紙の本
いやね、この本のタイトルからは、どうしても島田荘司を連想するわけですよ。でね、本を読んでいると、やっぱり島田なんですねえ、これが。勿論、粘っこさみたいな部分で若干の違いはあるんですが
2003/12/05 22:04
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投稿者:みーちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
一体、どうしてこの本を読んでいるのだろう。今まで手にしたことがある作家ではない。もしかして、傑作集かなにかで読んだことがあるのかもしれない。名前だって漫画家のそれのようで、現代的ではないし、どちらかと言えば野暮。本の裏に出ている内容紹介も、それに似て決してセンスのいいものではない。?!?!!続出である。
「孤独に絶望し、自殺未遂を繰り返していた理美に、10年前に不審死を遂げた父の秘密が明かされる!? 自宅地下に隠されていた広大な研究所。遺された実験データの探索中に起こる連続殺人事件。閉じ込められた飯島と理美。亡き父の研究とは? 透明人間以外にこの犯行は可能なのか!? 名探偵安藤直樹の推理が真相に迫る!!」
な、な、なんと下品な紹介だろう。それに比べると、浦賀の言葉であるだろう、カバー見返しの
「私がここにいることも、あなたとであったことにも、すべて意味がある」
という一行は、魅力的だ。ついでに言えば、扉についている、著者の言葉であることが間違いない
「もしこの物語の主人公と同じ体験をしたら
あなたも同じ事を考えるだろうか」
これもいい。特に、本を読み進めてからこの言葉に遇うと、うまさに、唸る。
ブックデザイン=熊谷博人、カバーデザイン=樋口真嗣、本文イラストレーション=武田美穂。お、どこかで見たような、と思ったら、武田美穂は、あの乙武『五体不満足』の青い鳥文庫版で、可愛らしい挿絵を描いていた人である。巻頭に付いている理美が住んでいた町の地図、それを見ているだけで心がわくわくする。で、肝心の話だ。
最初は小田理美が小学生の時に書いた日記で始まる。冒頭の地図は理美が描いたことになっているのだが、勿論、実際は、先ほど書いた武田美穂の手になるものだ。父に買ってもらった茶色いカバーのりっぱな日記帳。お父さんの光一郎は学者。小学生のときから、お母さんはいない。友達は、犬に追われている理美を助けてくれた、読書好きの遠山くんと、同級生の竹本くん。
愛読書は、遠山くんが貸してくれた『透明人間』。ある日の夜中、彼女は家の前に立っている野球帽をかぶり、ジャンパーを着てサングラスをかけた、包帯で顔を隠した男を見かける。そしてついには彼女の家の中に現れて男は、衣服を残して父の書斎の前から忽然と消失する。そして雪の降る日、荷物をまとめて家を出て行った父は、近くの神社で死体となっていた。発見したのは娘の理美。現場には父娘の足跡だけが残されていた。その後、彼女のことを親身になって面倒を見てくれたのが弁護士の仲間先生である。
あれから10年、自殺未遂を繰り返していた20歳の小田理美は、高校を出たまま大学にも行かず、フリーターとして、コンビニで働いている。そんな彼女に最近、恋人が出来た。付き合ってまだ2週間にしかならないが、家電量販店勤務の飯島がその人である。そして彼女の前に仲間弁護士が再び現れる。そして、父親の隠された生活。
その探偵というのが、飯島の友人の安藤直樹、女子高校生の穂波を恋人にもつ、エキセントリックな男である。彼は、理美、飯島が閉じ込められた部屋で起きた殺人事件、そして昔の小田光一郎殺人事件に、合理的な解決案を提示するのだが。さらに、塀の上から消えた雪だるま。
読みながら、何度も島田荘司と森博嗣をの名前が脳裏を過ぎる。小田理美の苛立たしいまでの自己喪失は、御手洗シリーズの石岡、或は京極夏彦の関口、安藤の推理の傍若無人ぶりは森博嗣の真賀田四季ではないか。と、いろいろ思わせはするけれど、ともかく読まされてしまう。
独創性といわれるとクビを傾げざるをえないし、理美が死という言葉を軽々しく使うことには物語りの設定上必要なことは理解できても、正直、煩わしい。でも、変に気取ったところが無くて、文章も癖が無い。個性も無いのはともかく、読ませることだけは間違いない。
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おお、浦賀和宏だ。こんな話はたとえ思いついたところで普通は書かないだろう。最後の数ページの真相?に至る場面は、ぐいぐいと引き込まれた。この作者ならば必ずどんでん返し、それまでの世界観をひっくり返すような結末を用意しているはず、と思ってはいたが。なるほど、そう来たか、と。
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つまんねえ・・・・だいたい酢入り小説(誤変換)嫌いなほうなんで。じゃあ読むなって?そーですよ。タイトルにつられて買った私が悪いんです。あんたなんかプー!!
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安藤くんシリーズ7冊目
もう続きは出ないのだろうか
浦賀の新しいシリーズ<<<<安藤くんシリーズ
新しいのは1冊目でガッカリして終了
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現存する安藤君シリーズ最新作(最終作?)
