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投稿者:ん - この投稿者のレビュー一覧を見る
この表紙の本だと思って注文したら違ってた。
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創元SF文庫から山形浩生さんの訳、「暗闇のスキャナー」の邦題で出ていた"The Scanner Darkly"を、浅倉久志さんが新訳したのがこのスキャナー・ダークリー。
内容に関しては、ディック後期の傑作ということもあり、色々なところに書かれているので、僕は翻訳の違いに関して感じた事を。
ハヤカワやサンリオの浅倉久志訳でディックの作品に親しんでいた僕は、山形訳の暗闇のスキャナーの翻訳は言葉が少しシャープ過ぎる感じもしていたけれど、今回浅倉訳が出て、改めて読み比べてみると、登場人物のボブ・アークターが壊れてしまった後なんかは、山形さんの訳の方がしっくり来て、アークターが人とは違う何かになってしまった感じがよく伝わってくるように思う。細かな感情表現など、僕らがリアルに感じる言葉で訳している分、感情移入も誘われる。この山形さんの訳に対しては好き嫌いがはっきりでそうな気がするけど、若い子は多分こちらに惹かれると思う。
一方、浅倉訳の方は、文の調子に慣れているせいもあってか、文章が読みやすく、文の繋がり、運びが上手くよどみない感じがした。あまりにもすぐなくなるような現代的で過激な表現は使われてないし、それだけ文が柔らかいので、ディックをはじめて読む人とかには、浅倉さんの訳がお勧めだと思う。
読み比べても楽しめるので、ディック好きなかたは、躊躇せず、両方、出来れば原書も買いましょう。
何度読んでも、アークターが分裂して行くところの描写や、最後の農場での独白は心に迫るものがある。
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創元SF山形浩生訳が入手できない以上、こちらで読むしかありませんか、そうなんだ・・・・。
ドラッグを巡って潜入した捜査官は、自らもドラッグ体験による自己の混乱に落ち込んでいく。迫真のドラッグ描写と薬物に取り込まれてゆく人間の哀しさが見事に結晶した傑作。
キアヌ・リーブス主演で映画化。
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ディックの長編はやっぱりあんまり面白くないです。ドラッグがらみのせいもあるけどダラダラした話で、読んでて辛いから途中放棄しました。
こんなの映画化するらしいけど大丈夫なんだろうか?
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かりそめの、だが確かに存在したわずかばかりの幸福と、ひとりの人間が背負うには重すぎる不幸、その両方を懐かしんで、いとおしんで、書き残して、ぼろぼろになって、貧乏なまんま死んでしまったディックへ。おっさんが伝えたくって仕方なかった思いはたくさんの人に届いてる。クスリなんて肉眼で拝んだこともない私たちが読んでる。でも多分、あんたがこの本を読ませたかった人間はSFなんか読まない。あたしは何より、そのことが悲しい。
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友人に勧められて読んだ本。普段SFものはあまり読まないので、なかなか慣れなかったが、後半は力強い感じがした。麻薬をめぐる話。
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導入部は中毒患者の幻影を再現したかのような書きっぷり。自分が自分を追い詰めるというパラドックスをバランスよく破綻しながらは書いている。映像化されたアニメのようなトレース画像はこの小説を上手く表現しよかった。ヒットしなかったけどね。個人的にはサンリオ文庫版の表紙が好きだったのに。。。。
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雪のおかげで スキャナーダークリーを読了。本当、電車通勤の利点は本を読める事ですね。山形版を読んだ時とはまたニュアンスが違うような。でも浅倉さんの訳は読みやすいのでいいかな(笑)無理だと思いつつ…山形さんの訳を読み直したい気もする。
2005.12.26
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薬物依存症を実際に体験したF・K・ディックの著書。
本書は彼が薬を使わずにして書き上げた初めての作品です。
自分の体験から物質Dという架空の薬物に呑まれた
囮捜査官のロバートとその周りを取り巻く人々の物語を描きました。
SFに分類されるのでしょうが、現代的でもあります。
薬物を責める内容ではありませんが、薬物を使用した者たちの
生涯を見て恐怖と哀愁を感じずにはいられません。
どんな薬物防止ポスターよりも効きます。
映画にもなっていますので、
厚い本が苦手な方はそちらから入るのもオススメです。
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鬼才リチャード・リンクレイターがアニメ映画化した2006年に買ったはいいが、3分の1も読めずにほっぽらかしてあった。(映画も観たかったが、機会を失った)
通読して思ったのは、一字一句理解しようなどと思わずに、酔っぱらいのたわごとを受け流す感覚で読めばよかったのだということ。しょっぱなからして、ドラッグ中毒者の悲惨な幻覚描写。主人公のボブ・アークターだって、おとり捜査官とはいえ、ヤク中だ。同じくヤク中のダチ公どもとの会話ときたら、とことんナンセンス。信用できない語り手という言葉があるけど、ヤク中の語り手ほど信用できないものがあるだろうか?
