紙の本
老夫婦の最後の旅
2018/09/30 17:44
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投稿者:J・P・フリーマン - この投稿者のレビュー一覧を見る
末期がんのエラと認知症のジョン。この夫婦がキャンピングカーで、カルフォルニアのディズニーランドへ行く。アメリカを横断していくのですが、のんびりとした旅ではなく、いつなんどき体がだめになるかもという不安もあり、エラには焦燥感があります。自分の病気や、夫の認知症。さらに過去を振り返っても、楽しい思い出よりも、友人との死別を悲しんだりと、全体的に哀愁が漂っています。エラは自分が生きているということを、感じたかったんだろうなあ。最後にとった行動は、ジョンとの、あの約束があったからなんでしょうね。
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帯に主演のお二人のお写真があり、それだけで随分読みやすくなるものだなあ。
ハッピーエンドだ。素敵なご夫婦だ。映画も観たい。
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老夫婦の珍道中。仲間や子どもたちとの旅を振り返りながら懐かしい道をキャンピングカーで走る。
結末は最初から薄々わかっていて、そもそも最初から末期の癌の妻と認知症が進んでいる夫という物悲しい2人で、でもユーモラスな語り口にあまり陰鬱にならずに読めました。
様々なトラブルがバタバタと起こり、決して平穏な旅じゃなかったけど、辿り着けて良かったとラストまで明るいエラにつられて、色々と思う所はあるけれど、なんとなく明るく読み終わりそうだったんですけど、本当に最後の一行で、突然涙が出てしまいました。
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主人公は老夫婦 。60年近く連れ添ってきた。
子供たちは成長し、2人の人生は黄昏を迎えた。
夫のジョンはアルツハイマーを患い、妻のエラは人工関節に末期癌と満身創痍。
だが、エラはどうしても出発したかった。ルート66をたどり、ディズニーランドへと向かう長い長い旅に。キャンピングカーで、ジョンと2人きりで。
医者も子供たちももちろん大反対だった。
皆の目を盗み、2人は出発する。
主導権を握っているのはエラだ。
ジョンの病状はかなり進んではいるが、車の運転だけはまだ見事なもので、むしろ運転しているときはご機嫌だ。エラの指示するまま、老いた2人を乗せた車は西へと向かう。
物語の語り手はエラだ。
容赦なく進む老い。言うことを聞かない身体。薄れゆく記憶。
どうにもならない運命に傲然とエラは立ち向かう。
このまま病院や老人ホームに閉じ込められて、他人に人生を管理されるのは嫌だ。
愛する夫と2人、最後の旅をしたいのだ。
ルート66は、アメリカ西部発展の礎となった道路である。スタインベックの『怒りの葡萄』にも登場し、のちにポップカルチャーにも多く取り入れられた。現在は廃線だが、なお象徴的存在として生き続けている。
長年住み慣れたデトロイトを離れ、インディアナ州、イリノイ州、ミズーリ州と車は進む。
章のタイトルは通過する州名である。目的地はカリフォルニア州。
旅の途中で、エラは家族のスライドをジョンとともに鑑賞する。彼の薄れゆく記憶をつなぎとめるように。
旅路は、同時に、2人の人生もたどっていく。
時に車がパンクし、時に強盗に襲われかけ、時に2人して転倒して起き上がれなくなり、時にジョンがパニックになり。
老いた2人の道行きは困難だらけだ。
だが、老いや病につきものの痛みやつらさややるせなさも、ガッツのあるエラが語るとまるで一大冒険譚のようだ。
そう、それは2人にとって、ともに過ごす最後の冒険だったのだ。
結末には賛否両論あるだろう。
だがこれは紛れもなく1つの愛の物語である。同時に、現代社会が形成している「老後の形」について、多くの人に問いかける物語でもある。
*ドナルド・サザーランドとヘレン・ミレン主演で映画化もされている。『ロング・ロング・バケーション』 2人の向かう先や設定に多少違いはあるようだが、こちらも見ごたえがありそうである。
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エラとジョン素敵な関係だなと思いました。常にじゃないけど、お互いへの思いやりや愛が見え隠れしていて、こんな夫婦に憧れます。エラの視点からだとこんな終わり方もありだと思いますが、残された子どもの視点から見ると辛いですね。本人の意思を尊重したいですが、大切な人には最後ありがとうと伝えてお別れしたいです。
翻訳物は読みきるのに時間がかかってしまい途中諦めようかと思いましたが、終わりまで読み切って良かったです。
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旅=人生と捉えると、全くタイトル通りの内容。
見る視点によって結末をどう感じるかが違ってくる。
ジョンとエラ、本人たちの視点から見ればハッピーエンドだと思う。しかし、子どもたちの立場に立ってみると、バッドエンドになるだろう。
家族だからこそ、病気を持って生きていくことの辛さを理解しようとしなければならないのだろうが、どのような形であれ愛する人には生きていて欲しいと思うのが当たり前だろう。
「死ね」という言葉は人に言ってはいけないと小さな頃から言われ続けているが、本書の中では「生きろ」という言葉も同じくらい辛い言葉なのだと思う。
エラが一番辛い立場で彼女の立場を考えると重い気持ちになる。しかしまた、彼女の明るさに救われる本でもある。
ジョンが、エラを深く愛していることが、端々に感じられるところもほっこりする。
夫婦という関係は特殊で、長年連れ添うと最早、愛なのか情なのか腐れ縁なのか、本人たちでもよくわからない理由で一緒にいる。
しかしそれが愛がなくなったとか、悪いというわけではなく、長年連れ添った夫婦にしか出せないものだし、そういう関係になれれば良いなと思う。
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末期ガンの妻エラと認知症の夫ジョンの老夫婦がキャンピングカーで旅にでます。老夫婦が最期に向かう先は…。
「ロングロングバケーション」の映画化で話題になりました。
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7割読んだ。ルート66?はアメリカ人にとって特別な存在なの?さして絶望感もなくでも読み進められる。翻訳の人が良い仕事してそう。
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キャンピングカーでアメリカ横断の旅に出た老夫婦。一方はガン,もう一方は認知症。二人の旅はまるで彼らの生きてきた道さながらに,山あり谷ありの連続でした。人生夕暮れだって寂しいだけじゃない,素晴らしいことがたくさんあるんだと感じさせてくれる,素敵な作品です。