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欧米を中心とした安楽死の現状を個別の事例を負ったルポ。日本にも最後取材に行くが、日本はまだ安楽死に対する拒絶反応が強く、社会全体での議論もそもそもされていない。一方ヨーロッパは数十年前から、事例が発生し、医師や家族が安楽死させることに関わり、それが社会問題化して議論が進んだ。オランダでは全死因の4%が安楽死である。耐え難い痛み、治癒の見込がないこと、明確な意思表示、治癒の代替手段がない、ことが各国での安楽死の条件になる。ここから医師が手を下すのか、自分自身で行うのか、などのバリエーションがある。
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久しぶりに少し硬めの本を読んだ。
表紙裏から…。
安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である。
超高齢化社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。
しかし、実態が伝えられることは少ない。
安らかに死ぬ。本当に字義通りの逝き方なのか。
患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。残された家族はどう思うのか。
79歳の認知症男性や難病を背負う12歳の少女、49歳の躁うつ病男性。
彼らが死に至った過程を辿るほか、スイスの自殺ほう助団体に登録する日本人や「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師らを訪ねた。
当初、安楽死に懐疑的だった筆者は、どのような「理想の死」を見つけ出すか。
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ちょっと私的な書き方すぎて
あまり入り込めず。
略歴の話せる言語アピールや
インタビューが通訳なしとか
いらん情報が鼻に付く。いるか?
自分は死にたくないし、
好きな人たちには死んでほしくないな。
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安楽死の当事者たちに取材したドキュメント。
日本での議論は社会的な医療費の削減に滑り落ちてしまいがちだが、そうではない問題をきちんと見据えている。
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図書館本
国内外の方々にインタビューしたもの。
セデーション
例えば残りの命が1、2週間に迫ってきた末期癌患者に薬をとうよし、耐え難い痛みを鎮静させるとともに、人工的に昏睡状態に陥らせ、死に向かわせること。
意識を失って、栄養なと与えないので、3-7日で死に。
安楽死、死を選択する権利、尊厳死、自殺幇助。きちんと理解したいなあと思う。
生き死には、人ではなく、神というような大きな何かに委ねられるものかな? なんて思ってきたけれど、
混沌とした現代で、命の選別なんてことも言われていて、
生き死にへの捉え方が揺らいでる。
どうしたもんか。
読んで、心が乱された。
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安楽死,尊厳死する人たちやそれに関わる人達,またその家族などいろんな立ち位置の人から肉声を取って記録したもの.色々考えさせられた.筆者自身も考えが揺れ動いているようで,実際自分がそういう立場にならなければ分からないことだと思うが,その時にはどちらかを選べるように安楽死法案が認められている世の中であってほしい.
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オランダの死因3〜4%は安楽死。「死に方」を考える
欧米で活躍するジャーナリスト、宮下洋一氏が自殺幇助団体の代表であるスイスの女性医師と出会い、欧米の安楽死事情を取材しながら死をめぐる思索を深めていくノンフィクションだ。
実際に自殺幇助の現場に立ち会った著者は、ヨーロッパ人の強い自我に衝撃を受ける。安楽死はオランダの死因の三~四パーセントだと言われても、日本人である著者はその数に驚きを隠せない。取材を進めるうちに著者は、病による苦しみを抱え、安楽死を望み、自ら死んで逝く人々のまなざしのなかに包み込まれていく。荘厳な個の最期に同情の入り込む余地はなく、彼岸へと去っていく者によって此岸に立つ不安を覚える。
スイス、オランダと当事者たちとの対話を重ねるなかで著者は次第に「安楽死を選べる」ことによって「死を選択しない自由」が生まれることを知る。多様な死に方のオプションがあって初めて人は「生きること」を自らの意思で再選択できるのでは、と。
思えば命は自然からのギフトだ。あたりまえに享受してきた「生」に限りがあると知るとき、人はもう一度能動的に、命をつかみとらねばならず、その瞬間から新たに「生きる」という行為が始まるのかもしれない。本書は「安楽死を望む人々」を取材しながらも、誰もがそれぞれの「死に方」をもっている、という人間存在の多様性へと啓かれていく。
欧米を回った著者は日本に戻り、安楽死に関わった日本の医師たちのその後を追う。西洋から東洋へ。ふいに文章のトーンが変わり、読者は曖昧な薄暗い世界へ引き込まれていく。終末期における医療現場の混乱、対話の不在が露呈する死の臨床。救いはないのか。しかし、著者の優れた共感力は、薄皮を剥ぐように医師の内面へと迫る。次第に日本的な死生観が医師の語りを通して顕現してくる。その思いは著者にではなく、苦境を支えてくれた地域社会に向けて独白のように語られるのだった。医師たちのモノローグの中に彼らと自分のつながりを敏感に感じ取っていく。
西洋をていねいに取材してきた著者の結論は、実に予想外であった。終章に著者は記す。西洋的文化の中で見失っていた「生かされて、生きる」感覚を日本での取材を通して発見した、と。これは、西洋を体験した著者だからこそ探り当てた東洋の真珠であると思う。著者の目を通して、読者もまた西洋と東洋の死生観を俯瞰することになる。
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安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、アメリカの一部の州で認められる医療行為である。
超高齢社会を迎えた日本でも、昨今、容認論が高まりつつある。しかし、実態が伝えられることは少ない。
安らかに死ぬ。
本当に字義通りの逝き方なのだろうか。
患者たちはどのような痛みや苦しみを抱え、自ら死を選ぶのか。
残された家族はどう思うのか。
(あらすじより抜粋)
私自身は安楽死には肯定的です。
病気で回復の見込みが無く、痛みや苦痛が激しい場合はさっさと死にたい。
また、認知症で自我を失っても生かされるより、自分で死期を決めたい。
この本は、著者が安楽死容認国で実際に現場で立ち会い、患者本人と家族にインタビューして書かれている点が意義深い。
遺される家族なことより自分のことは自分で決める個人主義的な思想が印象的だ。
(というか、病気の激痛で余裕がないのかもしれない)
著者は否定的な立場で、家族を顧みない決断をする欧州の患者たちに違和感を感じている。
そして、余命宣告をされて生きき続けられる可能性を放棄して死を選ぶことに疑問を感じている。
安楽死の制度が、まだ生きられる患者を死に誘導しているのではないか、という視点だ。
私は、死にたい人は死なせればいいと思っている。
病気じゃないけど生きる気力がなくて、通り魔に走ったり、電車に飛び込むくらいなら安楽死させてあげればいいと思う。
結果、経済的ではなかろうか?
