良いです。
1話目の、かなり治安の悪い町での、それでも安らかな日々が尊いです。舞台は日本のどこかなのですが、マフィアが牛耳る異国のようでした。洋治もムスタァも、洋治は多分生まれつきのバンブーでムスタァは元は人間で後にバンブーになったという違いはあれど、人間を愛していて素敵でした。火は命の輝きで、それを守って繋げていく。
2話目は変わっていく人間と、変わらないバンブー。最期に咲いた花が切ないです。
3話目は、類類の過去に切なくなりましたが、それでも1話目を許せる訳ではないです。
切なくも綺麗さもあるお話でした。
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竹から生まれた吸血鬼バンブーに救われた少年。
心優しきバンブーとの楽しくも奇妙な
共同生活が始まるが、バンブーにとって、
人間との交流は何より大罪で…。郷愁を誘う
計3篇からなる大河的青春吸血鬼小説。
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この小説を書き始めた頃、
著者は久しぶりにまた犬を飼い始めていて、
人間の目から吸血鬼を見たら、ずいぶん寿命の長い、変化しない生き物に見えるだろうなというところから本作に繋がったらしいのです。
確かに人間から見た不死のバンブーという存在は
それはそれで大変だなぁと思わせるところもあるわけで
死ねない辛さという人間が勝手に想像する難しさとそうでないところと。
時間軸が違うからこその邂逅が
ずっと一緒にいることはできないからこそ
小さな思い出を小さな幸せとしてではなく
1つ1つ積み上げることも大切だなぁと。
バンブーの大罪である
人間と暮らすということがなぜそうなったかも
最後の章を読むとより胸が苦しめられます。
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感受性が豊かで、ガラスみたいに透き通って繊細な時期に出会っていたかった、そういう作品。
私はもう大人で家庭だって持ってて社会人としての経験も人並み…以下かもしれないけどあるわけで、そういう立場の大人が読むと、物足りなさやいわゆる寒さを感じかねない作品ではあった。
けれどもし私が10代で、傷ついていたあのころに読んでいたなら、この作品はかけがえのない物語となって心に残ったと思う。
愛とは何か、この作品に教えてもらうことができたのだろう。
大人なので、このスケールの物語ならもっと長く濃密な形で読みたかったなあと思ってしまった。でももっと年を取る前に読めてよかった。
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バンブーって純粋な生き物だなぁと思った。
何だか切ない話だったけど、生きることが大変で、嫌になったとしても、火は消してはいけないんだよね。
それにしても、切なかった!
ただ、梗ちゃんが最後に愛してるを伝えられて良かった。
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生きるって心が動くこと
儚いものに人は美しさを感じる
だからこそ人生も美しいとされる
限りがあるからこそ生まれる尊さ
死なないわけではないけれど、時が止まったように生き続けなければバンブー
人間とは対照的のように描かれるバンブー存在のおかげで、人間の愚かさ、無知の恐ろしさ、忘れてしまうことの虚しさが浮き彫りになったと思う
でも、大切なのは種族の違いなんかじゃなくて、相手を知ろうとする気持ちなのではと感じた
素敵でした
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2019/5/11読了。
バンブー、竹族とも。一生を若いまま過ごし、120年ほどで、ある時突然寿命を迎える吸血種族。
この作家がこんなファンタジーを書くとは意外だった。
生きることが素晴らしいことだ、等と正面から唱えることも。
いいね。
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すごくよかった。
やっぱり桜庭一樹さんの本は好きだ。
言葉のセンスがすごいと思う。私好み。
ちいさな焦げた顔
ほんとうの花を見せにきた
あなたが未来の国に行く
の3篇からなる。
全部が繋がっていて、すごく切なかった。
ある話では悪役に見えたヒトが、ある話ではその背景が分かって読んでて悲しくなったりとか。
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ものすごく切ない気分になる短編集でした。
読みやすく美しい文体に、ファンタジックでありながらも、人間の内面をえぐるような心情描写とそのリアリティさ。堪能させていただきました。