共感も同情もできないまま、読み進めるのだが、しばらくするとアークターの気持ちがわかってくる。どん底生活において、友情ほどかけがえのないものはないということだ。どうしようもなくいかれた彼らだが、お互いを支え合うという一点において、その生に意味はあるのだ。
終盤はディックらしいあざやかな視点の変換もあり、それなりに満ち足りた読後感ではあるが、ディックのあとがきを読むと悲しい気持ちに襲われる。ヤク中の友人を家に出入りさせるアークターは、ディック自身だったという。有名なSF作家だからとかしこまらず、ストレートに接した若い友人たちをディックは愛し、次々と失った。ディックの沈痛な哀悼の念から書かれた反ドラッグ小説だ。
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SFの巨匠Philip K. Dick最期の作品。。。
彼らしく灰色が似合うフィルムノワール的世界が漂う。
スクランブル・スーツを纏ったあの麻薬おとり捜査官は、
彼らの冷笑によって殺されてしまったんだ。
腐敗、欺瞞、猜疑心、頽廃、堕落、
そしてわずかに残された使い捨ての希望と未来。
ニヒルも効いてるけれど、 きっと愛も在る。
その「きっと」感がとても切なく苦しかった。
いちばん危険な種類の人間は、自分の影にも怯える人間だぜ
〜アークター〜
自分が誰だか分からなくなってしまって、
それでも、、彼は抜け殻になった今も、
ドナを求めてる。。。
その「きっと」感..。
それがPhilipなりのハッピーエンド!
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フィリップ・K・ディックだからなのか,難解なお話だった。
元々が薬物で自己が崩壊して行き,自分と他人の境界線が
あやふやになり・・・と段々理解できなくなって行く感じ。
まぁ,最終的にはどこにでもある,アメリカが過去もこれからも
抱えていく(日本もそうだが),ドラッグの問題という
大きな壁にぶち当たって終わる感じ。
映画版もあるが,観ようとは思わないかも。
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フィリップ・K・ディック
人格が2つ、3つと増えていく主人公。
麻薬と仲間、監視。
ディックの小説の特徴だろうか、後半の勢いがすごい!
最初は、少し退屈していたが
半分過ぎたあたりから面白くなっていくから
読書ってのは、途中でやめるのもいいけど、
この作品のようなこともあるから
一応最後まで読んだほうがいいな
って思わせた作品でした。
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遂に登場、PKD「暗闇のスキャナー」・・・イメージ的には
「おぼろげな監視カメラ映像」といったニュアンスがある
PKDの最高傑作、と高々に宣言するほどのSF作品ではなく、
むしろPKD本人の麻薬に溺れた暗闇の時代の記憶を自ら綴った物語である
だからといってそこまでドキュメント的ではないが、
麻薬に徐々に蝕まれて現実が歪んでいく感じが、スクランブルスーツ
というSF的要素と相俟って、ますます異常に交錯していく様が
異常に面白くもあり、異常に切なくもある
テーマの重い小説である 意外なラストも良い感じ
映画化もされ、DVDも出てます こちらも奇抜で面白い
http://youtu.be/TXpGaOqb2Z8
内容(「BOOK」データベースより)
カリフォルニアのオレンジ郡保安官事務所麻薬課のおとり捜査官フィレッドことボブ・アークターは、上司にも自分の仮の姿は教えず、秘密捜査を進めている。麻薬中毒者アークターとして、最近流通しはじめた物質Dはもちろん、ヘロイン、コカインなどの麻薬にふけりつつ、ヤク中仲間ふたりと同居していたのだ。だが、ある日、上司から麻薬密売人アークターの監視を命じられてしまうが…P.K.ディック後期の傑作、新訳版。
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自身やその仲間がドラッグ中毒だったことの思いも込めてるだけあって、重い。
あとがきを読むにつけて思うのは、一度内臓がボコボコになったらダメなのかなーという感想。
最初のほうはちょっと読みすすめ辛かったかも。
「死者はわれわれのカメラなんだ」