投稿元:
レビューを見る
「ホワイトラビット」
予測不能の籠城ミステリー。
仙台の住宅街で発生した人質立てこもり事件。逃亡不可能な状況下、新手の乱入者に思わぬ住人が加わり、犯人は予想外の要求を警察に繰り出す。そこから息子への、妻への、娘への愛が交錯して、展開は思わぬ方向に。鍵は、オリオン座とレ・ミゼラブル。肝は、正義。
あとがきによると、ああでもないこうでもないと考えている内に、ホステージ、ダイハード、交渉人が混ざり合ったもの、伊坂幸太郎なりのホステージになったとあります。
ホステージは、完全無欠のセキュリティ付館が舞台だったけど、立てこもり犯からすれば、セキュリティ=人質だったのだろうか。家族を人質にとられていたウィルスウィルス=家族を失った(過去から離れられない)夏之目って部分はあるのかな。など考えてみたものの、よくわかりません。
個人的には、レ・ミゼラブルを盛り込んだところに伊坂幸太郎なりの新しい試みを感じました。立てこもり犯、SIT、泥棒、人質(黒澤含む)、それぞれをスポットにした形式にあれやこれやを物申すスタイルを見て、新た世界観のある小説を書いてくれそうだなと。
また、黒澤がこのように主体的な行動(びしばしアグレッシブな)を取るのも珍しい。最も今回は、オリオン座と半々でしたが此処も新鮮。
なにより立てこもりの「実はこうなってました」の部分が見事でした。黒澤が大活躍なのですが、人質となる親子の背景や立てこもりに置ける役割もしっかりあり、オリオン座マニアのオリオのキャラクターもそういう意味があったのね、となるものでした。どうやって立てこもりから話終わらすのだろう。それこそダイハードみたくやるのかなと思いきや、こうなるとはしてやられました。
キャラクターに通じているのは、正義。真っ直ぐな正義ではなく、自分なりの正義。正しいと思うもの、という表現が近いですが、それが各々のキャラクターにあります。夏之目や黒澤の正しいと思うもの(黒澤のはいつもの気まぐれ)、オリオのオリオン座への愛など。
表の物語に実はこうなっていた裏の物語が上手く噛み合った小説です。新たな試みもあり、でもいつもの伊坂幸太郎らしさで最後には落とし込んでる一作。個人的には、ダイハードや交渉人みたいな伊坂幸太郎小説が読みたいですw
投稿元:
レビューを見る
面白かったし、なるほどーと思うのだけど、わりと普通の伊坂作品という気がしてしまう。
期待が高すぎるせいだろうか。
投稿元:
レビューを見る
始めから終わりまで、何度もくすくすと声を漏らして笑ってしまった。それくらいにテンポが心地良いのと、微妙にずれた間合いが最高。
レミゼラブルのオリオン座の無駄なうんちくに掛けて物語が進んでくのだけと、同じ泥棒を生業にしているから黒澤がレミゼラブルを読んだことがあるのと、黒澤の後輩っぽい泥棒の今村が5年かけてレミゼラブルを読んでジャンバルジャンのことをジャンさんとか呼んじゃうところも、オリオリオ、オが1つ足らないとか緊迫した雰囲気の中なんかいちいち面白くて、さらには神の視点が入るもんだからひっちゃかめっちゃかなのに、巧妙に計算されていて、伊坂幸太郎すげー! ってなった笑。
黒澤やっぱ好きだわー面白い。
投稿元:
レビューを見る
妹から借りて読んだ。面白かったー。一気に読めちゃうし、読んじゃう!コミカルでリズミカルででもじんわりもして。伊坂さんワールドを久しぶりに堪能しちゃいました。仙台という街も好きだから(旅行で数回訪れてます♪)伊坂さんの仙台を舞台にしているお話しが好きです。
投稿元:
レビューを見る
久しぶりの黒澤さん登場!2度読みたくなる小説。でもイマイチすっきりしないので☆2つ。
うんちくが出てくるのは相変わらず。今回はオリオン座・「レ・ミゼラブル」です。でも、昔よりわずらわしく感じなくなったのは、ちょこっとだけになったからかな。
作者の視点が出てくるのは、レミゼラブルを意識しているのでしょう。
パロディ?というか、教養を試される表現がいくつか。わかると楽しい。
兎田の相手だから稲葉。折り返しの用語説明もシャレてる。
投稿元:
レビューを見る
オリオオリオのオリオン座の蘊蓄が微妙だなと思っていたら、本人じゃなかったのか!
伊坂さんは陽気なギャング~でもカラマーゾフの兄弟を多用していたけど、古典に興味を持たせるのが上手いなぁ。レ・ミゼラブルも小説は読んだことないから読みたくなってきた。
そういえば稲葉の名字を因幡にしなかったのはさすがにやりすぎだと思ったからなのかしら。
投稿元:
レビューを見る
(2018/3/7読了)
星ひとつ足りないのは、物語が動き出すまでが、すごく長く感じたから。そして、いろんな場所で、時間を戻したりしながら、のちにリンクするであろう設定が多すぎた。
伊坂さん初心者には難しいんじゃないかな?一度挫折した人は、話が軌道にのるまでに、また挫折するかもしれない。
一転、動き出してからは、もう、止まらなかったね〜伊坂ワールド全開!残虐なシーンも健在(不謹慎?)