本書はフォロアーさんの素晴らしいレビューを読んで手に取った本でした。著者の桜庭一樹さん自体も初読みの作家さんです。
「一樹(かずき)」という名前から男性の作家さんだと思っていたのですが、女性の作家さんなのですね。恥ずかしながら知りませんでした。2008年には直木賞も受賞されているし・・・。いやはや、まだまだ知らないことばかりです。
本書は、人間そっくりの姿をした竹の妖怪である吸血種族『バンブー』と人間との禁じられた交流を描いた物語3本が収録されている中短編集です。
吸血種族といえば『吸血鬼バンパイア』を思い出しますが『バンブー』はバンパイアとは若干違います。血を飲んだり、日光に当たると死ぬところなどは同じですが『バンブー』は不老不死のバンパイアと違って、歳は取りませんが不死ではありません。『バンブー』の寿命は120歳くらいで人間よりも少し長生きというところです。
本書に収録されているのは
〇 ちいさな焦げた顔
〇 ほんとうの花を見せにきた
〇 あなたが未来の国に行く
の3篇で、どの短編も『珠玉の逸品』と言っていいでしょう。
3篇とも描かれた時代が違い、登場人物もほとんど変わってしまいますが、各篇が少しずつリンクしているので
「ああ、あの時のあれはそういうことだったんだ!!」
という驚きがあって楽しめます。
特に僕は第1篇の『ちいさな焦げた顔』が良かったですね。
『ちいさな焦げた顔』は、マフィアによって一家皆殺しにあった家族で唯一生き残った10歳の少年をバンブーの青年が助けるところから物語は始まります。
バンブーの青年は相棒の男性バンブーと二人暮らしをしており、そこへ人間の少年が入り込み、バンブー2人と人間の少年1人という奇妙な3人の同居生活が始まります。
そして人間の少年はマフィアの追っ手を逃れるために女装し、『少女』として新しい生活を送るのです。
バンブーの2人が人間の少年を実の弟のように、息子のように、そして恋人のように愛するところは微笑ましいのですが、そんな幸せな生活は長くは続きませんでした。
バンブーの2人はバンブーの重大な掟を破っていたのです。バンブーの厳しい掟では、バンブーは人間とかかわってはいけなかったのです。
彼ら3人に訪れる過酷な運命は・・・。
第2篇の『ほんとうの花を見せにきた』は、バンブーの掟を破った『はぐれバンブー』の少女と人間の少女との交流。
第3篇の『あなたが未来の国に行く』では、人間とバンブーが分かれて暮らすこととなった歴史的な事件が描かれます。
どの物語も非常に切なく、限りある命の大切さを思い起こさせてくれます。
どの物語の登場人物にも感情移入でき、自分だったらどうするだろうか?と自問自答する場面もたくさんありました。
この3篇の物語に共通するのは、
人間以上に『人間らしい心』を持ったバンブー達の美しい生き様
です。
この物語には、たくさんのバンブーが登場し、同じくたくさんの人間達も登場するのですが、第1篇のマフィア達のようにここに登場する「人間たち」のその心の汚く、愚かなことといったらありません。
この「汚い心を持った人間」と「人間以上に『人間らしい心』を持ったバンブー」の対比には、読者は考えさせられるところが多いと思います。
第1篇、第2篇に登場する「はぐれバンブー」の少女ですら、信じた人間との約束だけは絶対に破らないのですから。
この物語に描かれるようなバンブー達は理想の存在かもしれませんが、そのような心を持とうという意識を持つことは、僕たちでもできると思います。
日々の生き方をもう一度思い起こさせてくれるような素晴らしいストーリーでした。
ぜひ、バンブー達を主人公にした物語を今後も書いて欲しいと思います。
と言う訳で、物語は素晴らしかったのですが、一点だけ注文をつけるとすれば、文庫本版の表紙イラストですね。
特に、僕が感銘を受けたフォロアーさんが単行本版の方でレビューされていたので、本書の文庫本版を手に取った時の違和感ったら半端じゃありませんでした。
あれ?これ違う本じゃね?
と素直に思いましたよ。
そして、本書一読後に再度このイラストをまじまじと見てみたのですけど、
ちょっと誰だか分からない!
ネットで検索してやっとこの表紙の少女は第1篇の主人公の少年が女装した姿らしいというのが判明したのですけど・・・僕の脳内イメージとは違いすぎます・・・。女装した男の子の絵とか誰得・・・。
やはり、単行本版のようなダークなイラストの方が、本書には似合うのではないでしょうか・・・。
・・・・・・というか、もしこういうのが得意なイラストレーターの方に依頼するなら、表題作であり、第2篇の主人公『はぐれバンブーの少女・茉莉花』を描くか、いっそのこと、もっとこうBL本っぽいかんじで、第1篇の美男子バンブーの二人「ムスタァ」と「洋治」をフィーチャーしなきゃだめでしょ!!!(※念のため、本書にはBL要素はありませんのでご注意ください)
って、最後に訳分からないレビューになりましたけど、物語は最高ですので、ぜひ読んでみてもらいたい1冊です☆