(もちろん、制度として実現しないことは理解している)
アメリカでは安楽死を尊厳死と呼ぶ。
単なる言い方の問題だけど、よくできた言葉だ。
尊厳を持って死ぬ。
順調に行けば、最後期はボケて死ぬ予定なのでボケる前にサクッと死にたい私は共感する。
逆に心臓が動いていれば強制的に生かすことに違和感を感じる。
それはそれとして、安楽死にも4つの種類がある。
1)医師が薬物を投与し、患者を死に至らしめる『積極的安楽死』
2)医師から与えられた致死薬で患者自身が命を絶つ『自殺幇助』
3)延命措置を控える、または中止する『消極的安楽死』
4)終末期の患者に投与した緩和ケア用の薬物が、結果的に命を短縮する『セデーション』
国や地域によって好まれる方法が異なるのも面白い。
さて、日本で安楽死が認められるのはいつかな?
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安楽死を扱ったノンフィクション。スイス、オランダ、ベルギー、アメリカ、スペインそして日本を舞台に医者や患者にインタビューした内容。
重い内容にもかかわらず、文体なのか著者の戸惑いを含めて様々な思いが行間なあふれていると感じた。
個人的には安楽死はアリかと思うが、日本での法制化は難しいだろう。
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読み始めは安楽死を遂げた人に共感して泣けた。読み進めるうちに作者との考えの違いが出てきた。日本人らしいって何なんだろう?
私は余命を宣告されて死を待つだけになったら安楽死したいと思っている。実際、死を目前にしたら考えは変わるのか?
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読み応えのある一冊。
「安楽死」「尊厳死」「自殺幇助」
何が違うんだろう。
読み進めていくうちに、型にハマって考えがまとまったかと思えば、また崩される。
結局、よくわからないままに読み終えてしまいました。
後半の日本での3つの事件。
あまり知らなかったのですが、集団を好む国民性がよく表れてるなぁと感じました。
やはり日本で安楽死を認められるのは厳しいのかな。
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自分で死を選ぶ権利は、基本的人権にあたるか?
「苦しい延命治療よりも安楽死」ということが議論の出発点だったとしても、安楽死を認めると、つまり自殺幇助を認めると、話はそこで止まらなくなり、人命が脅威にさらされる危険性もある。
「安楽死」というテーマを通して、人の「死」について考える。
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著者は自身の揺れ動く心を隠さず書いている。幅広く取材を進める姿勢にも信頼が置ける。
死は個人のものなのか、集団のものなのか。
最後、日本での取材は不発だったが、作者の思いに触れ、本書は極端な論調にならずに済んだ。
半ばまでしか読まなかったら、死ねることの確保による安心だけで終わっていただろう。
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NHKスペシャルを観たのをきっかけに、ググって本書にたどり着いた。あの番組は本書の続編にあたる作品の映像化のようだ。一口に“安楽死”と言っても、①積極的安楽死、②自殺幇助、③消極的安楽死、④セデーションの4種類に分けられる。本書では主に①と②が取り上げられている。 漠然と考えていた内容と大きな違いはなかったが、やはり衝撃的な内容ではあった。「私が満足のいく人生を送ってこなかったら、もう少し長生きしようと思うかもしれない」。こんな台詞を言える人ばかりではないと思うのだが……。
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各国の実情がわかった。自殺幇助的な手段は「医者に決められている」という理由で拒否するアメリカは、さすが自己責任の国だと思いました。
「自分は安楽死を選ぶ。でも、家族はダメだ」という、スペインの頑固オヤジな遺族に納得。矛盾しまくりなんですが、そういうとこが人間らしいとも思いました。