いつもの安藤君シリーズと違いすぎて、なんだか肩透かし。
前作がアレすぎたので、とりあえずお茶を濁すつもりでこれを書いたのかな、とか穿った見方をしてしまう…
まぁとりあえず飯島君彼女ができてよかったね。
願わくば安藤君シリーズの続きが出ますように!
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安藤君シリーズ。だけど今回は、このシリーズにずっと付きまとっているもどかしい謎部分がほとんど絡んでこなかった。それどころか、シリーズキャラクターとしての安藤直樹の存在感が妙に薄いぞ(笑)。「飽きた飽きた」と散々言ってはいるけれど、前回の話のあといったいどうなったんだー、と叫びたいくらい、かなり別物の物語。なのに(なので?)かえって読みやすい内容になっていた気が。この一冊だけ読んでも大丈夫なくらいかも。もちろん、最初から全部読んでいるに越したことはないのだろうけどね。
今回は本格度高め。きちんきちんと伏線が張られていて、解明も論理的。ストーリーの方もかなりテンポよく読めて、どきどきする展開。これはかなりお薦め、かも。少なくともこのシリーズ中では、「記憶の果て」と並ぶ面白さ。単品でも読めるというのはポイント高い。しかし逆に、今までのシリーズとしての展開を楽しみたい人には不完全燃焼だろうな。
最後の「透明人間」に関する解釈部分が良いなあ。謎のままで終わっているとも言えるけれど、この部分が一番好き。
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安藤直樹が絡むシリーズですが
メイン人物は飯島ゆえに
あまりタブー要素は出てきません。
え?出生部分がタブー?
あんなのまだ序の口ですってば。
飯島とその彼女が出くわす事件は
まあそれはそれは彼らしいグチャグチャドロドロ
血液ドッピューッ!!な過激なものであります。
もう定番の行事なので
私は動じなくなってしまいましたが
苦手な人は注意が必要です。
今回の
事件はあまりひねりはなく
素直なままの犯人です。
まああれだけ殺されれば
絞られますしね。
数少ない、
最後だけは世紀末表現が
無い作品です。
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久し振りに安藤直樹ネタ。
面白いは面白いが、ただ、始めの頃(「記憶の果て」とか「記号を喰う魔女」とかの頃)のパワーが無くなってきているような気もしなくもない。
あの狂った世界はどこにいったんだろう。
透明人間だけじゃちょっと物足りなかったかも。
自殺未遂を繰り返すとか、ありきたりだし。
建物の仕掛け自体は奇抜で、ぶっ飛んでて楽しめたが。
03.10.20
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「みんな、ただ生きているだけだ。ただの人間だ。特別な存在など誰一人いやしない。俺達が生きているのは、ただの現象だ。雨がふったり、雪がふったり、風が吹いたりするのと、なにも変わらない。人間なんか、宇宙のゴミだ。虫けらだ。それを認めることができないから、自殺など考える。自殺という行為は、自分の人生に意味や価値を見いだしたい人間の思い上がりだ。」第7作目。個人的にはシリーズ最高傑作。名探偵の推理か、透明人間が存在するか、いずれにしても楽しめる作品。
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安藤直樹シリーズ7冊目。シリーズ最終作?
著者らしくSF、ミステリー、青春とジャンルミックス。
著者らしくない(わりと)平和な解決。
シリーズでは一番ミステリー要素強め。
こんな結末も個人的には大好き。
物語は非常に面白いが、シリーズ最終作としては不満が残る。
『萩原重化学工業連続殺人事件』etc、今後の展開に期待!!
「私がここにいることも、あなたと出会ったことにも、すべて意味がある」
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とっくに錆びついた心にまさかのまさかラストに動かされたなんて。。
全巻あんな巫山戯満載な結末の余韻はまだ抜けなかったのに、今回きちんと続きの答えを探したいのに、なのにこんな癒し系な番外篇にやられた。。。
本当に本シリーズの最期とは思わないね。。謎もまだいっぱい残ってるのに。。。
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再読ですけれども、まぁまぁ面白かった…? かもしれませんねぇ…(?) 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
なんでも「透明人間」というタイトルの有名な本があるのだとか…そちらを読んでみましょうかね…浦賀先生のコレはその本のオマージュ的なアレなんでしょうか…? 社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
ミステリになっているようでなっていないような…まあ、浦賀先生のミステリ的なアレには正直あまり期待していないのですが…社畜死ね!!
ヽ(・ω・)/ズコー
主人公の女性の心理描写? にかなりページが割かれているような印象を受けますねぇ…浦賀先生のデビュー作、「記憶の果て」を思い出します…。
まあ、そんなアレでミステリとしては正直アレな感じもしなくもないですけれども、死にたがりな女性の一人称小説、青春小説として見ればこれはこれでアリなのかもしれない…と思えなくもないです…。
さようなら…。
ヽ(・ω・)/ズコー