想像が当たったところで、本の中から読者が気づいたことを当てられたり、語り部が頻繁に変わったりも面白かった。
一点気になったのは、話が丸く収まり過ぎてるところ。前の伊坂さんなら、綿子ちゃんを短い言葉で星にしたような気がする。
(内容)
仙台で人質立てこもり事件が発生。SITが交渉を始めるが―。伊坂作品初心者から上級者まで、没頭度MAX!書き下ろしミステリー。
投稿元:
レビューを見る
伊坂ワールド全開であるが、作者視点の語りが新しい。
伏線、トリックともに巧妙で良し。
せっかくだから、綿子じゃなくてアリス(漢字で)にすれば読者をけむにまくようで面白いと思うんだが。
内容に注文しちゃダメですね。
投稿元:
レビューを見る
紙の上は無限に広がるけれど、紙自体は平面だからね。
面白い。
描写がマイルドになったよね。久しぶりに残虐さ満開のも読んでみたい。
投稿元:
レビューを見る
立てこもり事件を軸に(オリオン座の星回りなのか?)ドタバタ劇が起こるお話。
登場するレギュラーは黒澤さん。
■ ■ ■ ■ ■
『レ・ミゼラブル』がキーとなっているお話。
もちろん私も読んだことはないので、あくまで推論だけど。
で。ちょいちょい作者が影ナレよろしく進行してくのも、その進行の時系列が一列じゃないのも、もしかして『レ・ミゼラブル』への愛なのかなぁ?とも思ったり。
■ ■ ■ ■ ■
これを実写化しようとか難しそうだよね。
いや、もちろんしようと思えばできるんだろうけど面白さ半減以下となりそう。
でもアヒルと鴨は評判悪くなかったしなぁ。
才能ってあちこちですごい。
■ ■ ■ ■ ■
はぁーもう伊坂さんの作品ほど騙されるのが気持ち良いって感覚はほかにないな。
投稿元:
レビューを見る
そんなに複雑な話でもないのに、読むのに結構時間がかかり、しかも話の内容がすんなり頭に入っていかなかった。そのせいで何度も前の方に戻って確認したり読み返したりしないといけなくて、少し困惑した。もう一度最初から読んでみる。でも悪党も含め伊坂組ともいうべき登場人物には惹き込まれた。
投稿元:
レビューを見る
作者の語りが入る、という新しい感覚。違和感は徐々に消え、事件にのめり込みました。こんなに入り組んだストーリーを考えつく伊坂氏に舌を巻きっぱなしです。一回で理解しきれなかった鈍い頭のおかげで、何度も読み返して楽しめそうです。短い間に新作二作も読めて、伊坂ファンとしては嬉しい限りです。
投稿元:
レビューを見る
あー、面白かったー。
最初はどんな展開になるのか、ややもたついた感じの印象があったため、半年近く読むのをストップしていたけど、読み進めるとドンドン話が転がり始めて
気がつけばあっという間に読了。
半年間読まなかったことが悔やまれる。
全ての点と点が繋がって、それこそ星座を結んで一つの絵になりそうな展開。
レ・ミゼラブルの引用も絶妙でよかった。
投稿元:
レビューを見る
こんな短期間に、伊坂さんの最新作が続けて読めるとは!いつもなら文庫化してから買ってますが、時間的余裕がある時期だったので、AXに続き単行本で。
相変わらず話のテンポ、会話のユーモア、楽しい伏線回収があって、一気に読んでしまいました。大どんでん返しにも完全に騙されてはいましたが、ちょっと無理矢理というか、現実離れしてる感があったので、☆-1かな。
現実にありそうでなさそうで、というのは、伊坂作品ではいつものことな気もするけど、「偶然重なり過ぎじゃない?」「そんなに上手くいくか?」感が、今回は特に否めないかも。
古くからある手法らしいですが、レ・ミゼラブルを真似た語り口は、他の作家さんでも見たことがなかったので新鮮でした。
これだけでも充分面白いですが、黒澤や今村夫妻、そしてレ・ミゼラブルを知ってる方が、より楽しめると思います。
投稿元:
レビューを見る
前情報無しに読んでたらまさかの黒澤登場でかなり嬉しくなった!相変わらず黒澤は冷静で独特でおもしろい。泥棒なのに律儀だしね。今回は「レ・ミゼラブル」のような言い回しらしく、ちょいちょい作家目線?のような文が入るんだけどそれまた面白くて伊坂さんの書き方はやっぱり大好き。
今回も悪党なのに何故か憎めない悪党や、本当にサイコな悪党は最後にきちんと成敗されるところとかもとても良い。
オリオン座が好きな折尾さんとか、いとしの綿子ちゃんとか名前もおもしろくていいね。綿子ちゃんは善人なのに最後まで悪党の旦那さんを信じてて偉い。よく失望しなかったなぁ。いつも伊坂さんの書く女性は強くて良い。