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往年のセガ人(メガドライバー)には「何故メガドライブ版のテトリスが発売中止になったか」その詳しい背景が良く判って、大変面白い内容だった。当時、セガのアーケード版テトリスのメガドライブ移植版が権利関係で任天堂に邪魔されて発売できなくなった、程度にしか理解していなかったのだが、これほど複雑でめんどくさいことになっていたとは。
そういえば、国産パソコン版のテトリスはBPSから出ていたのも当時は不思議に思った。BPSと言えばザ・ブラック・オニキス。RPGのメーカーだと考えていたので。ヘンクロジャースの経歴や彼の考えていたことも書かれていて、非常に興味深い。
ちょうど、コロプラを訴えたことで任天堂のリーガルが話題になっていたが、本書にもプロテクトチップの件でテンゲンと係争したことや、ドンキーコングの商標でMCAユニバーサルを負かしたことが書かれている。このテトリスの件でも、バックにワーナーがいるテンゲンや、ロバートマックスウェルがいるミラーソフトという2大メディアグループを敵に回して渡り合ったのだから、任天堂法務は実に無敵だ。
ただ、それも本書によると、様々な偶然や運やタイミングに助けられていることがわかる。ひょっとするとメガドライブ版テトリスは発売されていたのかもしれない、と思うと惜しい気もする。
【追記】読了後、テトリスマイクロカードを購入。今遊んでもハマる。
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もはや知らない人はいない超有名ゲーム『テトリス』の実話。シンプルなゲームの裏であんなにも複雑なライセンス争奪戦が繰り広げられていたとは。誰がソ連と契約を結ぶか二転三転する展開は面白いと同時に今では信じられない杜撰さw任天堂をはじめ日本の描写がたくさん出てくるので入りやすかった。
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読む前に想像してた内容:テトリスを作ったロシア人の波乱万丈な人生と、テトリスってこんなにすごいんだぜ!というある意味自慢のような内容。
読後:テトリスを作ったロシア人がこんなに無視され、売上ももらえず話題にも入らず。「テトリスってこんなにすごいんだぜ!」と聞いた利権欲しい人達が集まってなんやかんやしてたらもう権利がごっちゃごちゃに。契約って大事ね!
契約って、大事ね!(強調
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ソ連で開発された「テトリス」のゲームボーイ版の、発売権獲得競争に関するノンフィクションで、すげー面白い。
当時のソ連とビジネスをやる困難さが良く伝わってくる。ジャンルや時期は微妙に違うが、新日本プロレスやリングスは、よくソ連人をリングに上げられたなあ。
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【正方形に魅せられて】冷戦末期にソ連のエンジニアが発明したテトリス。プレイする者をたちどころに中毒状態にさせていく魔のソフトの噂を聞きつけた西側諸国の商売人たちは,そのライセンスを獲得しようと熾烈な競争を繰り広げるのだが,彼らの前に立ちふさがったのは,知的財産の商取引について知見も経験も有しないソ連の官僚組織だった......。著者は,テクノロジー・ニュースサイトのCNETで編集者を務めるダン・アッカーマン。訳者は,経営コンサルタントとしても活躍する小林啓倫。原題は,『The Tetris Effect: The Game That Hypnotized The World』。
本年の私的ナンバー1級の作品。面白いノンフィクションの条件として,そもそも主題の「目の付け所が良い」というのがあると思うのですが,これ以上ない魅力的なテーマについて掘り下げた稀有な一冊だと思います。ちなみに,テトリスのBGM(あのなんとなくロシアっぽいやつです)を聴きながら本書を読むとさらに楽しみが増しました。
〜テトリスはアイデア,製品,そして時代がこれ以上ないタイミングでかみ合った稀有な例だ。〜
久しぶりにテトリスをプレイしたくなること間違いなしです☆5つ
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全世界で10億ドル以上の売り上げを記録しているモンスターゲーム「テトリス」。冷戦下のモスクワで産声を上げ、やがては世界を席巻したこのゲームは西側、東側といった世界構造のひずみの中で数奇な運命を辿る。モスクワやハンガリーといったごく一部でしか話題になっていなかったテトリスにイギリスの凄腕セールスマン、ロバート・スタインが目を付ける。そして彼は共産主義圏の人々が西側諸国の商取引に無知であることに付け込み、曖昧な論法でテトリスの権利を取得したと主張し、イギリスのメディア王と組んで全世界で勝手に販売を始めてしまう。
スタインのその曖昧なライセンス契約により、他のセールスマンや、モスクワ側は翻弄されてしまう。けれどそこが逆に勝機と見た人物が日本初のファンタジーRPG「ザ・ブラックオニキス」の製作者ヘンク・ロジャースで、彼は任天堂の代理人としてモスクワに入り、西側の商習慣を丁寧に説明した上で当時のロシアにとっては破格のライセンス料を提示し、正式なライセンスをスタインから奪い取ることに成功する。それからすぐに発売が決定していたゲームボーイとテトリスとは非常に相性が良く、全世界で四千万本以上売れたという。
けれど、共産主義国であったため、テトリス製作者のアレクセイ・パジトノフにはベルリンの壁崩壊後ですら一銭も入って来なかったという。彼がようやくセレブの仲間入りをしたのは90年代になってからのことだった。まるでスパイ小説を読むかのように、テトリスのライセンスを巡るソ連、イギリス、日本、アメリカを舞台にしたロジャースたちの駆け引きが精緻に描かれ、ゴルバチョフ書記長も絡んだりと、改めてとんでもないゲームだったのだと知る。
実はテトリスをそんなにプレイしたことがなかったのだけど、これを機に遊んでみたくなった。テトリスの心理学における効用についても付録のような形で述べられており、それによるとPTSDをもたらす衝撃的な出来事に遭った直後にこのゲームをすることで記憶の固定化を軽減させ、フラッシュバックによる衝撃を緩和させる効果が期待できるとのこと。それもすごい。
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二人の主人公からなるテトリスがこの世に出てくるまでの物語。利益をなかなか手にできないパジトノフの心情がもっと知りたかった。