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熱をマクロな現象として捉えるのが、熱力学です。では、その現象はなぜ生じているのでしょうか?分子の概念の発展とともに、分子の動きからそれを理解しようとする学問が生まれてきました。それが統計力学です。
この教科書はそのあたりの概論を幅広く網羅的に勉強できる本で、式変形がわかりやすく、ほとんど詰まるところがありません。岩波の昔からある理工系の入門書の新装版で、ペーパーバックの持ち運びに適したスタイルも魅力的です。
エントロピーはどのようにして導入されたのか、これを演習すればよくわかります。
しかし、後半にいくにつれて、非常に込み入った内容が増えてきて、なにが前提で、何が導かれたのかがわかりにくくなって全体像がぼやけてきます。それは、これが入門書であるので仕方のないことかも知れません。それを理解するには、もう一段階上の本が必要なのかなと思いました。ということで、次はいわゆる清水熱力学を見てみたいと思います。