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スイス、オランダ、ベルギー、アメリカ、スペイン、日本と安楽死が許されている国、そうでない国の医師、本人、遺族を取材して書かれた力作。
こうして各国の事例と比較すると、日本の例を殺人罪で争うということ自体、日本の司法の欠陥と言わざるを得ないような気がする。
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自ら命を絶つという行為は個人に認められた自由の一つなのか。それとも個人の死は家族・友人などの社会を巻き込むものでありそうした自由は個人には属さないのか。
本書は安楽死が合法化されたスイス、オランダ、ベルギー、スペインといった国々を舞台に、なぜ人は安楽死を選ぶのかという理由に迫ったルポルタージュである。メインの取材対象はスイスの自殺幇助団体ブライシックを率いる女性医師である。年間80名弱の安楽死を自殺幇助(致死量の点滴の準備・処方までは医師が行い、最後の栓を患者自身が外すことで直接的には医師が自殺には関与しない)という形で行う彼女への取材には、実際の自殺幇助のシーンも含まれている。
安楽死の直前まで親族を招いたパーティーを行い、その最中にひっそりと息を引き取るという男性のエピソードなど、日本においては到底あり得ないような死の在り方がここにはある。著者は冒頭の疑問を持ちながら取材を続け、死の持つ社会的な意味合いよりも個人の自由を貴ぶ欧州の思想には一貫して疑問を持つ。一読者の自身にしても、どちらかという答えには窮するが、普段考えないような死の意味合いを徹底して読みながら突き付けられるというのは、貴重な体験であった。
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よくまとまってわかりやすい、みたいな意味の「良い」とは違う良さのある本。言語化しきれない不可解な行間までも含んだ本で、悲しかったり恐ろしかったり、訳もわからず涙が出たりもした。割りきれないものを割り切れないまま見つめて描くさまに価値を見る。こんなことが本当にあるのかという、知らない世界の実存を知る。
ひとの死は簡単には扱えない、そう述べると陳腐すぎるのだが、ともかくそういう実感がこみ上げる本。法で、対話で、果たして整理がつくものか。民族や宗教、文化などの土壌、個人の特性(知的発達や生育歴など)、もろもろによってときにそれができた事例があり、もちろんできない事例がある。きっと、そうそうにはできないのだと思い知る。
自意識というものの強固さは生死を規定するように思えながら、そんなもので定められない揺らぎや動揺にもひとの本質を見る思いがする。
とにかくいろんな気持ちでいっぱいになる本。ぜんぜん整理はつかない、その体験にこの本の価値があると思った。
あとメディアってなんだろうというのも、この本からはものすごく思わされる。
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最初のカラーページに死の間際に立ち会えた人々の
直前の姿が映されており ひとつひとつの話を読みながら
その写真をみると 読み進めるのがとても苦しかったです
いっきに読むことができず他の本と並行して少しづつ読みました
安楽死が認められている各国で1年近く続けたルポ
(スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカ)
その最後の瞬間に立ち会った経緯
感じたこと疑問に思ったこと
安楽死 尊厳死 自殺幇助 言葉の定義
そもそも違いはあるのかという疑問もはさみつつ
そして最終章では日本に戻り実際に裁判になった事例を追う
個を尊重する欧米と共同体を尊重する日本との違い
宗教や社会による死に対する考え方の違い
著者は18歳でアメリカに渡り長年に日本を離れて生きてきた
それでも自分の中にある日本人的なものにも
素直に耳を傾けて両者の違いを論じ答えを導きだそうとする
これを書かれた時点では手掛かりはつかんだものの
確信がなく次回作でそれがはっきりするのかなと
思わせるエピローグでした
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安楽死賛成派と反対派両方いると思います。
本書では本人側と家族側の両方インタビューしていますが、心に残ったのは家族側の「俺(が安楽死するの)はいいんだよ。だけど、家族だけはダメなんだよ!」という意見でした(この人は家族が本人の意思で安楽死した)
『個人の意思を尊重』という(本心とは思いますがある意味耳障りの良い)意見を言うご家族もいる中、これは本気で悲しい言葉でしたね。
安楽死する本人がものすごい決意でそれを決め、残される家族は反対しつつも歯を食いしばって尊重する、しかしやはりイヤだ!という本心を隠さずにインタビューに答えてくれたオヤジに感動しました。
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安楽死、それはスイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、アメリカの一部の州、カナダで認められる医療行為である79歳の認知症男性や難病を背負う12歳の少女、49歳の躁鬱病男性。彼らが死に至った過程を辿るほか、スイスの自殺幇助団体に登録する日本人や、「安楽死事件」で罪に問われた日本人医師らを訪ねた。(e-honより)
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安楽死について著者が取材を繰り返し、それについて自己の意見を交えながら伝え、考えていく過程の本。
少し前に出た本なので現在は法改正されている国などもあるけれど、安楽死を考える上で読んでおいて損はないと思います。
私は著者と同じ考えではないけれど、安楽死に反対する人達の思いも理解とは言わないまでもわかった気がします。
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スイス、オランダ、ベルギー、アメリカの一部州では安楽死が認められている。(現在ではオーストラリア、ニュージーランド、スペインも合法化)
個人的には安楽死という選択肢(合法化されている状態)に賛成だと思う。
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自分の命は自分の決定だとなんとなく思っていたが、死の重さについてこの本で認識した。
周囲を巻き込んでいく状況に、そうだよね、生きている時も周囲を巻き込んで生きているんだからね。
日本と欧米
個の考え方がこれほど違うんだ。
生も死も違ってくるなあ。